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Z世代の視点から読み解く! 令和の人事が持つべきマインドとは?(全4記事)

人事が思っている以上に、就活生は「会社のクチコミ」を見ている Z世代の就活事情と、採用活動で気をつけるべきポイント

SNSネイティブであるZ世代は、企業選びにおける情報源や判断軸は多岐にわたります。説明会や求人情報だけでなく、面接官の対応やSNSでの従業員による投稿など、 人事担当者の範疇を超えた場所でのちょっとした一言がZ世代とのギャップを生み、企業選びにおける意志決定に大きな影響を与えています。本セミナーでは、「SHIBUYA109 lab.」の長田麻衣氏と、「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリアの寺口浩大氏が、でZ世代の価値観や実態をもとに、企業の人事がZ世代の就活生と向き合う際に必要なマインドとは? 本記事では、Z世代の就職活動の実態について、寺口氏が解説します。

Z世代の就職活動を考えるための「2つのポイント」

寺口浩大氏(以下、寺口):特に就職活動においての意識の変化のデータと、それを受けた企業や採用担当の方々が「こういうところを見落としたら危ないよ」「こういうふうに改善したらうまくいきますよ」という事例を持ってきたので、そこをできるだけ手短にお伝えできればなと思っております。

Z世代の就職活動を考える2つのポイントとして、「キャリア観の変化」と「情報収集、及び発信」の大きな変化。この2つを最低限押さえていけば大丈夫かなと思っております。

「転職前提時代」というところなんですが、これはもう如実に、最近ではむしろ当たり前になっています。この2〜3年ずっとデータをとっているんですが、転職も視野に入れながら就職活動をしている人が6割を超えているということで、それが当たり前になりつつあります。

1〜2年前にデータをとった時は4割くらいだったんですが、数年で1.5倍に増えている。また、一般的に世の中でも言われているので、「じゃあ自分も」という感じで、どんどん100パーセントに近づいていく流れになっているなと感じます。

あとは、別に転職がしたいわけじゃなくて、何かがあった時。例えば企業の倒産はもちろん、自分の生活やライフイベント、ご家族やご自身のライフイベントがあって、働き方を変えようという時の話ですね。

「自分のいる会社でそういう働き方ができないのであれば、転職もできるようにしておきたい」「フリーランスになれるようにしておきたい」「いつか会社に戻るかもしれないけど、出入り自由でありたい」というところが、ほぼ当たり前の意識になっている。

新卒者が「企業選びで最も重視すること」第1位は?

寺口:今日来てくださっている方々は、Z世代ど真ん中もいれば、ミレニアル世代、ミレニアル世代の1個前のX世代と言われる世代の方々もいると思うんですが、どっちかというと僕らの時は「我慢しなきゃいけないのが当たり前」だったんです。ただ、令和においては働く人がどんどん言いたいことを言えるようになってきた。

僕らから見ると「わがままだな」と思う気持ちもあるんですが、僕らが10年、20年その感覚をインストールされてきたからそう思うわけで、やはり仕事の主役は企業というよりは個人なので、「当たり前のことがちゃんと戻ってきた」というのが近いのかなと思っています。

もう1つ、さっきのリスクヘッジの話の方法としては「転職できない自分にならないようにしておく」ことが1個。もう1個は「専門性をちゃんとつけなければ」という感覚が強いなと思っています。

これはみなさんもびっくりされるかなと思うんですけど、毎年大学生向けに「現在、企業選びで最も重視することを教えてください」というアンケートをとっているんですね。23卒までは「企業の安定性」「成長できる」がずっとトップだったんですが、24卒を見てみると「自分のなりたい職種であるか」が1位。しかも、ダントツなんですね。

実際、ソニーグループはジョブ型で、何種類も先行のコースを作っていたりするんですけれども、めちゃくちゃ人気が高まっています。コース別の採用をちゃんと職種で持っている企業は、どんどん採用マーケットのプレゼンスが高まっています。

「配属はわからないけれども、うちに来たいんでしょ?」というのが当たり前の採用の時代もあったんですけれども、「うちに来たいんでしょ? 入れてあげるから何でもやってね」という採用は、今はもう難しくなっています。

「配属ガチャ」「上司ガチャ」は、メディア上だけの話ではない

寺口:「総合職みんな一緒」「配属ガチャ」「配置ガチャ」「上司ガチャ」みたいな言葉はいっぱいありますけれども、「メディアで言われているな」ぐらいじゃなくて、学生の声として実際にそうなっているので、採用のコースなども変えていかないといけないという動きは、今後どんどん高まっていくかなと思います。

先ほど長田さんの話であったように、「失敗したくない」というところと、やっぱり個人のリアリティのある声はものすごく相性が良いんだろうなと思いました。

「入社する会社とか入社後のキャリアはどんな情報から習得していますか?」という話を、法政大学の田中(研之輔)先生をお呼びして、現役の大学生の方お二人に代表して出ていただいて、ご自身の思っていることや周りの方々とリアルに話していることを、人事の方向けのセミナーで勇気を出してしゃべっていただきました。

就職活動を終えている大学生の方々なので、入社予定先にちゃんと許可を取った上で出てくれました。「本音で話してくれて大丈夫だよ」という中で、本音で話してくれたんですけれども、かなりエグい情報がめちゃくちゃありましたので、また今後も(セミナーを)やっていこうかなと思っています。

その中で1つあったのが、やはり「クチコミ」でした。もちろん、ONE CAREERと転職サイトの ONE CAREER PLUSでもクチコミはあります。ONE CAREERでは「実際に受けたけど、どうだった?」に対して、「サイレントお祈り(不採用の通知を出さない)されますよ」「最後の面接圧迫ですよ」というのが絶対にあるんですね。そういうのは、SNS上にも情報が出ます。

仕事選びにおいてもクチコミが重視されている

寺口:あとは、見えないところでめちゃくちゃシェアされていることを「ダークソーシャル」と言うんですが、グループLINEとかでシェアされているところに関しては、全部の情報が筒抜け前提でやったほうがいいなということは、我々が採用する上でも重要にしていかないといけないなと思っております。

「候補者体験の重要性が高まる」に関しても、クチコミは候補者の体験が具現化したものなんですね。例えば、みなさんも本やアプリのクチコミを見ると思うんですが、あれはユーザーエクスペリエンスやユーザー体験が具現化したもの、可視化されたものになっていますよね。

「このアプリは使いにくかった」「このアプリ、めっちゃおすすめ」とか、App StoreでもGoogleマップでさえもクチコミがあって、みなさんも見ると思うんですけれども、仕事選びにおいてもクチコミの重要性はどんどん上がってきています。

もちろん企業側の言いたいこともあるんですが、それ以上に実際の体験として受けた人、入っている人、辞めた人がどうかというクチコミはずっと続いていくので。

これを「ピープルエクスペリエンス」と言うんですが、候補者体験、従業員体験、あとは卒業生の体験までも見るのが当たり前になっている、ということを覚えていただければなと思います。

会社説明会の「NGパターン」3選

寺口:こちらは説明会のNGパターンで、「オラオラ系」「ふわふわ系」「ペラペラ系」です。ONE CAREERの説明会のスコアが、(5段階中最低の)1.0というクチコミはいっぱいあるんですが、どういうものなのかを見ていくと、採用担当の方以外が原因になってしまっていることがすごく多いです。

社長のお話をされる方もいると思います。でも、これはちょっと勇気がいるかもしれないんですが、(表の「オラオラ系」に該当するとして)フィードバックしてあげたほうがいいパターンがかなりありますので、一応見直していただけるとうれしいなと思います。

あと、ふわふわした抽象的な話も嫌われます。また「ペラペラ」というのはシンプルに内容が薄いということなんですが、内容が薄いつもりがなくても「薄い」と思われることがけっこうあって、授業でも事前に情報収集してから臨んだり、就職活動においても就活生は意外とWebの情報を見ています。

みなさんが「ここは見ていないだろう」というところを、けっこう見ているケースは多くあります。その上で臨んでいるので、説明会に行って「(Web上の情報と)まったく同じだったね」というふうになったら、「時間がもったいなかった」となります。

とは言え、「初めて聞く人たちもいるから」ということで、たぶんみなさんはすべての候補者の方々に対して価値提供される説明会をしたいなと思っていると思います。

でも、最低限の情報に関しては、今日のようにチャット内でリンクを使ったり、「さらに詳しい話はここに書いているので、よかったら見てください」という感じで、口頭とテキストをうまくリンクさせながら、もしくは運営の人に手伝ってもらいながらやるケースがいいですね。

こういうふうに候補者体験の重要性が高まっているので、気を付けていただければなと思います。

人事が重視すべきは「認知の量」より「体験の質」

寺口:そんな中で人事・企業はどうしたらいいのか。施策のシフトのポイントは3つかなと思っています。これまでは、イベントにどれだけ出るか、広告をどれだけ出すか、いい感じのCMを出すかという「認知の量」が大事だったんですが、おそらくこれからは「体験の質」です。

なぜかと言うと、企業が主語のものだけじゃなくて、個人の体験がインパクトするようになっていますので、「認知の量」以上に「体験の質」に気を付けていただければなと思います。

もう1つは主語の話ですね。「企業発信」というものから、求職者であったり、もちろん社員の方々もあるんですけれども、個人がどんな発信をしているかに関しても気を付けていただければなと思っています。

「みんなTwitterをやりましょう」という話ではまったくなくて。Twitterの話になったら、すぐ「Twitterをやったほうがいいんですか?」みたいになるんですが、僕はぜんぜんやらなくていいかなと思っています。

個人の声はいろんなところにシェアされますし、個人主語で発信できるものはいろいろな方法があると思いますので、何でもトライしていただければなと思っております。

「口頭・テキスト」から「マルチコンテンツ」に関しては、これまでは説明会でがんばってしゃべって、コーポレートサイトではテキストインタビューがあったと思います。でも、今は動画も音声もショートムービーもSNSもありますし、いろんなコンテンツを組み合わせて使っていかないと、なかなかZ世代の方々にはリーチもできないし、心を動かすことも難しいです。

なので、これまでの説明会のやり方じゃなくて、マルチコンテンツをちゃんと使いこなせるように、もしくは得意な方と一緒にやっていくことが採用担当の方には必要です。

「体験の質」へのシフトに成功した、3つの企業の事例

寺口:それぞれの事例をサクッと話しますね。これはONE CAREER CLOUDのページに全部載っているので、気になったら見ていただけたらと思います。

これは、「認知の量」から「体験の質」へのシフトがうまくできているカラフルカンパニーさんの事例ですね。クチコミで学生の本音が広く発信されるので、エントリーを出す前から会社の魅力を伝えられます。接点を持つことができた学生数が従来の1.5倍から2倍に増え、エントリーにちゃんと効いたということですね。

みなさんも食べログで行くお店を決めたりすると思うんですが、悪いクチコミだとエントリーが減っちゃうので、クチコミを良くしていただければなと思っています。

これは、「企業発信」メインだったものを「求職者発信」に変えたRIZAPグループさんの事例です。うまく求職者の発信を活かしたアプローチ方法へ軌道修正しています。

もともと認知はあったけれども、CMの印象も強かったので、ふだん消費者としての接点が「マッチョの人しかいない」みたいなイメージがあったんですが、実際に経営企画のメンバーとかはぜんぜん筋肉がマッチョじゃない方も働いている。「筋肉じゃない」っておかしいですね。いろんな方が働かれているので、そういう悩みがありました。

でも、実際にインターンなどに参加した結果、「みんながトレーナーじゃなかった」とクチコミでちゃんと言ってもらうことによって、「あ、そうなんだ。じゃあ見てみようかな」というケースもあります。

あとはバンダイさんの事例ですね。口頭やテキストしかなかったものが、ライブ、動画などのいろんなコンテンツをうまく使いこなせるようになりました。

これはうちがサポートさせていただいたんですが、多角的に知ってもらえるようになったので、「候補者の理解が進んだ」「志望度が高まった」「これまで受けてくれなかった人たちがエントリーしてくれるようになった」と。一石三鳥なので、マルチコンテンツのところは本当に早くやればやるほどうまくいく。

二の足を踏んでいる企業さんがたくさんいる中で、ちゃんとトライしていくことは本当に大事だなと思います。僕らは動画にめちゃくちゃ詳しいので、何かあったらうちのフロントに聞いていただければなと思います。

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