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Z世代の視点から読み解く! 令和の人事が持つべきマインドとは?(全4記事)

なぜZ世代は「人前で褒められること」を避けたがるのか “常に誰かとゆるくつながる”SNSの影響が生んだ「調和意識」

SNSネイティブであるZ世代は、企業選びにおける情報源や判断軸は多岐にわたります。説明会や求人情報だけでなく、面接官の対応やSNSでの従業員による投稿など、人事担当者の範疇を超えた場所でのちょっとした一言がZ世代とのギャップを生み、企業選びにおける意志決定に大きな影響を与えています。本セミナーでは、「SHIBUYA109 lab.」の長田麻衣氏と、「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリアの寺口浩大氏が、SHIBUYA109 lab.のデータから見るZ世代の特徴を解説します。Z世代の価値観や実態をもとに、企業の人事がZ世代の就活生と向き合う際に必要なマインドとは?

Z世代の視点から読み解く、令和の人事が持つべきマインド

寺口浩大氏(以下、寺口):時間になりましたので、始めていければと思っております。では長田さん、よろしくお願いします。

長田麻衣氏(以下、長田):よろしくお願いします。

寺口:長田さんのパートのところで、ちゃんと自己紹介をしていただこうと思っているので、まずはこの流れで行きたいなと思っています。「イントロダクション」「Z世代のSNSの使い方」に関しては長田さんからプレゼンいただいて、「就職活動の方法」に関しては、僕メインでお話ししていきます。

3つ目は、いくつかテーマをパネルで持ってきたので、できるだけ質問に答えながら、そこについてお互いの知っていることをお話ししていくという流れでやっていこうと思います。

最初に、僕からプレゼンと自己紹介をさせていただければと思います。あらためまして、ONE CAREEREの寺口と申します。経営企画で広報PR、チームでエバンジェリストという仕事をやっています。

「これからの仕事選びはこうなる」「採用ってこういうふうに変わっていく」というところを、データをもとに、ちょっと未来の予言をしていくことが仕事です。今日のようなプレゼンをたくさんしております。

ワンキャリアについても、ちょっとだけご説明をさせてください。本当に簡単なテーマしか持ってきていないんですが、1学年につき約29万人の学生が使ってくださっています。1学年当たり50万人くらいなので、だいたい過半数のシェアを持っています。

月間訪問数に関しては約150万人です。これはどういうことかというと、エントリー以外の時も、就職活動に関するすべての行動において、「ONE CAREER」が日々訪れるサイトになっているということで、それが自慢ポイントです。

通年で学生の就職活動が見えるサービスも展開

寺口:また、企業さまの情報以外にも、就職活動をしている学生さんが体験したことであったり、合格の秘訣などがお互いにシェアできるようになっています。それが50万件くらい。これがわりと唯一無二のポジションで、メディアを展開しているという感じで、最近使われるようになってすごくうれしいです。

「学生さん向けだけにやっているんでしょ?」「人事の人向けにもサービスあるの?」とちょくちょく聞かれるんですが、実はけっこういろいろやっております。求人掲載、スカウト、ライブ、あとはプレゼンの動画を一瞬で作れるサービスとかを展開しています。

あとは「採用計画」と言って、「学生の動きがわからない」という時にデータでアクセスしたら、どういう学生の方がいつ就職活動を始めて、いつ終わって、いつエントリーが多いのかが、1年通して見れるものがあります。これは 無料なので、いつでも使っていただければなと思っています。

就活生の声をたくさん持っているので、就活生の声をもとに企画をいろいろ実施しています。これはエントリーシートを渋谷駅に貼り付けた「ES公開中」という企画です。

(スライドの)右は、人気ランキングが有名企業だけで埋め尽くされるのはちょっと変だなと思っていたので、実際に採用で出会った大学生の「この企業に出会ってよかった」という声をもとに作った、「就活クチコミアワード」です。

「人の数だけ、キャリアをつくる。」と言っているんですが、1ヶ所にみんなが集まるのではなく、こうやってそれぞれの価値観でいろんな大学生がいろんな企業に出会えるような仕組みを作ろうと思って、がんばっています。ここまでが自己紹介でした。あらためて、よろしくお願いします。

毎月200人のZ世代のヒアリングを行う「SHIBUYA109 lab.」

寺口:では、最初にSNSの使い方について、「情報収集はどうやっているの?」「情報発信はどんな感じになっているの?」というところを、長田さんがめっちゃ調べて持ってきてくれたので、バトンパスをしたいなと思っています。長田さん、お願いします。

長田:ありがとうございます。まず先に自己紹介からさせていただきます。私はSHIBUYA109エンタテイメントに所属しておりまして、SHIBUYA109 lab.という若者マーケティング機関の所長を務めております。長田と申します。よろしくお願いします。

私は今、SHIBUYA109 lab.という、SHIBUYA109を拠点にした若者マーケティング機関を運営しております。私たちのターゲットはaround20、15歳から24歳の子たち。つまり今「Z世代」と呼ばれる若者たちで、彼らの価値観や実態を調べる活動をしています。

私たちの活動としては、毎月200人のZ世代の子たちと直接会ってお話することをずっと続けております。2018年ぐらいからやっているんですが、SHIBUYA109の館内に来ている子たちに話しかけて、トレンドとか、「この前の選挙に行ったか」とか、いろんな話を聞かせてもらったりとか。

そこでLINEを交換させてもらい、また別日に来てもらってグループインタビューに参加してもらいます。今、何が流行っているかもそうですし、それこそ「就活をどうしているか」という話を聞く定性調査を毎週やっており、毎月200人の子たちの生の声を聞いて、課題と向き合う活動をしております。

私たちは、LINEで900人くらいのaround20の子たちとつながっています。主にSHIBUYA109に来れる都心に住んでいる子たちが多いんですが、その子たちの消費の動向だったり、いろんなものに対する視点や考え方を聞いて、いろんな企業さまに対してマーケティングコンサル事業として提供したり、SHIBUYA109のマーケティング施策に活かしたりしています。

上司・メンバーとして、Z世代との付き合い方に悩む声も

長田:一応、私たちもマーケティングコンサル事業というかたちで、いろんな企業さまの商品開発とか、それこそ「若者を知る」というところでのお手伝いをさせていただいているんですが、最近すごく多いのが「社内で、Z世代の子たちがどういう考え方をしているのか」ということです。

「上司として・一緒に働くメンバーとして、Z世代とどう接していくことが一番適切なのかを知りたい」というご相談をいただくことが多くなっております。そこのレクチャーをさせていただいたり、実際に若者を呼んできて、各サービスについての意見を聞いたりという、調査のサポートをしております。

SHIBUYA109でやっているので、SHIBUYA109 lab.でいろいろ理解を深めた上で、SHIBUYA109の中で何かイベントをしようとか、実際にアプローチをすることもお手伝いしております。営業になっちゃうんですけれども、もし何かお困りなことがありましたら、ご相談いただければなと思っております。

私からは「Z世代ってどういう人たちなのか」というところと、今後SNSの使い方も含めて、Z世代にとっての「働く」という部分に対して紐付いている価値観や実態がどういうものなのかという、就活よりもスコープを広げたもので、もう少しちゃんと理解をしていくところをお話しできればなと思っております。

まず「Z世代」というのは、諸説ありますが、だいたい1996年から2012年生まれの人たちのことです。みなさんの周りでも「お子さんがZ世代だよ」という方もいらっしゃるでしょうし、新卒だと4年目くらいまでがZ世代の子たちですし、実際にサービスのターゲットになっていることもあるのかなと思います。

「適応能力が高い」「常に不安を抱えている」という特徴も

長田:彼らは5年後、10年後、働き手としても消費者としても中心になっていくということで、けっこう注目されておりまして、その中でも私たちは15歳~24歳という109のターゲットに該当する人たちを「Z世代」と定義して、研究しています。

彼らの働き方についての考え方は、生まれ育った時代背景もすごく関係しているので、そこもお話しできればと思います。まず彼らは、生まれた時からずっと「不況がデフォルト」の中で生きてきているので、そこがかなり価値観にも影響を及ぼしています。

例えば、リーマンショックや3.11とか、最近のコロナ禍も含めて、ずっと世の中が下向き加減の中で生きてきているので、常に将来に対して不安を抱えているところが見られます。

たまにLINEで将来の相談が来るんですが、「大学に行って『就職でこういうところに行きたい』と思ったら、どういう学部を選べばいいですか?」というのが、最近だと高校1年生から来るんです。

私が高校1年生の時って、本当に「部活、何に入る?」ぐらいしか考えていなかったのに、けっこう前倒しでキャリアを考えることも出てきているくらい、なんとなく将来に不安を抱えている子が多いですね。

一方で適応能力も高くて、コロナ禍やいろんな世の中の波があったとしても、すぐに切り替えられる部分も見られます。

コロナ禍でお出かけができなくなっても、何もしないわけではなくて、おうちの中でできる楽しみ方がトレンドとして生まれてきたり、学校の授業でも先生より先にオンライン授業にどんどん適応していったり、そういう適応能力の高さも見られております。

従来の「当たり前」に疑問を抱き、本質を重視するZ世代

長田:目標の立て方も、「この先どうなるかわからない」という状況ではあるので、達成できなさそうなすごく高いことを掲げてがんばるというよりも、ちょっとがんばればできそうな目標を小粒に立てていって、それを着実に積み重ねて目標達成していくことのほうが、プレッシャーに感じずにがんばれるというところも見られます。

あとは、「本質を重視」「合理性を重視」というところですね。コスパ、タイムパフォーマンスというところでよく言われる部分なんですが、自分たちが価値を感じたことに対して時間とお金を使って、それ以外は節約してメリハリを付けたいという意識が高いです。

全部を節約するとか、すべてにおいてコスパ・タイムパフォーマンスが大事ということではないんですが、自分の大事な時間・お金を確保するためのメリハリを付けていくことがすごく上手になっているので、それが働き方においてのプライベートと仕事のバランスにも関係するのかなと思います。

それから、例えば業務をする中でも、「これが当たり前である」みたいなことがけっこうあると思うんですけど、「それって今の時代に合っているか?」という本質もすごく重視しているので、お客さんと話をしていても「これってなんで必要なんですか?」と聞かれますね(笑)。

別に楯突いているわけではなくて、本当に合っているのか、本当にこれは効率的で必要な業務なのかをきちんと納得したいということなので、本質を重視するというのは、お仕事の中でも(Z世代の傾向として)見られているのかなと思います。

デジタルネイティブ世代は、SNSで友だちを作るのが当たり前

長田:また、デジタルの環境がデフォルトである状況で、SNSネイティブです。生まれた時からインターネットが成熟していて、高校生とか中学生くらいにはInstagramとかがあって、それを息するように使っているので、今までの世代よりもSNSが本当に身近で、生活の中心になっているかなと思います。

こういう背景の上に価値観が醸成されているんですが、「働く」に紐付く価値観と実態にどういうものがあるかというと、大きく3つになるかなと思います。1つが「デジタルネイティブ」、もう1つが「失敗したくない」、3つ目が「固定概念に縛られない」です。

1つずつお話ししていくと、まず「デジタル・ネイティブ」は先ほど言ったとおり、生まれた時からデジタルの環境が当たり前にあって、SNSでのコミュニケーションが当たり前にある中であったから、ということですね。

例えば、「働く」には紐付かないですが、学校以外にもSNS上にコミュニティがあったり、SNS上で友だちを作ることが当たり前になっていたり、SNSで情報取集することも当たり前になるというのが、デジタルネイティブの特徴です。

価値観としては、SNSの影響で「調和の意識が高い」「情報収集の主軸がSNSになっている」というのが見られます。

Z世代が「人前で褒められたくない」と感じる心理

長田:この「調和意識」がどういうものかと言うと、SNSで常に誰かしらと緩くつながる状況で生きているので、「周りからこう見られているかも」「こう見られたくないな」ということを常に意識しながら、いろんな消費や行動をしているのが板についているということですね。

お話を聞いていても、「こういうふうに見られたくないから、こういうものは買わない」「こういう人だと思われたいから、こういうものを買う」というような、人の目線から見た自分を意識した行動が見られていて、それは働く環境の中でもよく見られます。

うちにも新卒のメンバーがいるんですが、この前そのメンバーから「あまり人前で褒められたくないと思っている」という話をされました。

なぜかと聞くと、「周りから見た時に、自分だけ頭一つ抜けてしまうように見られると、そのあとの業務をする時に調和が乱れてプレッシャーを感じちゃうので、そういうのは避けていただきたい」と言われたんです。

けっこう周りの目を気にしながら働いているし、周りから見た時の自分を意識しながら行動しているのかなと思います。働く中での自分と、会社の中でのコミュニティの調和を乱さないようなコミュニケーションを、上司に対しても求めているというのが聞かれているところです。

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