2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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澤田:キャリアは、誰かが決めたものに乗っかり、その中でジャッジを受けて、その中で優れているものだという時代はもう終わりというお話は、自分の中での世界の見方を、自分基準で持っていいよという話だと思っているんですよね。「ゆるスポーツ」を作るのも、「いやいや、なんか、母性が発揮されるスポーツがあってもいいじゃない」という基準を作ってしまっている。
なぜならそういう基準がある世界のほうが好きだから。「居心地よくない?」と思っている。ホメ出す時もけっこうそれで。一般的な、わかりやすい、褒めやすい要素はいっぱいあるわけですよね。仕事が速いとか、営業成績がいいとか。
僕はそこには実はあんまり興味がなくて。世界の誰がどう思うかはわからないけど、僕の基準では、ここはすばらしいな、というところをなるべく褒めるようにしているんですね。
その基準はもう自分の判断で決めている。障がいがある人はいろんな特性があるんですけれども、例えばある知的障がいの方は、会う度に「おめでとう」と言ってくれるんです。
澤:おぉー。
澤田:「おはようございます、おめでとう」「今日何食べました? おめでとう」。それは、親や先生から直されるんですね。でも僕は「おめでとう」ってすばらしいなと思う。
「おめでとう」と言われると、さえない1日だと思ってたけど、何かいいことあったかもなって思い始めるんですよね。
澤:(笑)。いいなぁ、それ。
澤田:おめでとうってすばらしいですね。
澤:すばらしい。むちゃくちゃいい。
澤田:でも先生たちは「こんにちはでしょ」みたいに、ジャッジしてしまうんですよね。ダメ出しをしてしまうんだけど、僕の基準では、それもうめちゃくちゃいいなと思う。
澤:あぁ、いいな。「おめでとう」って。すばらしい。
澤田:言われたい時、ありますか?
澤:いや、それを言ってもらえたらいいなぁ。
澤田:結局、この世界の価値基準や解釈の仕方って、誰かが決めてきたことの積み重ねじゃないですか。ということは、その誰かが決めた解釈が具合が悪ければ、変えていいと思っていて。
僕は、茶柱の話が好きですけど、あれってもともとは二番茶といって、捨てるお茶なんですよ。
澤:そうか、そうか。はい、はい。
澤田:それをある禅宗のお坊さんが、縁起がいいということにしようと言った。
澤:なるほど。
澤田:日本は立てる行為がけっこう重要で、神社も、地上と天を結んでくれる存在として、柱をまず立てて作られるんです。だからその文脈も借りて、縁起がいいことにしよう。その1人のお坊さんの解釈が、僕らの生活に浸透しているわけじゃないですか。だったら、「おめでとう」と連呼するのはいいことにしようみたいなホメ出しをしちゃう。
澤:解釈しちゃえばいいですもんね。
澤田:そうです。自分を世界にチューニングするんじゃなくて、世界の価値基準を自分に合わせてチューニングしちゃえばいい。
澤:その「おめでとう」の話は本当にすばらしいと思うな。
澤:解釈は行間を勝手に埋めて、その解釈によって人は怒るのもあるんですよね。これ、僕のチームメンバーだった人から教えてもらって、僕がよくワークショップで使っているメソッドですけど。物語を読んでもらって、その中に登場人物を4人作って、その物語を読んだ後に、許せない順番で名前を書いてくださいと言うんですね。
これね、だいたい見事にバラバラです。なんでかというと、その物語も雑に書いてあるので、行間だらけなんですね。
澤田:なるほど。
澤:ファクトとしてどうかわからないのを、みんな解釈によって埋め合わせて、きっとこいつはこうだから許せん、とやってしまうんですよね。
澤田:おもしろい。
澤:それで順番をつけるんです。その解釈を全部ポジティブに変えてしまうのもいいんですよね。だけどそれがとんちんかんなところにつながってしまうといけないので。相手に興味を持って観察をすると、本の中にも書かれていたことですよね。思い込みではなくて、確かなものにするためにじっくり観察をしたり。
場合によってはコミュニケーションしたり、質問をすることによって、解釈していたものの確からしさを確かめていくと、お互いの相互理解が進んでいくのではないかなと思いますね。
澤田:おもしろい。今のお話を受けて思ったのは、フィクションの中で描かれる物語と現実世界での物語は違う、という前提を持ったほうがいい。例えば、Pixarが作っている映画は、こう解釈してくださいというシナリオが、神話から受け継がれている。1人から始まり、仲間とライバルが集まり、困難があり、乗り越え、ハッピーになるみたいな。こう解釈してほしい、というものは決まっているわけじゃないですか。
だから僕らは、映画などで物語を提示された時に、誰かが僕らに強いる解釈に溺れすぎているというか、物語に身を委ねすぎている気がしていて。他方で現実で起こる毎日の物語は、もう毎日が余白だらけになっているんですよね。
澤:そう、そう。
澤田:それはハリウッド映画の物語を受け止めるように、その物語に委ねてしまうと、そういう社会の価値基準とかに飲まれることかと思って。だから現実という物語は、余白だらけなのだという前提を持って、映画とは違う処理の仕方、あるいは解釈の仕方をするのが大事なのではないかな、と。
澤:そもそも自分の人生の余白って自分で埋められますからね。
澤田:そうですよね。
澤:ディズニー映画はそういうわけにいかないですけど。ディズニー、自分の好みに変えてくれというのは、けっこうコストがかかると思うんですけど。だけど自分の人生のシナリオとかその展開とかっていうのを変えることは、これ投資ゼロですぐできますからね。
澤田:そうですよね。
これも、亡くなる間際に幸せそうにしている人の傾向がいくつかあるみたいで。1つは多くの伏線を回収できた人であればあるほど、満足そうな老後を送ると。
澤:はい、はい。
澤田:老後というか、死の直前も含めて。それは、過去の失敗も含めて、その後の物語でうまく伏線を回収して回収してここまで来ましたという人は、満足度が高い。それは自分の人生をいいように解釈しているというか。
澤:あ、確かにそれはあるな。僕、さっき言った通りもう53歳ですけど、かなり伏線を回収できているんですよね。
澤田:あ、もう今の時点でですか。
澤:今の時点で。今はすごく楽しい人生を送っているんですけど、子どもの頃は目覚める度に後悔していたんですよ。なんで目覚めちゃったんだ、このまま目覚めなければいいのにというぐらい、自分が生きてるのが嫌で嫌でしょうがなかったのね。この本の中でいうところの、負債。言葉の負債がめちゃくちゃあったんですね。
澤田:うん。先生から言われた何気ない一言とかが……。
澤:やっぱり一番多かったのが家族ですよね。役に立たない子どもだったし。ADHDかつHSPという、もうめちゃくちゃ手のかかるガキだったので。その当時はそんな知識がないから、ただのだめなやつですよ。落ち着きがない、忘れ物ばっかり。ちょっとしたことですぐに調子が悪くなる。
親兄弟からしたら育てるのがすごくめんどくさいガキだったわけ。だから何か事あるごとに「お前はだめなやつだ」と言う。「だからだめなんだ」「だめだ」とものすごく言われたんですよ。
虐待してるつもりもなんにもなくて、ただ単にそれは教育の一環と思っていたのか、本当にめんどくさかったのかはわからないですけど、それをすごく言われていました。「あ、自分はだめなんだ」と、めっちゃすりこまれていたんですよね。そうでもないと思い始めるまでに、数十年の時間を要したんですよ。
澤田:逆によくそこから脱却できましたよね。すごいですよね。奇跡ですね。
澤:いや、本当にこれはね、ラッキーだったんですよ。とにかくラッキーだった。これも伏線ですよね。ラッキーだったのは子どもの頃に極端な成功体験がなかったのは、成功体験の渇望にもつながってはいるので。
澤田:なるほど。
澤:そういった意味で言うと、人の役に立ちたいというところの根本的な部分は、その過去の体験によって培われているところはあるわけですね。それがちゃんと体現できる場面がやってきたのは、ラッキーだったんですよね。
いくつかのラッキーという意味でいうと、例えば就職に関しても、僕は一番最初、プログラマーだったんです。1993年に文系でプログラマーになったんですよ。これは相当変わったキャリアの選択だったんですね。
澤田:珍しい。
澤:だけど、なんかやっておいたほうがいい気がすると思った。これ、逆張りだったんですけど。ぜんぜんやったことがないことをやったほうがいいし、たぶんコンピューターは使えて得になることのほうが多いだろう、と漠然と思って。内定をもらっていた会社を蹴って、大学4年の1月から就職活動をしなおしてプログラマーになったんですよ。
本当に、これでプログラマーになれたのがすごくラッキーだったんです。最初はぜんぜん役に立たなかったですけどね。もう本当にひどかったんだけど。さらにラッキーなことに95年がやってきて、インターネット元年が来たんですよ。
澤田:いいタイミングです。
澤:めちゃくちゃいいタイミングだった。その瞬間にもうインターネットに全振りして、パソコンを買って、とにかくネットサーフィンしまくってインターネットのことをいろいろ体験したわけですね。
その時点でネットに詳しい人というタグがついて、教えることができるようになる。今まで超だめな社員だったやつが教えることができるようになったので、いきなりそれで潮目が変わったんですよね。まさにだめな状態からの伏線がどんどん回収できている。だけど、最終的にちゃんと回収できたのは、ここ10年ぐらい。
澤田:すごいですねぇ。
澤:でもそういった意味で言うと、日々伏線を回収しながらずっと時間を過ごしてる感じはしますよね。
澤田:そのほうが、人生をまったくむだにしていない感じがしますもんね。
澤:そうそう。味わい尽くしている感じですね。
澤田:味わい尽くしている感じ。魚で言うと、骨まで食べている感じがするというか。それってあれですよね。決めつけないということですよね。
澤:そうそう。
澤田:自分の過去をまず決めつけていないじゃないですか。過去さえも伏線回収するのは、再解釈をしているし。自分のことも、それこそ自分の可能性や伸びしろも決めつけていないし。やっぱり決めつけない癖がつくと、相手のことも決めつけないから、褒められると思うし。
だから決めつけの呪縛からの、解き放たれってすごい大事ですよね。
澤:30代までは、やっぱり自分に余裕がないので、どうしても他者に対して攻撃的、自分に対しても攻撃的な側面があったんです。
澤田:そういう時期もありますよね。
澤:それがある程度ちゃんと落ち着いてきて、自分にも他者にも肯定的なことができるようになったのは、本当ここ10年ぐらいですよね。
澤田:すごい……ということは今後10年~20年どうなってしまうのかが、すごく楽しみになりますね。
澤:そうそう。だから残りの人生がけっこう長めにとれそうだから、ラッキーだったんですよね。まぁまぁ体も丈夫なので、もしかしたらこの後は80年ぐらいいけるんじゃないかと思っているんです。
澤田:すごい。澤さんの人生はもしかしたらまだ始まっていないかもしれないなと思ったりします。このまま永遠に話を聞いていたいです。
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