2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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池田紀行氏:さぁ、では本題の1個目ですけど、(自分の)「市場価値」とはなんぞやというところのお話から入っていきます。そもそも「市場価値」を一言で言ってしまうと、この左上のところにある「雇われる能力」。これは英語でエンプロイアビリティ(employability)という言われ方をします。
ご存知のとおり、平均寿命がどんどん延びて、日本は昔からずっと世界一ですが、今もまた世界一を更新しているわけですよね。人生100年時代ということが2~3年前ぐらいに世の中で話題になりました。僕は今48歳ですが、僕の世代で、平均寿命が100歳を超えると言われています。
今聞いていただいている方の中で、20代、30代の方がいらっしゃれば、たぶんみなさんの平均寿命は110歳から115歳。医療の発達など含めて、もしかしたら120歳みたいな世代だと言われることもあるそうです。すごく長いですよね。江戸時代って平均寿命が30代だったので、もう劇的に長くなって、その3倍ぐらい生きるわけですね。
今ですら、大企業や普通の多くの企業で、定年の年齢がどんどん延びていますよね。なので普通に考えると、みなさんが働く期間って70歳までとか、もしかしたら75歳までとか、下手したら最後は80歳までになるかもしれない。20歳から働き始めると、80歳までって60年間働くわけですよね。人生の半分くらいは働くと。
左下に薄く書いてありますが、市場価値っていうのは、例えば僕の場合は起業して会社を経営していますので、僕にとっての今の市場価値は、「どこに雇ってもらえるか」ということではなくて、どっちかというと「雇う能力」なんですよね。
多くの人間をどれだけ雇用して、その雇用した人間たちが幸せな人生を送るような環境を作れるか。その雇用した人たちがいい仕事をすることによって、どれだけ社会をよりよくできたかというところが、僕の市場価値だと思っています。
でも、例えばうちの会社がある日突然傾いて倒産をしたとします。僕も飯を食ってかなきゃいけないので、再び起業する前に、もう1回どっかに雇われようと考えた時には、自分で言うのもなんですが、転職活動をせずに、TwitterとFacebookで「会社潰れちゃったわ。どこか雇ってくれないかな?」と言ったら、オファーをいただけるんじゃないかと思います。
これも左上に書いてある「雇われる能力」なんですね。あなたはこんなスキルセット、能力を持っていて、即戦力としてすぐにこんな価値を提供してくれそうな人だから、ぜひうちの会社に来てくれという能力ですよね。
この雇われる能力について、今から「スペシャリストかゼネラリストか」という話に触れていきますけども。一般的に言うと「どういう資格を持っているの?」だったり、「どんな知識を持っているの? どんな学歴を持っているの? どんな実務経験があるの?」みたいなところは、当然雇われる能力なんですけど。
古き良き時代、今から30年ぐらい前ぐらいまでは、市場の環境変化のスピードってそこまで速くなかった。なのでスペシャリストとして、なにか秀でた専門的な能力を、手に職をつけてしまえば、それで一生飯を食うことができていたんですよね。
でも、今みなさんが生きている時代の環境変化のスピードは猛烈なもので。みなさんが初めてスマートフォンを持ったのは、年代にもよりますけどもいつでしょうか。ちなみに僕が最初に持った携帯電話は、ツーカーのガラケーだったわけですけど。初めて携帯を持ったのが社会人2年目ですから、23歳か4歳の時ですね。それまでは携帯がない時代を送ってきたので、中・高・大学と、携帯がない中で生活をしてきたわけです。
かたや2007年にiPhoneが発売され、2008年に日本に上陸していますので、今からたったの13年なんですね。たったの13年前にiPhoneというものが日本に来て、今やみなさんはスマートフォンがないだけで、もはや生活できる状況ではないじゃないですか。今までの13年間で起こった環境の変化と比較して、これからの13年で起こる環境変化のスピードは、さらに速くなるわけです。
なのでキャリアを作っていく時に考えなければいけないのが、「スペシャリストになれば一生安心だ」という時代って、実はもう終わっていると思っています。
「陳腐化のスピード」とよく言いますけれども。手に職をつけたスキルが、いったい何年間で使い物にならなくなってしまうのか。社会から必要とされる、自分の価値は需要と供給のバランスで決まりますので。やってほしいと思っている需要と、私ができますという供給のバランスで、需要がでかくて供給者が少なければ、価値が高いので当然高値で売買がされるわけですよね。
なんですけど、「もうそれ用済みだからいらないよ、うちの会社にはそんな仕事をもうないよ」ってなると、その持っていたスペシャルな能力は、市場の中で価値がどんどん下がっていってしまうんです。
なので雇われる能力は前提として、この右側の「環境に適応していくこと」をあわせてやっていかないといけない。昔と同じ考え方でスペシャリストになって、一生安泰、手に職だという考え方は、今は非常にリスキーであるというのが注意点だと思います。
ゼネラリストかスペシャリストかという話が出ましたけれども、やっぱり多くの方は「スペシャリスト信仰」が非常に強いんですよね。なぜならば、なんとなく「ゼネラリスト」って、なんでもできるけどなんにもできないみたいな印象があったりとか、転職の時に「あなたは何ができるのですか」と言われたら、「私は部長ができます」という笑い話があったりとか。そんなような風潮があるので。
なんとなくマネジメント職とかゼネラリストに進んでしまうと、何者でもない人間になってしまう。「私はこれができます」ということを、胸を張って言いにくい。であるならば、やっぱりスペシャリストになっていったほうがいいよねっていうところが、多くの方が考えるところで、その気持はすごくよくわかります。
僕もマーケティングのスペシャリストですから、そのスペシャリティを磨くところをやってきているんですけど。今日の講義も、お話の中盤のところで、このセルの面積をどのようにデザインをしながら埋めていくか、色を塗っていくかという考え方のお話をしていきます。
結論を言うと、スペシャリストとゼネラリスト・マネジメントのどっちがいいのか悪いのか、有利か不利かは、僕はあまり関係がないと思っています。うちの会社でも、多くの新卒採用や中途採用をやっておりますので、外部労働市場の中でどんなスキルセットを持った人たちがどれぐらいの市場価値で取引がされているのかについては、過去15年ぐらいずっと見続けているわけですけれども。
じゃあやっぱりスペシャリストが引く手数多(あまた)で、ゼネラリストとしてマネジメントをやってきた人が、ぜんぜんどこにも転職できないのかと言うと、そんなことぜんぜんないわけです。そんなことは絶対にない。
ですので、これも今日の最後のほうでもお話ししますが、「自分はいったいどこの領域に進むと、自分にしかないすばらしい一輪の花を咲かせることができるのか」ということを考えるほうがよっぽど重要です。スペシャリストに向いてない人がスペシャリストを目指してもしょうがないですし、1つのことを掘り下げていくことがすごく好きな方が、よし自分はゼネラリストを目指そうというのも、これはもう土台無理な話というか、難しいわけですね。
なので、どっちに進むのが有利かということを、左脳で、条件や待遇で考えるのではなくて。僕は恋愛とか結婚と同じようなものだと思っているんですけど、自分が何と相性がいいかを考えていただいたほうがいいんじゃないかと思っています。
スペシャリストかゼネラリストかは別にあまり重要ではなくて、大事なのはとにかく「プロフェッショナルかアマチュアか」という話なんですね。
いま、オリンピックをやってますし、今日は大谷翔平選手も40本目のホームランを打ちましたよね。プロというと、プロのスポーツ選手とプロのアーティストだったりして、その人たちがすごくストイックな練習や生活をしていて。自分ではゆめゆめできないようなことを想像する方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
でも、月に5万円でも10万円でも20万円でもお給料をもらって仕事をしていたら、それはもうプロフェッショナルですよね。お給料をもらっているということは、プロなわけです。スポーツ選手ってなりたいと思っても全員がなれるわけではない。
でもいわゆるサラリーマンは、望めばある程度みんながなれる。ものすごく特殊なものではないという印象が強いからか、「給料をもらって働いているけどプロではない」という思考性を持った人たちが、世の中にすごい数いるわけですね。それっておかしな話だと僕は思っていて。お金をもらって価値を提供している時点で、絶対に「すべての人はプロでなければいけない」と思っています。
みんなプロなんだけど、言葉を選ばずに言うと、ほとんどの人がアマチュア的な仕事しかできていないと僕は思っています。なので「市場価値を高める」、ないしは「有利な転職ができる」。市場に出たら引く手数多になる人間は、間違いなく下(アマチュア)ではなく上(プロ)の人間です。上であれば右(スペシャリスト)か左(ゼネラリスト)かは、あまり関係がないと思っています。
「プロ」を考えていく時にもう1つ、ちょっと違う視点のお話をしたいんですけど。プロというのは、「類い稀(たぐいまれ)なる高いスキルセットを持ち、普通の人にはできない難易度の高い仕事を遂行することができる」みたいなイメージを持たれる方が多いと思います。そのイメージはぜんぜん間違っていなくて、そのとおりなんですけれども。
けっこう日本の教育制度だったり、大学だったり、偏差値みたいなものの延長線上で、我々は社会に出てくるので。なので市場価値は何と比例しているかというと、「IQ」と比例している。頭の知能指数と市場価値は、ほぼニアリーイコールであるという考え方がされるケースがほとんどです。残念ながら、世の中の転職で有利な人はIQが高い人である。これはもう否定のしようがない事実だろうと思っています。
一方、僕が26年、社会で働き、15年間会社を経営している中で、「この人、うちの会社の中でめちゃめちゃ価値が高いなぁ」と思う人がいます。つまり価値が高いって、いろんな価値があるんですけれども。
僕はどんなことに価値を感じるかというと、この「代替困難性」。取り替えがきかない人間ということなんですね。この取り替えがきかない人間って、うちの社内にも当然いっぱいいるわけですけれども、何が取り替えがきかないのかというと、意外とIQじゃないという話なんです。
語弊を恐れずに言うと、世の中には優秀な人間ってそれなりの数がいるので、どんなに優秀な人間でも、いなくなったらまた別の優秀な人間でその仕事が回ることが少なくないんですね。意外となんとかなってしまいます。
一方で、「EQ」ってみなさんご存知ですかね。「心の知能指数」という、一昔前にすごく大ベストセラーになった本から日の目を浴びてきている概念です。IQが頭脳の知能指数、EQが心の知能指数なんですけど、EQを平たく言ってしまうと、「コミュニケーション能力」と思っていただいていいかもしれません。
うちの会社の中で市場価値が高い人間というのは、当然難易度の高い仕事を完遂することができるという職務遂行能力がありながら、かつ、この人がいるとパッと場が明るくなったり、会議がさくさく進んだり、部下の人たちから「〇〇さんのもとで働きたい」と言われるマネージャーだったりとか。職務遂行能力だけではない、その人が持っているオーラとかキャラクターだったり、雰囲気だったり、作り出す空気だったり。そういったものに大きく影響を受けているなぁと、非常に強く感じます。
極論ですよ。IQが高くてEQが低い、つまり仕事はバリバリやれるんだけど、お客さまからもスタッフからも、あまり人間として好かれてない人と、仕事は差し支えなく普通の人と同じぐらいにしかできないんだけれども、その人がいるとすごく場が明るくなったりとか、みんながポジティブになれるような人って、どっちのほうが価値が高いか。ないしはどっちのほうが代替困難性が高いかというと、あきらかにEQが高い人だと思っています。
頭のいい人たちって、世の中にすごくいっぱいいますけれども、EQが高い人って実は意外といないんです。なので、僕はプロフェッショナルとしてこれからスキルを磨いていく、キャリアを作っていくという時に、「EQ」を強く意識してやっていくと、すごく高い付加価値を作ることができると思っています。
一方で難しいのは、IQって訓練とかトレーニングとか、わかりやすく言ってしまうと勉強時間にある程度比例して高めることができるわけです。でもEQって、明確なトレーニング方法があるわけじゃないんですよね。教科書があるわけでもないです。だからこそ価値がすごくあるんですね。
なんのトレーニングも受けていないけど、「なんかあの人いつも笑ってるよね」だったり、「声が大きくて気持ちがいいよね」だったりする人って、どこにも絶対にいるじゃないですか。「キャラクター的に自分はそうじゃないんだけど、EQが高いほうが有利なんであればやってみよう」とやってみると、意外とぜんぜん難しいことじゃないので。それを続けていると、いつのまにかそれが習慣になって普通になることがあります。
ぜひやってほしいのが、とにかく挨拶は大きい声で、できる限りいつも笑って、ネガティブなことは言わず、やるだけやってだめだったらしょうがないよねってポジティブに変換すること。これって、やっぱり多くの人たちを明るくするんですよね。
社会に出て仕事をすると、いいこともありゃ悪いこともあって、つらいこともいっぱいあるわけじゃないですか。つらい時に、「つらいっすね。やってらんないっすよね。あぁもうだるい。あぁ死にたい。仕事したくない」とかって言ってると、みんな暗くなっちゃいます。
「まぁまぁ、そんなこと言ってたってしょうがないじゃないですか。で、どうしまっしょっか」とか。今は一杯飲めませんが、「一杯飲んで気分転換して、明日からがんばりましょうよ」と言っている人間に、人って集まるんですよね。
そうすると、「あいつむちゃくちゃいいやつだよな」とか「あいつがいると仕事がはかどる」とか「気持ちがいい」とか、そういう人間になって評判が上がり、昇進・昇格につながるなんてことは、ざらにあることが多いので。ぜひ「EQ」というのも1つ、プロとして考える時に、取り入れていったらいいかなぁと思っています。
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