2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
池田紀行氏:最後に具体的にまとめていくフェーズに入っていきます。「じゃあ自分はどこの道に進もう」と考えていく時に、この「0→1か、1→10か」ってよく言われますけど、僕は(この2つだけじゃなくて、)3つあると思っています。
誰も通ったことがない山道に獣道を作る人、つまり誰か通った痕跡を作る人が、僕は0→1だと思っています。誰も通った痕跡がないけど、とりあえずちょっと行ってくるわって人が0→1です。
その獣道を整備しながら、トラック1台が通れるぐらいに整備をするのが1→10の人。その1→10のところを、片側2~3車線の高速道路に舗装するのが、10→100の人ですね。
人は0→1に憧れるわけです。やってみたい、かっこいいと思うんです。でもこれって相性というか、たぶんもう決まっていて。人によってどこに向いているかって明確に決まっていると思うんです。
0→1の人間が偉いわけではなく、0→1の人間は10→100の仕事をやるとまったく機能しない。猛烈なローパフォーマンスしか出せない。その逆も然りです。なので、「自分はどこなんだろう」と考えるべきですね。どこがやりたいっていう希望はあってもいいですけど、なかなか難しいです。僕は、「どこに向いているか」で選んだほうが絶対にいいと思っています。
ただし残念ながら、さっき言ったように「価値」って需要と供給のバランスで決まるんです。供給が多ければ多いほど、つまりそれがやれる人が多ければ多いほど、価値ってどうしても上がりにくくなってしまう。世の中どの部品の人間が供給として多いのかと言うと、やっぱり10→100の人が猛烈に多いわけですよ。
イメージとしては、全体を100だとすると左から1:9:90ぐらいの人口比率なんじゃないかなと個人的には思います。一番左の0→1が100人に1人。1→10が9人。100人いて90人、90パーセントが10→100の人である。大きな企業で決められたことを粛々と正確にやることが得意な方々が、一番右ですね。
でも、自分が10→100の人間でも勝負するしかなくて、日本一の10→100を目指してやろうと。そのほうが、10→100の人間が0→1を目指すよりも絶対に(成功する)確率が高いですね。人数が少ないのは0→1なんですけれど、じゃあ0→1の人間が、生涯所得が高くてキャリアが高いところで仕事ができるのかというと、必ずしもそんなことはなくて。
向いてるところに自分の体を置くことができているか。それが前提として一番重要かなって思っています。僕も若い頃そうだったんですけれど、「弱みを補完することで安心したい」というのが、キャリア形成や能力開発の時に必ずはまる落とし穴だと思っています。
例えば、僕は昔は数字が嫌いな超文系人間だったので、経営コンサルタントの資格は勉強してなんとか取ることができましたが、会社の経営をしていこうと思った時に、財務諸表のP/L(損益計算書)だったりB/S(貸借対照表)に苦手意識があったんですよ。
「なんでもかんでも、絶対に1人で全部できなければいけない」と思っていたので、税理士の勉強をすることによってこのアレルギーを解消しようと思い、なにを思ったか大原簿記学校に通って、簿記論と財務諸表論の勉強を始めました。辛くてすぐやめちゃいましたけども。
「僕はここができるけどこっちができないから、できないことの補完をしよう」ということに大量の時間と金を使っていた20代後半だったんですけれども。結局、なんでもかんでもそつなくできる1冊の専門書って世の中ではあまり重宝されず、「俺は私はこれができます。その代わりこことここは何もできません」みたいな、最初は専門性を磨くところから始めないといけないのかなって。
「なぜチームがあるのか」ということです。このグラフであるとおり、営業力・企画力・ディレクション力、それぞれのところに類い稀なる能力を発揮する人間がいて。その他はだいたい弱い。だからチームというものがあって、チーム5人できれいなレーザーチャートになっていれば、それでオールOKなわけですよね。
なんでもかんでも1人でやろうとすることは、僕は早々とあきらめて。人生って1回きりで、すごく短いので、弱みの補完をするのってものすごく時間もかかるし、投資効率が悪いんですね。嫌いだからできないんだし、できないから嫌いなんだから。それを、他の人と同等ないしはそれ以上のスキルに上げていくためには、使わなきゃいけない時間と金がすさまじいわけですよ。
であるならば、赤いグラフ人間は赤を伸ばす、黄色いグラフの人は黄色を伸ばすということで、(1人できれいな5角形を作るより)棒グラフのように専門特化をしてしまったほうがいい。スペシャリストはそっちです。
超ウルトラゼネラリストなのであれば、この赤いグラフの伸びているところを伸ばしながら、青はなぜ青なんだろう、黄色はなぜ黄色なんだろう、緑のつらさってなんなんだろうみたいなところに目を光らせる。「自分はこのレーザーチャートのチームのプロジェクトマネージャーになった時に、どのようなプロジェクト推進をすると、青も黄色も緑もオレンジもみんなが幸せになれるのか」と意識しながら、赤いところの仕事をする。これがスーパーウルトラゼネラリストへの道だと思っています。
僕はそっちを目指したということですね。ある一定のところまでマーケティングの能力を磨いた後に、この全体を仕切っていける人間になりたいと思いました。
「自分の弱みは誰かの強み、誰かの弱みは自分の強み」なので、弱みは誰かに補完してもらおう。強みで人に貢献をしよう。その代わり、強みに関しては徹底的にコミットメントをして、誰よりも完璧に最高な状態でやる人間になろう。
強みを持つ領域で価値を出しながら、弱みの部分はそれが得意な人に頼る。「ごめんね。自分は本当にここが苦手だから助けて」とやると、「いいよ、いいよ。お前、そっちで猛烈に成果を出してるんだから、こっちは俺の得意分野だから任せといて」「ごめん、ありがとうね」というチームをつくればいいわけですよね。
ということで、僕は弱みの補完に関して反対派です。徹底的に自分の強みにフィーチャーして、強みに時間とお金の全資本を投下をしていく。それが僕のおすすめするキャリア形成法です。
ではラストに。「じゃあ市場価値ってどうやって高めたらいいのよ」っていう話を。魔法のようなやり方はありません。この世の中、YouTuberとかサロンとか、いろんな人たちがいろんな甘い言葉を言うわけですが、近道なんて存在しません。そんなものがあったら、全員楽して大成功しながら、年収1億円稼いでるわけです。それができないから、僕らはがんばらなきゃいけないわけです。
成果が出ている人間と出ない人間の違いは、結局やっているかやっていないか。続けているか続けていないか。本当にそれだけの違いです。それだけだと思います。
ポイントをいくつか書いてみましたが、とにかく徹底したインプットと徹底したアウトプットがセットですね。インプットは、とにかく本を読むこと。これだけでいいと思います。セミナーとかもいいですけど、とにかく本を読む。
これもまた僕のマッチョな話で恐縮ですけれど、僕は20代の時に、経費ではなく全額自分の給料から、年間100万円分の本を買って読んでいました。100万円分の本を読むってすごく大変でした。買うだけで大変ですから。なんでそんなことをしたかといったら、(100万円という数字が)わかりやすかったことと、100万円分の本を読んでる人間は世の中にそんなにいないだろうというところから、これをやり続けたら上に上がれると思って読み続けたわけです。
僕にはそれがすごくよかった。「そんなのは無理です」って(思うかも知れませんが)、すべての人が100万円分読まなくったっていいんです。とにかく月に1冊でもいいから本を読みましょう。日本人って、月に1冊も本を読まない人たちが50パーセントくらいいると言われます。本を月に1冊読んでいるだけで、上位50パーセントになれるわけですよ。
なので月に1冊、できれば週1冊、あわよくば週2冊というのが理想ですね。やっぱり年間100冊というのは1つ目標にしてほしい。100万円じゃなくて100冊でいいので。年に100冊読むと、1年は52週なので、週に2冊ペースなんです。
「読むのが遅いからそんなに読めない」という方。僕も読むスピードはすごく遅いので、最初は苦労しましたが、本って読めば読むほど読むスピードが劇的に上がります。読み飛ばしていい箇所がわかるようになるので、読めば読むほどスピードが上がるんです。1週間に2冊くらいなら、仕事しながら普通に読めるようになります。とにかくたくさん読むことですね。
でも、読んだものってびっくりするぐらいそのままでは使えないので、アウトプットしましょう。アウトプットのやり方として最もいいのは、ブログを書くことです。最近で言うとnoteですね。最初は、書いた本のまとめでいいですよ。noteに読書感想文を書く、ないしはポイントを書く。ないしは期待していたことと読み終わった後のギャップを書く。なんでもいいです。
なんで自分のメモ帳だったりEvernoteじゃだめなのか、なんでnoteで公開をする必要があるのかというと、誰か1人でも2人でも、自分以外の人がこの文章を読むかもしれないという緊張感が猛烈に大事なんです。誰も読まない場所で書くと、油断してたいしたことを書きません。アウトプットの価値がないアウトプットになってしまうんです。
やっぱり大事なのは「誰かの目に触れるかもしれない」という、一定の緊張感の中でアウトプットしていくということ。これが能力を劇的に向上させることにつながると思いますので、公開されている場で書くことをぜひやってください。
「量よりも質」と感じる人がいるかもしれません。それは僕も大賛成です。でも量をやってない人間が質を高めることってできないと思うんです。量をやってる人間が、ようやく「なにが質が高く、なにが質が低いか」という分別がつくようになる。結局圧倒的な量をやらないと質も高まらないというのが僕の持論です。
今まで言ってきたことって、とっても当たり前のことなんですけれども。(スライドの)左がギフトですから「才能」という意味ですね。でも僕も含めて多くの人たちって、別に才能があるわけじゃない。じゃあ結局何で上がっていくしかないのかと言ったら、それは「当たり前のこと」をやっているんです。
当たり前のことを当たり前の量やっている人と、当たり前のことをありえないレベルでやりきっている人と、この差でしかないんですよ。やってることは変わらないんです。世の中に怪しい情報商材とかいっぱいありますから、そういうところに騙されないようにしてもらいたいんですけれども、近道はないので。やっている人は、普通のことしかやってません。
あと「累積矢面時間」ですね。仕事をしているといろんな仕事がありますが、矢面に立ってる時間じゃないと人間って成長していないんです。例えば、お客さんと4対4のミーティングをやっている時に、議事録を書いていて、一言もしゃべらなくていい仕事。これって累積矢面時間で考えると、矢面に立ってないのでさほどビジネススキルは磨かれないんです。
でも例えば、アシスタントとして参加していたミーティングでも、朝に先輩から電話がかかってきて、「ごめん。ちょっと体調悪いから、今日のミーティング任せていいかな」って言われた瞬間に、「マジですか? 自分が会議を仕切るんですか? 自分が説明するんですか? お客さんからこんな質問が来たらどうやって返すんですか?」ってなりますよね。これが矢面の緊張感なんですよ。
今日は参加していればとりあえずOKみたいな会議と、自分が仕切らなきゃいけない会議は、同じ会議でありながらまったく違う。それが「矢面」です。
仕事は1日8時間するわけですけど、今日の8時間に矢面時間は何分あったかってことをメモしたほうがいいくらい、この矢面時間が大事です。いっぱい働いたけど矢面に立ってない時間が溜まっていっているのか、短い時間で集中して矢面時間を増やすことができてるのかというのは、僕はすごく重要な話だと思います。
「この仕事を任せたいんだけれども、難易度高いけど誰かやってくれる人いない?」というのは、矢面仕事のチャンスです。こういった時に目をあわせないようにするか、「すげーつらそうで大変そうだけど、やってみたいです」という人間の差でもあると思います。
別に失敗しても給料は減りませんし、命を失うわけじゃないので、そんなに大したリスクはないと思います。難易度が高くて失敗しても「次はがんばろうな」だったり「ナイストライだよ」って言われるぐらいなんですね。とにかく難易度の高い仕事をいっぱいして、矢面時間を増やしたほうが、着実にキャリアにはプラスだと思います。
ワークライフバランスの話とか、これからのキャリアの話をしましたけれども、とにかく一言で言えば「好きを仕事にするをあきらめないでください」ということです。こういうことを言うと、大人の多くは「甘っちょろいこと言ってるんじゃねーよ!」「仕事はつらいものだ、我慢するものなんだ。好きを仕事になんてそんな甘っちょろいことなんて実現不可能だ」と言うわけですよ。
だいたい「好きを仕事にする」って話に反対をする大人は、好きを仕事にすることができなかった人なんですね。なので、好きを仕事にすることができた人に対して、「好きを仕事にするってどうですか」と聞いたら「好きを仕事にする以外の選択肢なんてこの世にあるの?」って言うわけですよ。
僕もそうです。遊んでるのか仕事をしてるのか、僕はほとんど区別がないぐらい仕事が好きですし、遊びながら仕事をしてますので。そんな感覚です。とにかくすごく好きなことができているという状態です。
好きを仕事にするというのは「甘え」なのかというと、僕は逆だと思っていて。今のこれだけ厳しい世の中において、好きじゃない仕事で人よりも秀でた能力を高められるほど、世の中甘くないと思っています。
好きじゃない仕事で人より秀でた能力が獲得できるほど、世の中は甘くない。つまり好きじゃないということは、寝ても覚めても風呂入っててもシャワー浴びてても、ジョギングしていても考えてしまうということじゃないわけですよね。好きじゃないんだから、仕事の時しか考えてないんですよ。
好きなことは、寝ても覚めてもシャワー浴びてても風呂入っててもジョギングしてても、ずっとそのことを考えているんです。だから思考の量もひらめくアイデアの量も質も、段違いで差が開いていくわけです。だから、やっぱり好きなこと。「好き」が大事なんですよ。「好きこそものの上手なれ」なんです。結局、好きな奴には勝てないんです。
僕は天職を見つけるまでに、いろんなところに転職しましたし、明後日の方向を目指すとか遠回りもしたんですけど、結局、「あれかな、これかな」って試行錯誤して行動して、その中から消去法で選んでいくしかないのかなって思ってるんです。
この世の中には星の数ほど仕事があり、我々は知っている仕事の中からしか天職を探すことができないわけですよね。知らない仕事を天職にはできないので。なので、あれかなこれかなと思ったら、とにかくやってみる。チャレンジする。
「あれじゃない、これじゃない」と試行錯誤しながら、「自分がやっててこれが一番好きだな、楽しいな。寝食を忘れてしまうぐらい楽しめる」というところを見つけて、そこに時間とお金を使って、秀でた能力をキャリアの中で作っていくのがいいんじゃないかなと思っています。
最後です。今日はいろんな話をしましたが、今までいろんなスタッフ(社員)を見てくる中で、成長する人間に共通している事項がいくつかあります。その中で1個、「すべての人に共通している、成長する共通項ってなんですか?」と言われたら、僕はいつも「素直なやつ」って答えています。みんな素直なんですよ。
とにかく1回素直にやってみる。その上で、やっぱりこうですねとか、こうしたほうがよくないですかっていう人間のほうが、圧倒的に成長しているんです。成長している人間は、歳に関係なく、みんな素直で明るいやつらが多いなと感じています。
「やりたい人」は、世の中に1万人います。でもその中で「やる人」って、本当に100人しかいなくて。100人の中でも「やり続けてる人」って、さらに1人しかいないんですね。だから、やるだけで、始めるだけで100人に1人になれるし、続ければ1万人に1人になれると思っています。
「こんな当たり前のことをやっていて、私は大丈夫なんだろうか」って思っても、市場価値が高い人はとにかく普通のことをありえないレベルで続けた人。これはもう例外なく絶対だと僕は思っています。
ぜひ自分のできる範囲から、自分の好みに合っている好きな領域で、キャリアにプラスになるような時間とお金の使い方を始めてみてはいかがかですか。ということで、私のお話はいったん終了とさせていただきます。
人生一度きりなので、とにかく理性ではなく直感で選ぶ。そうするとだいたい当たっている。なりたい幸せになると思っています。直感でいきましょう。以上です。ご清聴ありがとうございました。
「あなたの学歴と職歴では、転職は100パーセント不可能です」 一流マーケター池田紀行氏が経験した、Fラン卒のキャリア問題
「IQが高い人=市場価値が高い人」とは限らない 職場に求められる人の共通点は「心の知能指数」の高さ
「つらいワーク」と「楽しいライフ」でバランスは絶対取れない マーケティングのプロがすすめる、「楽しく働く」マインドセット
同じスキルを持っているのに「給料の差」が生まれるワケ スペシャリストとゼネラリストで考える、キャリアの6パターン
0→1を目指すより、日本一の10→100を目指したほうがいい 一流マーケターが指摘する、キャリア形成で必ずはまる「落とし穴」
好きな仕事や自分の強みは、考えていても見つからない トライバルメディアハウス池田氏が語る、「天職」を見つけるコツ
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには