2024.12.19
74歳の事務員がたった1人で請求業務を担当…… 作業時間を105時間→10時間まで削減させた、介護DX成功の舞台裏
リンクをコピー
記事をブックマーク
工藤雄大氏(以下、工藤):(イベントが)「そろそろ終わるんじゃないか?」とみなさん思っているかもしれませんが、検討した結果、15分延長させていただきます!
(一同拍手)
宮島礼吏氏(以下、宮島):(このまま話を続けて)いいですか?
工藤:15分延長させていただきます。なので、このまま引き続き。
宮島:しゃべりすぎましたね。
畑健二郎氏(以下、畑):(笑)。
工藤:(宮島氏の)作品を読んでても、それこそ「レンタル彼女」という制度を作品に入れたのは、たぶんそういったところからですかね。
宮島:そうですね。だから絶対“引き出し”に何かなくなるだろうなというのは、めちゃめちゃわかってたので。
工藤:どんどん詰め込んで……。
宮島:どんどん新しいものを入れて、そういう親近感のある文化を描いたほうが、読者も絶対伝わりやすいし。だから読者が触れているものに、自分もひたすら触れていこうとしている感じですかね。
畑:すごいなぁ。
工藤:作品の中でクラウドファンディングなんかも。
宮島:そうですね。
畑:ああ、やってた。そういえば。
宮島:そうなんです。
工藤:すごい。なるほど。お二人の「新しいことをやっていく」というところは一緒だけど、根底はけっこう違ってておもしろかったなと思いますね。
宮島:そうですね。
工藤:じゃあ、最後のトークテーマにいきたいと思いますね。
「商業連載とアニメ」というところで。これもう、お二人は今年(2020年)アニメ化されて、共通のところがあると思うんですけれども。
「アニメ化ってどうやって決まったの?」とか「作家さんってどこまで関わっているの?」というところとか。あとは一番聞きたいのは、やっぱりアニメ化のメリットと、デメリットはないと思っているんですけど、もしあるならデメリットみたいなのをぶっちゃけで。
畑:デメリットもあるよ。
工藤、宮島:デメリットもあるんですか!?
畑:デメリットはあるよ。でもたぶん、(宮島氏は)まだ気づいてないと思う。
宮島:感じてないだけですか。
畑:アニメになって、アニメが終わると“なにかお祭りが終わった”みたいな感じになって。
工藤:あぁ、なるほど。
宮島:“ロス”。
畑:ロスにはなる。それが読者に伝わってしまうと、作品として寿命が終わってしまう。
工藤:いや、気づけなくないですか。そんなの(笑)。
宮島:メンタルから来るやつですね、完全に。
畑:こっち(作者)側の。だから「2期が決まってる」とかは、まだ維持できるんです。
工藤:あぁ、なるほど。
畑:でも、それでもわりとしんどい。
工藤:確かに1つの到達点というか。
畑:そう。1つの到達点になっちゃって。読者の中にも作者の中にも「あ、ゴールしたんじゃね?」っていう。「だって最終回流れたし」っていう気持ちにはなるね。
工藤:はー、それが思わぬ、あまり気付きづらいデメリット。
畑:デメリット。
工藤:けっこうタイミングとかは大事みたいな。
畑:タイミング、大事。
工藤:でも宮島先生、アニメ化を今回されて、どうですか? 宮島:デメリットなんてあるのかと。本当に。
(一同笑)
宮島:打ち合わせで思ってましたよ。
工藤:でも今の……。
宮島:ロスですか。
畑:いや、ありますよ。だって……。
宮島:あるとは思います。
畑:なんか周りのスタッフが「あれ、最終回終わったよね」っていう空気を出しますからね。
工藤:そんなんあるんですか!?
畑:なんかすごいアニメスタッフが、遠くにいって次の作品を描いているという。
宮島:『AKB49』でミュージカルをやった時に、僕もすごいロスがありました。
漫画は孤独な作業じゃないですか。本当に孤独に1人で描いていて、それでだんだんだんだんデカくなってって、1人増え2人増えって。売れていくとどんどんするわけですよね。
それでアニメ化が決まったとか、舞台が決まったとかになると、いろんな人が盛り上げてくれる。そういったものが終わるとバーンっていなくなって、また1人に戻る。
畑:(笑)。
宮島:本当に心にぽっかり穴が開いたようになるんですよね。寂しい!
(一同笑)
畑:俺だけこの島に取り残されているっていう。
宮島:本当に、本当に! 1人だったんだって。
工藤:俺は次にいけないのかみたいな。
宮島:「1人だったんだ!」ってなるのは、その時に思ってはいて。だから、そうならないでおこうと気をつけていました。
工藤:どうするんですか?
宮島:でもまぁそこはもう、なんですかね……。心を強く持つ。
(一同笑)
工藤:(笑)。精神。
宮島:穴が空かないように。
工藤:でもそういうのがあるっていうのを、事前に考えておくだけで。
宮島:そうですね。絶対になるっていうのはわかってたので。
工藤:おもしろいですね。
工藤:もう一つ聞きたかったのが、最近アニメ化することで、国内の需要も高まるというのはもちろんだと思うんですけど、海外での効果もけっこう見込めるみたいに聞いていて。
畑:そうですね。アニメにならないと海外の効果はあまり見込めない。
工藤:逆に。
畑:アニメから入る人が、海外はもう絶対数として多いので。アニメにならないと認知されないところはある。
工藤:じゃあ海外で、単行本とかが売れるという状況にするには、アニメ化が必須。
畑:そう、そう。アニメ化必須。
工藤:アニメの海外での反響が必須。
畑:そうですね。それがないとやっぱり海外展開というのは。だって売ってないから、漫画。
宮島:そうですよね。
畑:知ってもらう機会がぜんぜんない。
工藤:わかる範囲でいいんですけど。『トニカクカワイイ』のアニメあるじゃないですか。今は何ヶ国ぐらいで放映してるんですか?
畑:何ヶ国でやってるんだろう。
工藤:けっこうやっていますね。
畑:究極、日本市場を、もう今後はあんまり見てないかも。
工藤:畑先生が?
畑:いや、違う。アニメ業界が。
工藤:アニメ業界が!
畑:だってBlu-rayほぼ出さないところもあるじゃん。『トニカクカワイイ』も1巻しか出ないんですよ。今までだったら全2話ずつ収録で全6巻とかってやるじゃないですか。だけどもう、やらないんです。1巻、コレクター用に作って終わり。これの売り上げは別になんでもない。
工藤:なんでもない?
畑:なんでもないというか、それはもう、とんでもない数売れりゃいいけど。
工藤:そんなふうにならない。
畑:そう。おまけみたいなもん。そんなことより海外の配信。
工藤:じゃあ海外の配信でアニメは利益を……。
畑:(配信で)利益を得るというモデルに、もうアニメ会社がなってるから。
工藤:もうなってる。
畑:そう。そうだよね?
宮島:そうですね。
畑:もうDVDで回収しようなんてアニメ会社、ほぼないと思う(笑)。
宮島:ないです。
工藤:「今回のは海外配信でいくらいくら」みたいなかたちで。「ここと契約して」みたいなかたちが多いんですね?
畑:そうですね。そう、そう。
宮島:最初に「どこで配信してくれるか?」っていうところを募っているところで、いろんな企業が手を挙げてくれて。その時点でたぶん、儲けにはなるっていうことなので。
たぶん「どこでどれだけ配信しているか?」で、かなり売り上げというのが決まってきてしまうところはあって。
畑:そこでどれだけビュー数を稼げるかっていう。
宮島:そうですね。たぶんそれは、かなり売り切りに近いという感じなんで。Blu-rayとかはたぶん、売れれば売れただけアニメの収入になるという意味では、売れてほしいとも絶対もちろん思っていると、そういう感じですか。
畑:昔みたいに、その数字が重要性を持ってない。
工藤:あー、なるほど。別のマネタイズ方法が出てきてという。
畑:ていうやつ。
工藤:いや、聞けてよかったです。
工藤:もろもろ駆け足にはなりましたが、いったんテーマ的には全部終えたので、Q&Aを。Twitterに気になるコメントがあればそこからと思いますし、Zoomのほうでいただいたものでも……。いろいろ来てますね。
「先ほど週刊連載の時にアンケートをすごくお二人とも意識されて、自分の乖離とかに気づかれていると言われていたんですけれど。Twitterの反応とかって見たりします?」 エゴサについて。
畑:まぁ、僕はエゴサに関していうと“エゴサの王”ですから。
工藤:エゴサの王!?
畑:それはだって『ハヤテのごとく!』が始まった時点で、僕が一番見てたのは(ネットの)『サンデー打ち切りスレッド』です。
(一同笑)
宮島:あぁ、そこまでいってるんですね。
畑:あの頃はハートが……あの頃はというか、当時は「絶対終わらない」と思っていて。(読者に終わる)と思われたくなかったから、一番きつい言葉を言ってるのはどこだ? と思ったら、もう『サンデー打ち切りスレッド』だと。
(一同笑)
宮島:何を発見したんですか……。
畑:そこでボロクソに言っている意見が、全部、俺の血となり肉となる。
工藤:へー!
畑:一番(キツい)意見であったのが「金持ちの漫画を描いてるくせに、貧乏くせぇんだよ!」という。
工藤:(笑)。
宮島:わけがわからない(笑)。誹謗中傷ですよ!
畑:「あぁん!?」って思ったけど「確かに、俺は金持ちのことを何も知らないな」って。
宮島:よく「確かに!」ってなりましたね(笑)。
畑:それで実際に「じゃあ金持ちがやってることをしよう!」と思って。例えば都内の高級ホテルに取材で泊まりに行ったり。そこで何十万か出してスイートに泊まったり、一晩で二十数万円使って泊まったりしたよ。誰もいないのに!!
(一同笑)
畑:そこでネームを描いて。でもそこで気づくのは「あ、こんなに天井が高いんだ」と。
工藤:あぁ~。
畑:「あ、扉ってこうなってるんだ」とかいう“気付き”があるわけですよ……ありがとう!
工藤:ありがとう(笑)。
畑:ありがとう、打ち切りスレッド。君のおかげで命拾いしたよ。お前は「終わらせたい」と思ってんだろうがな! って。
工藤:確かに。あぁ~、そういう。
宮島:そこに感謝するんですね。
畑:そう、そう。だからTwitterも同じ。
関連タグ:
リモートで仕事する漫画家は「俺の憧れた姿じゃねえ」 畑健二郎氏×宮島礼吏氏が語る、商業連載作家のアタマのなか
漫画家・畑健二郎氏が“新連載用ネーム”に求める条件 8本の候補作から、なぜ『トニカクカワイイ』が選ばれた?
漫画家・畑健二郎氏「『鬼滅の刃』が23巻で終わったのは、見事」 24巻で訪れる長期連載のピークと「やめるか、進むか」の選択肢
漫画家・畑健二郎氏「すぐ連載が終わる新人は研究が足りない」 寄せるべきは“その雑誌で一番売れてる作品”のフォーマット
「『ハヤテのごとく!』は金持ちの漫画なのに貧乏くせぇ」? エゴサで見つけた誹謗中傷を、自身の血肉に変えるマインド
サンデー・マガジンそれぞれの作家から見た「相手雑誌の強み」 畑健二郎氏×宮島礼吏氏が語る、先人が作り上げた偉大な歴史
2025.01.09
マッキンゼーのマネージャーが「資料を作る前」に準備する すべてのアウトプットを支える論理的なフレームワーク
2025.01.08
職場にいる「嫌われた上司」がたどる末路 よくあるダメな嫌われ方・良い嫌われ方の違いとは
2025.01.07
資料は3日前に完成 「伝え方」で差がつく、マッキンゼー流プレゼン準備術
2025.01.10
プレゼンで突っ込まれそうなポイントの事前準備術 マッキンゼー流、顧客や上司の「意思決定」を加速させる工夫
2025.01.08
どんなに説明しても話が伝わらない“マトリョーシカ現象”とは? マッキンゼー流、メッセージが明確になる構造的アプローチ
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.01.09
記憶力に自信がない人におすすめな「メモ」の取り方 無理に覚えようとせず、精神的にも楽になる仕事術
2025.01.09
職場に必要なのは「仲良し集団」ではなく「対立」 メンバーのやる気を引き出すチームビルディング理論
2025.01.06
上司からの「ふわっとした指示」に対し、デキる人がやっていること 4タイプ別で見る、仕事を依頼された時に重要なスタンス
2025.01.10
職場にいる「できる上司」と「できない上司」の違いとは 優秀な人が辞めることも…マネジメントのNGパターン