2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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工藤雄大氏(以下、工藤):(イベントが)「そろそろ終わるんじゃないか?」とみなさん思っているかもしれませんが、検討した結果、15分延長させていただきます!
(一同拍手)
宮島礼吏氏(以下、宮島):(このまま話を続けて)いいですか?
工藤:15分延長させていただきます。なので、このまま引き続き。
宮島:しゃべりすぎましたね。
畑健二郎氏(以下、畑):(笑)。
工藤:(宮島氏の)作品を読んでても、それこそ「レンタル彼女」という制度を作品に入れたのは、たぶんそういったところからですかね。
宮島:そうですね。だから絶対“引き出し”に何かなくなるだろうなというのは、めちゃめちゃわかってたので。
工藤:どんどん詰め込んで……。
宮島:どんどん新しいものを入れて、そういう親近感のある文化を描いたほうが、読者も絶対伝わりやすいし。だから読者が触れているものに、自分もひたすら触れていこうとしている感じですかね。
畑:すごいなぁ。
工藤:作品の中でクラウドファンディングなんかも。
宮島:そうですね。
畑:ああ、やってた。そういえば。
宮島:そうなんです。
工藤:すごい。なるほど。お二人の「新しいことをやっていく」というところは一緒だけど、根底はけっこう違ってておもしろかったなと思いますね。
宮島:そうですね。
工藤:じゃあ、最後のトークテーマにいきたいと思いますね。
「商業連載とアニメ」というところで。これもう、お二人は今年(2020年)アニメ化されて、共通のところがあると思うんですけれども。
「アニメ化ってどうやって決まったの?」とか「作家さんってどこまで関わっているの?」というところとか。あとは一番聞きたいのは、やっぱりアニメ化のメリットと、デメリットはないと思っているんですけど、もしあるならデメリットみたいなのをぶっちゃけで。
畑:デメリットもあるよ。
工藤、宮島:デメリットもあるんですか!?
畑:デメリットはあるよ。でもたぶん、(宮島氏は)まだ気づいてないと思う。
宮島:感じてないだけですか。
畑:アニメになって、アニメが終わると“なにかお祭りが終わった”みたいな感じになって。
工藤:あぁ、なるほど。
宮島:“ロス”。
畑:ロスにはなる。それが読者に伝わってしまうと、作品として寿命が終わってしまう。
工藤:いや、気づけなくないですか。そんなの(笑)。
宮島:メンタルから来るやつですね、完全に。
畑:こっち(作者)側の。だから「2期が決まってる」とかは、まだ維持できるんです。
工藤:あぁ、なるほど。
畑:でも、それでもわりとしんどい。
工藤:確かに1つの到達点というか。
畑:そう。1つの到達点になっちゃって。読者の中にも作者の中にも「あ、ゴールしたんじゃね?」っていう。「だって最終回流れたし」っていう気持ちにはなるね。
工藤:はー、それが思わぬ、あまり気付きづらいデメリット。
畑:デメリット。
工藤:けっこうタイミングとかは大事みたいな。
畑:タイミング、大事。
工藤:でも宮島先生、アニメ化を今回されて、どうですか? 宮島:デメリットなんてあるのかと。本当に。
(一同笑)
宮島:打ち合わせで思ってましたよ。
工藤:でも今の……。
宮島:ロスですか。
畑:いや、ありますよ。だって……。
宮島:あるとは思います。
畑:なんか周りのスタッフが「あれ、最終回終わったよね」っていう空気を出しますからね。
工藤:そんなんあるんですか!?
畑:なんかすごいアニメスタッフが、遠くにいって次の作品を描いているという。
宮島:『AKB49』でミュージカルをやった時に、僕もすごいロスがありました。
漫画は孤独な作業じゃないですか。本当に孤独に1人で描いていて、それでだんだんだんだんデカくなってって、1人増え2人増えって。売れていくとどんどんするわけですよね。
それでアニメ化が決まったとか、舞台が決まったとかになると、いろんな人が盛り上げてくれる。そういったものが終わるとバーンっていなくなって、また1人に戻る。
畑:(笑)。
宮島:本当に心にぽっかり穴が開いたようになるんですよね。寂しい!
(一同笑)
畑:俺だけこの島に取り残されているっていう。
宮島:本当に、本当に! 1人だったんだって。
工藤:俺は次にいけないのかみたいな。
宮島:「1人だったんだ!」ってなるのは、その時に思ってはいて。だから、そうならないでおこうと気をつけていました。
工藤:どうするんですか?
宮島:でもまぁそこはもう、なんですかね……。心を強く持つ。
(一同笑)
工藤:(笑)。精神。
宮島:穴が空かないように。
工藤:でもそういうのがあるっていうのを、事前に考えておくだけで。
宮島:そうですね。絶対になるっていうのはわかってたので。
工藤:おもしろいですね。
工藤:もう一つ聞きたかったのが、最近アニメ化することで、国内の需要も高まるというのはもちろんだと思うんですけど、海外での効果もけっこう見込めるみたいに聞いていて。
畑:そうですね。アニメにならないと海外の効果はあまり見込めない。
工藤:逆に。
畑:アニメから入る人が、海外はもう絶対数として多いので。アニメにならないと認知されないところはある。
工藤:じゃあ海外で、単行本とかが売れるという状況にするには、アニメ化が必須。
畑:そう、そう。アニメ化必須。
工藤:アニメの海外での反響が必須。
畑:そうですね。それがないとやっぱり海外展開というのは。だって売ってないから、漫画。
宮島:そうですよね。
畑:知ってもらう機会がぜんぜんない。
工藤:わかる範囲でいいんですけど。『トニカクカワイイ』のアニメあるじゃないですか。今は何ヶ国ぐらいで放映してるんですか?
畑:何ヶ国でやってるんだろう。
工藤:けっこうやっていますね。
畑:究極、日本市場を、もう今後はあんまり見てないかも。
工藤:畑先生が?
畑:いや、違う。アニメ業界が。
工藤:アニメ業界が!
畑:だってBlu-rayほぼ出さないところもあるじゃん。『トニカクカワイイ』も1巻しか出ないんですよ。今までだったら全2話ずつ収録で全6巻とかってやるじゃないですか。だけどもう、やらないんです。1巻、コレクター用に作って終わり。これの売り上げは別になんでもない。
工藤:なんでもない?
畑:なんでもないというか、それはもう、とんでもない数売れりゃいいけど。
工藤:そんなふうにならない。
畑:そう。おまけみたいなもん。そんなことより海外の配信。
工藤:じゃあ海外の配信でアニメは利益を……。
畑:(配信で)利益を得るというモデルに、もうアニメ会社がなってるから。
工藤:もうなってる。
畑:そう。そうだよね?
宮島:そうですね。
畑:もうDVDで回収しようなんてアニメ会社、ほぼないと思う(笑)。
宮島:ないです。
工藤:「今回のは海外配信でいくらいくら」みたいなかたちで。「ここと契約して」みたいなかたちが多いんですね?
畑:そうですね。そう、そう。
宮島:最初に「どこで配信してくれるか?」っていうところを募っているところで、いろんな企業が手を挙げてくれて。その時点でたぶん、儲けにはなるっていうことなので。
たぶん「どこでどれだけ配信しているか?」で、かなり売り上げというのが決まってきてしまうところはあって。
畑:そこでどれだけビュー数を稼げるかっていう。
宮島:そうですね。たぶんそれは、かなり売り切りに近いという感じなんで。Blu-rayとかはたぶん、売れれば売れただけアニメの収入になるという意味では、売れてほしいとも絶対もちろん思っていると、そういう感じですか。
畑:昔みたいに、その数字が重要性を持ってない。
工藤:あー、なるほど。別のマネタイズ方法が出てきてという。
畑:ていうやつ。
工藤:いや、聞けてよかったです。
工藤:もろもろ駆け足にはなりましたが、いったんテーマ的には全部終えたので、Q&Aを。Twitterに気になるコメントがあればそこからと思いますし、Zoomのほうでいただいたものでも……。いろいろ来てますね。
「先ほど週刊連載の時にアンケートをすごくお二人とも意識されて、自分の乖離とかに気づかれていると言われていたんですけれど。Twitterの反応とかって見たりします?」 エゴサについて。
畑:まぁ、僕はエゴサに関していうと“エゴサの王”ですから。
工藤:エゴサの王!?
畑:それはだって『ハヤテのごとく!』が始まった時点で、僕が一番見てたのは(ネットの)『サンデー打ち切りスレッド』です。
(一同笑)
宮島:あぁ、そこまでいってるんですね。
畑:あの頃はハートが……あの頃はというか、当時は「絶対終わらない」と思っていて。(読者に終わる)と思われたくなかったから、一番きつい言葉を言ってるのはどこだ? と思ったら、もう『サンデー打ち切りスレッド』だと。
(一同笑)
宮島:何を発見したんですか……。
畑:そこでボロクソに言っている意見が、全部、俺の血となり肉となる。
工藤:へー!
畑:一番(キツい)意見であったのが「金持ちの漫画を描いてるくせに、貧乏くせぇんだよ!」という。
工藤:(笑)。
宮島:わけがわからない(笑)。誹謗中傷ですよ!
畑:「あぁん!?」って思ったけど「確かに、俺は金持ちのことを何も知らないな」って。
宮島:よく「確かに!」ってなりましたね(笑)。
畑:それで実際に「じゃあ金持ちがやってることをしよう!」と思って。例えば都内の高級ホテルに取材で泊まりに行ったり。そこで何十万か出してスイートに泊まったり、一晩で二十数万円使って泊まったりしたよ。誰もいないのに!!
(一同笑)
畑:そこでネームを描いて。でもそこで気づくのは「あ、こんなに天井が高いんだ」と。
工藤:あぁ~。
畑:「あ、扉ってこうなってるんだ」とかいう“気付き”があるわけですよ……ありがとう!
工藤:ありがとう(笑)。
畑:ありがとう、打ち切りスレッド。君のおかげで命拾いしたよ。お前は「終わらせたい」と思ってんだろうがな! って。
工藤:確かに。あぁ~、そういう。
宮島:そこに感謝するんですね。
畑:そう、そう。だからTwitterも同じ。
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