
2025.02.26
10年前とここまで違う 落とし穴だらけの“ERP to ERP”基幹システム刷新が抱えるリスクと実情
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倉貫義人氏(以下、倉貫):逆に一般の会社というか、言ってみたら1on1とかザツダンとか、僕らで言うところの振り返りみたいなところがない状態だと、非公式コミュニケーションはどうやってカバーされていたんでしょうね。
山田理氏(山田):ねえ。
倉貫:飲み会とかなのかな。
山田:僕は、相当偏っていると思いますけどね。いろいろ愚痴とか出てくる(ような場所としては)……。僕が本当にザツダンをやったきっかけもそうなんですけど。今はもう吸わなくなったんですが、昔たばこを吸っていたときは、そこでしゃべるやつはやっぱり決まっていたし。
でも、そこでしゃべる機会がすごく多くなってくる。飲みに行ったら行ったで、やっぱり飲むやつは決まっているし、僕としゃべる子もやっぱり決まっていたり。
けっこう自分も偏ったところで、よく現場の話を聞くんですよね。ぜんぜんしゃべらない人はぜんぜんしゃべらないじゃないですか。だから「世の中けっこう、こうなってるのかな」と思ったりしますけど。
倉貫:そうですね。実は視点がだいぶ偏ってる可能性はある。
山田:偏っていると思う。だから、僕は倉貫さんがさっき「よお」と言って、一人ひとりに声をかけてザツダンするところって、やっぱり意識してみんなの所を回らないといけないのかなって。
僕は自分がそういうのが得意じゃないから。あまり得意でもない子のところに行って雑談をいきなり楽しく話す自信もないし、やっぱり嫌がられるのを無理やりっていうのもいやだから、僕は全員に同じ時間を取ったんですけど。
そこって、そんなにまんべんなくうまくできるもの?(笑)。
倉貫:僕も、そんなにみんなのところに行って声をかけたりはしないですよ。それも本当に仕事でちょっと相談しなきゃいけない人に声をかけにいく感じですね。
山田:ですよね。
倉貫:みんなにまんべんなくするのも、しんどいじゃないですか。だから、山田さんの本(『最軽量のマネジメント』)を見てすごいなと思ったんですけど。僕らは「ピア(peer:仲間)振り返り」と言うか。同僚同士で話をしてもらうというかたちを作っていて、私とは本当にもう年に何回かしかないような感じですね。
山田:いや、そこは理想だと思いますよ。結局はピアでやっていくべきだと思う。
倉貫:今、僕らの会社で(振り返りをする)仕組みがあって。ぜんぜん離職しないのでみんな社歴が長くなって。
山田:すごいですよね。
倉貫:入社日を記録してあるので、入社日ごとに5月11日だったら『5月11日に入社された○○さん、入社5年目おめでとうございます。入社5年目なので、そろそろ倉貫と振り返りをしたらどうですか?』ってチャットボットが語りかけてきて。
山田:(笑)。
西舘聖哉氏(以下、西舘):すごい、機械的に任せてるんだ。
倉貫:それがあるから、まあしょうがないなといってやるみたいな。そういうきっかけがないとやりにくいので(笑)。
山田:いや、本当にそう。チャットのところで質問がいっぱい来たりしてますけど。
西舘:そうですね。今の話題に絡めたところを1個お聞きしたいんですけど、今、若干話しにくい人もいるということだったんですけど、ザツダンをされるとき、お二人は自分のことはどれくらいのレベルで話されているのかなという。
要はザツダンのタネって、趣味的なところとか個人的なところというイメージがあると思うんですけど、そういったところもやっぱり、けっこう話す内容に入れていますか?
山田:本当は、ぶっちゃけ人によるんですけど、僕は聞かれたらもちろん話しますし、だいたいはしゃべりたがらない人が聞いてくる。
一生懸命いい質問を用意して、なんとかこの場をしのごうとしていっぱい質問をしてきますけど、僕的にはそうですね。そこは胸襟を開くじゃないけど、向こうがしゃべりやすいようにはもちろんしゃべりますけど。
そうですね。なんて言うんだろう。ぶっちゃけ、そういういろんな情報が僕のところに入ってくるじゃないですか。個人情報や不利益になるようなことはもちろん言わないですけど、どちらかと言ったら、その会話の中で自分が持っている、ある程度必要な情報は全部出していく。
自分のプライベートを話して信頼を得るというよりは、会社の中で仕事をしているところで僕の持っている情報は全部出すというか。「経営会議でこんな話があった、××の部長はこんなふうに言ってた、××の△△さんはこんなことを言っていたよ」というようなところをどんどん出していく感じかなと思いますけど。
プライベートのところで人間として信頼されるというよりも、どちらかというと会社の情報をどんどん出す。言い方がどうかわからないけど、そういう会社の中の1つのメディアとして。
僕が言ってることって、なんとなく「会社の中の情報ということでは、理さんの言ってることは別に嘘がないねんな」とか。「プライベートのことを聞いたら、ちょっとなんか隠し事がありそうな気がするけど」。それはそれで僕はいいかなと思いますけどね(笑)。
自己開示という意味では、そんな感じかなと思います。倉貫さんはどうですか?
倉貫:そうですね。自己開示は難しいですよね。僕もそんなにプライベートを言うタイプではないので。でも、おっしゃる通りで「何を開示するのか」ということだとは思っています。
僕らは同じ経営者なので、経営の立場として話すことって、やっぱり会社の経営層が何を考えているのかということだと思います。「会社がこれからどういうことをしようとしているのか」みたいなところは、実はみんな知りたいんですよね。結局、それを嘘偽りなく話すところがとても大事なポイントなのかなと思うし。
その会社がどう考えているのか。これからどうしようとしているのかという話ってけっこうおもしろいので、それだけでザツダンになるというか、みんなと話をするネタにはなる感じがしますよね。
西舘:ちなみに今、すごくいい話題を倉貫さんが出してくれて。質問の中に『やっぱりそういうものを共有してくれない経営者の方がいるので、どうマネジメントをしていけばいいかわからない』という悩みを抱えている方がいるんですけれども。
一発で解決ということはないと思うんですけど、そういうビジョンやコミュニケーションが経営において大事じゃないという経営者の方の元にいるときにしたほうがいいアプローチってあるんですか?
こちら側から何かできることとして、何かお二人にナレッジがあったりしますか?
倉貫:その方はマネジメント側なんですかね? どうマネジメントしていいかわからないと言っていたので、中間管理職的な立場かもしれないですけど。
西舘:そうですね。その立場という前提で。
倉貫:あれじゃないですかね。経営層とザツダンしに行けばいいんじゃないですか(笑)。
西舘:(笑)。自分から向かっていっちゃうということですか?
倉貫:経営層と話をする機会がないだけなのかもしれないなという気がしますけどね。
西舘:あー。
倉貫:「経営層が言ってくれないんですよ」と言う人は、ちゃんと経営層に聞きに言っているのかなというと……。まあ、わからない。聞きに行っても「お前には言わない」と言われているとしたら、あまりにも難しい気がするんですけれども。
西舘:そこはかなり関係性が難しいところですよね。
山田:聞きに行ったらいいんじゃないかと思うけど教えてくれないものなの? まあ、教えてくれないところも多いのかな。わかんないですけど。
倉貫:素直に聞きに行ったら、教えてくれるんじゃないのかなという気はしますけどね。
山田:僕なんか、逆に言うとそこは教えてくれない人と言うか、『最軽量のマネジメント』でも書きましたが、基本はやっぱりヒエラルキーって、自分が情報を持っていることとか、経営会議に出ていること、そこで得た情報自体がなんとなく1つの権威を表したりするし。
実は知らないのにも関わらず、知っているふりをするところも大事だったりするから。すべての情報をみんなが出すことは意外と少なかったりもするのかなと思いますけどね。
だからこそ、情報を出すことが大事なんじゃないかなというところはあります。出さない上司に対して「出せ」「出せ」と言うのって、けっこう「うるさいな、お前は!」「ウザいな、お前は!」って言われそうな気もしますけどね。
(一同笑)
西舘:リスクというか。いろいろ思われそうですよね。
山田:大変ですよね。
倉貫:これはどのイベントでも出る話ですけど、下の人が上の人をどうすれば変えられますか、みたいな。
西舘:あります。まさにそういう質問は、今回とくに多くて。
倉貫:リモートワークもそうだったんですね。「うちの会社はリモートワークをしてくれないので、リモートワークを上司にさせるにはどうしたらいいですか」って。
ティール組織の話が出たときも、「うちの経営者はティールみたいなことを理解しないんですけど、どうしたらいいですか」って。みんな人のことをなんとか変えようとするんだけど、僕はもうそれは無理だから、人を変えようとしなくていいんじゃないというふうにいつも思ってるんですけれどね。
自分がどうできるかしかないかなと思うんですけど、みんな会社に所属しているというか。会社の中にいるから会社をなんとかするしかない、ということを考えがちなんですけど。
これも『最軽量のマネジメント』で書かれていたし、青野さんの本もそうですけど、「会社って別にないよ」という。会社ってもう幻想みたいなもの、みたいなね。「モンスター」とまで言ってますけど。
西舘:書いてますね(笑)。
倉貫:みなさん会社などに対しての捉われ方が強すぎるのかな、という感じはちょっとするなぁと思っていて。
西舘:会社への捉われ方が強い。
山田:そうなんですよね。僕がまさにそうやってザツダンして、一人ひとりの顔を見たときに、結局報告のときに「みんなが」って言ってたから「みんなって誰やねん」って。「田中くんと高橋さんと……」という話で、結局「会社は」と言うけど「会社って誰やねん」って。会社の全員が一致団結して反対してるって、どんだけ一体感ある会社やねんっていうか。
たぶんそれは誰々さんは賛成してるし、誰々さんはそうでもないかもしれないし、誰々さんは……とか、いろんな意見がやっぱりあるから。「誰は」ということがすごく大事だなと思うようになって。「会社さん」はいなくて「青野さん」「山田さん」って言おうと。
もう一方で、そうやって「会社」って捉えたり、「上」って捉えている人って、「集団があって役員会というのがあって、一人ひとりが同じ情報をみんな持ってて、そこはそこで一枚岩でちゃんとコミュニケーションができてて、事業戦略とか細かいところを理解してて……」とか(思っている)。
あと、事業戦略もすごく綿密に立てられていて、「上にはそういうものがあるはずなんだ」と思っているけど、意外とのぞいてみたら「えっ、こんなことも決まってなかったん?」みたいな。
西舘:(笑)。
山田:「中期戦略教えてくださいよ、そうじゃないとどう考えていいかモチベーションが」とか言われても、「いや実はそこまで決まってないけど……」みたいな(笑)。「今みんなが知ってるぐらいしかないで」という。
「ないことを知る」ことによって落ち着くことが、けっこうあったりして。出し惜しみしてるように見えるけど、意外と隠しているものとかって本当はないんちゃうのって。
倉貫:ただ「ないだけ」っていう。それはめちゃくちゃあるかもしれないですね。
山田:そう、ないだけなんじゃないかなって思うから、あんまりそこは期待しないほうがいいんじゃないかなって。言ってくれないことはないものとして、「こいつら考えてないな」って思っておいてもいいんじゃないかなと。それ、半分くらいはあるんちゃうかなと思いますけど。
倉貫:そうですね。みんな「すごいマネジャー」みたいなイメージがあるから、「マネジャーになるにはすごくならなきゃいけない」と思っている。ということは、裏返すと「マネジャーはすごい人たちなんだ」と思ってるわけですね。「経営者になるとよりすごいんじゃないか」って思うけど、まぁそんな大したことないよ、っていうことですよね(笑)。
山田:そうそう、そうなんですよね。とくに規模が小さかったりベンチャー企業とかだったら、やっぱり変わることも多いし。1個1個計画を立てていたらもうすぐに古くなっちゃうから、ある程度見切り発進していくところも多いし。
もちろん考えているところもあるけれども、全部が全部、考えているわけじゃないから。全部に答えがあるわけじゃないというところを、みんなもなんとなく持っておいてもいいのかなと思いますけどね。
倉貫:そうですね。
山田:はい。だから「聞きたい」とか「教えてくれない」というところは、捨てても別にあんまり業務に関係ないところも多いんじゃないかなと思いますね。
倉貫:本当そうですね。「聞きたい」とか「なんとかしてほしい」ってもう、依存してますからね。
西舘:そうですね、まさに。
倉貫:自立しよう。みんな自立しましょう。
(一同笑)
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