2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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藤田祐司氏(以下、藤田):みなさん、こんばんは。始めさせていただきます。よろしくお願いします。今日は「多様化するマーケターのキャリア」ということで、マーケターのキャリアデザインとかそのあたりを考えていこうという時間にしたいと思います。最初にお伺いしたいんですが、マーケターの方ってどれくらいいらっしゃいます?
(会場挙手)
マーケティングに関わってらっしゃる方は。やっぱり多いですよね。ありがとうございます。
あと、外資系に勤められてる方ってどれくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
けっこういらっしゃいますね。わかりました。ありがとうございます。
我々なんですけれども、このようなメンバーで今日はお送りさせていただきます。そこで最初に、一人ずつ自己紹介をさせていただければと思います。
まず私なんですが、Peatixというイベントコミュニティのサービスを運営しております。マーケターというところから言うと、いろんなキャリアを踏んでいるんですけれども。最初はインテリジェンスという、今はパーソルキャリアになっていますが、人材(会社)の営業を担当した後に、Amazonに2003年ぐらいから6年ほどいました。なので、立川さんと同じ出身ですね。
外資系を経て、その中のメンバーで起業しまして、今に至るという感じです。わりと営業畑が長かったんですけれども、そのPeatixというサービスがコミュニティを盛り上げていくところで「コミュニケーションをどうやって設計するか」ということを考えながら、ずっとビジネスを作っていくと。
その中で営業というかコミュニケーション設計というか。そっちのほうに寄っていき、気がついたらなんとなくマーケティングの領域におり。
いろんなことをやってるうちに、マーケティングを統括するようになった、と。ちょっと異色な感じではあるんですけれども。Peatixでコミュニケーションの設計みたいなことをやっております。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
藤田:ありがとうございます。続きまして、NETFLIXの鴨下さん。お願いいたします。
鴨下豊氏(以下、鴨下):鴨下と申します。よろしくお願いいたします。私は今、NETFLIXという動画配信サービスの会社でマーケティングの仕事をやっております。
NETFLIXでは、2015年に日本でローンチするちょっと前から仕事をしておりまして。かれこれ4年強、NETFLIXという会社におります。
その前は、もともとマーケターというよりは広告代理店におりまして。電通に入社したのち……東京生まれ東京育ちなんですが、配属先が関西支社だったので電通時代は関西に。そして東京に戻って、ご縁がありまして電通インドグループに出向という形になりまして、ニューデリーに2年弱おりました。
その間はデジタルメディア関連の仕事をしておりまして、その後、これもデジタルメディア関連の仕事でご縁がありまして、レッドブルジャパンという会社でデジタルのコミュニケーションを担当させていただきまして。今はNETFLIXにいる次第です。よろしくお願いいたします。
藤田:ありがとうございます。続きまして、立川さん。お願いいたします。
立川麻理氏(以下、立川):はい。FWD富士生命株式会社のCMO立川と申します。よろしくお願いします。
私は前職はAmazonジャパンで、プロダクトマネジャーとして仕事をしておりました。約4年間いたんですけれども、主に「プライムのプログラムの日本への導入」を担当しておりました。
それ以前は、実は消費財のマーケティングのキャリアが長くて、10年ぐらいやっておりました。そこでいわゆるブランドマーケティングというのを行っていたんですけれども、外資系企業ですね。アメリカとヨーロッパの会社で働いていました。
その後に転機が来まして。日本人しか働けていない生粋の日本の会社に、マーケティング部長として入りました。その後にAmazonジャパン、そして現職に至るということで。
実はもう6社経験しており、すべて違う業界です。なので、今日いろいろなトピックスがあると思うんですけれども、いろいろな考え方・キャリアの方向性をお伝えできればなと思っております。よろしくお願いします。
藤田:よろしくお願いします。ありがとうございます。続きまして、(The Breakthrough Company)GOの折茂(おりも)さん、お願いします。
折茂彰弘氏(以下、折茂):折茂と申します。今、The Breakthrough Company GOという広告を中心とした「変化と挑戦を応援する」という会社をやっておりまして、ちょうど1年たちました。
最初のキャリアとしては、博報堂アイ・スタジオという博報堂グループのWeb制作会社で制作をしておりまして。マーケターというよりも、物をつくる営業をやっておりました。
ですがそれをやっていく中で、もっと専門的にマーケティングを勉強して企画する側を勉強していきたいというところで、2社目でマッキャンエリクソンという外資の広告会社に入社して。
そこで外資のストラテジックプランナーという、広告領域の中では一番メインのマーケティングを担う部署に入りました。そこで3年間ぐらいそういった戦略をやりながら、どちらかというと自分の活躍の場を増やしていきたいというところで。
ミレニアルズという若手の専門チームの立ち上げを行なって。もう少し自由に、戦略だけではなくてその先のコミュニケーションみたいなところまで踏み込んでやっていって、今があるという形でございます。
なので、純粋なマーケターというよりも広告領域をやっておりますが、そういった意味でいろんな視点でお話できればと思います。よろしくお願いいたします。
藤田:よろしくお願いいたします。ありがとうございます。こうして聞いてみるとみなさん、いろんなキャリアを踏まれていて。特徴的なのは4名とも、全員が外資系と日本の会社の両方で働いた経験があるということですね。
ではさっそくトピックにいきたいと思います。その経験の中で、日本の企業と外資系企業の違いというんですかね。マーケターとしてのキャリアの違いについて、お話しいただけるとおもしろいかなと。
そこの違いを今まで感じられたこととか。「外資系にいるなら、ここを気をつけた方がいいよ」とか。そういうことってありますか?
折茂:外資の企業に入るときに、僕は人の紹介でマッキャンに入れてもらっているんですけれども。僕のことをすごく気に入ってくださった方がいて。「入ることは決まってるんだけれども、ポジションが空かなくて入れない」みたいなこと(期間)がけっこう長く。
「このポジションどうだ?」みたいな。例えば最初「ソーシャルリスニングのチームはどうですか?」「こっちの企画のほうはどうですか?」みたいな。僕はどこでもよかったんで、「どこでもいいですよ」という話をしたんですけれども。
しかもハイヤリングフリーズみたいなことがありながら、外資の会社ってかなり厳密にポジションに対して人をあてていくなぁという感じが、すごくありました。
藤田:そうですね。採用フリーズってよく聞くやつですもんね。
折茂:ありますね。
藤田:でも日本の企業にいるときは、あんまり聞かない。「年に何回もフリーズしてたな」という感じがするので。確かに門が開いたり閉じたりというのはありますよね。(他に)なにかあります?
鴨下:あと、今の話につながる話だと思うんですが。もともと私は広告代理店におりました関係で、日本企業ならではなのかな? わりとなんでもやるような会社で。
今はどちらかというと、外資のほうが「何をやるべきで、何をやらないべきか」という取捨選択を、非常にスピーディにやっていくイメージがあります。なので、その戦略の転換に従ってポジションのフリーズというのがあるのかなと、話を聞いていて思いました。
藤田:なるほどですね。なにか「日本企業にいたときはこうだった」みたいなことってあります?
鴨下:スピードがやっぱり違います。大きな会社ということもあるんですが、会社組織において、外部の環境に応じて組織や人材の配置を換えるまでの時間が、非常に長かったというのはあります。
私自身も電通にいたときにインドに赴任をしたんですが。その話が出てから決まるまでにけっこう年月がたちまして。逆に外資系だとその辺はわりとスピーディに物事が決まっていくという意味で、そういった思い出が今、よみがえりました。
藤田:外資系って、すぐ異動みたいな感じですもんね。
折茂:(笑)
藤田:だいぶ違います? 立川さん、この辺りはいかがですか?
立川:そうですね。やっぱり一番大きい違いは、グループオフィスが海外にあるかないかというところだと思います。日本だけの決断ですべての物事が進まないので、グループと調整しながら物事を進めていくのが大変で。時にはサポートになってくれて、非常に進めやすかったりもするんですけど。
そこがまず一番大きな違いですね。あと、外資系のほうがフレキシブルな感じがします。いろいろなこちらの事情をくみ取って、フレキシブルに対応してくれると。
前職で、数年前なんですけど育休を1年2ヶ月取ってたんです。1年2ヶ月休んでも、なにも違和感や問題なく戻って、普通に前と同じ仕事をバリバリするみたいな。
そういうのって、なかなか日系だと(難しい)。キャリアチェンジしなくちゃいけないとか、周りのチームと0から関係性を築いていかなくちゃいけないとかってあるかもしれないんですけど。そういうところが、けっこう外資系ってフレキシブルなんじゃないかと感じました。
藤田:そうですね。外資系、私もAmazonにいたときには、まぁ部分部分なんですけど。外資系で個人的に思ったのは、ちょっとマーケティングからずれるんですけど、例えばプロダクトの開発を持ってたりすると。
開発っていう意味で言うと「ローカライズのプライオリティって上がりにくいな」というストレスはあります。外資系の会社によっては、マーケティングの戦略みたいなものがわりと本国のほうでバチッと決まっていて。それがドンと降りてきて、動いていきましょうという感じになる。
日本の企業というのは、当たり前ですけど、戦略の立案は日本で全部行うので、そこは自由度が高いっていうのがあるかなと。
藤田:お話ししていただけるかわからないんですけど、(鴨下さんは)前職の“翼を授けてた”感じの会社にいたときは、なんとなくブランド戦略がむちゃくちゃはっきりしてそうなイメージがあるんですけど。「本国からドーン」っていう感じでした?
鴨下:いろいろ申し上げにくいんですけど、どちらかというとそういうことがあったかなと思います。外資といっても、いろいろな特色があると思いますんで。はい。申し上げにくいのはそういったところ。
藤田:そのあたりって、環境だと思うんですけど。例えば自由にローカルで動ける会社と、ドーンと降りてくる会社。じゃあドーンと降りてくるときに、どういうふうに取り組むというか、思考してその中で仕事をするのか。
考えようによっちゃ、「自分、自由になるのやだな」とかなると思うんですけど。
鴨下:これは個人的な意見なんですけど。程度の差こそあれ、現職と前職を比べて「本社のほうでどれだけ物事が決まって」という、度合いの違いは確かにあるんですが。結局のところ、支社であることに変わりはないので。
なにかしら方針が決まったときに、よく「日本ではこうだから、ああだから」という形で無理に曲げようとすると、どっかしらでひずみが起きてしまうんで。そもそも本国の方針に納得がいかないんであれば、とにかく方針がなんであるかということを、自分の勤めている会社ですので信頼して。自分のものとして理解して、1回やることを楽しんでいかないと前に進まないので。
程度の差こそあれ、そこを嘆いていてもしょうがないんでやってみる。やってみた結果、ああだこうだいうところで「じゃあこの方針って日本に合ってないんじゃないの?」って前に進めると思うんで。そこはあまり考えずにやるというのが、僕の考えとしてあります。
藤田:ありがとうございます。あとは今、日本の会社について考えたんですけど。僕が一番最初に働いてた会社って、ベンチャーではあったんですけど年功序列みたいな雰囲気はけっこう感じるところで。「先輩は絶対」という会社から、23歳のときAmazonに移って衝撃だったのが、新卒みたいな若手の人間でも相当平等に扱われるってこと。
そのあたりの「(年齢でなく)やっている内容ですべて決まる」みたいなとこっていうのは、キャリア形成においてチャンスはけっこう回ってくるかな? と思うんですけれども。折茂さん、そのあたりどうですか? 過去の経験から。
折茂:そうですね。でも3社でもう全然違ってて。最初の会社は確かにすごく体育会系な会社だったんで、しかも新卒で入っているってこともあって、すごく下積み的なことが多かったんです。でも2社目は外資で、アイディアさえ良ければすごく聞いてもらえる環境にあったなと。
逆に今は10人規模の会社なので、なんでもやらねばならぬというところで。取り決めみたいなものはあまりない感じ。三者三様に、自由度があるかなという感じです。
藤田:その考え方というのも、日本の会社もどんどんどんどん変わってきているのかな。今は働き方改革とかいろいろあって、変わってるのかなと思います。
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