2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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三浦崇宏氏(以下、三浦):「時代の先導者」と言うけれど、みなさん「あなたが言っていることはわかるけど、じゃあ俺たちはどうしたらいいんだ?」と思っていると思います。
その「じゃあどういうふうに考え方を変えたらいいんだ」ということを小1時間話したいと思います。たくさんあるんですけど、時間が許す限り1個ずつ話していきましょう。
時代の先導者。これから先、生き残っていくためにはどうしたらいいかということで、まずは考え方をいくつか変えたほうがいいヒントを話しましょう。まず1個目、「答えよりも問いを」といつも言っています。
どういうことかというと、これ、現時点で答えはだいたい出せるんですよ。ちょっとみなさんも一緒に考えてみてほしいんですけど、もし、あなたにしか見えない神様が目の前に現れて「なんでもいいから答えを教えてやる」と言ったとします。
「あなたがした質問のたった1個、どんな質問でもいいから答えを出してあげる」と言われたら、みなさんはなにを聞きますか? この神様が見えるのはあなただけで、絶対的な正解をくれます。1個だけなにを聞いてもなんでも答えてくれる。10秒間考えてみてください。
(10秒経過)
じゃあ、当てていきます。紫のシャツの方。
観客1:私は自分になにができるかがわからないから、自分にできることを聞きたいです。
三浦:いい質問ですね。「私にはなにができますか?」という質問をするんですね。いいですね。「私はなんのために、なにができるか」と聞きますか?
観客1:私はまだ学生なんですけど、これから自分が社会に出るうえで、なにができるかがわからないと生きていけないような気がしていて。そういうことを聞きたいと思って。
三浦:ありがとうございます。素晴らしい。
(会場拍手)
こういうところで言うのは、いきなり当てられて困惑するのでみなさん拍手してあげてください。マイクを持っている方に動いてもらうのも失礼なので、持っていただいた隣の方にいきましょう。チェックの方。なにを質問しますか?
観客2:すいません。ちょっとなにも思い浮かばなかったので、自分がなにを知りたいかを聞きたいです。
三浦:「僕が知りたいことはなんですか?」と聞いてみるんですね。ありがとう。おもしろい。
(会場拍手)
三浦:せっかくなのでもう1人、隣の方いきましょう。
観客3:自分は、いつまで生きられるのかを聞きたいです。
三浦:あー、聞きたいですよね。
観客3:うーん。意外とそれが聞けたら、そこに向かって……。
三浦:がんばろうと思えるかもしれない。
観客3:がんばろうというか、なにをやればいいかがわかるかなと思って。
三浦:なるほどね。「40歳で死ぬよ」と言われるのと「88歳まで生きるよ」と言われるのはまた違いますよね。
観客3:そうですよね。
三浦:医学の発達によって、意外に150歳とか言われちゃったりしてね。
観客3:そしたらめっちゃ怠けるかもしれないです。
三浦:そうですよね。ありがとうございます。
(会場拍手)
三浦:「私になにができるか」「私が知りたいことはなにか」「私はいくつまで生きられるか」。3人ともすごく自分にフォーカスした質問をしたなと思ったんですけど、これから先はこの質問にAIが答えを必ず出してくれるんですよ。
そのときに人間の進歩、人間の可能性、人類の可能性について誰かが大きい問いを立てないと、誰もそのことを考えない時代なんですよね。
つまり、例えばこれから先、どうやったらみんなが本当に笑顔で働ける社会を作れるのかとか、あるいはこの国から男女の差別がなくなるにはどうすればいいのかとか。
そういった大きい社会の問いかけを作れば、誰かが一生懸命考えてくれはする。もっと言うと、AIがなんとかがんばって答えを出してくれはする。
だけど、そのための解くべき問いかけをみなさんが持たないといけない。みなさんがそれを見つけない限り、AIはなにもしてくれないんですよ。そこが今一番みんなに求められていることで、答えは飽和しているが問いが不足しているということなんです。
「もっとおいしい牛丼を安く作るにはどうしたらいいですか?」「自動運転が普及したときは本当にハンドルを持たなくていいんですか?」「人間の技術が発達したときに人間のクローンはどこまで作っていいんですか?」みたいな人間の技術・テクノロジー・社会に対する、「なにをしたらいいか」という問いかけを1個1個作ることこそが人間の仕事なんです。
答えを作るのはAIがやってくれる。実は問いを人間が作ることが、たぶんこれから先に一番求められていくことなんですね。
要はこの中にいる人たちの内から「渋谷という街がもっと豊かになるにはどうすればいいんだろう」ということを誰かが問いかけない限り、誰もそれを考えない。テクノロジーの発達によって、いろんなことがどんどんできるようになっていくんですよ。
例えば、もしかしたらテレポーテーションができるようになるかもしれない。人間全員が100歳まで生きる時代が来るかもしれない。じゃあそのときに、なにをすることが世の中のためになるのか。なにをすればいいのか。
さっき聞いてくれましたけど、「なにをすれば私は人のために役立てるのか」「なにをすれば私は笑えるのか」「なにをすれば知りたいと思えるのか」。その問いかけを作ることが一番求められている。それが人間にしかできない、人間がやるべきことだったりします。
もう1個聞きましょう。昭和は〇〇の時代、平成は〇〇の時代、令和は〇〇の時代というふうに定義してみる。別に正解はないです。ちょっと聞いてみたいなと思うので、10秒間考えてみてください。
(10秒経過)
時間がないのでパパッといっちゃいますけど、これが僕の答えです。別に正解はないんですけど、僕が考えたのは、昭和は「国家と規模の時代」。平成は「企業と機能の時代」。令和は「個人と思想の時代」と考えています。
具体的にどういうことかというと、昭和は戦争もあって、国というものを人間がみんな意識して、自分たちを国民だなと思っていた。そして企業が儲かって人間が増えていけばみんな幸せになれると思っていた時代でした。それが国家と規模の時代。
それから平成になって、国というものがなんとなく信頼できなくなった。時を同じくして、アメリカでGAFAM、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftみたいな国家よりも大きい影響力を持つ巨大企業が出てきたり、そこにいる人々が実はアメリカ国民であることよりもFacebookやGoogleの社員であることのほうが重要な時代になることが起きてきた。
日本でも当時電通とかテレビ局とかいろいろな会社が、日本国民であることよりもその企業の一員であることにアイデンティティが置かれるような時代になってきた。だからこそ大きい会社、イケてる会社に入れば安心だなという時代があって。
そして、その企業たちはなにをもって自分たちの強さを発揮していくかというと、機能でしたよね。より速いAIを作る、より安い洋服を作る、よりおいしい食べ物を作るという機能が問われる時代でした。
それが1周回って、今は「じゃあどこの企業に入ればかっこいいんだっけ」「どういうことをしていればいいものなんだっけ」という機能が全部飽和しちゃっているんですよね。そういった中で令和はこれから先どうなるかというと、個人と思想の時代になると考えています。
さっきもお話ししましたけれども、終身雇用制が崩壊して、1社にずっといることはほぼなくなると思います。そうなったら人々はどうやって生きていくかというと、さっきのアイドルのように、複数の夢を持つ感じになります。
例えば僕だったら社会における多様性を推進したいとか、あるいは家族に誇れる父親でありたいとか、なんらかの自分なりの思想、ビジョンがある。未来への自分自身の信念があったら、それに合わせて最初は電通に入って、そのあと1回NPOに入ってみんなの役に立って、その後政治家を目指して、最後は地方で農園を作るみたいな。
そういったキャリアが自由に選べる時代には一体なにが必要なのかというと、一人ひとりの個人が自分なりの思想や信念を持って、それを実現していくことなんですよ。
昭和は国家と規模の時代、平成は企業と機能の時代だった。令和は個人と、個人が持っている思想を実現していくためにキャリアを重ねていく時代になると思っています。なので、わりと早く自分なりの思想や信念みたいなものを見つけられると、職業選択や生き方のキャリアを重ねることが楽になる時代になるよというお話でした。
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