山の高さには上限がある

マイケル・アランダ氏:海抜8,848メートルのエベレストはこの地球上のどんな山頂よりもはるかに高く空を突き抜けています。世界の屋根と呼ばれることもありますが、天井と言ったほうがよいかもしれません。つまり、山の高さとしては上限にあるということです。山は無限に高くなることはできません。上限があるのです。これは山がどのように形成されるのかと関係があります。

多くの有名な山は地球の2つの地殻がゆっくりとぶつかりあった場所にできました。地球の地殻は硬い岩なので、十分な圧力をかければ変形します。岩が岩を押し上げると、プレートが互いに潰され合っていき地殻短縮と呼ばれる状態になり、地殻が束になり膨らんでいくと、カーペットが壁を押すように地殻厚化が起こります。このことがプレートを部分的に少しずつ数キロメーターに渡って空気中に押し上げていき、山が形成されます。これを地質学者は隆起と呼びます。

高さが上限に達すると、高原ができあがる

多くの隆起を生み出した、現在のインドと残りのアジアの間で起こった大きな激突の結果としてエベレストやヒマラヤが形成されました。しかし、この地球上の全ての事柄と同じように、重力が最終的に大きく関わってきます。

山というのは本当に巨大で、トランポリンの上に座っている人のように、底にある地殻を曲げてたるませる原因となるのです。そして頂点が十分に高くなると、あまりに重くなりすぎて、その重みが地殻構造力を頂点を押し上げ、これ以上隆起しなくなるのです。

地殻が部分的に押され続けると、代わりに低い方の頂点の下で圧力が短縮し厚みをもたせるようになります。そして中央の両側の頂点の坂が高くなってくるのです。山がこれ以上高くなれないと、高原へと広がっていきます。この現象はロッキー山脈やアンデス山脈、ヒマラヤまで世界中の山で見られます。

標高に上限を与える「氷河バズソー」

最大の高さが実際にどのくらいなのかは分かりませんが、エベレストがかなりその限界に近いと予測されています。なぜならエベレストとそのレベルの他の山は上ではなく横に広がっていっているのです。しかし、その山は現在ではかつての高さよりも低くなっているようです。

これは、山のサイズに上限を与える可能性があるものが存在するからです。それが氷です。頂点が大気の中で十分高くまで到達すると、氷山が形成され始め、頂上でゆっくりと削られていくという考えによるものです。世界中の山は、その地域の気候によって違う高度である雪線より1500メートル上くらいまでになっています。

このことは、氷河の侵食は最大の高さに到達するよりも早く山を削っていくと考えられます。これは氷河バズソーとして知られる仮説です。しかし、中には氷河バズソーの影響を受けていないと考えられる山も存在します。それが活発に活動している火山です。それは溶岩が氷や他のものを溶かしているからではなく、他の山とは異なる方法で形成されていくからです。

火山の形成スピードが氷山の浸食スピードをこえる

ハワイにあるマウナケアは海底から頂上まで10,000メートルほどあります。

エベレストよりも高いですが、そのほとんどは水の中に入っています。マウナケアは溶岩層の上に堆積している連続した噴火の層によって形成された楯状火山であるので、そんなにも巨大なのです。他の山と同じように、マウナケアも地殻を下にたるませます。マウナケアもマウナロアも6000メートルほども海底を押し下げているのです。

しかし、その成長はテクトニック隆起によるものではないため、重さは成長を防ぐものではありません。火山の形成スピードが氷山の侵食スピードを超えているからであると考えられています。実際、マウナケアは燃料を失ったことを除けば、おそらくもっと高くなれたでしょう。

マウナケアは地殻の下のマントルプルームが溶岩に動力を与えるマグマを生み出すことで山が形成されます。

しかし現在では、侵食のペースをゆっくりにし、プレートはこのプルームからマグマを取り除いています。

なぜ地球には火星の山より大きい山は存在しないのか?

太陽系にはより大きな山が存在します。火星では地球とは違い、地殻は移動しません。そして物質を下に落とす重力は地球より小さくなっています。これがオリンポス山は周囲の平野よりも25,000メートルにまで達することができる理由なのです。

残念なことに、その高さの山は地球上には存在できません。物理的に無理なのです。山がどのくらいまで高くなれるのか、という質問はみなさんが科学や数学、工学のクラスで学んだこと全てを使って答える必要があります。