2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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森本佑紀氏(以下、森本):それで、「協業はどうすれば生まれるか?」ということについてですね。実は僕らも、けっこういろんな所に声をかけていただいたことがあったんですけれど、なかなかうまくいかないんですよね。
松浦真氏(以下、松浦):それはなぜでしょうか?
森本:まずは会議を洗ってみたんです。そうしたら、結局「利益はいくら出るんだ」という話なんですよ(笑)。「そんなもん見えるか! 」となるんです。教育に熱心な方々なら理解してくださるんですけれど、そうじゃない方、例えば経理の方々などにロジックで理解してもらうのはちょっと無理だなと思うんです。
そう考えた時に、もう自分たちで需要を作るしかないなと思いました。「この指とまれー! 」という感じ突っ走りました。それで向こうの人たちになにができるかを考えてもらう。
「自分たちはこんなことができるよ」という社内のリソースは僕たちより絶対詳しいと思うので、そういうかたちの協業を将来的にできたらいいなと思いながら、必死に自転車を漕いで操業しています(笑)。
松浦:すごい。かっこいい。
森本:いやいや(笑)。
佐藤昌宏氏(以下、佐藤):絶対儲かるんですよ。というのも、市場規模の話でいくと、世界の教育産業は400兆円と言われています。アナログも含めて400兆円です。これは世界の自動車産業より多い数字なんですよ。
なおかつ、日本の教育市場は塾が1兆円で、語学教育も1兆円くらいです。そしてeラーニング等を含めたものが0.5兆円くらいで、合わせると2.5兆円くらいなんですね。幼稚園から大学まで、学校の設置とか研究費とか教員の人件費とかそういったものを国が教育関係に全部払っているお金を文教費というんですけれど……いくらぐらいだと思います?
みんなものすごい額を払っているんですよ。それに税金も払っているわけなので。約23兆円あるんですよ。民間では2.5兆円くらいしかないのに、23兆円もあるんです。しかもそれは少子化にもかかわらず毎年横ばいなんですよ。ずーっと払っているんです。
そのうち、アナログにかけるものも多いんです。なので、数%でもデジタルに変えて、もっと効率的にするだけでお金の流れが変わるじゃないですか。そのあたりは企業さんが必ず入りますよね。なので、構造的には絶対儲かるんですよ。そこに上手に穴を開けるのが必要かなと思いますね。
森本:難しいですね(笑)。例えばリソースを持っている、学校との繋がりがある会社さんとか、教材を持っていらっしゃる会社さんとか、データを持っていらっしゃる会社さんとかがすでにあるんですね。そこが今ゲームメーカーになっているので、全く違うルールを見つけていかないといけないかもしれません。
松浦:もしくは楽天市場さんで出店されている、学校用の鍋を売っている人のほうからなら「おもしろいかもな」と思ってもらえるかもしれないですね(笑)。
佐藤:でも、できますよ。今それに対しても検討しているものがあって。例えば、先ほどおっしゃっていた学校での調達は、ごく限られたプレイヤーに限られます。
すでにそういった企業が学校に入っていて、そこでベンチャーがポッと学校に行って「すいません、買いませんか? 」と言っても、ぜったい買わないじゃないですか。それには調達の仕組みがあって、学校は専用の調達制度に乗せないと買えないんですよ。
その時に、今経産省に向けて提案しているのが、新しい調達の仕組みです。ベンチャーでも本当に良いものであれば、公平に扱ってもらえるような仕組みを考えています。これができればベンチャーの活躍の場は広がりますよね。
森本:お願いします!
(会場笑)
佐藤:簡単ではないんですけれども、そういった1つの仕組みを変えるだけで、教育改革は一気に起こる思います。
松浦:たぶんその中で、事業者ができることもあるし、事業者じゃなくても家族や、一人ひとりの大人ができることもたくさんあると思っています。大人が子どもたちの意見を引き出したり、学び方のルールを変えていったりする取り組みも同時に重要になってくる。
ということで、パネルディスカッションの三者の方のお話はとりあえずここまでにして、残り8分ほどで、会場から質疑がありましたら、1、2件ぐらいお受けしたいなと思っています。なにかございますか? どんなことでも大丈夫です。せっかくの場なので、もし良かったら。
(会場挙手)
はい、どうぞ。あ、ここの(机のマイクを指して)所に向かってしゃべると比較的聞こえると思います。
質問者1:うちの子どもは今学校に行っていない状態なのですが、お話しを聞いているとすごく明るい未来がやってくるように聞こえます。実際は毎日学校という枠からは外れているのですけれども、例えば、近所の人とか、先生たちの中で、どこまで理解していただけているのかがわからないんです。
今の状況に対してなかなか胸を張ってできていないところがありまして、たぶん子どもたちも、「学校に行けないのは悪い子なんだ」という認識みたいなものがあって、ニコニコした感じではなく、どんよりとしているんです。
それを変えていくのが私たちなんですが、私自身も義務教育の中で育ってきているので、それを受け入れるのに時間がかかってしまっているんですね。先ほどあったように旅をしてもいいんですけど、なんだか隠れて悪いことをしているみたいな……。それを胸を張ってできる日が早く来て欲しいなと思うんです。
松浦:まさにそんな日が早く来られるように、私たちもやっていけたらなと思っています。Edtechによって学校に行くことが強化されるような社会をつくるつもりは私にはなくて。学校以外の学び方が合う子は絶対今増えています。
学校自身も、この前文科省が作った通達にもあるように、学校に戻すことが前提ではなくなっています。先ほどの不登校の人数のデータでも出ていましたが、この考え方は学校でも30年くらい前からあるんです。
けれど、普通の学校の先生はそれを知らないんですね。「学校に来れないことは、その子たちの未来にとって良くないことだ」という前提を持ちすぎてしまっているんです。そこで先生の補完をするスクーリングをすることも必要です。
松浦:行政とか自治体に向けた取り組みを広げていったり、あとはデータを出していくことも大事だと思っています。そこも同時にしながら、一方で行政にもアプローチしていく。実は秋田県で少しずつアプローチをしているんですけど、なかなか変わらないんですよ。
法律が変わらない限り、そこに入っていくことは難しいです。経産省の動きなどもあるんですけれど、たぶん数年くらいはかかると思うんです。でもその前に、例えば企業さんと。こういう楽天さんの場所とかでそういう子たちを受け入れて、笑顔で過ごせたり、いろんな人と繋がる機会ができたりしたらいいな、というのは本当に思っています。
森本:それで言うと、僕はやっぱり人間の本質的な強さはつながることだと思っているんです。先ほど「企業さんと」という話をされてましたけれども、この場に来ていらっしゃる方は、たぶんそういう活動していらっしゃる方が結構いらっしゃると思います。僕が知っているだけでも数人います。
そういう方々とつながって、安心安全な場を増やして、子どもがいろんな場に行った時に、「ここは自分が否定される場じゃない」という場をいくつも見ていけば、「あ、これもありなんだな」と思える世界が来ると思うんです。
その結果、逆に学校に行きたくなることもあるかもしれません。別にそれはどっちでもいいと僕は思うんです。やっぱり学校と家庭という場所だけだと、なかなかいろんな価値観には触れられないので。そういう方々とつながっていろんな場の雰囲気を経験することで、自己肯定感もどんどん上がっていくんじゃないかなと思っています。
質問者2:個人的で、少し細かいお話になります。大病をしまして、1年間療養をしていました。その後、下の子が不登校になりました。しかも上の子も一緒で、2人ともなんです。
なんだかもう悲劇でしかないみたいになっていて。でも本人はITが好きで、私自身はわからないぐらい、ものすごく「IT、IT」と言っていて。今の「つながる」時代のこととか、子どもたちに何か言ってあげられないかなと思っているんです。
恥ずかしい話なんですけれど、子どもが1日12時間ゲームをしているんですよ。これが不安な材料としてあるので、みなさんのお話をうかがいたいんです。
佐藤:でも、12時間のうちほとんどがマインクラフトとかだったら(笑)。
森本:素晴らしいんじゃないですか?(笑)。素敵ですよ。
松浦:マイクラもコンテストもあるし、けっこう狙えると思いますよ(笑)。
森本:マイクラを配信しちゃえばいい。
佐藤:みんながすごく承認をしてくれて、ちょっと自信がついてきて、もしかしたらそれがもっと好きになるかもしれない。そこからデザインとか建築とかに興味が出てくることもあります。
「ゲーム」と括らずに、「何をしているのか」を、たぶん親が少し勉強して理解してあげないと、子どもがやっていることの本当の意味はわからないんじゃないかと思います。
質問者2:わかりました。ありがとうございます。
佐藤:いえいえ。
松浦:あともう1つくらい、ちょっと時間は短めですけれど、もしご質問があれば。
(会場挙手)
はい、お願いします。
質問者3:今日はありがとうございます。個人的にプログラミング体験教室を展開しようと思っています。そのためにアプローチをしているんですけれど、まず子どもに導入するとなると、その後に出てくる問題として、先生方のITスキルが低すぎるということがあるんです。
例えば、せっかく電子黒板を入れても、それを使える人がいないというお話を校長先生からいただいたりするんです。
結局その先生方、大人への教育にお金がかかるということを説得するのが、これからサスティナブルな企業と協業していくところ大切なのかなと思っているんです。
どちらかというと佐藤さんに質問なのかもしれないですけれど、そのあたりの予算、大人を教育するための、先生方を教育するための予算みたいなものは、なにか参考になるようなものはありましたか?
佐藤:砂漠に水を撒くようなものですよね。
(会場笑)
森本:いい例えだね(笑)。
佐藤:予算が出ることもあるとは思いますけれど、「先生たちにプログラミングのスキルをつけさせましょう」というのが、僕は不毛なことに聞こえてしまうんです。だって、専門性が違うでしょう。もちろん、これはかなり過激な言い方です。ただ、それよりも民間と連動してやった方が早いと思っているので、そこに対するお金をどう集めるかを考えた方がいいと思います。
佐藤:今の発言は、先生の悪口みたいに言ってしまいましたけれど。先生たちはやっぱり大変なんです。最近は英語の4技能化なども増えてきたし、プログラミングも増えたし、あと以前はダンスなんかも必修化になって、それをやらないといけなくて。かわいそうなんですよね。
この間、教育再生実行会議でも言ったのですが、先生たちは今の教育の中でやることばかりが積み上がってしまっているので、それをやめることをどの会議で決めるのかが問題なんです。
先生たちもちょっとかわいそうなんです。先生は「teacher」という名前ですよね。「teaching」することにアイデンティティがあるので、自分の教えられないことはやっぱり嫌がるんです。でも聞きたいことの一番は、お金のことなんですよね。
質問者3:例えばそこで民間を入れるとなったときに、民間の方も継続するにはお金が必要になってくるのですが、そこのお金はどこから捻出してくるのでしょうか。
佐藤:それは例えば、一般的に言うと受益者負担ですよね。なので、利益を受けている子どもたちが負担するというのが一般的なサスティナブルの仕組みになると思うんです。
それは今、いろんな想いでやっている人たちがいるので、かなり安くやっているところもあります。あとはリアルでやるのではなく、オンラインでそういった支援ができたら、もっと安くできるようになるかもしれませんね。
森本:オンラインでプログラミングを学べるツールだと、結構無料のものがありますよね。
佐藤:無料でもたくさんありますからね。
佐藤:(質問者の方がやりたいと思っているのは)プログラミングのどういうところでしょうか。
質問者3:プログラミングを先生がやるというよりは、どちらかというと先生の教育はITツールを活用した働き方改革になると思うんです。そうなると、また違ったフェーズになってくると思うんですね。
佐藤:それだとしたら、やっぱり先生たちをもっと楽にしてあげることですよ。いわゆる校務支援とか、先生たちの働き方改革をするためのITツールを早く導入することになりますが、今候補になっている仕組みはいっぱいあるんですよ。
それ自体を、少なくとも学校が理解して導入すれば、先生たちの採点にかかる時間など、勤務時間全体が減るわけです。そうするとITの予算の必要性を理解しますよね。そこから若干プログラミングの予算が必要なことへの理解にもつながるんじゃないかなと思います。
森本:僕、親族に学校の先生が多いんです。自分の両親は違うんですけれど、親族からいろんな話を聞いていると、例えば6時間授業がある日は、今日みたいなプレゼンを6個作ってきて、それを楽しんでもらうという話じゃないですか。そんなの無理ですよね。
生徒が3人くらいだったらいいですよ。それが40人もいて、それに満足してもらう設計はなかなか……。スティーブ・ジョブズ8人分くらいは必要なんじゃないかなと思うんです(笑)。
なのでやっぱり、佐藤先生がおっしゃられたように得意なことを活かすことが大切です。僕のいとこは剣道しかやってこなかったんですよ。でも先生をやっていて、剣道を使った教育には自信を持っています。
ただ、「IT」とか「キャリア教育」とか言われてしまうと、よくわからない。本人は剣道を通じて心を通わせることは得意だと言っているんですけれど、それを許してもらえなかったら、アイデンティティを失ってしまうんです。
もちろん学ぶことは大事なんですけれど、なんだか昔より幸せそうじゃないいとこの顔が思い浮かんでしまうんです。なので、それぞれの先生の強みをうまく活かす仕組みをどうやったら作れるのかな、ということを僕はすごく考えています。
松浦:もちろん子どももそうですし、先生自身、大人もそうですよね。学校現場もそうですよね。
すいません、時間になりましたのでパネルディスカッションはこちらで終了したいと思います。森本さんと佐藤さんに大きな拍手をお願いしたいと思います。
(会場拍手)
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