なぜ人は他人を憎めないのか?
感情にまつわるサイエンスを解説

People Are More Forgiving Than You'd Think

私たち人間が生まれながらにして持つ感情「憎悪」。この感情を科学の力で解明する実験が最近行われました。人間の脳は、他人を憎むときにどんなメカニズムとなるのか? YouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では感情にまつわるサイエンスを紹介しています。

初対面で人を嫌いになれない理由

ステファン・チン氏:あなたは知らない人に初めて出会ったとき、いい人か悪い人か、どのように決めますか? その人をよく知るようになるまでは決めないかもしれません。ほとんどの場合にで決めないべきかもしれませんが、実際に人間はそのように進化してきていません。

人間は社会性のある動物なので、知らない人に出会った時、その人が信頼できる人なのか、避けるべき人なのかを素早く決定するのは大切なことなのです。その反面、そのような決定を下す際、私たちは柔軟性を示す傾向があります。

最近発表されたNature Human Behavior誌の論文によれば、人間は他人を許しやすい傾向にあるということがわかりました。

そのなかの実験では、1000人以上の被験者が、役者がお金を得るために人に電気ショックを与えるかどうか決める場面を見ました。被験者は役者の行動を観察した後、その人が次に何をするかを予測するように求められました。それに加えて、その予測にどれだけの自信があるかも尋ねられました。

予期していた通り、被験者たちは、他人に電気ショックを与えなかった「良い人」に対しては良い印象を抱き、その人が引き続き優しい行為を続けていくであろうと予測しました。しかし「悪い人」を見た時、被験者の反応は異なりました。「悪い人」がお金のために他人に電気ショックを与えるのを見ても、その人が「本当に悪い人」であるか決めつける自信がなかったのです。

それに、その「悪い人」が情けの感情を示すと、すぐに自分の見方を改め、その人がまた悪事を働くのを見るまで、「悪い人」への印象が向上したのです。

他人に対して懐疑心を抱かない傾向は、もっと過激な場面においては当てはまらないかもしれません。例えば「悪い人」が電気ショックを与えるのが自分の大切な人である場合などです。しかし、この実験により、私たちが他人の特性に対して、どのような印象を抱くのか決定をするのに興味深い傾向があることがわかったのです。

これより前に行われた研究では、被験者が見知らぬ人の道徳観ではなく、タスクを果たすためのスキルがあるかどうかを決定する実験が行われましたが、その時は、スキルがある人とない人に対する、予測と同じような柔軟性は見られませんでした。

ですから、昔からよく言われる「根に持つな」「日が暮れるまで怒ったままでいてはならない」「許して忘れろ」などという格言は、私たちの社会的進化が背景にあるのです。

誰かが信頼できないことを知るのは大切なことですが、他人をすぐに「悪人」だと決めつけてしまっては、将来的に楽しめたかもしれない、その人との良い関係を築くきっかけを逃すことになってしまうのではないでしょうか。

ですから、私たちはすぐに人がどんな人間なのかを決めつける傾向があるかもしれませんが、同時に、すぐに許す傾向も持ち合わせているのです。それは全て私たちの脳裏で処理されることです。

全く新しいタイプの幹細胞を発見

脳裏といえば、このような研究が行われていたとき、他の研究者たちは、私たちの骨の内部の働きに関しての論文を発表しました。Cell誌で発表された論文によれば、科学者たちは全く新しいタイプの幹細胞を発見したようです。その幹細胞はまっさらな状態なので、体が必要とするさまざまなタイプの細胞を育てることができるのです。

生物学者たちは今までに多くのことなるタイプの幹細胞を発見してきました。例えば脳や骨髄の中のものです。しかし今回初めて科学者たちは骨の中にある、骨組織や軟骨を作る幹細胞を取り分けることに成功しました。これを用いれば、将来的に、人体の骨格系に影響を与える病気や怪我の治療に役立てることができるかもしれません。

異なる種類の幹細胞は、それぞれの細胞タイプに基づいて分類されます。そして今まで骨格幹細胞は実験用マウスには見られましたが、人間の体内で見つけられたことはありませんでした。過去に、骨髄細胞をプラスチック製の皿にくっつけることにより幹細胞を取り出す試みが行われたことがありました。

しかし、この技術ですと、異なる分化過程にあるさまざまな細胞が混合してしまいます。真の骨格幹細胞を見つけるために、チームは人間の胎児の大腿部二箇所の各細胞のRNAの配列を決めました。RNAとはメッセンジャーの働きをする分子で、どのDNAがプロテインになるのか細胞に指令をだします。

ですから、DNAではなくRNAを配列することにより、研究者たちはどの遺伝子が細胞を発現しているかを見分け、実験用マウスの骨格幹細胞に一番近いものを見つけることができたのです。一度それが特定されれば、大人の骨格から骨格幹細胞を見つけることができ、iPS細胞からそれらを誘発させることもできたのです。

それらは大人の血液や皮膚細胞で、科学者はそれを再プログラムしてまっさらな幹細胞の状態に戻したのです。そして最終的にそのチームは骨細胞が、未分化の幹細胞の状態と、完成する間の異なるステージのステップを細かく分けました。

私たちの体内で異なるタイプの細胞が実際どのように作り出されるのかに関しては、まだまだ研究の余地があります。例えば、軟骨と骨以外、私たちの骨格システムには脂肪分も含まれています。そしてこの脂肪細胞は今回の研究で発見された幹細胞から出来上がることはありません。

現在の状態では、研究所で自分の細胞から真新しい骨を作り出せるところまで至っていません。それでも、骨や軟骨に影響を与える病気がたくさんあります。それには骨粗しょう症や関節炎などのわかりやすいものもあれば、糖尿病などからくる、二次的問題もあります。

そこで骨格幹細胞を見つけると、骨格幹細胞がどのように作られ、それを用いてどのように骨や軟骨細胞を作るのかを知ることができれば、さまざまな病状を診断したり、治療するためのさまざまな新しい可能性を切り開けるのです。

Published at

SciShow

Hank Green(ハンク・グリーン)たちがサイエンスに関する話題をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。

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