「Rethink Creator AWARD」特別審査員が登壇

司会者:お待たせいたしました。それではRethink Creator AWARDの特別審査員にご登場いただきましょう。鯨本あつこさん、西野亮廣さん、平田麻莉 さん、柳澤大輔さんです。どうぞ!

(会場 拍手)

西野亮廣氏(以下、西野):お願いします。

司会者:特別審査員のみなさま、本日はよろしくお願いします。

西野:お願いします。がんばります。

司会者:Rethink Creatorが作成したアイディアや、作品を表彰するAWARD、Rethink Creator AWARDの開催を今年12月に予定しているわけですが、その特別審査員として各分野でご自身のアイディアや考えを形にして世の中に発信している、こちらの4名の方々に特別審査員をつとめていただきます。

まずは簡単にご挨拶いただき、Rethink Creator AWARDへの意気込みコメントをお願いします。では鯨本さんお願いします。

鯨本あつこ氏(以下、鯨本):よろしくお願いします。私は日本全国に400島ほどある有人離島専門のメディアを作っております、離島新聞経済社の鯨本と申します。私たちは仕事柄、全国の離島地域のクリエーターさんにもお仕事を発注することがありますので、このプロジェクトで新しいクリエーターさんにお会いできるとしたら、そちらも楽しみです。よろしくお願いします。

司会者:では西野さんお願いします。

西野:キングコングの西野です。芸人やったり絵本作家やったり、いろいろやっています。意気込みというか、僕えらそうに審査員なので、僕がなにかをするというわけじゃないんですけど、素敵な人がいたらホント引っこ抜いてやろうと思っています。よろしくお願いします。

(会場笑)

司会者:では続いて平田さんお願いします。

平田麻莉氏(以下、平田):プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の代表をつとめております平田です。このプロジェクト、ホントに素晴らしいなと思っています。今は場所や時間に囚われずプライベートも大事にしながら、自由にお仕事をしたいという方が、たくさん増えていらっしゃるので、この事業がそういう方々のサポートになることを願って参加させていただきました。よろしくお願いします。

司会者:では柳澤さんよろしくお願いします。

視点を変えて考える「Rethink(リシンク)」

柳澤大輔氏(以下、柳澤):面白法人カヤック 代表取締の柳澤です。よろしくお願いします。さっきリシンクの概念をちょっと聞いて……「法人」という固いものに「面白」をくっつけて概念を変えよう、会社ってもっと面白くていいんじゃないかなと、まさに20年前に考えたのがリシンクなのかな、と思いました。審査ということですので、そんな観点から、価値観を変えるようなものを見つけて評価することが僕の役割なのかなと思っています。よろしくお願いします。

司会者:ありがとうございます。今年のRethink Creator AWARDはこちらの4名の特別審査員の方々の品評もまじえながら、受賞作品が発表されます。どうぞご期待ください! さあそんな4名の特別審査員のみなさまに、本日はいろいろとお話しをうかがっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

西野:よろしくお願いします。

司会者:さあ、改めてになりますがRethink Creator PROJECTはクリエイターズマッチが提供するカリキュラムを通じ、既存の考えを新たな視点で見つめ直し、世の中に発信できる人材「Rethink Creator」を生み出していくプロジェクトとなっております。まずはそのテーマでもあるリシンクとクリエイトについて、特別審査員のみなさまにお話しをおうかがいしてまいります。

まず、視点を変えて考えるリシンクについてお話しをうかがってみたいと思います。視点を変えて考えるリシンクとは、多様化する価値観を尊重しながらも、既成概念にとらわれず、さまざまな角度から物事を考え、これまでにない発想を生み出すことを言います。

西野さんは芸人として、芸能界でご活躍される一方で、絵本作家としても活動されていらっしゃいますが、この2つの仕事をするうえで、どのような点でリシンクされていますか?

専業ではできないこと、複業だからできること

西野:(笑)。どうなんでしょうね、いろいろやっていると思います。自分が絵本を描こうと思ったのは、今から13年くらい前の25歳の時なんですけど、僕は別に絵が得意なわけじゃないんですよ。

絵をずっと描いていたわけでも、美術を専攻していたわけでもないのに絵本を描くと言い出して、「ディズニー倒す」と言っちゃってるんですよ。絵を描けないやつが、ここから世界をとらないといけないわけじゃないですか。

「やばいな」と思って、どうやったらここから世界一になれるのかなって考えました。絵本作家ってどうやったら世界一になれるのかって考えた時に、まず自分の勝てるところで戦おうって思って。となると、画力ではやっぱり負けてるんですよ。

出版のノウハウもコネもツテも全部負けていて、プロの絵本作家さんには基本的に負けているところだらけだったんですけど、1つだけ、時間なら勝ってるなと思って。時間っていうのは1つの作品を作るのに、かけることのできる時間のことです。

プロの作家さんや、それを生業にされている方って、言ってしまえば短いスパンで作品をポンポンポンって出していかないと、食っていけないじゃないですか。自分は職業が今たぶん20個くらいあって、絵本が収入の柱ではないので、極端な話、1つの作品をつくるのに10年かけることだってできる。

ここが専業と複業、複数の職業の大きな違いで、専業の人って実は時間をかけることがあまりできなくて、職業をいっぱいもっている人は、1つの仕事を作る時にけっこう時間をかけることができると思ったんです。それですぐ文房具屋さんに走って一番細い0.03ミリのボールペンを買いました。

普通の絵本だったら12ページとか18ページとかで終わるんですけど、自分の絵本は100ページくらい、つまりどうがんばって急いで作っても、時間がかかるように作り方をデザインしました。

この作り方をしてしまったら、4~5年かかりますよという作り方を選んだということです。その時点でプロの絵本作家さんには作ることはできないじゃないですか。それはセンスとか才能とかそういうことじゃなくて、物理的に作ることができないですよね。それで「ここでいこう」って決めました。まとめると、複業であったからこういう選択肢が生まれたんです。

「芸人が絵本描きやがって」ということを当時よく言われたんですけど、実は芸人が描いたからそれができたんですね。いい感じにあとはまとめてください。

(会場笑)

司会者:ご自身の勝っているところをみつけるところから始めたということですね。

西野:そうですね。あまり才能がないので、「そういうところから行くしかないな」というやつですね。

司会者:参考になります。

西野:ありがとうございます。

環境破壊と格差を解決するヒントは地方にある

司会者:一方で、考えを形にして伝えるクリエイトについては、頭の中の想いや考えを、自分以外の人に伝えるために整理し、まとめ、目に見える形で表現すること、そして伝えたい人に伝えたい形で正しく伝えることを言います。

柳澤さんは、新しい資本主義のありかたとして、「鎌倉資本主義」を掲げていらっしゃって、鎌倉で働く人同士が繋がれる場を作り、日々活動されていらっしゃいますよね。『鎌倉資本主義』を広めていくために、どのようなクリエイトを行っていらっしゃいますか?

柳澤:これは難しいテーマなんですけど、3分でなんとかまとめます。

司会者:お願いします。

柳澤:これはまさか人前で言うような話じゃなくて。発信自体が今年の4月くらいなんですね。もともと面白法人って会社を、毎朝行って楽しくなるように「面白」というどちらかと言うと直観から入って、なんとなくこういうふうに働けばおもしろくなるな、と思って作ったところがありました。

2014年に上場して、自分たちがおもしろいと思うものを突き詰めるのはやりやすいので、今度は課題から入ろうと、世の中にある資本主義の課題ってなんだろうという本をたくさん読んだら、(課題は)大きく言って2つなんですね。環境破壊が進んでいるというのと、富の格差が異常に進んでいる。これがGDPという指標によって引き起こされているということです。

これに対する解決策を考えなきゃいけないという時に、そこからちょっとジャンプするんですけど、地域にヒントがあるなと思って「地域資本主義」という言葉を最初に作ったんですよ。

これは法人という固いものに面白いものをくっつけた、さっきの面白法人と発想が近いんだけど、地域資本においても、資本主義という非常にグローバルに生産性を高めて効率化していくものに、地域というローカルなものをくっつけています。 そこに注目したほうが新しい資本主義になるんじゃないかということで、それの特化版で「鎌倉資本主義」というのをうたっています。そこまででこんなことを考えていますというのをもうちょっと端折ります。

去年の10月に資本主義に詳しい人を50人くらい建長寺に呼んで、「ここまで考えたんですけど、どうしたらいいでしょうか」と投げたんですよね。そうしたら「きみたち一生懸命考えているのはわかるんだけど、おもしろいことしかできないんだから、最初におもしろいことをやれ」って言われて。

(会場笑)

新しいことを始めるときは最初に言葉を作る

柳澤:それで、そこに繋がっていきそうな富の格差とか、環境破壊(を防ぐこと)につながりそうなことを、まず鎌倉でやってみようってできたのが今年の春の「まちの社員食堂」という仕組みです。「まちの社員食堂」は社員食堂なんですけど、鎌倉の企業から行政までみんなで(お金を)出しあって社員食堂を作って、みんながそこで仲良くなっちゃって。

しかも食堂は地産地消で、毎週週替わりで鎌倉のレストランが出てくるんですよ。そこで人のつながりを増やしていく。それで、ここに地域通貨的なものをからめて、人と人とのつながりが見えるような通貨を作っていくと、新たなものになりそうだなっていうのが、今進み始めたところですね。

これからどんどん発信していくところなんで、今はさわりなんですけど、一応その程度です。クリエーターのヒントになる話をということで聞いていましたので、クリエイトの話につなげると、1つは言葉だと思うんですよ。言葉は世界を作っていくので、私も「面白法人」という言葉でビビッときて、そこから進んでいるだけです。

「地域資本主義」という言葉は、意外とありそうでなくて、この言葉から発想していけばなにかものごとが生まれるかなということからいくと、僕は良い言葉だと思っています。最初に言葉を作っちゃうというのがクリエイトするうえでいいかなと思います。

司会者:ありがとうございます。今回のRethink Creator PROJECTでは、視点を変えて考えるリシンク、それを形にするクリエイト、それぞれの力を総合的に高めることがメインテーマとなっております。

Rethink Creatorはこれまでを大切にしながら、新しい発想でこれからの毎日を作り、視点を変えて考え、それを形にして世の中に発信できる人の事です。

日本中を移動とする多拠点ワーカーとして、さまざまな地域作りや、編集デザインを成し遂げてこられた鯨本さんはこのようなRethink Creatorをどのように創出していくべきだとお考えでしょうか。

キャラがかぶらなければ食い合いは生まれない

鯨本:私がよく動いているところで言いますと、北の利尻島から南の与那国島をつなぐと3000キロほどありまして、全国海に400以上の島があるんですね。

そういったところをあちこち(転々)としながら、いろんなクリエーターさんに会って、クリエイティブなお仕事をされている方もたくさんいらっしゃって……今はインターネットがありますので、そういった方がどんどん出てきてほしいなと思います。

そういう方々は、先ほどの西野さんの「得意分野で勝つ」みたいなところ、いわゆるポジショニングがとっても大事だなって思います。例えば、小笠原諸島の父島って人口2000人くらいなんですけれども、そこの方に「島に暮らしていて、なにか苦労されることありますか?」って聞いたことがあるんですけど、その時に「キャラがかぶらないこと」とおっしゃった方がいたんですよ。

「へー」と思いまして。実際にキャラがかぶると島の中で喧嘩になるというか食い合うことになっちゃうんですけれども、キャラがずれていればお互いに尊敬しあえたり、頼りにされたりできるんですね。

例えば、小笠原の父島の中でデザイナーをされていて、他にデザイナーがいなければ島唯一のデザイナーでいられます。日本の中で唯一のデザイナーになろうとすると非常に難しいんですけど、父島で唯一のデザイナーだったらなれるかもしれませんし、デザイナーがいないところに行けば、その地域唯一のデザイナーになります。

そういった感じで、自分のポジショニングを確立させることができるんじゃないかなと思います。そういう地域の方、いろんな地域のクリエイターさんに出て来てもらえたらいいなと思います。

司会者:まさにオンリーワンを目指すという形でしょうか。

鯨本:はい。

司会者:ありがとうございます。さあみなさんにはリシンクとクリエイトの力をつけ、自分のアイディアを次のステップにつなげていただきたいですよね。

現在フリーランスでPRプランナーとしてお仕事されている平田さんは、Rethink Creatorについてどのようにお考えでしょうか。

自分に合った自由な働きかたを選ぶために大事なこと

平田:私自身は広報が専門ということでお仕事をさせていただいています。フリーランス協会というのをやっている中で常々考えていることをお話しします。

今、人生100年で非常に寿命が長くなって、働かないと生きていけない時間も長くなっています。今までみたいに日本人ってだいたいを大学卒業して、一度就社すると自分の人生をある意味人事部に丸投げして、移動にしろ転勤にしろ「仰せのままに」と言って定年まで過ごしていたと思うんですけど、これだけ人生が長くなってしまうと、ずっと1つの働き方で、というのはなかなか難しくなってきていると思うんですね。

とくに女性だったら……女性に限らずですが、子育てや介護など、いろんなライフイベントやキャリアステージが変わっていく中で、いろんな働きかたを行ったり来たりして、その時一番良い働きかたを選べるというのが大事なんじゃないかなと思っています。

その時に力があると自由になれるので、自分になにができるんだろうというわかりやすいスキルとか、特技とか、好きっていう情熱とか、そういうものを持っていることがすごく大事だと思っています。

Rethink Creatorという、これまでにないものを新しく作って、それを発信できる力、可視化できる力があるということは、非常にその後の働き方の選択肢も広がっていくということにもなりますので、すごい良いんじゃないかなと思っています。

司会者:ありがとうございます。リシンクとクリエイトについて、特別審査員のみなさまのお考えをおうかがいしてまいりました。Rethink Creator PROJECTでは、得た学びを実践する機会として、ビデオ講義を受講したかた全員が参加できるRethink Creatorコンテストを開催します。

コンテストのテーマは2つです。1つはあなたが暮らす地域をリシンクして、その地域の魅力を今までにない切り口でアピールする、Rethink Creator賞です。もう1つはタバコを吸わない人のために取り組んでいるJT Rethink PROJECTの企業広告を、参加者自身の思いや体験をリシンクして作るJT Rethink賞です。

日常の身近なテーマを題材に新しい視点、発想で考えたアイディアや、そのアイディアが魅力的に伝わるクリエイティブを作成していただきます。そんなRethink Creatorコンテストの各賞に関するテーマについて、これより詳しくお話してまいりたいと思います。

まずはJT Rethink賞についてご紹介してまいります。クリエイターズマッチの羽室さん、よろしくお願いします。

全国の拠点を代表する4名のRethink Creator

羽室氏(以下、羽室):たびたびすみません。今回は学びがテーマのコンテストなので、例えばこういうのを作ろうというものをお見せしようと思って、いくつか作ってきました。まずはJTさんのJT Rethink賞のほうの作例からお見せします。例えば、JT Rethink賞は、(たばこを)吸わない方のために始めているJT Rethink PROJECTのポスターなので、ぜひ切り口から考えていただければと思います。

例えば吸わない人のために、においがないたばこで夫婦の距離がもっと近づくんじゃないかなという切り口で考えた時に、夫婦の距離にはいろんな近づきかたがあって、夫婦からにおいを取ると、そこに生まれてくるのは笑いたり、和みだったり、もしかしたら会話だったり(するかもしれない)、という感じです。

もっともっと良いポスターがあると思うんですけど、あくまで参考としてテーマをみなさん理解していただこうと思って、あくまで参考として作らせていただきました。じゃあ次に行きましょう。

司会者:では続いてRethink Creator賞についてご紹介いたします。こちらの賞のテーマはあなたが暮らす地域をリシンクして、その地域の魅力を今までにない切り口でアピールすることです。本日は全国各拠点を代表するRethink Creatorのみなさまにお越しいただいています。せっかくなのでそのRethink Creatorのアイディアをご紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

羽室:4点作っていただいたんですけど、きょうは時間の関係で最後の1点をみなさんにご講評いただきたいです。ただせっかく素晴らしいものを今日来てくれた方みなさん作ってくれたので、簡単にご紹介します。

1番始めは仙台のクリエーターの大久さんが作ってくださった、仙台の丼もののポスターです。大久さんありがとうございます。

(会場拍手)

羽室:2枚目は鳥取のクリエーターの細田さんが作ってくださったポスターです。自分が全面に露出してですね、「たべものがおいしくて痩せれません」という訴求でございます。細田さんありがとうございます。

(会場拍手)

羽室:3点目は、今日来ていただいている、渡邉綾佳さんという方の作品です。ご自身ではなく旦那さんの実家が山形で、ローカルに対する気づきがあったことがきっかけで、山形のことを知ってほしいという思いで(作られた)ポスターでございます。渡邉さんありがとうございます。

(会場拍手)

羽室:ここでみなさんにぜひコメントをいただきたいなと思っております。沖縄の前山田留美さんの作品になります。とてもいい作品だと思っていますので、前山田さんから簡単に作品のアイディアのご説明をいただいて、審査員の方々にコメントをいただきましょう。

本州の人々が沖縄に抱く疑問に着目

司会者:前山田さんどうぞステージのほうへご登壇ください。どうぞよろしくお願いいたします。

前山田留美氏(以下、前山田):よろしくお願いします。

司会者:簡単に自己紹介をお願いいたします。

前山田:移住12年目で沖縄から来た前山田と申します。よろしくお願いいたします。

司会者:作品のポイントや、テーマなどを教えてください。

前山田:そうですね、沖縄のイメージは楽園(というように)、ちょっと幻想を抱いているところが多いと思うんですね。移住者で来てだいたい2年で帰るというのがセオリーになってしまっているのが、移住12年目の私としてはそこは違うんじゃないかって思って。

本州の人のことを「ナイチャー」と呼ぶこともあるんですけど、(大阪出身である)私の目線から見て、そのナイチャーの人たちがいつも不思議に思う疑問を今回、沖縄の不思議な名前で全部まとめていきました。

Rethink Creator PROJECTにおいて、リシンクというのは視点を変えるということなんですけど、単に変えるんじゃなくて、1回あるものを自分でしっかりとかみ砕いてから視点を変えるということをやってみようと思いました。

ほんとに来て10分くらいで(登壇することを)言われたので、なにを言ったら良いのかぜんぜんわからないんですけど(笑)。

西野:(笑)。

前山田:なにか逆に(ありますか)……。

司会者:特別審査員のみなさまから1人ずつコメントしつつ、質問もしていただけたらと思います。では、鯨本さんいかがですか?

鯨本:私も実は「ヤマトヨメ」で沖縄に夫がいます。沖縄出身の夫のところに嫁いで、本名はタワタといいます。沖縄の人って苗字を言ったら「あー島の人ね」ってわかるんですよね。もっと言えば宮古の苗字とか、石垣の苗字とか、島によって苗字があります。

このあたりは、やっぱり行かないとわからないんですけれども、住み始めると、とってもおもしろいですよね。

あえてぶつかってみたくなる、沖縄移住の壁

前山田:そうですね、おもしろいですね。読めないですけどね。

鯨本:なので最初はなにかな? て思うんですけれども、これは「移住定住……島に住みませんか?」みたいなポスターですよね? 

前山田:そうですね、移住の人が直面する壁という感じです。

鯨本:その壁に触れてみたいな、おもしろそうだなと感じます。行ってみればわかるという壁が、とても魅力的に見えていいなと思いました。

前山田:ありがとうございます。

司会者:では西野さん。お願いいたします。

西野:すごくいいと思います。言ってしまえば今さらですけど、みんなスマホ持っているし、TwitterもFacebookもInstagramもなんやかんやするし、情報をみんなが発信できるようになったんで、やっぱりニュースを出すより、ニュースになるほうが価値がある、となってきた時に、ポスターも同じように「いいでしょ」とか青い海でバーンとかやられても、こっちがもうシェアしないんです。

「知ったこっちゃねー」って思っちゃうんです。これだったらおもしろいので写真撮って広めたくなる。一般の方や僕みたいなのを記者として使えるから、むちゃくちゃ良いと思います。こういうのすごく良いと思います。最高です。

前山田:ありがとうございます。

司会者:ありがとうございます。では平田さんお願いいたします。

平田:すごいインパクトで最初なんの広告なんだろうというハテナが浮かんで、よくよく読んでしまうというキャッチーさが素晴らしいなと思いました。すごく下のほうに小っちゃい字で「台風の時はユニオンの営業も気にします」ってあるんですけど、このあたりもユニオンってなんだろう? って思わず調べたくなっちゃうような、次のアクションにつながるポスターだなと思いました。

前山田:ありがとうございます。

司会者:ありがとうございます。では柳澤さんお願いします。

沖縄の魅力を「おもしろい名前」で伝える

柳澤:クリエイティブの審査ということなので、沖縄の魅力を伝えるには名前がおもしろいんじゃないかという着眼点は良いですよね。実際に読むと「コチンダ」とかなんだこれ(笑)。「ケダモリ」とか本当におもしろいですよね。

そこを全面に出すと、クリエイティブにもたぶんいろんな形があって、単純にその苗字のおっさんを全部並べただけでも十分おもしろいかなという気がします。さっきの作品の発表の中にもラインのやり取りの形を使用したものがありましたね。今のUIだとラインのやり取りになるんでしょうけど、これもラインのやりとりの文章を全部読まないと通じないですよね。

(ポスターを指しながら)ここがラインのUIとずれちゃっているから、最初ちょっと一瞬どうやって見ればいいのかな? と時間がかかる。名前がおもしろいという着眼点がすべてなので、もっとシンプルに伝えるってやり方でもいいんじゃないかなって思います。

審査の時には多少いいところの話になっちゃうので今言いました。本人を目の前にしてちょっと言いにくいんですけど(笑)。そういう感じです。

司会者:ありがとうございます。みなさんの感想を受けて、前山田さんいかがですか?

前山田:ありがとうございます、としか言えないです。私も前山田といって、父が石垣なので石垣性です。本当はヤマダなんですけど、石垣性となると先ほど言われたように、なにかが前とか後ろとかについて、三文字になって、(名前がわかると)「あっ」っていうふうに「八重山ねー」と言われます。

そういう会話でどんどんどんどんおじいおばあとかとも仲良くなっていって、溶け込めたらいいなという気持ちで構成しました。

柳澤:顔がすごくいいね。

前山田:ごめんなさいね、寝起きの顔は、だれもいなかったから、自分しかいなくて(笑)。

司会者:ありがとうございました。前山田さんには引き続き、新しい視点、発想で考えたアイディや、そのアイディアが魅力的に伝わるクリエイティブをどんどん発信していただきたいと思います。

前山田:はい。ありがとうございます。

司会者:ありがとうございました。

(会場 拍手)