早稲田の若き起業家たちと対談
司会者:まず簡単に自己紹介をお願いします。それぞれのビジネスの内容について紹介してください。今林広樹氏(以下、今林):今林広樹です。EAGLYSのCEO・創設者です。AI・セキュリティ関連のリサーチャーとして、AI・セキュリティのリサーチをしていました。AIの時代の技術であるデータセキュリティ、データテクノロジーを専門としています。
EAGLYSには3つキーワードがあります。1つがデータ、1つはAI、そしてセキュリティ、これが3つのキーワードです。これらの関係はなにかと言いますと、料理と同じだと思うんです。料理をするときに、データが野菜のような食材、そしてAIはそのレシピである作り方、セキュリティはお皿そのものです。
ですから、良い野菜や良いレシピがあれば、おいしい料理をすることができますけれども、お皿がなかったらどうでしょう? せっかくの料理が食べられない。床においても食べることはできない。そういう意味ではセキュリティが、このデータ・AIの時代においては非常に重要です。まさにインフラです。
EAGLYSのビジョンは、企業がAIやデータサービスを安心して活用することができるインターネット空間を作ることです。EAGLYSとしては、そのセキュアなAIエンジンを提供し、それを使って企業はデータをセキュアに共有し、またAIモデルをクラウドにおいても安全にセキュアに運用できることを目指しています。
司会者:ありがとうございます。それでは質問をどうぞ。
潜在的なニーズ・問題にどう対応すればいいのか
今林:2問ほど質問を用意しました。今、私が会社経営において直面している問題なんですが、1つは、潜在的なニーズについてです。私の今のビジネスは非常にテクノロジー志向なんですが、短期的な問題を解決するよりも、AIの次世代に絡む長期的な問題を解決したいと考えています。
そして、データ・セキュアなAIということで、それが次のAIのモデルになると思います。いわゆるAIカンパニーの多くは今、データをクラウドにあげています。企業はそのデータをクラウドから使うことになります。ですから、そのセキュリティを確保しなければいけないんです。しかし、今、必ずしも認識されていないのは、そのデータのセキュリティです。まずみんなAIをどう作るかに集中しています。
お尋ねしたいのは、アリババは、初期の段階ではインターネットそのものが知られていなくて、人々の批判も受けたと思います。今、私はこれからやることに、いわば批判の目を感じています。
顕在化していない潜在的なニーズ・問題にどう対応すればいいのでしょうか? 一番いいのは顕在化している問題を解決すればいいんですけれども、そうではなくて、潜在的なニーズになにかソリューションを出すことへの批判に対して、どう対応すればいいのでしょうか?
ジャック・マー氏(以下、ジャック):ありがとうございます。
(会場拍手)
まず、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。早稲田大学のことは、私は小さい頃から日本のテレビなどを観て、絶えず耳にしておりました。たいへん光栄です。今回、この場を設けていただいたことに感謝いたします。
そして、このすばらしい3人の考え方と夢に、私はたいへん感動を覚えています。
3つの「Q」が必要である
ジャック:最初に、大きな課題がチャレンジとしてあると思います。普通は、すばらしい考えやアイデアを持った人たちは、学問にむしろ邁進したいと思い、起業家にはまずならないでしょう。起業家になるような人は学校の成績がよくない方かもしれません。
(会場笑)
ですので、学業に励んで、学位・修士・博士を取り、成績優秀であれば、大企業に勤めることはたやすいことかもしれません。我々のような者といいますか、私どもは本当に自前の起業家です。もうほかに雇い手がなかったので起業するしかなかったということです。
(会場笑)
私が思っているのは、IQ、EQ(Emotional Intelligence Quotient、心の指数)、それからLQ(Love Quotient、愛の指数)が必要です。