2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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太下義之氏(以下、太下):実はさっき紹介した東京都の文化のビジョンについても、『東京文化ビジョン』という立派な冊子があるのですね。今日の(太下氏が出席した)会議でも配られたのですけど。
これ実は、舛添さんが都知事のときにつくられていて、これは第何版かなんですけど、当然初版のときには舛添さんの写真が一面に出てるんですけど、今はないわけです。
とりあえず舛添さんの写真とお言葉だけ抜いて増刷してるんですけど、これはずっと生き残るわけですよ。行政は、これをやめるってことができないんですね。だけどNPOは、すぐやめることができますよね。
これちょっと違うなと思ったら、身軽にというか、軽やかに方向転換できるわけですし。そこに非常に新しいポテンシャルがあるんじゃないかなという気もしました。高橋さん、いかがでしょう。
高橋俊宏氏(以下、高橋):そうですね。僕はシンプルに、課題はもちろんあるんですけど、その課題に対してやりたいかどうかだと思うんですよね。やりたいっていうことは、当事者の人たちが楽しさを見つけたりとか、やり甲斐を感じたりとかだと思うんですよね。
なにかをやるときに方向転換はむずかしい、確かにそうですよね。でも僕たち、行政の方とお話するときに、僕たちはメディアなんでそこらへんのトライをしやすかったり。
「今回は〇〇市さんの“食”で打ち出していきましょう」とか、そういうところをしっかり深掘りして素敵にみせてあげたり。はたまた、「次は違うテーマにしましょう」とか。例えば、僕たちは京都府さんと本を1冊作ってまして、最初は『海の京都』っていう別冊をつくりました。丹後ですね。
京都府さんの課題としては、「天橋立という日本三景のひとつがあるのに、なかなか盛り上がってないのでそこをなんとかしたい」と。観光もそうなんですけど、やはり住んでる人たちに自信を与えたいというところで、僕たちは『海の京都』という別冊、まるまる一冊、本をつくってあげたんですね。
それも地域ブランド協会の方針とまったく同じなんですけど、それぞれテーマを決めながら、クリエイターの方々を丹後に、海の京都7市町村に派遣して。与謝野町だったら織物があるので、堀木エリ子さんという和紙作家の方を派遣するとか。
その道の分野のスペシャリストに行ってもらって、その人たちがいろいろ見つけてくれたり、さっき言ったみたいに褒めてくれるんですよね。「こんなに素晴らしい技術を持ってるんですね」みたいな。一線のクリエイターたちに褒められると、みなさん非常に喜んでくれて。
そんなことを1冊の本に収録したら、もちろん、今その本が観光的にもいろんな方に海の京都を知ってもらうというツールにもなってるんです。
なにより、地元の人たちが一番喜んでて。「1冊の本になった」「あのときにこんなところで褒めてくれたね」みたいなところで、これから海の京都という観光をやっていくうえで、ぶれたときにその本に立ち返る、みたいなものになってたり。
そうしたところが海の京都をやりまして、昨年度は「森の京都」という森の中間エリアをやって、今まさに「お茶の京都」というエリアに分けながら、課題というものに対してテーマを決めて、発信していくことを市民の方々とやっているかたちですね。
太下:ありがとうございました。天橋立って、日本三景のひとつですけど、たぶんどこにあるか知らない国民がけっこう多い三景の1つではないかと思うのです。京都というとみんな京都市のことを思って、日本海側にまで京都府が広がっていることを、たぶん知らない方が多いかもしれないですね。
高橋:でも実は日本海側の一番の大陸との玄関口なんで、歴史が京都の真ん中よりも深いというね。
太下:そういった意味で言うと、地元の方が連綿となんかやってきている、だけど地元の方は普通にそれをずっとやってきてるんで、意外とその価値に気づかない、ということが多いのですね。
そこによそ者の第三者が入っていって、「これすごいんじゃない」と言うと、「あれ、そうかな」と地元の人が思って、関わりの度合い、意識の度合いもまた変わってくる。第三者が関わることによって、シビックプライドが調整されていく動きっていうのが出てくるということですね。
高橋:そうです。
太下:たぶん地域では、そういうことはいろんな仕掛けってかなりありうると思うんですけど、例えば今日のディスカッションは渋谷という場所でやってるわけです。長谷部区長も来ていただいてということで、東京のど真ん中の渋谷っていうことで考えると、どうでしょうか。地方とはまたちょっと違うアプローチになっていくのでしょうか。
高橋:僕は同じだと思いますけどね。渋谷は渋谷で文化と歴史が同じようにありますから、そういったところが掘り下げた、見つけた価値が根源になると思います。
ただ、渋谷というと先ほど区長も言われてましたけども、渋谷という言葉が、世界の人みんなが知ってるというくらい日本の文化を代表する街でもあるんで、それを上手く使えると思いますし、シビックプライドの話で言いますと、それを上手く利用していけば僕はいいなと思います。
でも、さっきの明治神宮の森の話で、100年だっていう話はああそうか確かにな、と思いました。実は、僕のひいおじいちゃんも明治神宮の森に木を植えに行ってるんですよ。今日、ちょっと思い出しまして。
太下:明治神宮については意外と自然林と思ってる人も多いかもしれませんね。
高橋:そうですね、実は人工ですもんね。
太下:都市でのアプローチについて、渋谷でズンチャカをずっと取り組まれてきた立場で、佐藤さん。いかがでしょう。
佐藤雅樹氏(以下、佐藤):みなさんのお話も含めて、左京さんの場合はNPOという立場で渋谷の取り組みに関わり始めるときに、どうやったら持続的な渋谷での取り組みが、どんどん市民の力で継続的に展開できていくのかなと、一番最初に考えたんですね。
たぶん企業としてのヤマハだけではできないだろうと思ったんです。それで、真っ先に相談したのが左京さんだったということなんですけども、でも一方で、企業であったら利益を真っ先に考えてやることもできたかも知れないんですよ。ただ、そこはそのかたちでやったら1、2年できればいいのかな、と思ったんですね。
そう思うと、今日こうやって議論させてもらって、今日お越しのみなさん含めて、企業であったり組織に所属していても、本質的にはこういうことをやんなきゃいけないんじゃないかみたいな。
言葉はちょっと見つからないんですが、良心といいますか、あるいは日本という国の文化へ、なにか貢献しなきゃいけないという使命みたいなものとか。たぶん企業目線でいくと、そこは無駄なところなんですよね。
本来、やるべきなの? みたいなところなんですけど、でもそれがないと企業の取り組みもぜんぜん魅力的なものになっていかないということが、私どもがみなさんのお話を聞いていて、一番大事なところかなと。
佐藤:企業には所属してますけど、自分事でどう考えられるかを両方見ないと、本質的には持続的なもの、サステイナブルなものであったり、地域にちゃんと根ざしていけるようなものというのが満たせないんじゃないかなと。
村多さんとか高橋さんの取り組みも端で見させていただいてると、やっぱり自分が好きなところに対してのシンパシーがあって、そのモチベーションのもとに素晴らしいものが生まれてくるとか。高橋さんなんか海パンですよね。
高橋:海とか川が好きですね。出張先に行くと素晴らしい景色のところがあって、素晴らしい海や川があるんですね。それで僕、いつも出張で海パンを持っていって、隙があったら水に入る。記念的に入ると。
佐藤:茶化しましたけど、でも自分事で感じたり取り組むっていうところが、これからすごく大事なのかなと思ったりします。いかがですかね、答えになったでしょうか。
太下:でも、今日私が4名の方のプレゼンテーションを聞かせていただいて、みなさんなんか楽しそうだなっていうことはまず感じましたね。楽しそうなことをすごくやってらっしゃるなと。
昨今「働き方改革」とかいって、働く時間を減らそうと国はしてるじゃないですか。ちょっと話飛んじゃいますけど、僕はあれは変だなと思うんですよ。そんなにみんな働くのが嫌なのかって思うのですよね。
日本中のみなさんはそんなに嫌な仕事やってるんですか。もしそうだとすると、それはすごい不幸なことだなと思います。かたや、今日来たこの人たちはすごい楽しそうで、海パン持って出張に行ったりとかしているわけですよね。
高橋:仕事とプライベートの境目がないですよね。
太下:そういう楽しい領域にもっと人が参加してくる、そして楽しい仕事をやってる社会になるといいなと思って聞いておりました。
佐藤:今日お越しの自治体のみなさんも、企業をどんどん巻き込んでいただいたらいいんじゃないかなと。
企業に席を置いてる人間としては、もっともっと巻き込んでいただいて、その企業の中のこの人がどうここから変化していくのか、みたいなところも、逆の目線ではすごく大事なんじゃないかなと思うときがありますね。
太下:たまたまポニーキャニオンとヤマハさんという、誰でも知ってるような有名な企業の方、お2人に来ていただいてますけど、ご紹介いただいた内容がちょっと独特でしたよね。それがヤマハさんの事業なんですかと。
確かに関連はするかもしれないけど、それってすごく儲かるんですか、とか。すぐにはあんまり儲からないんじゃないかと思いますけど。
でも、たぶんヤマハとしても重要な投資というか、未来の投資をされてるんだろうなと思います。ポニーキャニオンさんも一緒だと思います。目先ですぐ儲かってるって感じはしなかったんですけど、でも大事なことだとご判断されてるんだろうなと。
そういうマインドのある企業さんを、行政も巻き込めるとすごくおもしろい展開が出て来るだろうし、そのときにNPO的な組織が、うまく両者の接着剤というか対話の中間に入ってくるのかなという気もして、お聞きしておりました。
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