「育ボスブートキャンプ」に参加した女性マネージャーの日常

──お二人の現在の仕事について教えていただけますか。受け入れ側の早川さんから、お願いします。

早川陽子氏(以下、早川): マリッジ&ファミリー事業本部の営業部長として、『ゼクシィ』メディアの営業を行っています。

今年の4月に新しくできた部を担当していて、営業マンに加えて、クリエイティブ・ディレクター、Web商品企画、編集、事業戦略など異なる職種が集っていて、30名ほどの部隊です。

──ありがとうございます。では体験者の中村さん、お願いします。

中村美喜氏(以下、中村):私は RMP(リクルートマーケティングパートナーズ)の採用をまとめている「採用グループ」で、新卒採用と中途採用の両方を見ています。

人事に来て4年になりますが、去年からマネージャーをさせてもらっていて、チームのメンバーは10人です。

上司は部下の人生とどう向き合うべき?

──今回の「育ボスブートキャンプ」に参加する前に、マネージャーとしての課題や悩みはありましたか?

中村:今回は「育ボス」ということで、ワーキングマザーやワーキングファザーの暮らしを体験するのですが、採用グループのメンバーには現在そういうメンバーは少ないので、正直「ワーママの気持ちがわからないな…」と常に課題感を感じていたということはありませんでした。

そんな中で、今回参加した理由は主に2つです。

1つは、いつか自分もこの会社でキャリアを積んでいくうえで、「家族を持ったり、子供ができたりすると何が変わるのかな?」と個人的に興味があったことです。

そして、実はこの企画に参加すると決めたあとに妊娠がわかったので、「ちょうどいいな」とも思いました(笑)。

もう1つは、やはりRMPのビジネス領域って、結婚・出産・教育といった家族や子どもに関わる領域なので、そこに対してこういう取り組みをしているのはすごく素敵だなと思いました。

それを自分で体感してみて、社内外に発信できる立場だなと思ったので、その感想を伝えていけるようにチャレンジしたいなというのが参加した動機です。

早川: 私はワーキングマザーとして6年間過ごし、その時々で変わっていく家庭と仕事の状況に対して、試行錯誤しながらやってきたので、自分自身の生産性は日々磨いていくものだというぐらいの感覚でした。

一方で、2016年4月に新しい部署の部長になったときに、全国に結婚式場を展開されているクライアントに「メディアで価値を返す」ということと、「新しいものをつくる」ということをやっていく部において、「組織として、あるいはメンバー個々人が生産性を上げていく働き方変革はどうやるといいんだろうな?」というのは、けっこう悩んでいました。

育児未経験者・働くママの期待と不安

──早川さんは育児体験の受け入れ側として、どんなことを期待されてましたか。

早川:前回「育ボスブートキャンプ」に参加した自分の部のマネージャーさんが、非常に成長されたんです。研修前までは、マネージャーとして、仕事の側面だけでメンバーに対峙していた彼女が、研修後は個の持ち味を理解し人として受け入れたうえで、個の力を伸ばそうとメンバーを育成していて、本当にマネジメントスキルが上がったのを見ていたので、すごく期待できるプログラムだなと思ってました。

──中村さんは、ご自身がお子さんがいない中での参加について、不安に思うことはありましたか。

中村:いや、なかったです。本当に(笑)。楽しそうだなと思って……。強いて言えば、「不安がないということは、見えてないことがすごく多いのかな?」とは思いました。

私はライフイベントと自分のキャリアで悩むということがよくわからなくて、「自分のやりよう次第じゃないのかな?」とか「あんまり男性・女性とか、ママ・ママ以外みたいに区切って語るのは好きじゃないな」とこれまでは思っていました。

でも他の方々からは「うちの事業部にはワーママの組織長がいないから、ここで子育てしながら働ける気がしなくて不安」という声が聞こえてきてたり。

「そういう声が上がるということは、当事者にしかわからない何かがあるのかな?」と、不安というか疑問をもって参加していましたね。

初日からプロレスごっこ…戸惑いながらの育児体験

──実際に体験された「育ボスブートキャンプ」のプログラムと初日の感想を教えてください。

中村:全4回で、17時に退社するところからスタートします。早川さんの自宅の最寄り駅まで行って、ペアの男性マネージャーと待ち合わせをして、下の子を迎えに行って、お家に帰ります。

お家では晩ごはんを作って、遊んだり、宿題をしたりして、お風呂に入ってもらいます。その後お母さん(早川さん)が帰って来て、振り返りをして21時半頃に終わる4〜5時間のプログラムでした。

初日の感想は……すごく疲れました(笑)。お兄ちゃんが6歳で、妹が3歳なんですけど、むちゃくちゃ体力を消費する遊び方でした。最初は「絵本を読んだり、お絵かきとかするのかな?」と思ったら、プロレスごっこという感じで(笑)。良くも悪くも事前に「子育てってこういうものだろうな」という想定がなかったので単純にすごく楽しかったです。

ただ、「ご飯ってどのぐらいの量を食べるんだろう?」とか、「お風呂に入る時間がずれちゃったけど、人の家の子供だし、どこまで怒ったりすればいいのかな?」とか。

そういうちょっとした戸惑いだったり、子どもの生活と自分の1人暮らしの生活が違いすぎて、どこまでちゃんとしてあげて、どこまでは彼らの主体性に任せてやらせてあげたほうがいいかは迷うところがありました。

早川:なんだか、本当にうちの子は落ち着きがなくて。良く言えば元気だし、悪く言えば乱暴というか、やんちゃな……(笑)。そんな自分の子どもを預かってもらうのって、心配な面とか、相手に対して気を遣う面がすごくあるかと思ったんですけど。

そういう子どもなので、一番心配したのは、中村さんが妊娠していることでした。1日目の振り返りの日に妊娠の話を聞いて、「やばい!」って思いましたね(笑)。「絶対キックはダメだよ!」という話をそのあと息子にした記憶があります。

亀以外に感じた“無償の愛” 独身エンジニア男性の気づき

──育児体験中の印象的なエピソードはありますか。

早川:人事(中村さん)とエンジニア(ペアで参加していた男性マネージャー)の組み合わせっておもしろかったよね(笑)。

中村:(笑)。

早川:今回、育児においてエンジニアの方の志向性を感じました。「なるほど、そういうふうに物事を考えるし、マネジメント課題も違うんだな」と。

子どもへの接し方は普段どおりなんだけど、振り返りで話すことや、営業マネージャーが持っている悩みや課題感とちょっと違うんだなというのを感じました。

中村:職人的というか……。愛情はすごく持ってるんですけど、対象としての興味・関心がすごくあって。私もおもしろいなと思ってました。

早川:うちは息子(兄)と娘(妹)がいて、兄が先に動くと妹も合わせて動きにのってくるんですよね。「子供たちが『イヤイヤ』言うときは、やっぱり兄をノせたほうがいいということがわかった」と。「AとBをやるときには、Aを先にやらせてBをこうやる」みたいな方程式で振り返ってくださり、「なるほど、そう見るんだ」みたいな(笑)。

中村:そのエンジニアの方と2人で振り返りをやったときに、すごい真面目な顔で「変な話、亀飼ってるんですけど……」と言い始めて、「亀以外の生き物に初めて無償の愛を感じました」とか、「なに言ってるのかな?」と不思議に思ってたんですけど(笑)。

彼曰く「(子どもは)直接的な利益やすばらしい知識を与えてくれる対象ではないじゃないですか? でも、居ることで何か得られるものがあったり、与えたいと思わせる対象って不思議ですね」と(笑)。独特でおもしろい感想だなと思いました。