2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
早川陽子氏・中村美喜氏(全1記事)
提供:株式会社リクルートホールディングス
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──お二人の現在の仕事について教えていただけますか。受け入れ側の早川さんから、お願いします。
早川陽子氏(以下、早川): マリッジ&ファミリー事業本部の営業部長として、『ゼクシィ』メディアの営業を行っています。
今年の4月に新しくできた部を担当していて、営業マンに加えて、クリエイティブ・ディレクター、Web商品企画、編集、事業戦略など異なる職種が集っていて、30名ほどの部隊です。
──ありがとうございます。では体験者の中村さん、お願いします。
中村美喜氏(以下、中村):私は RMP(リクルートマーケティングパートナーズ)の採用をまとめている「採用グループ」で、新卒採用と中途採用の両方を見ています。
人事に来て4年になりますが、去年からマネージャーをさせてもらっていて、チームのメンバーは10人です。
──今回の「育ボスブートキャンプ」に参加する前に、マネージャーとしての課題や悩みはありましたか?
中村:今回は「育ボス」ということで、ワーキングマザーやワーキングファザーの暮らしを体験するのですが、採用グループのメンバーには現在そういうメンバーは少ないので、正直「ワーママの気持ちがわからないな…」と常に課題感を感じていたということはありませんでした。
そんな中で、今回参加した理由は主に2つです。
1つは、いつか自分もこの会社でキャリアを積んでいくうえで、「家族を持ったり、子供ができたりすると何が変わるのかな?」と個人的に興味があったことです。
そして、実はこの企画に参加すると決めたあとに妊娠がわかったので、「ちょうどいいな」とも思いました(笑)。
もう1つは、やはりRMPのビジネス領域って、結婚・出産・教育といった家族や子どもに関わる領域なので、そこに対してこういう取り組みをしているのはすごく素敵だなと思いました。
それを自分で体感してみて、社内外に発信できる立場だなと思ったので、その感想を伝えていけるようにチャレンジしたいなというのが参加した動機です。
早川: 私はワーキングマザーとして6年間過ごし、その時々で変わっていく家庭と仕事の状況に対して、試行錯誤しながらやってきたので、自分自身の生産性は日々磨いていくものだというぐらいの感覚でした。
一方で、2016年4月に新しい部署の部長になったときに、全国に結婚式場を展開されているクライアントに「メディアで価値を返す」ということと、「新しいものをつくる」ということをやっていく部において、「組織として、あるいはメンバー個々人が生産性を上げていく働き方変革はどうやるといいんだろうな?」というのは、けっこう悩んでいました。
──早川さんは育児体験の受け入れ側として、どんなことを期待されてましたか。
早川:前回「育ボスブートキャンプ」に参加した自分の部のマネージャーさんが、非常に成長されたんです。研修前までは、マネージャーとして、仕事の側面だけでメンバーに対峙していた彼女が、研修後は個の持ち味を理解し人として受け入れたうえで、個の力を伸ばそうとメンバーを育成していて、本当にマネジメントスキルが上がったのを見ていたので、すごく期待できるプログラムだなと思ってました。
──中村さんは、ご自身がお子さんがいない中での参加について、不安に思うことはありましたか。
中村:いや、なかったです。本当に(笑)。楽しそうだなと思って……。強いて言えば、「不安がないということは、見えてないことがすごく多いのかな?」とは思いました。
私はライフイベントと自分のキャリアで悩むということがよくわからなくて、「自分のやりよう次第じゃないのかな?」とか「あんまり男性・女性とか、ママ・ママ以外みたいに区切って語るのは好きじゃないな」とこれまでは思っていました。
でも他の方々からは「うちの事業部にはワーママの組織長がいないから、ここで子育てしながら働ける気がしなくて不安」という声が聞こえてきてたり。
「そういう声が上がるということは、当事者にしかわからない何かがあるのかな?」と、不安というか疑問をもって参加していましたね。
──実際に体験された「育ボスブートキャンプ」のプログラムと初日の感想を教えてください。
中村:全4回で、17時に退社するところからスタートします。早川さんの自宅の最寄り駅まで行って、ペアの男性マネージャーと待ち合わせをして、下の子を迎えに行って、お家に帰ります。
お家では晩ごはんを作って、遊んだり、宿題をしたりして、お風呂に入ってもらいます。その後お母さん(早川さん)が帰って来て、振り返りをして21時半頃に終わる4〜5時間のプログラムでした。
初日の感想は……すごく疲れました(笑)。お兄ちゃんが6歳で、妹が3歳なんですけど、むちゃくちゃ体力を消費する遊び方でした。最初は「絵本を読んだり、お絵かきとかするのかな?」と思ったら、プロレスごっこという感じで(笑)。良くも悪くも事前に「子育てってこういうものだろうな」という想定がなかったので単純にすごく楽しかったです。
ただ、「ご飯ってどのぐらいの量を食べるんだろう?」とか、「お風呂に入る時間がずれちゃったけど、人の家の子供だし、どこまで怒ったりすればいいのかな?」とか。
そういうちょっとした戸惑いだったり、子どもの生活と自分の1人暮らしの生活が違いすぎて、どこまでちゃんとしてあげて、どこまでは彼らの主体性に任せてやらせてあげたほうがいいかは迷うところがありました。
早川:なんだか、本当にうちの子は落ち着きがなくて。良く言えば元気だし、悪く言えば乱暴というか、やんちゃな……(笑)。そんな自分の子どもを預かってもらうのって、心配な面とか、相手に対して気を遣う面がすごくあるかと思ったんですけど。
そういう子どもなので、一番心配したのは、中村さんが妊娠していることでした。1日目の振り返りの日に妊娠の話を聞いて、「やばい!」って思いましたね(笑)。「絶対キックはダメだよ!」という話をそのあと息子にした記憶があります。
──育児体験中の印象的なエピソードはありますか。
早川:人事(中村さん)とエンジニア(ペアで参加していた男性マネージャー)の組み合わせっておもしろかったよね(笑)。
中村:(笑)。
早川:今回、育児においてエンジニアの方の志向性を感じました。「なるほど、そういうふうに物事を考えるし、マネジメント課題も違うんだな」と。
子どもへの接し方は普段どおりなんだけど、振り返りで話すことや、営業マネージャーが持っている悩みや課題感とちょっと違うんだなというのを感じました。
中村:職人的というか……。愛情はすごく持ってるんですけど、対象としての興味・関心がすごくあって。私もおもしろいなと思ってました。
早川:うちは息子(兄)と娘(妹)がいて、兄が先に動くと妹も合わせて動きにのってくるんですよね。「子供たちが『イヤイヤ』言うときは、やっぱり兄をノせたほうがいいということがわかった」と。「AとBをやるときには、Aを先にやらせてBをこうやる」みたいな方程式で振り返ってくださり、「なるほど、そう見るんだ」みたいな(笑)。
中村:そのエンジニアの方と2人で振り返りをやったときに、すごい真面目な顔で「変な話、亀飼ってるんですけど……」と言い始めて、「亀以外の生き物に初めて無償の愛を感じました」とか、「なに言ってるのかな?」と不思議に思ってたんですけど(笑)。
彼曰く「(子どもは)直接的な利益やすばらしい知識を与えてくれる対象ではないじゃないですか? でも、居ることで何か得られるものがあったり、与えたいと思わせる対象って不思議ですね」と(笑)。独特でおもしろい感想だなと思いました。
──育児体験中に工夫された働き方はどんなことですか。
中村:この1年でうちの会社では働き方変革が進んで、もともと19時ぐらいには帰れていて、「3〜4年前にやるよりもギャップは少なかったな」と思ったのが、正直な感想でした。
でも、「(子どものお迎えで)17時に帰る」という制約がある中で、3〜4回目の育児体験で会社を出ようと思った直前のミーティングでメンバーの仕事がちょっとうまくいかなくて、本来だったらそのまま30分ほどフィードバックをして、一緒に棚卸しして、すっきりするまで付き合いたいと思っていたところを、ちょっとうしろ髪を引かれながら会社を出たことがありました。
「17時に帰る」と決めていたことで、自分の仕事にものすごいしわ寄せがきたというよりは、1人の時はできていた臨機応変な対応ができなくなるとか。
この生活が毎日続くのであれば、メンバーに気持ちよく働いてもらったり、早く帰ってもらったり、やってほしい時間までにちゃんとやってもらうために、指示を出すタイミングやサポートの仕方をもっと考えなきゃいけないんだなとすごく感じました。
──全部で4回育児体験をされて、ご自身にどんな変化がありましたか。
中村:例えば1ヶ月毎日やるのと飛び石で4日やるのはぜんぜん違うので、1回1回で感じていることが育児のすべてだとは思わないのですが、最初は気を遣って「ニコニコしてなきゃな」「いいお姉さんにならなきゃ」とか思ってたんですけど、時間が経つにつれ「うるさいよ!」って素で怒り始めたりとか(笑)。
生活していくと、かわいいけど腹が立つこともあるし、面倒くさいなと思うこともあるけど、「ご飯おいしい」って言われて救われることもあります。
世の中や会社で「ワーママ」という単語はけっこう負の側面がフォーカスされやすいと感じてますが、「大変だね」ということだけじゃなくて、「子どもがいるからこそ得られる幸せもあるんだな」ということを今回の参加を通じて感じられるようになりました。
子どもたちがちょっとずつ心を開いてくれたり、顔と名前を覚えてくれて、話ができるようになると、私のところにいるメンバーと目の前の6歳の男の子ってなにも変わらないなと感じて(笑)。
語彙力とかが違うだけで、同じように1人の人間だし、やっぱりうれしいことがあったらがんばれるとか、ちゃんと目を見て「こう思ってるよ」と言ったら、伝わって反省してくれてたりとか、こっちが信頼をすると向こうも信頼をしてくれるとか、「人と人のつながりなんだな」と感じました。「大人」とか「子ども」じゃなくて、そういうのは人として同じなんだなと気づきましたね。
今回は育児を体験するプログラムだったんですけど、日常に戻ってきたときに、仕事だけじゃなくて、一緒に働くメンバーを取り囲むいろんな環境とか背景まで思いやった上で、その人の成長を期待していけるかということが、マネジメントをする立場として求められるんだなと思いました。
こういう気持ちを感じる人たちが少しずつ増えていくと、会社はやっぱり変わっていくし、その起点として、マネージャーや組織を見ている役割を持つ人たちから変わっていくといいんだろうなと感じました。
──今回のプログラムを受けて、実際に職場に活かせるアクションはどんなことですか。
中村:初めは、「生産性上げよう」「働き方変革しよう」って言われてること自体に「そうだね、賛成です」程度の気持ちだったんですけど(笑)。
いろんな制約がある人たちも、仕事以外の時間を充実させたり、後悔しない生き方をしてもらうために、無駄なことを省く必要があるという意味で、生産性を上げていく働き方に変えることの腹落ち感がすごく増しました。
なので、「個人個人が生産性を上げていってくれたらいいな」と感じていたところから、「それをサポートできる仕組みがあればちゃんと作っていきたいな」とか「組織として無駄を省いていきたいな」という危機感をすごく感じるようになりました。
他のGMさんがやってるアイデアを自分のグループで実践してみたり、会議の時間などは「本当にそれ削れないんだっけ?」とか、メンバーの指示の出し方とか、日々の細かい部分を変えていっているというのが1つあります。
もう1つは、やっぱりいろんな人の人生や生活を知るだけでも、すごく視点が広がるなということを感じて、他のマネージャーさんの育ボスブートキャンプの体験日報をメンバーに共有したり、「昨日早川さんの子どもとこういう話したんだよ」とか「昨日こういうゲームしたんだよ」と、自分が仕事以外の時間で何をしているかとか、そこで感じたことの自己開示の機会を意図的に増やすようになりました。
仕事の話に終始するよりもその人の理解やお互いの信頼関係が深まったりするので、今後もそういう会話を増やしていきたいと思います。
私は「自分の私生活に誰も興味ないでしょう」と思って仕事の話しかしないので、わりとメンバーに「ドライですね」とか言われてたんですけど、 妊娠したということもあって、「体調悪くて、これしか食べれないんだけど」とか、ちょっと弱気なことも含めて言ってみると、「実は私も最近……」とか悩みを言ってもらえて。
こちらから心を開くと、言えなかったことが言えたり、それで心の突っかかりが取れて仕事にもドライブかかったり、自分の関わり方次第でメンバーのやりやすさが変わるかもしれないなという兆しもすごく感じました。
──ご自身がワーキングマザーになった時の不安はとくにないですか?
中村:ないですね。生まれたらみんなにうちで育ボスブートキャンプさせたいくらい(笑)。「日替わりでベビーシッターに来てくれ」と言って。
──すばらしいですね(笑)。早川さんは、受け入れ側のママとして、体験されてない方に伝えたいことやご自身の職場で変えていきたいことはありますか。
早川:今の職場では、自分のお父さまやお母さまがご病気になられて、ちょっと遠方にお住まいだから通い看護をしたいとか、婚活・妊活や、同じママであっても、旦那さんの帰宅が遅い・遅くないとか、お子さんの年齢や個性も異なるし、旦那さんの転勤があるかもしれないとか、個々の事情がぜんぜん違うんですよね。
「ママ」ってついてると目立つんですけれども、独身のメンバーであろうがなんであろうが、みんなそれぞれの人生を持っているので。
彼らが自分の人生を大事にするために、会社を去るという決断をしなくてもいいように、「どうやったらできるかな?」ということをまずは個人が考えて、それを上司や周りの人がサポートできるような環境づくりをしていきたいなと思っています。
まずは「個々人が何を大事にしたいのか?」を考えて、仕事での成長も実現しながら、個々の大事にしたいことを実現したいならば、やっぱり個人で変えられる生産性は努力しようよとメンバーに要望しています。
一方で、人の配置とか人事上のルールのように、会社として個々人の多様性が活きるような働き方変革の土台作りの必要性も痛感しました。なので、個の意識と組織としてのルール・制度・人材配置に取り組んでいきたいなと思いました。
株式会社リクルートホールディングス
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