日米の資金調達の違い

松本真尚氏(以下、松本):松本と申します。 もともとIVSさんからいただいたテーマが、「日米の資金調達の違いも含めて」というお話でした。

小泉さんのところも、鈴木さんのところも海外展開されていらっしゃると思うので、まず簡単に日米の違いをご説明させていただいてから、みなさんのお話を聞こうかなと思っております。

リスクマネーの話なんですが、これ1つで見ていただいたらわかると思いますけど、要はベンチャーキャピタルの投資額として52倍の差が出ていると。

エンジェル投資も年間2兆円を超えるという話ですので、リスクマネーの供給量が69倍以上あると。

リスクマネーの供給が69倍あるということは、単純ですけど、69倍挑戦できるということです。そういう意味で言うと、日本とアメリカはまだまだ大きな差があるんじゃないかなと思っています。

こちらが投資額のGDP対比。

見ていただいたらわかりますけど、一番左にアメリカがあって、日本が4つ目ですかね。日本は点線で囲ってますが、0.02パーセントしか投資という部分で日本のお金が流れてないと。

これを考えましても、何度も同じ話になりますが、日本自身はもうちょっとここに対して、政府含め、大企業含め、投資をしていくべきなんじゃないかなと個人的には思っております。

数字で見る日米企業の時価総額

大企業含めてという話があったので1つ、わかりやすいかどうかわかりませんが、数字を見ていただければと思います。これはちょっと数字が古くて、今年(2015年)の6月の数字なので、ピッタリ参考になるかどうかはわかりませんが。

(スライドの)左にあるのが、シリコンバレーで2000年以降に作られたベンチャーの時価総額の合計です。

右が日本のIT系の上場している会社(の時価総額)をすべて合算した数字になります。アメリカはたかだが15年ぐらいですし、日本はもうちょっと前から、上場会社含めて全部合算しているという状況になります。

これをもうちょっと近い数字でないかなと思って探して、2009年以降の(アメリカの)上場の会社と、日本のすべての上場の会社の比較をして、この15兆円vs12兆円というような差が……差というか、限りなく近い数字がこれぐらいになるのかなと思っております。

このへん、ちょっと悲しくなるんですが(笑)。Apple1社で91兆円と。日本はヤフーから楽天から、そうそうたる企業すべてを足して12兆円という状況になってます。

91兆円のところと日本を比較しようと思って探したんですが、日本の時価総額上位10社を足してみました。そうすると、106兆円なんですよね。Apple1社で91兆円と。1対10社の差でも、時価総額としてはこれぐらいの差しかないという状況です。

いわゆるシリコンバレーベンチャーと言われる、99年以降の創業したベンチャーだけを足すとどんな感じなんだというと。こちら166兆円vs106兆円というかたちです。

日本はそれこそトヨタさんからNTTさんからすべて足しても、シリコンバレーのベンチャーには、時価総額という点だけでは敵っていないという状況になってます。

Squareは上場してしまったので、ここから1社引いておかないといけませんが、トヨタさんの時価総額がこの時点では28兆円でした。

左にある未上場のベンチャーが29兆円の時価総額があるというような状況になってますので、ここにたぶんメルカリが入ったり、スマートニュースが入ったりするんでしょうけど、まだまだ日本とアメリカの差というのは大きいのかなと思っています。

日本の大企業・スタートアップの課題

もう1つは、IPOだけじゃなくて、シリコンバレーでよく起きているのはたぶんM&Aだと思います。このM&Aですが、代表的な企業数社を並べてみました。167から始まる真ん中の数字は買収した会社数です。一番右にあるのがディールサイズです。

例えばFacebookは上場もつい最近(2012年)だと思います。ですが、すでに53社のM&Aを繰り返していたりとか。AppleはM&Aをあんまりしないと言いながらも、すでに68社のM&Aを繰り返していると。

そういう意味で言いますと、日本のIT系のベンチャーしかり、大企業も、このへんがもっともっと活性化することによって、資金の流入がもっと増えてくるんじゃないかと思っております。

このへんをちょっと見てみると、この全部この10年にできたサービスがあるんですが、これはすべてシリコンバレーで起きています。

今後10年で存在するであろうというベンチャーも、悲しいかな、日本のベンチャーで数社チャレンジしてる会社はあっても、日本でこのへんの大きな取り組みに挑戦していこうというベンチャーは少ないというのが、先ほどの時価総額のお話の部分にも、ある程度現れてくるんじゃないかなと思っています。

優秀な学生はまず霞ヶ関? 日本におけるベンチャーの位置づけ

ここから、日本のベンチャーの事情の部分、みなさんのご意見を聞きたいなと思うんですけど。僕自身は、やはりリスクマネーがアメリカと比べてまだまだ足りないなと感じています。

スケールも先ほど言ったように、宇宙のビジネスだったり自動運転。日本のベンチャーもいくつか現れてはいますが、前年ながらスケールの違いというのはあるんじゃないかなと思いますし。

大企業の間に経つ壁というのが、さっきのM&Aですね。ベンチャーの製品を大企業が買って、そのお金がさらにまたベンチャーに流れていくというストーリーに日本はまだなっていないんじゃないかなと思いますし。

こちらにいらっしゃるみなさん……鈴木さんは東大でしたっけ? アメリカですと、スタンフォードの優秀な学生がそのままベンチャーに行ってるというのが多いと思いますが、日本は残念ながらまず霞ヶ関にいく方が多いような気がします。

個人的に、日本のベンチャーというのは位置としてはそんなに高いところにはないという状況になっているのかなと思っています。

とはいえ変化はしてきていると思っていて。僕は「日本には世界でも有数なベンチャーサポートがあるな」と思っています。政府は非常にベンチャーを応援しているような気もしますし。

最近CVCが非常に増えてきて、いわゆる大企業のお金をベンチャーに流していこうというような方針・方向には流れてきているのかなと思っています。

M&Aも、見ていただいたらわかると思いますけど、楽天さん、ソフトバンク、NTT等々、活発化してきていると。

ただ、大きなM&Aとなると、日本企業はなかなか入ってこないというちょっと悲しい状況もあるので、日本のベンチャーの市場も、資金流入という部分で言うと、M&Aというのはもっと活発化していくべきなのかなと思っております。

調達額50億超え、日本発・大型ベンチャーの台頭

ごめんなさい、これは数字が古かったので、ここからみなさんに振らないといけないことになるんですけど。

日本も大型ベンチャーが増えてきて、いわゆるラストファイナンスが、下手すると上場するよりも集めていらっしゃる会社が日本にもたくさん増えてきて。この数字はたぶん全部変わって、調達額で言うとたしか東後さんのところが……。

東後澄人氏(以下、東後):累計で52億ですね。

松本:鈴木さんのところは?

鈴木健氏(以下、鈴木):52億ですね。

松本:小泉さんのところは?

小泉文明氏(以下、小泉):42億。あと10億円足りないんですよ。だからWiLからもらおうと思ってます(笑)。

松本:なんですけど、本当に50億円超のベンチャーがどんどん増えてきたというのは、日本にとっても明るい兆しなんじゃないかなと思ってますので。

このへんの数字を頭に入れたうえで、みなさんのお話を今から聞いていけたらいいかなと思っています。