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イベントから見るインバウンド、地方再生(全4記事)

“誰も悪口を言わない”イベント 東京ガールズコレクションの地方版「TGC」に熱視線 

2015年11月に行なわれた「もしもしにっぽんフェスティバル」と、日本のエンターテインメントの明日を発信するトークセッションイベント「THE BIG PARADE」がコラボレーション。「イベントから見るインバウンド、地方再生」と題し、アソビシステムの中川悠介氏、F1メディア(現:W media)の村上範義氏、ドワンゴの横澤大輔氏が登壇。彼らが主催する「東京ガールズコレクション」や「ニコニコ超会議」などのビッグイベントを通した取り組みについて語りました。本パートでは、村上氏が北九州市との連携で行なったイベント「TGC北九州」の事例を紹介しています。

ガールズカルチャーを世界に発信

鈴木貴歩氏(以下、鈴木):今日みたいなイベントを通じて、さまざまな取り組みが東京だけではなくいろんな地方で行われています。そういったことに取り組まれているキーパーソンの方に来ていただいて貴重なお話を伺おうと思っておりますので、早速呼び込みたいと思います。

まずは今日、進行役を務めていただきます、アソビシステム中川さん。F1メディア(現:W media)村上さん、株式会社ドワンゴ横澤さん。私も進行に加わってやらせていただきます。では、中川さん、よろしくお願い致します。

中川悠介氏(以下、中川):はい。今日はお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございます。このトークセッションは「イベントから見るインバウンド、地方再生」ということで、日頃僕たちがやってることなんかのお話をできればいいなと思ってます。

この3人いろいろ共通点あるんですけど、まず僕ら3人とも同い年で今年34歳で、横澤くんと僕は生年月日も一緒で占いも全部一緒っていう運命共同体みたいなもので。

そういう不思議な出会いもありつつ、本当に個々に別々にいろいろ頑張ってやってきてるなかで、今後一緒に何かできたらいいなと思ったりもしていたので、そのきっかけになるようなトークセッションになればいいなと僕自身も思っております。

まずはお2人に簡単に自己紹介をしてもらえればと思います。じゃあまずF1メディア(現:W media)の村上さんからお願いします。

村上範義氏(以下、村上):ただ今、ご紹介にあずかりました株式会社F1メディア(現:W media)、「東京ガールズコレクション」のチーフプロデューサーを務めております、村上範義と申します。今日はこのような貴重な機会をいただきまして、本当にありがたく思っております。

今、ご紹介にありましたように私どもは、東京ガールズコレクションというファッションのフェスティバルを中心としたガールズメディアを創造したり、あとガールズマーケティング、プロデュース業務などを行っている集団です。

現在35人ぐらいの会社で、私今34歳で、まだまだ会社の規模としてはそんなに大きくはないんですけども、日本のガールズカルチャーを世界に発信するような取り組みを行っております。

年2回の東京ガールズコレクション

東京ガールズコレクションを簡単にご紹介します。我々は、ただ闇雲にイベントをやっているわけではなくて、日本人の衣食住の衣の部分。

これはライフサイクルでスプリングサマーとオータムウィンターということで年に2回の発信・発表がありまして、そのタイミングに我々、東京ガールズコレクションというイベントも投資して仕掛けております。

ですので、そこにガールズのアパレルさんだったりとか、いろんなコンテンツがそのタイミングで仕掛けられるように、我々設計しているんです。

単純にアパレル様が発信・発表をするだけでなく、そこにさまざまなエンターテイメントだったりとか、音楽だったり、コンテンツというのを絡ませることによってニュースにしていく。

単純に発信するだけじゃなくて、そこにクリエイティブだったり、プロデュースの力を加えて、ニュース、発信・発表を行っていくと。そういったことを行っております。

もしかしたら、東京ガールズコレクションの名前は皆さん、知っていただいている方もいらっしゃると思うんですけど、今、その力でいうと、1回イベントがやるごとに約50億円ぐらいの発信力があります。

僕ら局地的成功というふうにいつも考えているんですけど、今やっぱりタレントやモデル、出演するそれぞれ1人全員がメディアになってしまった時代だと思っております。

なので、圧倒的なイベントを作っていくと、例えば東京ガールズコレクションでは1日に1人で数十万人のフォロワーがいる方が150人集まるので、イベントをやっている最中にもう1,000万人以上の人にリーチできていると。

ですので、イベントっていうことだけじゃなくて、「イベント×SNS、Webメディア」をうまく駆使しながら、そこにニュース性を作ってテレビメディアも乗っけていくというかたちで1つのムーブメントを作る事業をしております。

それから今日お話しにあると思うんですけれども、その発信・発表の力をうまく東京だけじゃなくて地域の創生、プロジェクトに生かしたり、日本のコンテンツをアジアに持っていくところのかけ橋となるようなところで事業をさせていただいております。

非常に長くなってしまったんですけれども、本日はよろしくお願いいたします。

中川:ありがとうございます。

15万人の来場者を誇るニコニコ超会議

中川:じゃあ、横澤さんも(自己紹介)お願いします。

横澤大輔氏(以下、横澤):本日はこのような機会を頂戴しましてありがとうございます。また、34歳組で初めてのトークセッションなのですごくわくわくしております。

株式会社ドワンゴで取締役をやっております、横澤と申します。私は、19歳、着メロの時代からドワンゴに従事をして参りまして、(今は)デジタルコンテンツの制作ですとか、コンテンツ周りの戦略担当をやっております。

4年前ぐらいから、デジタルプラットホームを使いながらエンターテイメントを創り上げてきたわけなんですけれど、追及していくなかで、色々と限界がきたな、と感じることがありました。

その限界というのはデジタル、ネットの先には効率化とか合理化といういい面がある半面、やっぱりリアルやアナログの良さがなかなか出しきれない。熱が伝えきれない、というところがありました。

ネットとリアルをどういうふうにくっつけて新しいハイブリットメディア、ハイブリットプラットホームを作っていくかということを4年前からいろいろ考え始めて。

その結果、ゴールデンウィーク前に開催している「ニコニコ超会議」といわれるイベントを始めて、今年で4年目になります。

今年は15万人のお客様が来場されまして、約800万人のネット視聴者がいるということで、しっかりネットとリアルが融合したイベントが新しくできたかなと。

これからのイベントの特性はこれだ

先日は日経(新聞)のトップに「イベント会社、ドワンゴ」と書かれてしまうぐらいイベントの話題しかなくなってしまっているんですけども、僕らはイベントをただ作っているわけではないんです。

今、村上さんもおっしゃいましたけども、新しいプラットホームを作る上でやはりイベントというものがしっかりリアルプラットホームになっていくと。

ただただ発表する場、なんか盛り上がる場所ではなく、ここにどういうものを入れていくのかという、その箱の手段にしっかりしていかなくちゃいけない。

目的ではなく、なんでも入れられるような箱をどういうふうに作っていくかというのが、これからのイベントの特性になってくるんだろうなと思っております。

なので、今回この「もしもしにっぽんフェスティバル」ですとか、村上さんがやられてる「TGC(東京ガールズコレクション)」、我々がやってる「超会議・町会議」ですとか。

こういうその今バラバラになっているものを日本が一丸となって、今日のトークセッションみたいなかたちで、皆さんと共有できているということがこれからもすごく可能性があるんじゃないかなと思っています。

今日はいろいろお話あると思いますけれども、ここからまたなにかが生まれるようなトークセッションにできればいいなと思っております。本日よろしくお願いします。

中川:ありがとうございます。

キーワードは「KAWAii」

中川:簡単に弊社の説明もさせていただきます。お手元に資料置いてあると思うんですけど、アソビシステムという会社をやってます。原宿カルチャーに特化をしていて、KAWAiiという言葉をキーワードにそれを世界に発信していこうということが根本にあります。

よく芸能プロダクションだと思われるんですけど、芸能プロダクションだという意識はまったくありません。

僕たちが今目指しているのは、オウンドメディア。個人がメディアになる時代かなと思っているので、そのメディアの集合体を自分たちで作っていくことによって発信力の強化、そこに対してスポンサー・クライアントをくっつけていくことかなと思っております。

テレビCMの効果がどんどんなくなってくるんじゃないか、ということをよくネットニュースで見たりするんですけれど、そういうときに個人が直接に伝えるメディアの強さっていうのがあるのかなと思っていて。そこの構築を今、頑張っています。

この「もしもしにっぽん」というイベントはアソビシステムとはちょっと線引きをしていて、もしもしにっぽんのなかのコンテンツの1つがアソビシステムだというイメージで僕たちは動いてます。

このイベントは3日間、外国人は入場無料です。日本人にはチケット買っていただいていて。新しいお祭りのかたちを提案できたらいいなと考えています。

こういうBtoBのイベント、そしてこの後つながるBtoCのイベント、いろんな面で肌で感じてもらってこれからインバウンド・アウトバウンドって言葉に対してもっと積極的に動いていければいいなと思ってます。

僕たちが見ているのは2020年ではなくて、2020年後のコンテンツ力によるインバウンドの力だと思っているので、2020年は僕たち世代よりもっと上のおじいちゃんたちに頑張ってもらって、その後、僕ら世代で新しい日本を作っていければというかたちで「もしもしにっぽんプロジェクト」は動いております。

そんな感じでこの3人でトークセッションしていければいいなと思います。

地方との連携で行なったイベント事例

中川:では、まずお二方に地方創生というか、地方との連携で行なったイベントの事例なんかを説明してもらいながら、お話をいただければと思います。

ではまず村上さんから、映像流しながらMCやってもらっていいのでお願いします。

村上:はい。今ご紹介いただいたんですけれども、こちら東京ガールズコレクションですね。今地方創生プロジェクトということで、東京ガールズコレクションの地方版「TGC北九州」というのを行った事例です。

これは日経に動画ニュースで特集していただいたんですけれども。先ほど申し上げたように東京で年に2回、女の子のアパレルの発信・発表をしていくと。そこのクリエイティブとプロデュースの力というものを地域に還元していくということです。

例えばこれでいうと、北九州の小倉織だったり博多織という地元のいわゆる名産品だったり、その埋もれている価値というものを我々が発見して、そこにクリエイティブとプロデュースの力を加えて、表に出るかたちにしていくと。

実際にその地元にある昔からの技術で、我々が発見したものをばっと表に出していく。その発信の仕方も様々なかたちがあるんですけど。

単純にショーでショーアップして見せていったり、あとは市長のネクタイとかを全部、小倉織にしてもらって一緒に記者会見をして街のアピールをする。そんなことを行っていたり。

たまたま北九州には国内でも有数の高校生ダンスチームがあるというのを聞いたので、我々がプロのダンサーとそういった方を掛け合わせて、地元と密着したコンテンツを作り出したり。

TGCが北九州へ

あとはこれは市長のコメントなんですけれど、市や各地域によって当然マーケティング目標や、やっていきたいこと、叶えていきたいことが違う。

北九州市は、非常に明快で、ちょっとここで言いにくいんですけど、(現在の)北九州のイメージがあまりよくない部分もあって、その改善に積極的に取り組んできているなかで、いいニュースで塗り替えていく、というのは1つの市としての戦略であると。

もちろん圧倒的なエンターテイメントがきて、「綺麗になった水にも住む魚がいないといけない」ということではないですけれど、そういったこともあって、我々が1番にこういった地域の目標を叶えていくと。

我々としても、ブランディング上のリスクだったり、地方で展開することによって“東京”ブランドじゃないんじゃないかと言われてしまうところもあるんですけど、実は東京ガールズコレクションっていうのは年に2回、東京でしか行っていない。

これ見ていただくとわかるんですけど、実はTGCという名前にしてます。わかりやすく言うと「ドルチェ&ガッバーナ」という世界のトップブランドがあって、その下に「D&G」というセカンドラインがあるとするような。

我々は東京でつくってる圧倒的なブランドを年に2回、東京ガールズコレクションというフェスティバルで創り上げて、そのクリエイティブとプロデュースの力を活用して地域を盛り上げていく。

そのセカンドブランドをTGCという名前にして、「TGC北九州」ということで第一弾やらせていただきました。

今回、非常に大きな成功を収めて、実は今、日本中、10都市以上の市長、知事と、各地のマーケティング目標、地方創生に対しての目標を伺いながら、地域ごとにカスタマイズしてそのイベントを創り上げているところです。

地方創生のカギは?

でもやはり地方創生のカギの1つとして、単純にイベントがあることがゴールだとはまったく思っていない。

中川さんとか横澤さんとかがやられているイベントもそうなんですけれど、ある1つの大きなお祭りがあって、それは祝祭として僕ら考えているんです。そこに対して人が動いて街が動く。そして、いろいろなコミュニケーションが生まれて財産が残っていく。

それはある商品に対して価値が生まれることだったり、人が成長するっていうこともそうです。

イベントという1個のゴールに向けて、やはりその地方のよいものをうまく引き出してコラボレーションさせたり、活性化させて何かしらの財産を残していくということが1つのカギだと思っています。

いろんなかたちで賛否両論があったり、単純にイベントやればいいのか、どうなんだって声があることはもちろんわかっています。

自分たちが東京で培ってきた1つの価値を、地方創生が叫ばれている社会のなかに還元して、自分たちが役に立つかたちを行動とスピードで示していくということが僕らなりにできることかと思っています。

そして実際に、これは北九州の市長のコメントなんですけど、このイベントが終わった後に「市の中で初めて誰も悪口を言わないイベントだった」「どんな方にも満場一致で喜んでいただけたのはこのイベントだけだ」ということを言っていただいて。

イベントが終わった瞬間から、じゃあ次、来年のプロジェクトでは、「協議会を作って、街のカワイイを中心としたコンテンツを集めていく動きをしよう」とか、いろんな動きがどんどん出てきていて。

これはまだ途中だと思っているんですけども、1つの成功のかたちができたんじゃないかなと思っています。

街の経済と完全に一体化する

また、僕らが東京で発信しているのとまったく違うやり方として、例えば北九州の場合は、地元の名産品をプロデュースして発信するということ以外にも、実は北九州の(イベントに)出ているブランドは、全部北九州の中心街にある館(にある)。

例えば、アミュプラザだったり、複数の百貨店のブランドのショーをやりまして、街の経済と完全に一体化してるんです。

実はTGC北九州を行う3ヶ月前から、街中の百貨店だったり駅ビルにはTGCのポスターが貼られて。

「みんなで、かわいくなっていこう」というお祭りムードをつくりながら、イベントで発信して1万人の来場者が来て、発表したものがそのまま次の日からその店頭で全部買えると。

街の経済と一体化しながら、北九州の周りの駅のポスターだったり、駅ビルのパネルなんかも全部TGCになって。6ヶ月間、街中がそのフェスティバル。この街の新しい姿を標榜するようなコンテンツとしてTGCを中心に6ヶ月間ぐらい盛り上がっていけたかなと、思っています。

こういった事例としてご紹介させていただければと思っています。

中川:ありがとうございます。僕もTGC北九州行かせてもらったんですけど、北九州の街中の人が知ってるし、博多にも行って博多の街中の人、昼の人も夜の人も皆知ってる感じで、街中を巻き込んでるんだなってことをすごく感じるイベントでした。

皆が「行きたい、行きたい」って言ってるのがすごく印象的なイメージでしたね。ありがとうございます。

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