2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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中川悠介氏(以下、中川):横澤さんはどんな感じですか?
横澤大輔氏(以下、横澤):失敗談ですか……。大変だったことは、一番最初の町会議が2012年で、ユーザーさんから熱意のあるメッセージをいただいて地方自治体にアタックするっていうことをやったんですけれど、まったくツテがないので、まず電話するじゃないですか。
そしたら、キャッシング会社だと思われて。「キャッシングは結構です」ってバンバン切られる現象があって。
「ニコニコ動画」が知られてなかったり、ドワンゴっていうのが知られてなかったっていうところから、とりあえずアポを取るのがすごく大変だったんです。
やはり警戒心がすごく強いところで、インターネットと地方自治体がくっつくわけがないみたいなところもあって。僕らがまず何をしたかというと、出向いてお酒を飲んだんですね。
お酒を飲むっていうのは手段ですけれども、やはりコミュニケーションを取って、その地方の人たちが何を望んでいるのかってことを聞くと、地方別に全然違っていて。
今、地方創生っていうかたちで横ぐしに刺さった言葉ができてるのが、僕は結構問題だと思っていて。
やはり地方にはそれぞれの問題があって、それぞれのやりたいことだったりとか課題っていうのがあるので、そういうものをしっかりヒアリングする姿勢がすごく受け入れられたなってところがありました。
ここで成功したから、あっちでも成功するっていうのもあるんでしょうけれど、でもそれは何となく違うと思っていて。
インバウンドにも繋がるんですけれど、国だったりとか地方っていうのはやっぱりそれぞれの特徴だったりとか歴史だったり背景を理解した上で、しっかりそこを盛り上げていくってことをやらないと責任としては軽すぎるなと。
そういったことをコミュニケーションを取りながらやっていくと、自ずと成功に繋がっていくということが、何となく体感としてあります。
あと、今村上さんも言ってたんですけど、体感の共有がすごく重要だなと。ニコ動もそうなんですけど、これ実は今、若者の居場所になってるっていうことなんじゃないかなと、僕なりに分析しています。
小学校、中学校、高校、部活、サークルとか、そういったリアルな場所のなかで、自分の価値観に合うような人となかなか会いづらい環境なんじゃないかと。
居場所、価値観を共有できる人間がいないからこそ、今ネットに居場所を求めていく。ネット、SNSを通じて自分の価値観をちゃんと披露していきながら、近い価値観の者同士がまた集まっていくっていうのが、多分、今の日本の若者の現象じゃないかなと思っていて。
それで集まってくるとやはりリアルを求めていくんだと思うんですね。実際に会いたいとか、ディズニーランド行きたいとかデートしたいとか、多分そういうことになっていって。
今、地方ではどうなっているかというと、イオンモールに集まってるっていうのが何となく僕の感覚としてはあります。そうすると、別に集まれる場所はどこでもいいんじゃないかって思うんですよね。
なので、僕はイベントとかネットですけれど、この居場所をしっかり作ってあげるという戦略が、おそらくプラットホームを作るということと同期なのではないかと思っています。
先ほどからこの3人が言ってることは、多分、居場所だったり、プラットホームだったりから、何か発信していこうってこと。
自分とプラットホームが一体化しているっていう、この一種の錯覚をどう演出していくのかということが地方創生、インバウンドのコンテンツの作り方ではないかなと思っています。
中川:ありがとうございます。
では、地方の話から変えて、海外戦略や、アウトバウンド・インバウンドについて話していきたいなと思っています。
僕、個人的には、今はすごく空前のクールジャパンバブルというか、クールジャパンっていえばお金だったり何かが集まってくるみたいな、すごく熱狂的な動きが起こっていると思ってます。
ここにいる3人のポイントは、クールジャパンが盛り上がっているからとかではなくて、自分たちが作ってるカルチャーやコンテンツをちゃんと世界に出していきたい、外国人に見てもらいたいというふうに、コンテンツ愛というか、やってるカルチャー自体をすごく大事にしているメンバーだなと勝手に思ってます。
今のこの日本全体の流れのなかでいうと、僕も先日、「クールジャパン会議」に選んでいただいて思ったんですけど、やっぱり会議室上で行われることと、実際に動いてる人たちの体験談って全然違う。
会議室の評論家の人たちが話してることはもちろんもっともだし、理解できる部分もあるんですけど、多分実際にやってる人たちの辛さとか、やってるからわかることみたいなことがすごくあるんじゃないかなと。
去年、横澤さんも超会議をシンガポールでやられていたりするので、その辺の話をまずはしてもらえたらなと思います。
中川:じゃあ次、横澤さんからお願いします。
横澤:はい。去年の12月にニコニコ超会議を海外のシンガポールにもって行きました。AFA、「アニメ・フェスティバル・イン・アジア」というシンガポールで3日間行われるイベントがありまして、3日間で大体9万人ぐらい集まります。
ニコニコ超会議の一部のコンテンツを持って行ったんですけど、一番大事だと感じたのはコンテンツの作り方です。僕、英語の表記をなくしたんです。
日本語の表記のまま持って行ったんです、試しに。それがすごく受けて。もちろん説明とかは英語でやったんですけど。ローカライズをやりすぎると日本のコンテンツじゃなくなっちゃうんですよね、実際に。それを実は求めてないってことがすごくわかった。
(海外の人は)日本語が好きだし、漢字のフォルムが好きとか、やっぱりそういうことがあって、すべてをこう何ていうんでしょう、日本って舶来コンプレックスというか、(海外向けに)変えていく傾向にあるんですけど。やっぱりそれは望んでないんだなっていうのはすごく感じて。
一緒に行った人たちにも「思い切った戦略だね」と言っていただけたんですけれど、コンテンツの作り方っていうのは考えるべきじゃないかなと思いながらやりました。
中川:おっしゃる通り、ローカライズの仕方ってすごく重要だなと思っていて。やっぱり日本のものがいいって言ってくれてる人たちが集まってるからこそ、日本のそのままを持ってきてほしいってイベントではよく言われるんですよね。だから、そのポイントってすごくあるなと思います。
さっきおっしゃった外国の人たち、外国に対しての憧れがあった世代と今日本を好きって言ってくれる人たちがいて、少し変わってきてるのかなというのはすごく感じますね。やはりそこは横澤さんがおっしゃる通り、すごく大事なポイントだなって思ってます。
中川:村上さん、どうですか?
村上範義氏(以下、村上):僕らは、先ほどからも話している通り、東京ガールズコレクションっていうイベントをやっていて、それが単純に東京だけじゃなくて、今は地域に役に立っていることも自分たちのやりがいとして感じているんですけど。
そのなかでやっぱり僕らは、ファッションの力で何ができるのかという大きな自分たちなりのテーマを持ってまして、そのなかの1つがクールジャパンを中心とする日本のコンテンツをアジアに持っていくかけ橋に自分たちがなれるかもしれない(ということです)。
そんなところに非常にやりがいを感じて、いくつかのプロジェクトを経産省などと組んでやらせていただいております。
これは皆さん当然、わかりきっていることなんですけれど、今まで日本にあるコンテンツだったりファッション産業は、非常に内需が大きくて、もちろん若い人口も多かった。それが、少子高齢化でそのマーケットが小さくなっていて。
我々もプラットホームとして、いろんなブランドさんやコンテンツホルダーとお付き合いしていくなかで、皆が今アジアを中心とした海外に出ていかないと、と叫ばれ始めてから10年ぐらい経って。
本当に出ないと(大変だ)、ということで少しずつ火がついてきている状況なんだなっていうのを感じております。
我々も地方創生ではないですが、1ブランドや、1コンテンツがアジア、そのニーズがあるアジアなんかに出ていくときに、点で出て行くよりも東京ガールズコレクションみたいなムーブメントごと、現地の大きなパートナーとかプラットホームと組みながら、ガバメントをうまく味方につけながら、やっていくことによって、「ドン!」と日本のコンテンツを紹介できる、切り口になれるんじゃないかと思っております。
実際に、東京ガールズコレクションは来年バンコクの開催が決定しているのですが、単純にそこでイベントをやって、紹介するということだけでなくて、国内外のメディアを招致したりとか、現地でそのままBtoBの仕組み、発表したアパレルや商品を実際にバイヤーが買える仕組みを作ったり。
そのまま、そこに財産っていう言い方をすると非常に曖昧なんですけど、人的交流だったりとか実際の流通が生まれるきっかけになるようなことを仕掛けております。
特に7月に行われるバンコクでは、オールジャパンで臨んでいきたいと。東京ガールズコレクションをきっかけにして、現地のある財閥と組んでイベントを行うんです。
やっぱり現地にローカライズするときに、日本のガールズファッションだけじゃなくて、もしかしたらニコニコ動画のようなコンテンツや、アニメのキャラクターが好きな人もいるかもしれないし、アソビシステムさんがやってるような原宿コンテンツを好きな人がいるかもしれない。
我々は日本を紹介するプラットホームとして、海外では連合体になって、きっかけとして、東京ガールズコレクションに白羽の矢が立ったときにも、現地に日本のコンテンツが進出して、それをきっかけに現地メディアと日本のコンテンツ、日本のメディアと日本のコンテンツ、現地のコンテンツがどんどんアライアンスを結んでいけるように。
我々を契機として、我々が全部のビジネスの間に入らなくても、日本とバンコクがどんどん交流していけるようなきっかけを本気で作っていきたいなと思っています。
バンコクのメディアの方と話していてよくわかるのは、「私たちは本当に日本のことが大好きで、日本人、世界のなかでも多分一番好きだ」と。
ただ日本人は全然自分の国に来てくれないっていうふうに言っていて。言葉を選ばずに言うと、韓国の音楽コンテンツがタイでも網羅されていて、今現地ですごく人気になっているんですけれど、「本質的には韓国人より日本人のほうが私たちは大好きです」と彼女はそう言ってくれたんです。
実際に、「日本のコンテンツが全然来てくれないので、東京ガールズコレクションを私たちが自ら招致をして日本のコンテンツの蛇口になりたいんだ」とバンコクの方がおっしゃっていて。
我々は、時代の流れだったり、少子高齢化、インバウンドの流れも含めて感じながら、民間でそういったものを半分リスクを取りながらどんと開催して(行きたい)。民間が走って官にもついていただくじゃないですけれど、そこに経産省とか、ガバメントのバックアップをいただきながら、大きなきっかけっていうのを起こしていく。
我々が年に2回、ファッションのアップフロント期を見定めてやっているようなタイミングで、日本のコンテンツがどっと出ていこうとしていて、特にバンコクなどでは、そういうのを求めているタイミングで、我々もまた1つ来年大きく仕掛けていきたいなと思っています。
中川:はい。鈴木さん、どうですか?
鈴木貴歩氏:そうですね、やっぱり海外に、ムーブメントごと輸出というか、外に出していくっていうのはすごく重要かなと。
今回のもしもしにっぽんフェスティバルっていう場があって、そこにいろんなプレイヤーが集まって、そこに熱狂が生まれて。3社のやってることっていうのは熱狂を可視化するっていうことで。
ネット上の熱狂をリアルなイベントとして可視化することで、さらに多くの自治体だったりとか、また違ったプレイヤーが巻き込めるっていうのがすごくあると思います。
あと村上さんの話にあった、自分たちが間に入らなくても、またビジネスがそこから生まれていけば、というところはすごく共感できるところですね。
BIG PARADEもそういう場になったらいいなと、やってるところもあるので。やっぱりこういったところをどんどん可視化していきたいなとはすごく思います。
冒頭で中川さんがおっしゃっていた、(この3名で)真面目な話をするのは初めてっていうところもあるんですけど。やっぱりその熱狂が生まれてるっていうことが、C側(Consumer)、一般、そこに集まるファンだけじゃなくて、そこに携わる、もしくは携わる可能性がある方々にも伝えていくことが、よりまた大きな連携を生み出すために必要なファクターにこれからなるかと、すごく思いました。
中川:そうなんですよ。実際動いてるからこそ言えることがたくさんあるなと思うんで、そういうふうに動いていくことがすごく大事だなと思っています。
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