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ティール組織(全1記事)

ティール組織とは? 3つの特徴・移行のやり方・日本企業で実践するための注意点などわかりやすく解説 [1/2]

ティール組織の基本概念と歴史的背景

ティール組織とは、フレデリック・ラルー氏が著書『Reinventing Organizations』(『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』)で提唱した組織モデルです。従来の階層型組織とは異なり、組織を「生命体」として捉え、社員の自律性を重視した組織形態を指します。

ティール(Teal)とは青緑色を意味し、人類の意識発達に伴う組織形態の進化の最終段階を表しています。ラルー氏は組織の進化を5つの段階に分けて説明しており、ティール組織はその最終形態です。

ティール組織が注目されるようになった背景には、既存の組織形態では複雑化する社会に対応できなくなってきた現実があります。特に、従業員のエンゲージメントの低下や、イノベーションの停滞などの課題に対して、新たな組織モデルが求められるようになったのです。

なお、ラルー氏は本書を執筆することになったきっかけについて次のように語っています。
「自分の人生をかけて何をすべきか?」とか、「自分の人生の目的とすべきことは何か?」ではなくて、「この瞬間に何をすることが一番意味があることなのか?」という問いです。

引用元:『ティール組織』著者、執筆のきっかけは子ども時代の孤独 過去に負った「傷」がもたらしたもの(ログミーBusiness) 

組織の進化5段階とティール組織の位置づけ

ラルー氏によれば、組織の進化は5つの段階に分けられます。それぞれの段階は色で表現され、レッド(衝動型)、アンバー(順応型)、オレンジ(達成型)、グリーン(多元型)、そしてティール(進化型)という順に進化していきます。

レッド(衝動型)組織

レッド組織は、力と恐怖に基づくリーダーシップが特徴です。一人のカリスマ的なリーダーが絶対的な権力を持ち、短期的な目標達成を最優先する組織形態です。

アンバー(順応型)組織

アンバー組織は、明確な階層構造と厳格なルールによって秩序が保たれる組織です。伝統的な官僚組織などがこれに該当します。安定性と秩序を重視するため、変化への対応は苦手です。

オレンジ(達成型)組織

オレンジ組織は、現代の企業に最も多く見られる形態です。目標と達成、効率と生産性を重視し、成果主義的な考え方が基本となります。イノベーションと競争を通じて成長を図りますが、数値目標への過度な執着がメンバーの疲弊を招くこともあります。

グリーン(多元型)組織

グリーン組織は、ボトムアップ型の意思決定を重視し、メンバーの個性や多様性を尊重する組織です。関係性の構築と協働を重んじますが、全員の合意形成に時間がかかるという課題もあります。

ティール(進化型)組織

ティール組織は、組織を生命体として捉え、メンバー全員が自律的に意思決定を行う組織形態です。上下関係よりも目的に向かって自律的に活動する組織であり、「自己組織化」と「自己修正」の能力を持ちます。

ティール組織の3つの特徴

ティール組織には、従来の組織と区別する3つの重要な特徴があります。これらの特徴を理解することで、ティール組織への移行の方向性が明確になります。

1. セルフマネジメント(自主経営)

セルフマネジメントとは、上司からの指示や管理に頼らず、メンバー自身が意思決定を行い、行動することを指します。ティール組織では、階層構造やトップダウンの指示系統ではなく、自律分散型の意思決定システムが採用されています。

これにより、現場のメンバーが迅速に意思決定を行い、環境の変化に柔軟に対応することができます。セルフマネジメントを実現するためには、情報の透明性や、アドバイスプロセスなどの仕組みが必要です。

2. ホールネス(全体性)

ホールネスとは、メンバーが「仕事の顔」と「プライベートの顔」を分けることなく、ありのままの自分を組織に持ち込むことを奨励する考え方です。従来の組織では、感情や個人的な価値観を抑え、プロフェッショナルな振る舞いだけを求められることが多いですが、ティール組織ではそうした分断を取り払います。

GOB Incubation Partners株式会社 Co-Founder/代表取締役の山口高弘氏は他者に対するレッテル貼りの問題について次のように語っています。
とにかく、人ってプラスのレッテルを貼りたがるじゃないですか。「この人は社会的な起業家である」みたいな。レッテルを貼るのは罪だと思っていて、レッテルを貼った瞬間にその人はそうではないことを言いにくくなる。なのでもうレッテルを貼るのはやめてくれ、と思います。「健康的ですね」と言われたら、すごくマックとかを食べてる姿を見せたくなってしまったりとか。

 引用元:他者に「おや?」「何あれ」と思った瞬間を逃さない 自分が無意識に貼っている「レッテル」を知る方法(ログミーBusiness) 

ホールネスが実現された組織では、メンバーの創造性や情熱が引き出され、より豊かな関係性が構築されます。これにより、組織全体の活力や革新性が高まります。

3. エボリューショナリーパーパス(進化する目的)

エボリューショナリーパーパスとは、組織が固定された目標や計画に縛られるのではなく、環境の変化に応じて自らの目的や方向性を進化させていくという考え方です。組織は生命体として、自らの存在目的に耳を傾け、それに応じて形を変えていきます。

ティール組織では、組織のパーパス(存在目的)が最も重要な指針となり、メンバーはそのパーパスに共感し、自発的に行動することが期待されます。パーパスは、成文化されたものだけでなく、組織の中に息づく生きた目的として捉えられます。

ティール組織とホラクラシーの関係

ティール組織を語る上で避けて通れないのが「ホラクラシー」という概念です。ホラクラシーは、2007年に米国のソフトウェア企業の創設者であるブライアン・ロバートソン氏が提唱した組織理論で、階層構造を排したフラットな組織体制を指します。

ホラクラシーはティール組織の一形態と言えますが、両者は同じものではありません。ホラクラシーが具体的な組織運営の方法論であるのに対し、ティール組織はより広い概念や理念を表しています。

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