ChatGPTを使ったものづくりはエンジニアリング力だと思う

司会者:続いて、ちょっとChatGPT(に関する質問)が多いので、お聞きしたいと思います。「4月から大学2年生です。今まで大学のプログラミング課題など、ChatGPTに投げて出てきたものをちょっと書き直してから提出していたのですが、プログラミングが身についている気がしません。これを続けていてプログラミング力が身につくんでしょうか?」

ひろゆき氏(以下、ひろゆき):大学の課題をやっていることでエンジニア力が身につくのかという、まず根本的な問題だと思うんですけど。その課題がなにか、なんですけど。

例えば、「iOSでカメラアプリを作って、写真を撮ったものを加工するものを作りなさい」という課題に対して、全部ChatGPTに丸投げして作り上げて、それをAppleに申請してアプリとして登録するんだったら、もうそれはプログラミング能力じゃないですか。

「こういうアルゴリズムを作りなさい」だと、それ自体が物にならないのでやっていても意味ないかなと思うんですけど、ちゃんとものを作るところまでChatGPTを使ってやれば、それはエンジニアリング力だと思います。もし不安があるんだったら、1度ものを作ってみることを自分でやってみるといいんじゃないかなと思いますけども。

司会者:ありがとうございます。

ChatGPTを使ってユーザーからお金を取るのは、まだ難しい

司会者:ChatGPT関連がかなり多いのでこちらもいきたいんですが。「ChatGPTにどのようなサービス、エンジニアリングを組み込めば、最もChatGPTの性能を発揮できると思いますか?」

ひろゆき:性能を発揮するのを考えるのであれば、OpenAIという会社に入ってくださいってなるんですけど(笑)。

ここ3年、5年ぐらいが、一番人を騙しやすい、ベンチャーがボロ儲けしやすいタイミングだと思うんですよね。たまにIT系って、仮想通貨が盛り上がったりとかするんですけど。同じ感じで、ChatGPT関連をうまくやっている銘柄の会社は、出資が受けやすいというのがあって。

例えば「ChatGPTを使った、病院での問い合わせに特化したFAQを自動生成するChatGPTを使ったシステムです」と言うと、わからない人は、「なんかすごそう。これ、病院以外の別の業界、例えばクリーニングとかの業界もいけるの?」みたいに勝手に誤解する。「出資してください」と言うと、「今お金があるから、じゃあ1,000万ぐらい突っ込むわ」みたいになって、5人つかまえると5,000万になるんですよ。

頭の悪い人でもわかるかたちで、「こういうサービスです」とちゃんと説明できるほうがたぶん儲かる時代なので、ChatGPTを使ってそれなりに利益を上げて、ユーザーからお金を取って儲けるのは、まだまだちょっと難しい気がするんですよね。なので、投資でまず儲けて売り逃げするところで考えたほうが儲かるんじゃないかなと思いますけど。

ChatGPT的なものが当たり前になる時代になる

司会者:ちなみに、けっこうこれ系の質問が多いです。「ChatGPTのトレンドはいつまで続くと思われますか?」

ひろゆき:ChatGPTじゃなくて、Facebookが作ったほうが性能がいいよねというかたちで、そこが入れ替わる可能性はあるんですけど。ただ、「自然言語をうまく活用して、その機械学習が結果を出して、ユーザーが求めているかたちのアウトプットを出すモデルは便利だよね」というのは、今後変わらないと思うんですよね。

むしろ、その投資が減ったり廃れていくことはたぶんあり得ないと思うので、そういう意味で、Google検索が当たり前になったように、ChatGPT的なものが当たり前になる時代になるので、まだまだぜんぜん続くんじゃないかなと思いますけど。

司会者:これはもう、トレンドというかスタンダードになっていくんじゃないかというのが、ひろゆきさん的な見解ですかね。

ひろゆき:動画の自動生成もできてきたので、有料エロ動画サイトとか、たぶんなくなると思うんですよね。

要は、こういう感じの体、形で、こういうプレイをしている動画が欲しいという、人それぞれの性癖を書いて動画生成されて、「あぁ、これ僕大好きだわ」っていうのに敵うわけがないじゃないですか。誰だかわかんない女の人がなんかやっている有料の動画が。

なので、そこらへんはかなり変わっていくと思うんですけど。という感じで、有料のコンテンツ、同人誌みたいなのもけっこうきつくなる気がしているんですよね。

「自分の好きなキャラクターが、こういうことをしている漫画を読みたい」という読者がいるから成立していたんですけど、プロンプトを投げたら自分が想定しているカップリングの本や漫画や動画とかがバンバン出てくるようになると、それは自分でやったほうがいいよねってなっちゃうので。

なので、お金を払ってコンテンツを買うっていうのは少なくなっちゃうんじゃないかなと思います。

すみません、(視聴者は)18歳未満が多かったんですね、すみません(笑)。有料コンテンツを作るサイトは難しいんじゃないかなという、一般論で言っていると思っていただければ(笑)。

司会者:ありがとうございます。

無能であることを自覚できているなら十分

司会者:ChatGPT関連はこれぐらいして、いろいろとまた来ているので。先ほど無能の話がありました。これは重要な質問だなと思うのですが、「無能を無能だと自覚するにはどうすればいいでしょうか?」

ひろゆき:自覚できているんだったら、もう十分だと思いますよ。「俺、頭悪いからこれできねぇな」っていうので、自分ができる範囲がどこで、自分ができる範囲だったら絶対ミスをしないっていう、そこのライン引きじゃないですかね。

要は、この人はできると思って頼んだけど、結果できませんでしたとなると、困るじゃないですか。でも、「これはできません、これならできます」がわかっていれば、できるところだけ頼むという仕事の頼み方があるので。

なので、「ほかの人だったらこれぐらいできるよ、自分はこれしかできない、ただこれに関してはミスしないですよ」というのがあればそれでいいんじゃないかなと思いますけど。

司会者:逆に言うと、ほとんどの無能は無能と気づけないんですかね?

ひろゆき:無能であることの自覚がない無能のほうが、たぶん世の中多いと思うんですよね。

司会者:そういう人は、どうなってしまうのでしょう?

ひろゆき:(自分が無能ということに)気づかないまま、あんまり評価されず、「なんか俺、あんまり給料上がらないな」と思いながら歳を取って、お払い箱になって、「あいつムカつく、あの上司のせいだ」って文句を言いながら酒を飲む感じになるんじゃないですかね。

司会者:今後、みなさんが就職してそうなっていたら、「あっ、自分もそうかも」って思ったほうがいいということですね(笑)。

ひろゆき:やはり、上司や同僚から褒められていないとしたら、「自分はそんなに能力がないんじゃないかな」ということに気づいたほうがいいと思うんですよね。

エンジニアの独身率はちょっと高めなのと、独身の人って早死にする率が高いんですよね。日本人の男性平均は82歳ぐらいなんですけど、独身の人だと寿命が六十後半とか七十手前とかそんな感じで、確か10歳ぐらい短くなるんですよね。

というのがあるので、なるべく周りの意見を聞いて、パートナーを早めに見つけるほうがいいんじゃないかとは思います。

オープンソースコミュニティでエンジニアリングの哲学を学ぶことは大事

司会者:これから就職される方が多い中で、そうならないために今のうちにやっておくべきこととして、「パートナーを見つける」ことも1つあると思うのですが、エンジニアリング関連でなにかあればお願いします。

ひろゆき:会社の中だけじゃなくて、オープンソースコミュニティみたいな、ちゃんとした人が技術レベルで話をするところに所属しておいたほうがいいと思うんですよね。

会社の場合だと、「コピペでもいいから早く納品したほうが勝ちだよね、後のメンテナンスとかは一切考えなくていいよね」っていう会社もあるので、そこで学んだ技術は長期的には役に立たないんですよね。

ただ、技術コミュニティに入っていくと、「こういう書き方をしたほうがいいよ」とか「ここのコメントはちゃんとこう考えて、後でこういうトラブルがあるよ」とか、「このシステムって10倍、100倍のユーザーが来たらもたないよね、そのためには、ある程度こういう設計がこの段階で必要だよね」みたいな、エンジニアリングとして合理的で正しい哲学を持っている人が、自分もいいものを作りたいからわざわざ教えてくれるんですよね。

そういうのを吸収して、会社の仕事の中でも、「そのシステム、このままだと10倍になったら後でとんでもないことになるので、こうしたほうがいいですか?」と言うと、「あっ、この人、ひょっとしてけっこうエンジニアリングの哲学をわかっている人なのかも」みたいに誤解されたりするので、優秀な人がいるところに入り込んで、その優秀な人の考え方をうまく学ぶのは大事なんじゃないかなと思いますけども。

司会者:そういったコミュニティの見つけ方や、自分に合うコミュニティの探し方は、どういう方法があるんでしょう?

ひろゆき:今だと例えば「GitHub」とかで、コードでドキュメントを直すとかでもいいんですよね。要は、コードはどこからいじっていいのかがぜんぜんわからないから、完璧そうに見えるんですけど、ドキュメントを見てみるとけっこう雑だったり、ほかの言語がなっていないとかあったりするので。

例えば英語のOSSだったら、「僕、このドキュメント、日本語を書きますよ」と言うだけで、「あぁ、じゃあ、お願い」と、英語のOSSコミュニティに入れたり、ドキュメントの文章がバージョン上がっているのを、「これ直っていないですよ」と言うと「じゃあ、直しておいて」と言われて、「じゃあ、コミットします」みたいなのもあったりするので。

なので、別にエンジニアリングとして優秀な人しかコミットできないと考えないほうがいいんじゃないかなと思うんですけど。

司会者:けっこう勘違いされがちですよね。コミュニティって超優秀な人だけが参加するみたいなイメージがある気がしますもんね。

ひろゆき:3年前ぐらいに、東京都がコロナかなにかのアプリを出していて、それをオードリー・タンさんが直しているんですよね。何を直したかというと、言語の台湾語の漢字が違うのを直していたんですよ(笑)。

オードリー・タンさんがコミットするって、エンジニアリング的にどんなにすごいのかと思いきや、単に文字の間違いを直したっていうぐらい。でもそれでもいいんですよ。

オードリー・タンさんはそのレベルからちゃんとやる人なので、そういう思いついたことや、自分ができることをちょっとでもやっていくというだけでいいんじゃないかなと思うんですけど。

司会者:ありがとうございます。これはけっこういいきっかけにしてもらえるかなと思います。

機械学習周りは“食いっぱぐれない感”が強い

司会者:続いて、「情報系学部2年生です。2023年からデータサイエンスとソフトウェアを専攻し、自然言語処理にも興味があるんですが、ひろゆきさんがもし今大学生だったら、何を優先して勉強しますか?」

ひろゆき:機械学習周りはとりあえずなにか取っといたほうが、食いっぱぐれない感は強いですね。うちの会社も、機械学習がわかるやつを置いとかなきゃまずいよねっていう空気にはなっているので、機械学習のこういうのできますよというのがあるのは(いいと思います)。

機械学習のことがちゃんとわかっているかどうかは、文系の人たちはまったくわからないので、「機械学習のこういうのをやっています」とか「こういう資格があります」とか「こういうサーティフィケイト持っています」というのがあるだけで、就職がすげぇ楽なんじゃないかなと思いますけど。

司会者:機械学習を専攻して、専門として論文を書くところまでいかなくとも、機械学習を知っておくということが重要ということですかね?

ひろゆき:僕、「Coursera」っていうオンラインの、大学とかがいろいろ講習をやっているところの機械学習の資格をちょこちょこ取っているんですけど。

司会者:あぁ、そうなんですね。

ひろゆき:そういうのを見せるだけでも、「あぁ、なんかすごそう」って思われちゃうんですよね。

司会者:ちなみに、これはたぶんみなさんも知りたいと思うんですけど、どんな資格なんですか?

ひろゆき:Googleが出しているやつで、機械学習の初歩みたいなやつなんですけど。ちょっと今ググります。

司会者:ひろゆきさんが資格取るって、意外なイメージしませんか、みなさん?

ひろゆき:僕、Courseraでやたら資格取っているんですよね。

司会者:へぇ。

ひろゆき:Courseraには、無料キャンペーンみたいな、いろいろタダでできる時がたまにあるんですよ。その1週間の間にこれを全部クリアするとこういうのをもらえますよ、みたいな。

「Data Engineering, Big Data, and Machine Learning on GCP Specialization」っていうやつを持っています。

司会者:だそうです。みなさん、メモってください。いける人いたら書いておいてください。(コメントを見て)すでに書いてくれている人がいますね。ありがとうございます。

ちなみにみなさん、あらためてですが、質問をめちゃくちゃたくさんもらっていて、連投いただいている方もいますが、基本的には今回の趣旨にのっとったものを質問するので、全員読まれるわけじゃないことをご了承くださいね。

Webアプリ系の働き方はいいんじゃないかな

司会者:では続いて、「Webアプリを作るのが大好きなんですが、Webアプリを本職にしている人をたびたび見かけます。給料や仕事量を含めてどう思いますか?」。Webアプリエンジニアです。

ひろゆき:Webアプリのほうが独立しやすいので、ぜんぜんいいと思いますけど。BtoCのものなので、ユーザーで500円課金する人が1,000人いたら月50万円だよね、というところがわりと独立に近くて、下手に企業のでかいシステムをやっていますという人よりも、フワッとしたアイデアで儲かって、独立して好きな時間だけ働くみたいなのがやりやすいので、Webアプリはいいんじゃないかなと僕は思いますけどね。

機械学習のエンジニアも、やはりどこかのでかい会社に入らないといい給料はもらえないんですよね。そういういい会社でいい給料をもらう働き方もあれば、自分でちょっとしたアプリを作って、そのメンテナンスはタイに住みながらダラダラやって、いつもはタイの海辺でゴロゴロしているという生き方もあります。

人それぞれなんですけど、僕はむしろWebアプリ系のほうが向いている性格ではありますね。

司会者:むしろ、とのことです。ありがとうございます。