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ノーコードAI開発ツールのプロダクトマネジメントの面白さと難しさ(全4記事)

潜在的な課題を明確化して「最終的に解くべく課題」に導く “ノーコードAIツール”販売でPdMが感じた難しさ、おもしろさ

プロダクトマネージャーの切通氏が、開発ではなく「プロダクトマネジメント」の切り口で「Node-AI」開発の舞台裏を伝える「ノーコードAI開発ツールのプロダクトマネジメントの面白さと難しさ - Open TechLunch」。ここで切通氏と及川氏が登壇。まずは「Node-AI」についてと、販売の難しさについて話します。

切通氏の自己紹介

切通恵介氏(以下、切通):では、「ノーコードAI開発ツールのプロダクトマネジメントの面白さと難しさ」というタイトルで、切通から発表できればと思っています。

まず自己紹介というところで、私はイノベーションセンターテクノロジー部門の切通と申します。一応プロダクトマネージャーという役職に就いています。やっている業務としては大きく3つあって、今日はおおむね1個目、そしてちょっと2個目も入っていますが、そのあたりのお話をします。

我々は「Node-AI」というノーコードAI開発ツールを作成・開発していて、そのPdMをやっているのが1つ。あと、Node-AIに関わって、お客さまの課題解決のためのデータサイエンティストをしています。あとは、機械学習モデルの説明性とか統計的因果推論の研究とかもしています。

(スライドを示して)右側に載っているヒートマップなどは、もしかしたら今日来ている(方の)中でデータ系、AI系のことをやっている人なら見たことあるものかなと思いますがも、こういったこともやっています。

興味のあることは(スライドに)書いているとおりで、最近はプロダクトマネジメント全般にもかなり興味を持ってやっています。

今日のセッションで話したいこと

今日は大きく2つお話ししたいことを考えています。1つはNode-AIというツールをぜひ知ってもらいたい(という)のと、どういうツールかがわからないとなかなか話も広がらないと思うので、そのあたりをお話ししたいのが1つ。

あとは2つ目で、プロダクトマネジメントのおもしろいことってたくさんありますが、今回はAI・ノーコードツールでのマーケティングというかたちでお話しできればいいかなと思っています。

「ユーザー課題って何ぞや?」という話もそうですし、あとは実際にマーケティング、プロモーションをしていく上で「どういう難しいところがあるんだっけ?」というところを、AIとノーコードという2つの流行り言葉ですけど、それを合わせたようなツールを私が売っている中で感じたことをお話しできればなと思っています。

Node-AIの特徴

まずはじめに、Node-AIについて簡単に触れたいと思います。Node-AIはノーコードAI開発ツールで、ブラウザからノーコードでモジュールをつなげただけでデータの一連の流れができるようなものになっていて、時系列データに特化しているところが1つの特徴になっています。

予測とか、異常検知とか、因果分析とか、要因分析とか。そういったことができるツールになっています。あとでちょっと触れますが、AIプロジェクトのコラボレーションに着目したようなツールです。

大きく3つの特徴があって、ノーコードで誰でも理解可能な分析フロー構築(ができる)というところで、我々はモジュールを「カード」と呼んでいますが、ドラッグ&ドロップをしてカードをつないでいくだけで分析できるというのが(特徴の)1つ(として)あります。

(スライドを示して)もう1つはツール上で議論と報告書が作成できるというところで、データ分析に関わるコミュニケーションのコストを省力化するであったり、一番右にあるとおり、導入の判断とシステム連携効率化というところで。

導入判断する時に問題になるのが、AIがブラックボックスであって、何をもって判断根拠として予測をしてるのかがわからないところにあります。そういったところを解消するために、要因分析とか因果分析の機能を入れたりしています。

あとはシステム連携を効率化するために、Node-AI上で作ったAIのモデル、AIファイルみたいなものを簡単にAPI化できるようなツールも用意しています。

ノーコードのAIツールはちまたにもいろいろありますが、Node-AIで一番おもしろいというか特殊なところをお話しすると、データ分析の既存のツールはデータ分析者だけがツールを使っているのですが、AIプロジェクトをやっていると、実際はいろいろな現場の専門家や意思決定者の人とのコミュニケーションも発生するので、データ分析者がハブになってすごく大変になる問題があります。

Node-AIはデータ分析者だけが使うツールではなくて、専門家とか意思決定者とかシステム担当者とか、いろいろな人がアクセスできるようにしています。

また、そこですべて分析を可視化して分析の情報を全部Node-AIに集約することによって、左側のようにデータ分析者がハブになるんじゃなくて、Node-AIをハブにしていろいろ効率化をしていこうとするツールになっています。

「じゃあなんでNode-AI(を)作っているの?」という話もさせてもらうと、ちょっと長いんですが、我々は「データ分析にまつわるすべての機能とか人が集まって、コミュニケーションしながらデータ分析を継続的に実行し、さまざまな課題を解決し続けている世界というのを目指しましょう」というところにビジョンを置いています。

これを平たく言うと、「いろいろな会社さんがAIで自走できるようにしてほしいよね」というところを我々はよく話しているところです。そのプラットフォーム、ツールとしてNode-AIというのがハブになってくれればと思っているというのが、我々のビジョンになっています。Node-AIに関しては、このようなところです。

どのようにターゲットを定めているのか

さっそく今日の本題というか。難しさ、おもしろさというところで。それが伝わるといいなと思うんですが、AI・ノーコードツールのマーケティングについてお話ししたいと思います。

マーケティングですが、PdMの仕事って本当はいろいろあって。(スライドを示して)これはプロダクトマネジメントのトライアングルからそれぞれ持ってきました。データ分析とか、デザインとかプロジェクトマネジメントとかもありますが、今日はどちらかというと右側のよりマーケットに寄った話、かつお客さんに寄った話をできればなと思っています。

いきなりな話ですが、我々はノーコードのAIツール、Node-AIを開発しています。その時に、どういう人をターゲットにしてマーケティング、話(をし)に行ったり(するか)もそうですし、売り込むのもそうですし。そういったことを(どう)していくのかをよく考えています。

Node-AI自体はBtoBツールなので、売り方の多くは営業さんと一緒にNode-AIを紹介して、そこでNode-AIをわかってもらうことをしたりして販売しているわけです。

いろいろなツールがありますが、ノーコードとAIというツールだと、ターゲットはどういうふうに考えるのかを簡単に説明します。

まず「AIを開発しましょう」というツールに関してです。AI自体がすごく業界でも着目されている技術であるのは、みなさん周知のとおりだと思います。やはり技術とか知識は必要ですが、(AIがあることで)いろいろな課題を解決できると言われています。

例えばNode-AIだと、製造業系のお客さんなら異常検知みたいなこともできます。製造業系だとしても、プラントの異常検知だけじゃなくて、販売のほうに持っていって需要予測もできたり。業界も現場も問わず、いろいろなところで使えるツールになっています。

お客さまとお話ししている中で、けっこういろいろな部署で「AI技術使ってみたいんだよね」というお話も聞いていて。やはり現場レベルでの利用をしていきたいと言われることが多いです。

次に、ノーコードツールという側面を見てみると、今回だとAI開発ですが、今まではなにか複雑なことをしていくならプログラミングをしなきゃいけなかったところがあります。しかしノーコードツールが登場したことによって、プログラミングを行えていなかった人でもそういう高度なことができるようになるという側面があります。

こちらも上と同じですが、そういうノーコードツールを導入していって、DXなのかAIなのか、そういった複雑なことをいろいろな業界の現場レベルでやっていくことを促進する動きがよくあります。そういった意味で、Node-AIもノーコードでデータ活用が可能な現場の人をターゲットにして売っていく。そういったターゲットを持って売っているわけです。

販売している中で気づいたこと

ここで気になるポイントが、現場のノーコード活用者がいたとして、「じゃあ、この人の課題って何なんだろう?」というところを考えることがよくあります。我々はこういうことを聞くために、お客さまのところによく出向いていくわけですが、そういったところでいろいろ聞くわけです。

(スライドを示して)これは実際のお客さまとの会話ですが、私が営業とかに同行して、Node-AIというサービスを紹介するわけです。「Node-AIというサービスでノーコードでAI開発ができる」と。

それと一緒に、すでにいろいろなお客さんとやっているような異常検知の課題とか品質予測とかの事例があるんですが、それを見せながら「じゃあみなさんが現状抱えている課題ってなにかありますかね?」という話をします。

そうするとだいたい(回答として)返ってくるのは、とあるメーカーさん(から)は、「事例に出てきた異常検知にすごく興味があるんだよね」と。「今のところ閾値レベルで異常を発見しているんだけど、異常の要因がわからないのでデータを少し見ながら今検証とかしているんだけど、正直AIとかやっていないので、ちょっと分析方法がわからないです」と返ってきたりします。

ほかの化学会社さんは「やはり事例に出てきた異常検知とか品質予測のどっちにも興味があるんだよね」と。一方で「なんとなく課題はフワッとはあるんだけど、その課題がAIに適するかどうか自分たちではわからないし、どういう課題がAIでできるんだろうというのがわからないので、ちょっと相談に乗ってほしいんだよね」と。そういう話が多いです。

ここで着目したいのが、我々はAIのノーコードツールを売っていますが、「分析ツールを使いたい」「AI開発は難しい」「効率が上がらないんだよね」みたいなことを言う人はほとんどいないんですね。

なので「課題はツールとかAI開発の効率(化)ではない」ということが、ノーコードのAI開発ツールを売っていてよく気づくことになります。

(スライドを示して)図示化するとこんな感じになっていて、ノーコードのAIツールを利用するユーザーとかチームがいるわけです。最終的に解くべき課題は、AIでなにかを作りたいとかツールを使ってなにかしたいとかではなくて、現場でなにかの予測をしたいとか、なにか異常検知をしたいというの(要望)があるんですね。これをノーコードAIツールというものをターゲットにしている現場の人は考えているんですね。なにかを作るとかじゃなくて、そういう現場の課題を解決したいと思っているわけです。

一方で、じゃあ構造的にどうなっているかというと、さっきの質問にもあったとおり、実はそういう課題があるんだけど、まだ課題が明確化されていない段階のお客さんもいるし、課題はなんとなくわかっているんだけれど、分析方針がなかなか策定できなくて、AIをどう使ったらいいかわからないお客さんもいます。

その上で(課題が)はっきりしてきて分析とかやっているお客さんは、初めて「じゃあ、AI開発というのを効率化したい」となり、「ツールを使いたいです」という、ツールでダイレクトに解決できる部分を認識していくという話になります。

なので、多くのお客さまにはノーコードAIツールで直接的に解決できる、AI開発の効率化はまだ課題になっていないんですね。そこまでたどり着けていない事例がけっこう多いです。そういったかたちで、課題解決のためにツールで解決できる状態までうまく持ってくる必要性があるというところです。

我々としては、「じゃあ、その課題の明確化と分析方針を立てられる人をチームとして作りましょう」ということをやりました。ちょっと長いんですけど、新たに「カスタマーサクセスデータサイエンティスト」というロールを作ってチームを作りました。その人たちが、お客さまがAIでの課題解決をして最終的な実装をできるようにするために、先ほど言った課題の明確化と分析方針の策定をしっかりやっていっています。

販売のために必要になるスキル

実際にどういうことをしたかです。ちょっと(スライドの)文字が多いんですが、あるメーカーの事例を出しています。このメーカーさんが言うには、AIを用いて製造工場の課題を解決したいという話があって、かつ製造工程の中で取得している時系列データがあるのだけれど、正直(それを)どう使うのかと。

(データを)見てはいるんだけれど、AIってそもそもどういう課題解決ができるかもわからないし、ノーコードとかAIとかに興味があってやってみたいんだけれど、現場の課題を解決するにはどうしたらいいのかができていないところがあったりします。

これに対しては、カスタマーサクセスデータサイエンティストのチームで課題の明確化と分析方針の設定をそれぞれやっています。課題の明確化で実際にやったことです。まずは製造系の分析事例をお客さまに当ててみて、活用方法を理解してもらうことをやっています。

社内に当てはめて、例えば我々のほうから異常検知の事例とかを見せるわけで。お客さんとして「社内でもちょっとやれるんじゃないかな?」みたいに、(当てはめられる)部分を当てはめて、候補を提示してもらう。

全部やるわけにはいかないので、その中からNode-AIでできそうなものや、価値は高いけど難易度が低そうなものを見つけて、それから優先テーマを作成していくことをやっています。

これがメチャクチャ難しくて。分析をするために、我々は工場プロセスや製品のことをまったくわからない状態からヒアリングします。プロジェクト自体も1年とか、そんなに長いわけじゃないので。お客さんと話す時間がかなり限られている中で、質問をどんどん繰り返していって、お客さんまではいかないけれど、我々もそこのレベルにちょっとたどり着くぐらいまでは理解しなきゃいけないところがあります。

だから、ここのスキルがすごく必要になっているところが難しいことかなとは思っています。

難しいのは、ビジネスと分析の両面で考える必要があること

あともっと難しいのが、これって難易度の点だけだったり価値の点だけだったり、(どちらか)片方だったらそれぞれビジネスだけと分析だけで考えられるんですけど、両軸で考えるとなった時に、ビジネスと分析の両面で考える必要があるので、両方の感覚が必要になってくる部分もかなり難しいところだったりしています。

そういったところもあるので、やはり広いスキルとコミュニケーション能力が必要になってくるというのが、我々がやってみてわかったところではありました。

分析方針の設定に関しても、本当に分析をどう立てるかという話で。例えばですが、異常検知がすごく重要だとなった時に、「じゃあ異常検知をするためにはこういう手法が使えて、こういう評価方法でいきましょう」みたいな。そういった分析方針を提示したり。

あとははじめに言ったとおり、お客さんにとってはAIツールを作ることとAIツールを使うことが最終目的じゃなくて、AIで作ったAIモデルを現場に導入することが最終的な課題解決なので、そこに関する導入後のシステムUIとかも提示したりしています。

プロダクトに必要な機能や施策にフィードバックできるのがおもしろい

(スライドを示して)「これは必要だったこと」というところで書いています。ひょっとしたらデータ分析に関しては(このイベントに)来てくれた方はよくわかるかもしれないですが、“Kaggleの問題を作る能力”と界隈でよく言われているものかなと思っています。これってメチャクチャ難しくって。正直分析をするより難しいものだったりしているので、データ分析の本当に深い理解が必要です。

これも最終的には予測と要因分析という2つのテーマに絞られたんですけれど、特に後者は正解がないのですごく評価が難しかったというのがあります。こういう問題設定もやっていかないと、なかなかノーコードAIツールを売っていくのは難しいというところもちょっと見えてきたところではあります。

一方ですごくいいことがあって、PdM目線での気づきなんですが、やはりPdMをやる時、普通はユーザーインタビューとかで1時間とか時間を取って、お客さまと話したり、課題を引き出したり、バックグラウンドとかを聞いたりしますが、(PdMは)ユーザーインタビューとかよりも深くお客さんと関わることになります。

それこそたぶん何十時間もお客さんとお話ししたり、お客さまの環境を聞いたりするわけなので、すごく強いユーザー理解につながるなと思っています。

僕はこのあたりが一番おもしろいと思っているところなんですが、それをプロダクトとして必要な機能や施策にフィードバックをしていくことができる。

例えば今回だと、因果分析をお客さんのところでやったのですが、やはりそこの中でお客さんの課題を解くには、「因果分析にこういう機能がないな」というものがあったので、そこから拡充につなげるみたいな。そんな動きもできました。

確かに大変ですが、プロダクトにも落とせるし、プロダクトの販売にもつながるしというところで、すごいメリットを生むことができました。

(次回に続く)

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