森氏の経歴紹介
森洋一郎氏(以下、森):僕からは、「連続的な成長と非連続的な成長を担うプロダクトマネジメント」というテーマで話をしようと思います。
あらためまして、「食べチョク」のプロダクトマネージャーの森と申します。一応紹介がてらで、最近毎回やってるんですけれど、僕の経歴はちょっと変わっていまして。大学を卒業した後にお笑い芸人になりたいなと思い、東京NSC(吉本総合芸能学院)に入学し、卒業しました。
卒業する前にコンビも解散しましたし、ピンになったので夢は諦めて、福岡のSI企業にてエンジニアをやっていました。その後、オンライン英会話をやっているレアジョブという会社で、最初の2年ほどはエンジニアを、その後プロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャーをやっていました。
その後、2021年の8月にビビッドガーデン社にプロダクトマネージャーとしてジョインして、6月までは1人のフルタイムプロダクトマネージャーとしてやっていました。7月には、2人目のプロダクトマネージャーに入ってもらいました。
セッションの概要
今日お話ししたいのは、連続的な成長・非連続な成長のための組織体制という内容です。具体的にじゃあ何をやっているのかと、それによって何が起き始めているのかというテーマについて話をしようと思っています。特に非連続な成長に向けての取り組みを中心にお話できればと思っています。
うまくいっている事例を紹介するというよりも、我々もまだまだトライしている最中なので、トライしている内容と経過をお伝えできればなと思っています。
「食べチョク」の成長と急成長継続のために取り組んだこと
その前に、まず「食べチョク」の成長というところです。2020年にコロナ禍の影響もあり、認知が大きく向上しました。その後も着実に積み上げていって、流通額は2年で128倍。生産者さんの数も2年で10倍という急成長を遂げています。
そして、この成長を継続させていかなければならないというテーマを持って取り組んでいます。
そのためにも、まず取り組んだこととして、エンジニアメンバーを施策アサイン型からユニット体制に変更しました。これはいろいろな企業さんでやられていることだと思うんです。
チームが1つの大きな枠としてあって、エンジニアさんが「こういうプロジェクトをやりたいんだけど」や「こういう施策をやりたいんだけど」などと言うと、「ああ、じゃあ〇〇さんと△△さんがやりますね」みたいなことを最初はやっていました。
それを、取り組むべきミッションを定めた上で、ユニットごとにミッションをベースにした仮説検証を回す体制に変えてみました。
例えば、「お客さんにいい体験に出会ってもらうことを最適化しよう」というチームだったり、「生産者さんの利便性を改善しよう」であったり、「決済系の課題を解決しよう」だったり。そういったテーマを持って取り組んでいる感じです。
開発体制としては、Webのエンジニアさん、モバイルのエンジニアさんやデザイナーさん、プロダクトマネージャーが一緒になっていて、今は1週間スプリントで高速の仮説検証を回している状況です。
ミッションベースでユニットで開発するメリットは、やはり意思決定が早いところで、そこはメチャクチャ感じています。
(ユニット全員が)同じテーマに取り組むので、やはりそのぶんインサイトがたまりやすい。そしてコードを書く上でも「このあたりは、こう触ればいいな」みたいなあたりも付きやすいです。
(スライドを示し)結果として3番の実装速度であったり、施策の成功率・確度としても「ここはうまくいったから、じゃあ次もこうやってみよう」「ここはうまくいかなかったな、じゃあ次はこういうアプローチをしよう」みたいに取り組んでいます。
これは連続・非連続でいうと、「連続的な成長へのアプローチとしてワークし始めているかなぁ」という肌感を持っています。
ユニット体制にして生まれた課題
しかし、課題もある。それぞれのユニットに存在するミッションの外にある課題に向き合うことは非常に難しい。やはり優先度自体も上げにくいというテーマがあります。
なので、ユニットの中でミッションを持つと「このスプリントをどうしよう」とか、次のスプリント、その次のスプリントぐらいまでしかなかなか視野が及ばないんです。中長期的な課題に対して、非連続な成長をやる上ではそれを見ておく必要があるという課題がありました。
そこで何をしたかというと、プロダクト・ディスカバリー・チームを設置しました。ちょっと古いですが、オライリーの『ユーザーストーリーマッピング』という本の中に、「プロダクト・ディスカバリー・チームを設立しましょう」と書いてありました。
今、CTOとテックリードの兼任、データアナリスト、UXデザイナー、プロダクトマネージャーが1つのチームになっています。それぞれが顧客の解像度を上げて、それらの情報を集約・見える化しています。そして、その顧客のデータを分析して、「ここを目指していけば全体的に目標に達することができる」みたいな指標のNorth Star Metric(ノーススターメトリック)を見つけることであったり、そのNorth Star Metricに対する施策の具体案を考えていく。こういったミッションを持つチーム、中長期的な目線を持つチームを設置しました。
ちなみにこれを設置したのが2ヶ月ほど前なので、実際今はまだトライアルの最中というところはあるのですが、非連続な成長へのアプローチとして設置しました。
プロダクト・ディスカバリー・チームを新設して感じたメリット
現時点で感じるメリットとしては、やはり中長期的な視点に立って分析や施策ができているなと思っています。あとはデータ分析に一貫性があるということも感じています。
僕はデータ分析チームにも(この施策を)行っていますが、やはり点でいろいろ「これを調べたい」みたいなところもあるんです。一気通貫できると、データの信頼性であったり、ストーリーができやすいというところだったりが相当あるので、その一貫性の強みはすごく感じています。
データやインタビューの根拠があるので、大胆であり確度の高い改善アクションが取り得る。これはまだ取れてはいませんが、やり得るだろうなというメリットを感じています。
ディスカバリーチームでやっていることのNorth Star Metric探しの部分について、一例を挙げてみています。まず顧客セグメントを意識しようと。
仮にですが、入ったばかりの初月のユーザー。そして時々買ってくれるライトユーザーの方。メチャクチャたくさん買ってくれるヘビーユーザーの方。これらをまず意識した上で、例えばプロダクトマネージャーがインタビューをする。
「これらのユーザーの行動はどういった傾向があるだろうか」と、データアナリストがデータ分析します。この流れをよくやったりしますが、なかなかデータの集約だとか見える化はされなくて、情報が分散していることがあると思っているんです。
今、それをUXデザイナーの方々が情報の整理であったり、わかりやすいグラフィックによって「あ、フレッシュユーザーってこういう食材を買う傾向にあるんだな」「何日に1回訪問してくださるんだな」など、そういったことをまず作っています。
そこをまたベースとしてデータアナリストがデータを分析しています。「じゃあこの顧客のこの行動を動かせば大きなインパクトを与えられる」「体験としても非常に改善できるのではないか」というNorth Star Metricにつなげられるところであったり、それを元に具体的な戦略をみんなで狙っていくことであったりなどのアクションで動いています。
実際に動き始めて2ヶ月程度ということで、まだ最中ではあるんですけれども、何が起き始めているかというところでは、あらためて非連続な成長は、地道な部分の改善だけでは難しいなと。その解像度が上がってきたところです。「いわゆるルーフショットというところではなく、ムーンショットというところまで大胆な施策を考えていく必要がある」というところまで解像度が上がったと思っています。
施策の候補も例としては出せていて、経営戦略の議論にも加えられています。連続的な改善に対して各ユニットでやってもらっている中でも、先ほど言ったようにそれぞれのユーザーの解像度も上がっています。キーになる要因、「より喜んでもらうにはどうすればいいのか」という行動が、以前に比べてより解像度が上がることが起き始めているなと感じています。
今後どうしていきたいか?
今後どうしていきたいかというと、実績という点では本当にまだ出せていないと感じているので、実績に変えていく。ディスカバリーチームのデータインサイトで大きなインパクトを生むことであったり、それが顧客の体験を大きく変えることであったり。そういったことをやっていきたいなと思っています。
そして、今は3ヶ月先、半年先、1年先という未来のためにいろいろ活動していますが、もっと全社のコラボレーションのハブとして、現在のアクションにもいい影響を与えていきたいなと思っています。
そのためにも、もっとプロダクトマネージャーの仲間が欲しいなということで、プロダクトマネージャーを本当に絶賛大募集しています。興味がある方はぜひご応募・ご連絡してもらえればと思っています。
ありがとうございました。