DeNAのCTO時代に感じた、周囲の期待と自分のやりたいことの間にあるねじれ

――まず、株式会社デライト・ベンチャーズで川崎さんが担当していることを教えてください。

川崎修平氏(以下、川崎):デライト・ベンチャーズの中では、ベンチャー・ビルダー事業にて、起業を目指している人たち(客員起業家)に対して、主に開発のエンジニアリングでサポートしています。

起業家が立ち上げる会社の企業価値を最大限高めるのが僕の役割です。僕はエンジニアとして彼らの事業が成功するように、ユーザーが触るプロダクトの企画、仕様策定から、実際にモノを作って運用に入って初期のトラクションが出てくるまでのサポートをしています。

あと、その後自分が抜けても継続的に事業が成長していける体制になるまでのフォローを行っています。

――なぜデライト・ベンチャーズを選んだのでしょうか?

川崎:僕自身は、エンジニアリングが好きでエンジニアをやっているわけではないんです。自分が作りたいと思った価値を実現するための手段として、技術をやっているんですよ。

DeNAに入った最初の数年は、そこに特化していました。役員になってからも、実務としては8割方現場のサービスづくりの人間という立場でやってきていますね。

とはいえ、やはりねじれと言うんですかね。社員から「この人は取締役だから、もっと自社のエンジニアのことを考えてくれるはずの人だ」という期待と、自分がやりたいことの間のねじれがありました。

これでずっと続けていくのはしんどいなというのがあって、DeNAのCTOを辞めて今はDeNAのフェローになっています。

――ご自身がやりたいことと、CTOであった川崎さんに周囲が期待することにギャップが生じてきてしまったのですね。

川崎:CTOをやめてからはしばらくどうしようかなと思いながら、自分で法人を作ったり、個人事業主で技術顧問をやりながら、ちょっと身の振り方を1年ぐらい考えていたところ、ちょうど南場(南場智子氏、DeNA代表取締役会長)から「今度ファンドを立ち上げようと思っているんだ」と声をかけられました。

「DeNAとは関係なく、またスタートアップに投資するだけではなく、見込みのある事業を自分たちで作っていって、それで価値を作るというのをやろうと思うんだ」と。

僕は南場から「修ちゃん」って呼ばれているんですが、「修ちゃん得意じゃない? ぜひ一緒にやってほしい」と言われて、それはいいなと思ったんです。

僕は最初の作るところがやはり一番好きだし、得意なところでもあるので、それだったらあまりストレスも感じず楽しくやれそうかなと思い、すぐには契約せずに法人の建て付けとか最初の議論に同席する感じで入って、そのまま、自然とジョインした感じです。

――では、南場さんは、川崎さんの性格や、こういうものが好きなんだろうなというのを理解した上で、「こういうことをやってみない?」と提案してくださったんですね。

川崎:そうですね。南場とも付き合いが長いので、僕の特性を理解しているし、損得だけじゃない部分で声をかけてくれた部分もけっこうあるとは思います。

――南場さんは、川崎さんとまた働きたかったのかもしれないですね。

川崎:それもあるかもしれません。「(役職にかかわらず)なんでもいいから関わってほしい」と言われたので、そっちの表現のほうが近いかもしれないですね。

やる気が出なければ2週間考えていたいし、やる気が出たら三日三晩寝ないで開発したい

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