2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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田中邦裕氏:そんな中でお伝えしたいのは、クリエイティビティを高めるためにはどうすればいいのか。『クリエイティブ資本論』という本は、2000年くらいに出版された本なのかな? だいぶ前に私も買いました。「クリエイティビティを高める環境を作るためにはどうすればいいのか」を体系立てて書いています。その中にTechnology(技術)とTolerance(寛容性)とTalent(才能)の3つがあります。
技術力が必要なのは当たり前です。後天的に学べることです。才能とは、例えば絵を描くのが得意か、細かくバグなく作るのが得意か、スピードが得意か、その人のTalentに合わせて、フロントエンドをやろうかバックエンドをやろうか、同じプログラマーでもアサインを決めるわけです。
ただ、すごく重要なのはTolerance(寛容性)といわれている部分です。周りから縛られていると自由にやれない。最たるものは「仕様書どおりに作ってください」というもの。そうなると、そのとおりにしか作らなくなってしまいます。
もっと生産性の高いプログラミングをするには、利益云々ではなく、楽しく仕事をしたほうがいい。結果、その先にすばらしいクリエイティビティが発揮されることを考えると、日本には技術もあるしTalentもそろっているけど、どうしても寛容ではない。これを乗り越えるべきだと思っています。
私がソフトウェア協会の活動している中でひっくり返りそうになったのが、最初平井さんがIT大臣になった後に、急にはんこ議員連盟の会長さんが大臣になったことです。この国は本当にITを軽視していると思ったし、はんこ文化もちゃんと残しながらという話を聞いて、「なんじゃそりゃ!」と思いました。日本はすごく保守的ですが、保守的な部分と寛容性は相反することがあります。
会社をやっていても、どうしても性悪説になりがちです。例えば、「これを導入したら社員がこんなふうにサボるのではないか」と思うことがありました。実際に昔はそうしていましたが、管理すればするほど抜け穴を見つけようとするものだから、余計に治安が悪化する。
そういう意味では、人が死ぬようなことや情報が漏洩するようなことは性悪説でやらないといけませんが、ほとんどの人事制度は性善説で成り立つのではないか、という結論に至ったのが6年前です。
「X理論Y理論」という理論をぜひ検索してください。「人間は悪いことをするのが前提だから管理しよう」と「仕事は楽しいからほっといてもみんながんばる」という寛容なスタイルに分かれるそうですが、結局管理すればするほど信頼関係が失われてしまう。よく「9割以上の人がリモートなのにサボっている人いるんじゃないの?」と言われます。(それは)どうやって監視しているんだって話です。
監視していることが前提だと思うと、それはそれでびっくりします。弊社では、みんな仕事をしていると思います。ただ、明らかにサボっているとか、周りがすごく嫌がっていたり納期が遅れたりしたらそれはそれで指導するけど、監視するような話ではない。みんなやっているだろうと信頼した上での仕事だという話はします。
日本が大きく変わる中で、私も業界活動をやる中で、「普通はこうだろう」と言われることに対して、立場を得て、それなりのポジションで発信しないとできないことが多いと思っています。
最近は政治家の先生の勉強会も主催して、自分の利益誘導というより、「本来こうあったほうがいいのではないか」ということを議論するために、スタートアップの人たちを呼んで大臣の前でピッチしてもらっています。その中で、「世の中は絶対にこう変えたほうがいい」と、政治家や官僚や大手企業の経営者たちに言うようにしています。
おもしろいと思ったのが、エンジニアをバックグランドにする人間が、その理由を「世の中こういうことでこうなったほうがいい」というビジョンと共に話すと、けっこう乗ってくれる。私自身はこういう話をするのがすごく苦手だったけど、いろいろな人と付き合う中で、いただいたつながりの中で発信して、世の中をうまく変えていこうとしてきました。
(スライドを指して)最後にお話ししたいのが、3年前のAdobeの調査です。世界から日本は、世界で最もクリエイティブな国だと思われています。東京は最もクリエイティブな都市だといわれているのに、自分はクリエイティブだと答えた日本人の割合は13パーセントで最下位だった。
これだけ世界からクリエイティビティが高い国だと思われているのに、自分たちは何かものごとができていないといっているようで、あまりにももったいないなと思っています。
実際に、最近の日本のデータでは、「ここ数年でクリエイティブの可能性が広がったと思いますか?」という質問に「非常にそう思う」という結果が出ています。
やはり寛容性や、いろいろな人たちが自由に働けることがすごく重要だと思いますし、そもそもソフトウェアはすごく生産性が高くて、クリエイティブなものだということ。時間に対して働くのではなく、成果に対して働くことが当たり前の社会になるように、私はエンジニア出身の社長としてこれからも取り組んでいきたいと思っています。
少し硬い話になったかもしれませんが、昔は世の中を動かしている重鎮たちと対峙して、世の中を本当に変えていくことがあまり好きではありませんでした。最近は、成果が出ると、本当に10年後にデジタル、IT、ソフトウェアによって世の中が変わるかもしれないと思い始めました。
というわけで、ITエンジニアの方が多いと思いますが、皆さんのこれからの活躍に期待しています。ありがとうございました。
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