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デンソー 社員による講演(全3記事)

2019.09.27

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モーターでもあり、発電機でもある––デンソーの“モータージェネレーター”が描く未来

提供:株式会社デンソー

2019年9月10日、株式会社デンソーが主催するミートアップイベント「DENSO Tech Links Tokyo #4」が開催されました。デンソーの今を語る本イベント。「進化を続けるクルマの電動化」をテーマに、デンソー社員たちが自社の技術とクルマの電動化の今について語りました。今回登場したのは、株式会社デンソー エレクトリフィケーションシステム開発部の石田稔氏、エレクトリフィケーション機器技術1部の後藤誘紀郎氏、エレクトリック機器技術部の菊地司氏の3名。自身が手掛けるプロダクトや、電動車のこれからについてプレゼンテーションを行いました。最後に登場したのは、菊地司氏。モーターと発電機の両方を兼ねる「モータージェネレーター(MG)」の仕組みと、その活用について語りました。

モータージェネレーターと電動化

菊地司氏(以下、菊地):みなさんこんばんは。エレクトリック機器技術部の菊地と申します。私からは電動化の主役であるモータージェネレーター、MGの今と今後というテーマで講演させていただきます。

私は2004年に入社して、発電機の制御開発に携わりました。2011年頃からは電池パックの筐体の機械設計を担当し、現在はMGの開発に携わっております。

「MGって何ですか?」という話ですが、文字通りのもので、モーターとしても動くし発電機としても動く機械です。

車両の走行状態やバッテリーの状態に応じて、モーター及び発電機と、使い方が変わります。モーターとしては、エンジンの始動や加速する際の動力をアシストする機能があります。ハイブリッド車ですと、ときにはエンジンを止めてMGの動力だけで走ったりもします。

一方で発電機としては、車両の減速時にエネルギーをしっかり回生してバッテリーをチャージしてあげるという使われ方をする製品です。

さて、ちょっとしたクイズを用意しました。これは経済産業省の資料を抜粋してきたんですが、電気自動車を利用するデメリットについて「みなさんはどんな懸念を持っていますか?」という調査になります。

大きく理由が3つありまして、1つは「充電に時間がかかる」ということ、もう1つはインフラの問題ですね。インフラの整備状況が良くないことです。では、この赤い四角で囲っているところが最も大きな懸念点なんですが、みなさん、ここが何か想像はつきますか?

正解は「走行距離が短い」です。これが一般消費者のみなさんが電気自動車に感じている懸念点になります。

実際に電気自動車とガソリン車の航続距離を比較してみますと、日産リーフは初代から2代目に変わって航続距離が2倍になっています。

それでもまだガソリン車と並ぶにはもう一息、という状況になります。つまり、この差が先ほどお見せした消費者のニーズです。

ということで、MGとしてはこの航続距離の差を埋めるために、さらなる小型軽量化、及びバッテリーのエネルギーをなるべく消費しないような高効率なモータージェネレーターをキーワードに技術開発を進めています。

デンソーの独自技術を紹介

これがデンソー独自の巻線技術です。ポイントは2つあります。

1つは巻線のかたちです。右側の従来品は丸い線ですが、デンソーの技術では四角い線になっています。モーターコアのスロットと呼ばれるところに線を詰めていくんですが、丸い線を詰めると、どうしても隙間が生まれてしまいます。

そこで四角い線を整列させて、このスロット内を埋めてあげます。デンソーではSCオルタネーターというものでこういったコイルを採用している実績がありまして、それをモータージェネレーターに発展・応用させたものになります。これによって占積率を上げられるため、同じ体積でもより高い出力が出せる。すなわち小型化ができる技術になります。

もう1つのポイントは、「階段状コイル」です。従来ですとこのように波巻きにグルグル巻いていくんですが、巻いていく過程でどうしても隙間が生まれてしまいます。これを綺麗に階段状に成形できれば高さが抑えられ、ひいてはモーター全体の小型化につながると考えてこういったものを開発しました。

これは一見簡単そうに見えますが、急に曲げるところに難しさがあります。巻線の周りには絶縁性能を確保するために被膜がコーティングしてあります。その被膜を急に曲げることによって、被膜が破れたり薄くなったりしてしまうので、そういった部分のケアをしながら綺麗に曲げるために、デンソーが誇れる生産技術の力を活かして開発をしました。

電動化の未来

「電動化の未来」というジャンルになりますが、デンソーは人ひとりが乗るようなパーソナルモビリティから飛行機のようなものまで、あらゆるコミュニティに対して電動化に対応していくと宣言しています。最初の講演でもありましたように、例えばクルマだと今後はインホイールモーターという話があります。

インホイールにすると車室内の空間を広く使えるというメリットがありますが、MGにとっては、インホイールにすることによって路面から伝わる振動をダイレクトに受けてしまうという、新たな課題が生まれてきます。

また、飛行機に使われることを想定しますと、電動化によって重量が数倍にもなってしまうという試算がありまして、飛行機で電動化を進めるためには圧倒的な軽量化が求められてきます。

モビリティの形が違えば課題も違ってきますので、モーターとしてはそういった使われ方をしっかり考えて、それに応じた課題を一つひとつ、つぶしながら、あらゆるかたちのモビリティ社会の実現に貢献していきたいなと思っています。

国内の競争環境

オルタネーターですと、国内ではデンソーか三菱電機さんが主要なメーカーです。MGでは、主要なメーカーが途端に増えてきます。カーメーカーさんが内製で作っているものもあります。あとは、ハイブリッド車に現在MGを提供している自動車企業のサプライヤーもあったりします。

最近は産業用のモーターや家電用のモーターを作っている企業も、クルマの電動化に際してMGを作るというニュースリリースも出したりしていて、MGのプレイヤーがものすごく増えており、熾烈な競争環境にあります。

デンソーとしては、子会社だったアスモ(注:現デンソー 湖西製作所)という小型モーターに注力している会社と事業統合することで、デンソーが持っているモーター技術とアスモが持っているモーター技術を掛け合わせて、より高いレベルのモーターを開発していこうという取り組みをしています。

このように熾烈な競争環境にありますが、デンソーも、さまざまな取り組みを通してモーター技術開発を進めて、電動化社会の実現に貢献していきたいと思っています。

以上で発表を終わります。ありがとうございました。

(会場拍手)

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