2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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山元亮典氏(以下、山元):立ち上げ部分の話をけっこう聞けたので、ここからは(今後)挑戦していきたいことを聞けたらと思います。(スマートバンクの資金)調達のニュースがちょうど弊社と同じぐらいに出て。
堀井雄太氏(以下、堀井):そうですね(笑)。本当にたまたま同じ日に。
山元:けっこう大型の調達で、ここからいろいろなことに挑戦していくのかなと思うんですけれど。そういったところも含めて、CTOとして「こういったことに注力していきたい」とかって、何かあったりするんですか?
堀井:そうですね。明確に言えるのは採用かなと思っています。どのポジションでもそうですが、事業上やりたいことのロードマップを引く中で、やはり開発メンバーの人数が足りていないところがあります。
なので、採用を中心に組織を作っていくことが今後のミッションだと思っていますね。資金調達したお金も、人材への投資とマーケティングのところとかに大きく割いていくことになると思っています。
山元:実際に採用するとなったら、(採用をした後に)いろいろなものを開発していくと思いますが、「こういう技術でこれから挑戦したい」という展望はあったりするんですか?
堀井:そうですね。まだ機能がぜんぜん足りていない文脈もあるので、機能追加の開発は引き続きやっていかないといけないかなというところと、ユーザーさんからの要望でまだ対応できていないことが多い点でいうと非接触の決済です。Apple PayやGoogle Pay。そのようなところは直接的な利便性と決済の使用回数の向上につながりますので、発行しているカードをアプリに登録して決済できるようにする部分は、AppleさんとGoogleさんと協業しながらやっていくものの1つです。
テクニカルなスコープはぜんぜん見えていないところではありますが、やはり家計管理のサービスなので、ユーザーさんの決済情報をいかに見やすく、かつ支出管理として適したかたちにアプリをどう作っていくか。それがミッションになってくると思います。
そういった文脈で、今は決済の電文のデータを使って名前などを整形して出すことぐらいしかできていないので、もっと学習させたいです。
システムの込み入った解説も入ってしまうのですが、オーソリとクリアリングの2段階でユーザーさんの決済電文が流れてきますが、確定しないと正しい情報が表示されません。学習させることで、もっと早くユーザーさんに決済した情報を提供できることもあるかなと思うので、そのあたりはチャレンジしていきたいと思っています。
山元:明細が来るのは本当に遅いですよね。
堀井:そうですね。(クレジットカードを)使っていると疑問に思う人もいると思いますが、知れば知るほどこのような仕組みになっていた理由がわかります。
(こう)言っちゃうとアレなのですが、けっこういい加減と言えばいい加減なんですよね。決済で流れてくる電文には入力されている元(のデータ)があるのですが、そこがいい加減なことがあります。全角と半角が混じっていることもあります。
パッと見てわかりづらい部分があるので。そういったレガシーな仕様になっている部分は、吸収するシステム側で直していきたいと思います。
山元:おもしろいですね。では、そういったところもしっかり機能開発として入れて、プロダクトを進化させていきたいというところですね。
堀井:そうですね。追加の機能だけではなくて、ベースとして使いやすいところも担保していきたいと思います。
山元:今後も採用に投資するとのことですが、どういった方々と働きたいとか、堀井さんの思う優秀なエンジニアがどういった方なのかを含めて、どうですか?
堀井:優秀な……。よく聞かれるのですが、なかなか難しい質問の1つです。私たちの会社はプロダクトドリブンな文化だと思っていて、やはりものづくりが好きでプロダクトを良くしていくことに熱量が高い人が多いので、そういった熱量がある方と一緒に働きたいと私自身は思います。
我々はFinTechの事業をやっていることもあって、なかなか世に出ない技術も扱っています。そういったことが好きで触ってみたいとか、チャレンジ精神がある人はけっこうフィットしますね。
山元:なるほど。これを聞いているみなさんは、ぜひ検討してもらえたらと思います。
堀井:そうですね(笑)。逆に、Voicyさんはどのような人を採用しているのか気になるのですが、何かありますか?
山元:Voicyは音声を事業にしないといけないため、どちらかというと価値を創造するビジネスにチャレンジしているところがあります。なので、既存の何かに捕らわれたビジネスモデルでは、価値を作りづらい一面があるというか。
「既存の考え方をしていると、どうしても価値創造をするビジネスモデルは作りづらい」ということが大前提にある企業になっているので、そういった観点で、「新しい価値を作りたい」みたいなところに共感してくれる方が一番良いと思っています。
そのためにいろいろなことでPDCAを回したり、今までの自分の経験を応用して新しい価値を生み出したり。「どうすればいいんだろう」などと試行錯誤して実装できたりする人と働きたいと常に思っていますね。
堀井:いいですね。やったことがない事業に挑むので、自分の経験を応用しながら適用していける人がいいのですか?
山元:そうですね。音声自体が事業モデルとしてしっかり作りきれていないのが正直なところです。なので、どうやったら音声が広がってお金がどんどん流れていくか。そのあたりをこれから作っていきたいと思っています。
堀井:そういった意味では、開発に加えて事業構造そのものなどを伸ばしていくことにも興味がある人がよりフィットするのはあるかもしれません。弊社ももちろんそうですが。
山元:ということで、これを聞いている人でフィットしたらそれぞれの会社のホームページに行ってもらうということで(笑)。
山元:ここからは、(堀井さんの)CTOとしてのマインド(についてうかがいます)。これを聞いている人の中には、エンジニアも多いと思うし、CTOみたいなところを目指している方もいると思っていて。(なので)どういった振る舞いをしていくとCTOになれるのかとか、(堀井さんが)大事にしている考え方とかはあったりしますか?
堀井:私は創業期から組織を大きくすることをわりと経験してきました。CTOと一言で言っても、CTOとして入る時期や、やっている事業内容でぜんぜん変わってくると思います。
最初の時期は、本当にガリガリとコードを書いてプロダクトを立ち上げて「0→1」をやっていました。でも晩年期のサービス(のものとか、)プロダクトが成長していくと、求められることも会社や他の創業者から期待されることも変わってきたかなと思っていて
大事なこととして、今の自分に何が求められていて、パフォーマンスを出さなければいけないのかを意識することは、けっこう考えてやっています。特にサービスが手離れしたあとは現場でコードを書くことが本当になくなってくると思うので、また違った価値を提供しないといけないと思います。そういったところに適応して、スキルを身に付けていくことが必要だと思いますね。
山元:フェーズ、会社、事業、メンバー。いろいろな変数がある中で、やはり自分自身が成長して、さらにスキルを磨いていくイメージですかね?
堀井:そうですね。私自身はWebプログラマーから始めて、アプリケーションを開発する能力があってから会社の立ち上げに参画するかたちだったので。人を採用したり組織を大きくしたりといった経験は特に積んできたわけではないので、当時は手探りで始めていきました。
「会社にとって採用すべき人材像はどのような人なんだっけ」とか、その人にどうやったらうまく会社を知ってもらえるのかとか。選考フローに乗った時は、どのように採用する・しないの判断をしたらいいのか。かなり試行錯誤しながらエンジニア組織を作ってきたので、ある種(私も)環境に適応してきたところはあるかなと思います。
山元:すごいですね。本当に何でもやってきたかたちですよね。最初はコードも書くし、採用もするし、組織開発もするし、事業も考えるし。
堀井:そうですね。そういった振る舞いを変える時期や会社の成長の兆しを早くつかんで、会社を大きくドライブさせていく。そこに自分のバリューを置くことが必要だと前職では痛感しました。
山元:逆に、「コーディングだけしていたい」というような考え方だと、起業するのは難しいかもという考えですか?
堀井:どの程度の会社のCTOになるか、会社が目指しているスコープがどこなのか、それ次第かなと思います。例えば、数人の規模で、人数をそんなにかけなくても事業や会社を継続できるのであれば、手を動かしながら開発していくことは普通にできると思っています。
問題は、サービスが本当に大きくなった時です。それこそ私が携わったフリマアプリは規模もユーザーさんの数もかなり多くなっていったので、それを支えるエンジニア組織もそれなりに大きくしていかなければなりませんでした。
そういったスコープまで踏まえてCTOをやろうとすると、コードを書いたり技術を理解することも必要ですが、それ以上に組織のマネジメントや採用など、多角的に必要なものが求められるので、やはり(プログラミング以外の知識も)必要なのかなとは思いますね。
山元:なるほど。わかりました。ありがとうございます。最初のフェーズで求められるものと、成長フェーズになって求められるものとがあると思います。最初のフェーズでは、コーディング(スキル)や実際に動くプロダクトを作ることが求められます。成長フェーズになると、採用や組織をどうやって作るかや、事業とかの部分が求められてくるかたちですかね。
堀井:一般的にはそうだと思います。フリマアプリをゼロからやっている時もそのようなかたちでした。不確実性が高い初期の段階では、ビジネスをどのように伸ばしていくのかとか、ユーザーさんの課題をどのように解決していくのかなどのプロダクトの理解や、それをコードを書いてプロダクトとして実現するみたいなところが強く求められると思います。
プロダクトが成長していくにしたがって、技術を正しくハンドリングしてプロダクトを伸ばしていく。領域によっては、CTOよりも(プログラミングが)得意なエンジニアがいると思うので、そういった方々を適切かつ積極的に採用して権限委譲して。そういった方々が、チームでよりパフォーマンスを出せる組織にしていくことが求められるかなと。
山元:なるほど。ありがとうございます。
山元:同じ3人が2つの会社で2回とも一緒に創業を一緒にするところがけっこう特徴的だなと思っていて。3人がすごくマッチしていたのかなとも思っているのですが、実際にいい塩梅で役割を分けられていたんですか?
堀井:そうですね。創業者が喧嘩して会社が空中分解するところもよくあったりするかなと(笑)。(でも)そのようなことは我々にはなく、本当に3人で力を合わせてやってきたところがあります。ロールが分かれていることがけっこう良かったと思っていますね。
私がシステムの部分を担当して、残りの2人がビジネスとプロダクトとデザインを見てくれていて。それぞれのロールがはっきりと分かれていたから、得意なところは信頼して任せましたし、必要なところは一緒に開発しました。うまく分業できていたことが成功した理由の1つだったりしますね。
山元:やはりそうですよね。基本的にプロダクトを開発する上で必要なファンクションなのかなと思います。ビジネス、プロダクト、エンジニア、それぞれ得意な人たちがいろいろと話しながら金融の分野などに挑戦してみるのも、起業したい人には参考になるかもしれないです。
堀井:ハッカー、ハスラー、ヒップスターが3人そろったら何でもできるみたいなとこをと昔はよく言われていたと思います。本当にそのとおりで、どれが欠けてもダメだし、補完してくれるメンバーがいるともちろんいいと思います。
やはりビジネスをマネタイズできないと事業は継続できないし、それを支えるシステムを作れないと、ユーザーが使ってくれないと、価値自体を生み出せないと思うので、両軸で必要だと思います。
あと、3人は同期だったので、忌憚なくというか、同じ目線で話し合いながらプロダクトができたことも大きかったかもしれないです。
山元:番組が最後のほうになってきたので、お便りによる質問も募集できたらと思っています。僕もちょっと聞いてみたいことがあるので、質問させてください(笑)。
堀井:ぜひ。はい(笑)。
山元:今のスマートバンクで「これは一番苦労したな」という経験は何ですか?
堀井:一番となるとやはり立ち上げの話に戻ってしまいますが、決済の基盤を作ったところです。何を作ったらいいかわからないところを手探りで開発していく期間が長かったんですけど、作るものの策定に加えて、ステークホルダーのことというか、Visaさんとか、カードを印刷してくれる工場の方が3、4人いる中で(作って)、ざらに1年かかったので。1年かけてプロダクトを作っていくところはかなり苦労しました。
リリースしたい時期も明確に決まっていたので、そこに合わせてスケジュールをコントロールするプロジェクトマネジメントの難しさはあったと思います。
山元:スケジュールのマネジメントはうまくいったのですか? それとも、やはり不確実性が高くて延びてしまったところはあったんですか?
堀井:実際はひと月延びましたね。本当は2020年中にリリースしたかったのですが、年が明けてからだったので少し遅れました。カードをリリースして現場で使ってみると、問題がポロポロ出てきたりもしていたので。結構アンコントローラブルなところはあったのかなと思います。
カードは製造して終わりではなく、街の端末で使えるように、ネットワークに情報を登録してもらわないといけませんが、そういうところが漏れていて、「特定の店舗では決済できません」などもあって(笑)。今となっては思い出話ですが、当時は「何がまずかったんだ」みたいな(笑)。「カードの印刷がミスっているんだっけ?」というところまで疑って、デバッグした経験を思い出しました。
山元:メチャクチャ焦りそうです。想像しただけで震えます。
堀井:マクドナルドに1日10回ぐらい行きましたもん。「決済できるかな?」って。
山元:(マクドナルドの人からしたら)「この人はなんだ」ってなりますよね。
堀井:そうですね(笑)。
山元:(でも)1年とかの(長い)プロジェクトで1ヶ月前後(の遅延)なら許容範囲というか、すばらしいほうだと思いました。
堀井:そうですね。どのシステムを内製化して、どれを外部に任せるのか、それを早い段階でうまくハンドリングできるように設計して開発を進められたところが大きかったかなと。あと、もう1人の創業者もPdM兼デザイナーとして動いてくれていたのですが、(その方の)スケジュールマネジメントがすごくよかったので、そういうところはあったかもしれないですね。
山元:エンジニアとかだと、不確実性にどのように向き合うかみたいなところのスケジュールの部分のコミュニケーションはすごく大事だと思っています。僕もそこはけっこう苦労しているところだったりするので。最初の設計で不確実性をなるべく落としていった進め方だったんですね。
堀井:そうですね。その進め方だったことは大きかったです。わかるまで開発を進められないジレンマはあったので、(だからこそ)なんだったら自分たちで最初から設計して開発できるのかを早めに定義して。
モバイルアプリのバックエンドは自分たちで仕様を決めながらガシガシ作っていけたので、そこから着手しました。それと並行して、決済のネットワークを構築するドキュメントの情報を集めながら、「ここで開発に着手できそう」と取り付けながら進められたところは大きかったです。
山元:なるほど。そのあたりの話は僕も本当に勉強させてほしいところです。(放送の)時間があと3分ということでクロージングをできたらと思っていますが、何か告知とか、お話ししたいことはあったりしますか?
堀井:そうですね。ぜひサービス紹介と採用の告知をさせてください。「B/43」というちょっと変わった名前の家計管理のプロダクトをやっています。カードとスマートフォンのアプリが連動していて、カードを使うだけで、簡単に自分の会計や支出の管理ができるものです。
「ペアカード」という、夫婦や同居しているカップル向けの専用の機能もあり、すごく好評なので、よければぜひ使ってもらいたいなと思っています。
また、先ほど言った非接触の決済など、FinTechのプロダクトとして完成しているとは思っていません。今は新規のプロダクトも仕込み中で作り手を募集しているので、もし興味があったらカジュアル面談などを申し込んでもらえるといいと思っています。
山元:はい。ありがとうございます。ということで、これを聞いた人は、すぐにサービスを使って採用ページとかもチェックしてみてください。
堀井:はい(笑)。そう言っていただけるとうれしいです。
山元:ジワジワと聞かれるのがVoicyの特徴だと思うので、みなさんもチェックしてみてください。他に何かお話ししておきたいことはありますか?
堀井:他に質問がなければ大丈夫です。
山元:ライブの残り時間も1分ということで、今回は以上にしたいと思います。本日の「CTO百景」のゲストは株式会社スマートバンク CTOの堀井さんでした。ありがとうございました。
堀井:ありがとうございました。
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