2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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角田潤彌氏(以下、角田):非常にチャレンジングで、良いこともあるし悪いこともあるスタートアップですが、「幸福を追求する」ということでおもしろいことを言っていた人がいます。これは過去の偉人なんですけれども。私の父親……ではないんですけども(笑)。
藤岡清高氏(以下、藤岡):ちょっと信用しちゃうじゃないですか(笑)。
角田:私でもないんですけど、ウィリアム・ジェームスというアメリカ合衆国の哲学者であり心理学者なんです。この人が幸福に関して言っている言葉があります。「人間は幸せだから歌うのではない。歌うから幸せになるのだ」。
これは良い言葉だなと僕は思っています。なるようになるんですよね。テンションが上がっていなくても上げていくことで実際になんか楽しくなってくるみたいな。
ほしい結果に対して、自分がアクションを変えていくというのが重要だと思っていまして、これとたぶん近しいことがスタートアップでも起こるのかなと思っています。僕自身よく言っているのは、「人間は幸せだから挑戦するのではなくて挑戦するから幸せになるんだ」と。
なので、スタートアップにも当然行くこと自体が挑戦だと思うんですよね。でも挑戦した結果、幸せが手に入る可能性がある。逆に言うとリスクとリターンなので、幸せが手に入らなかった時のリスクはある。
ただリスクとリターンですから、リスクを取らなければリターンはないわけですよね。なので幸せになるためにはそれなりのリスクが必要と思っていたりします。逆に言うと「幸せじゃないな。でもこれ歯車だな」と言って「その中でなんとかなりたいな」という感じの状態では、変わらないわけですよね。
という意味でぜひ挑戦するべきなんだなと。ただ挑戦するからにはリスクを理解して、最大限そのリスクに対して自分で防波堤を作っていくというところは重要だなと。それが先ほど藤岡さんがおっしゃったみたいに、ある一定の年齢の方々だとすると、自分ができることとできないことが何なのかをきっちりすり合わせてやっていくべきだと思うんです。
だからこそ、エージェントの方と話す時もきっちり棚卸しして、できないことをできるとは無理には言わない。ただもちろん多少はオーバートークは必要だと思うんですけども、確実にできないことをできるというのはやめましょうということですね。それがすぐ試されるという感じだと思っています。
角田:じゃあ挑戦なんですけども、もう少し棚卸ししたいなと思っていて、またこれもちょっと偉人の話なんですけども、「『計画された偶発性』理論」というのがあります。
これは有名な話なんですけども、18歳の時になりたいと考えていた職業に現在就いている人はどれぐらいいるのでしょうか? ちょっとこれは過去の調査なんですけども、これが何パーセントぐらいかわかります? なんか藤岡さんは当てそうですよね。100パーセントですかね(笑)?
藤岡:いやもう私の周りを見ていても、本当に数パーセントの下のほうなんじゃないかなという感じはしますけども。
角田:すごいですね。なんかあまり当てられないんですが当てていますね。2パーセントだそうです。なので成功したビジネスパーソンに聞いてみるとこんなもんなんですよ。
社会的成功を収めた数百人に聞いて、キャリア分析した結果8割が言う言葉ってこうなんですよね。「自分の現在のキャリアは予期せぬ偶然によるものだ」、こんなこと言われたら困りますよね。偶然ですよ。みなさんももしかしたら偶然なんですよ。
これをちゃんと研究した人が、ジョン・D・クランボルツ教授という人で、「計画された偶発性理論」と言っています。これはすごく良いことを言っていて、不確実性に対して勝てる、勝っていけている人たちが結局成功しているということですよね。
だから不確実性って、不確実だからわからないじゃなくて勝てる方法があるということをこの人は見つけたわけですよ。そうすると先ほど言った挑戦すると言って「なんだかよくわからないけどもがんばろうか」という精神論ではなくて、勝てる方法論があるんだったらそれをやったほうがいいじゃないですか、というのがここで言えると思います。
なので、スタートアップに挑戦すると言っても「今日話を聞いたけど偶然だからわからないよね」ということでもないわけですよね。ここを徹底的に科学していくことができる。逆に言うと科学したほうがいいと思っています。
角田:では不確実性に勝つ方法とは何なのか。「個人のキャリア形成をもっと幅広くとらえ、その8割が予期しない出来事や偶然の出会いによって決定されると考えます」と、もう未来の職業を当てるのは諦めたほうがいいということですね。
ただ重要なのは、ここですね。「その偶然を避けるのではなく、当人の主体性と努力によって最大限に活用すること。さらには予期しない出来事をただ待つのではなく、自ら創り出せるように積極的に行動したり、周囲の出来事に神経を研ぎ澄ませたりして、偶然を意図的・計画的にステップアップの機会へと変えていくべきだ」というのが同理論の中心にある考え方です。
これを実践するために必要な行動指針として、クランボルツ教授は次の5つを挙げています。その前にこれは実は我々も知っている、かのリクルートという会社の創業者の江副浩正さんの言葉です。
「自ら機会を創出し、機会によって自らを変えよ」と言っているんですよね。これはクランボルツ教授と同じですね。つまり成功した人って大概同じことを言っているんですよ。
クランボルツ教授の言ったこの5つをやれば、もしかしたらスタートアップに行っても失敗する可能性が減るかもしれない。それが「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」この5つですね。
「たえず新しい学習の機会を模索し続けること」「失敗に屈せず、努力し続けること」「新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること」「こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること」「結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと」、なるほど。言うのは簡単、やるのは大変そうなやつが出てきましたね(笑)。
藤岡:ちょっと割り込んでいいですか? すみません。本当はここで止めて、1時間でも話せるところだと思うんですけども。
角田:話してください(笑)。
藤岡:1分ぐらいにしますけど、日本の教育のせいにするわけじゃないけど、日本の教育ってこういう人間を育てているんじゃないかという話があって。新しいことを模索し続けることとか、失敗に屈せずとかではなく、失敗をしないように恐れるとか、失敗しないようにするとか、若干逆のことが大企業で起こっていることが多い。
新しいことをするよりも現状維持とか、比較的逆のことが日本の多くの価値観を占めている。その中で我々はどうやって自分自身をパラダイムシフトして、こういう価値観に変えていけばいいのかなというのは、すごく興味がありますね。
角田:そうですね。だからこそ、みなさん自身が内的動機でこれを変えるのが難しかったり、周りにいる人たちの影響を受けるわけですよね。そうすると、自分を変えるのと環境を変えるののどっちが楽かという話なんですよね。スタートアップは環境だったりします。
スタートアップってこの5個をやっていないともうほぼ無理ですよね。
藤岡:そうですね。
角田:スポイルされていく感じ。そうすると、不確実性に勝つ方法ってある意味その環境が持っている特性、つまり「スタートアップの特性」を言っているんですよね。
藤岡:なるほど。
角田:先ほど「挑戦」という言葉が出てきたじゃないですか。若いとリスクがあまりなかったですよね。若い人って行ったほうがいいんですよね、100パーセント(笑)。ただ、ある1点で悩んだ時はすごく慎重にいったほうがいいと思うんですけれども……もう今日ここまでのお話しをさせていただいて、たぶん感覚的にみなさんわかってきていると思うんですよね。
自分でがんばって変えるぐらいだったら、とりあえず環境変えようと。そうしたら幸せに近づきそうだ、ぐらいのところまではなっているのかなと思うんですよね。
藤岡:なるほど。僕も経験則的に言うと、みなさん、周りの友だち5人を思い浮かべてください。仕事でもそうでなくてもいいですし、本当に直感でいいです。自分はいつも自分と一緒にいる人たち5人の影響を受けているというし、その5人を選んでいるのも自分自身だということです。
すみじゅんさんの言うとおり、とりあえずスタートアップ(の環境に)に自分をぶっ込んでみると、スタートアップってこうやらないと生きていけないから、周りにこういうマインドの人しかいないわけですよ。
自分を変えたいと思った時に、その環境のままではたぶん変われないから、スタートアップに自分をぶっ込んでみると、自ずとこういう価値観になっていくというのは1つありそうな感じですよね。
角田:そうですね。朱に交われば赤くなると言ったとおりで、もはや強制ギプスだと思っていくのも1つポイントかなって私は思っていたりしています。実際にそれで変わった人を何人も見ていたりするので。
ということで、クランボルツ教授の話もあったんですけど、僕らがやらなきゃいけないことは「スタートアップに行くこと」ですよね。もう計画を作っちゃったほうがいいんですよね。
計画を作るんだけども、計画どおりにいかないって先ほど言っていたので、偶然も知ったらいいですよね。リスクってわかっていればかなり減らすことができるわけですよね。わからないからこそ対応しようもないわけであって。なので、この「計画を作って偶然を知る」ということをすればいいと思うんです。
そういった意味では現実を知る上で重要なのは、みなさんが今持っている能力とか、年齢とか、どういうタイミングで、どういうかたちでジョインするのがいいのかということを考えることが1つ幸せにつながるでしょうし。
角田:とはいえ、予想外の展開はいくらでも起こるわけですよ。予想外って先ほど言ったようなことがだいたいなので、それに対してみなさんはどうするのかをある程度先に立てておくことで、ずいぶん(リスクを)回避できるんですね。
その結果、みなさんがどういう会社でどういうポジションになるのかわからないですけども、とはいえ(スタートアップに入ることで)幸せに対してつかんでいるものが大きいと、1つ言い切れるのかなと思うんです。
ちょっと三段論法みたいになっているんですけども、そんな感じです。無理やり説得している感がありますよね(笑)。
ということで、今日は「幸福」をベースに話しているんですけども、幸福を手に入れようと思ったとした時に、スタートアップってとても良い環境にあると思うんです。ただその中で起こることは、どうなるかわからないことも多いです。偶発的に起こることが多かったりします。
キャリアでいっても、成功しても2パーセントぐらいしか自分の思った職業に就かないわけです。私もそうなんです。私は結婚相談所の役員をやったことがあるわけですけども、そうなるなんて思ったこともなかったわけです。ただ、その環境の中でベストなものを拾っていっているだけかもしれないです。
なので、わからないながらもきちんと考えてやってみる。スタートアップで働くということはそういうことだったりするので、まさに重要なことかなと思っています。スタートアップで働いて幸せを手に入れるためには、わからないながらにきっちり備えるべきだと思うんですよね。
先ほどのクランボルツ教授の話もありましたし、スタートアップってこういうことなんだという、いろんな情報があります。成功するパターンもあれば失敗するパターンもあるし、そこをきっちり考えることですよね。
ということでぜひシナリオ作ってみて、みなさんご自身の現実を理解することをやってほしいなと思います。そのためには藤岡さんのようなプロの方と話をしてみる、壁打ちしてみるのもとてもおもしろいですし、客観的に自分を見てみることもすごく重要かと思います。
角田:将来的にどういう結果が出るかというのは、逆に言うと藤岡さんだけでもわかり得ないこともありますし、藤岡さんを見ていて、「統計的にみんなこうなるな」というパターンもあれば、それを超えるパターンもあるわけですよね。逆にそうじゃないパターンもあるかもしれないんですけども。
なのでその不確実性に対して、ご自身たちでベストを尽くしてほしいなと思いますし、ぜひスタートアップに飛び込んでほしいなと思っています。幸せを手に入れる可能性はたくさんあります。きっちりこの中で残れば、社会から必要とされる仕事が多いですし、注目されますし、みなさんの能力以上に大手でも必要とされると思うんですよね。
だって大手がCVCとか言ってスタートアップにお金入れているということは、いずれかは古巣の人たちがエクイティを入れて、そこで「あぁ、そんなになっているんだ。じゃあ一緒にやりましょう」という話もあるわけですよね。
最後にまとめるかたちなんですけど、幸せというのは、自己肯定感×自己有用感です。自己有用感を感じるために、スタートアップに行くというのは1つポイントかなと思っています。
それぞれ2つの要素に分けると、スタートアップで体験できることってこんなかたちで分解できたりしますので、どこで自分が幸せにつながっていくのか、なんでそれが幸せにつながっていくのか。自己有用感をきっちり得られるような仕事が多かったりしますから、自己有用感を上げていく中で、「自分ってイケているんだな」というかたちで自己肯定感につながっていく。
こんなステップで、幸せをぜひ手に入れていただきたいなと思います。ということで、今日は「なぜスタートアップで働くことが私たちを幸せにするのか?」ということをつらつら話してきました。
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