2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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馳浩氏(以下、馳):1つ報告したいと思いますが、法務省でこの1年間、性犯罪の被害者救済のための検討会が行われまして、この8月にも報告がなされて、その報告に従って法務大臣が法制審議会に諮問をする予定になっております。
特に大きいのが、この性犯罪については、当然、性的虐待含めてね、今までは親告罪だったのが非親告罪化と、本人が訴え出なくても外形的にその証言からしてですね、「確証を得られれば、それでもう罰するぞ」という方向性。
これは非常に大きいと思いますし、地位利用して、性犯罪を行った場合したがって親であるとか、抗いがたい立場にある優越的な地位にあるものが性犯罪、性的虐待を行った場合の罰則を強化するといったところに法改正にいく流れとなってきていますので。
我々、私、自民党の女性の権利保護PTの座長を務めさせていただいて、議論の末提言したことが十分反映されているので、まず1つ流れはよかったかなと思っています。
三原じゅん子氏(以下、三原):あと、時効の問題というのもありましたね。
馳:はい、なかなかこれは、法の元の公平性という観点から難しくて。我々が主張したのは、子供の段階でどういうことが行われたかということをわかった段階、犯人がわかった段階ですぐ訴え出ることがなかなか難しいじゃないかと。
できれば本人が成人してから時効がスタートする。時効の起算点を成人にする。こういったことを訴えているんですけども、なかなか時効制度の公平性で難しい。
じゃあ性的虐待だったら特例を作ってもいいのかというふうな法的な議論がされているんで、ちょっとなかなか手が届かない部分です。
三原:難しいですよね。やっぱり除斥期間というものをどうとるのかっていう、どこにとるのかっていう問題。起算点をどこにとるのか。
そういったことを考えるとやはり子供のうちに、今、親告罪でもありますし、どう訴えるっていっても、これは難しいことですからね。
馳:少なくとも、これはやっぱり児童相談所、それから学校の先生、保育所の保育士の方々、保健士さん等々、子供がそういうシグナルを発したときには、まずしっかり受け止めて事情を聞く。
実は最終的には司法面接の制度も導入して、被害児童に負担を負わせない形で証言、供述といったものの裏打ちを取りながら、非親告罪化にすることによって早くそれを罰していく、起訴していくっていうふうな流れが必要だろうと思っています。
これは、やっぱり法によるアナウンスメント効果もあって、絶対に日本社会は性的虐待許さないんだぞと。「あなた、何やったかわかってるんですか?」ということを戒めるためにも、こういう流れはやっぱり必要ではないかなと私は思ってるんですよね。
三原:そうですね。児童虐待という中で性的虐待もあるし、成人した女性のことを考えても、例えば強姦罪と強盗罪の罪の重さの問題とかもよく言われますね。
馳:これ量刑が、強姦罪が最低3年、強盗罪が5年。「それ、何で?」って聞いたら、性的行為の対象者を選ぶ自由を侵害したと。性的行為をする相手を選ぶ自由を侵害したと。というのが法律の立て方らしいんです。
そもそも「それ、おかしいだろう」と。人としての尊厳を踏みにじる行為であって。少なくとも強盗罪と強姦罪の量刑については、まず5年に合わせるべきではないかということで、提言をしたんですが。
どうもその方向性を理解していただいているようで、専門家の皆さんの検討会ではその方向性が出そうなので。そういったところから社会の合意を得て、こういった性犯罪、こういう事案を厳しくチェックしていくことが必要だと思います。
三原:はい。馳先生が女性の権利保護PTの座長として、こういうところを本当に女性の立場に立って、きちっと動いてくださっているということを、ぜひ皆さまに報告をさせていただきたいと思います。
児童虐待の話に戻りまして。法整備に関して、今までの流れをちょっとおさらいをさせていただきたいと思うんです。
先生、ここからずっと携わってこられて。法改正を、児童虐待防止法ですよね、一応そういう呼び方をしておりますけれども、平成12年から成立をして。
馳:実はこの前に衆議院に青少年問題の対策特別委員会ができまして。そのメンバーの方々がイギリスに行って、チャイルドラインの視察に行ってこられたときに、やはり子供が声をあげる場所が、そのチャイルドラインを通じての訴えの中で、暴力とか虐待の事案っていうのが顕著になってきたので。
そのイギリスでの視察を我が国に持ち帰って、「これどう考えても児童福祉法だけでは対応できないぞ。虐待の事案は日本社会のマグマのような形であるぞ」ということで取り組みまして。
これは平成12年。実はこのときに選挙があったんですが、選挙の直前に2ヵ月ぐらいでバタバタっと作ったんですよ。そのあと見直しをちょっと不足に入れてあったので、定義の見直しとか通告義務の範囲の拡大とか、市町村の役割の明確化とか。あとポイントだったのは、要保護児童対策地域協議会。これ要対協というんですけど。
小さな自治体もあるから努力義務にしてあったんですけども、全て義務にして。動かして、子供に関わるお医者さんも、司法関係者も、自治体も、いろんな、いわゆるステークホルダーが入った中で見守りをすることができるようにしたっていうのが、平成16年の改正だったんです。
三原:そのあとに立ち入り調査の強化っていうことで。これも当時、話題になりましたね。
馳:これ大変だったんですよ。憲法の、いわゆる臨検制度という制度をとることになったんですが。憲法上の住居不可侵ということがありますので、福祉的な措置で、鍵を壊してまでも虐待と思われる児童を救出することをしていいのかどうか。
平成16年の改正のときには警察官の同行というところまでいったんですが、児童相談所の福祉関係の方が、鍵を壊してまで入るということをしていいのかっていう。
これはずいぶん最高裁判所も法務省も抵抗したんですけれども、「ちょっと待てよ」と。全く反応がなく面談もできなければ、児童の置かれている状況がわからないじゃないかと。
したがって、鍵をぶち壊して入って子供が大丈夫だった、それなら別に、それはそれでいいじゃないかと。それで救い出せる命があるんだから、青少年の健全育成保護のほうを優先すべきだということで、ずいぶん説得をして現立法で平成19年に臨検制度といったものを入れたんです。
もちろん裁判所の捜査令状を取ってから入るということで、要件は厳しいんですけども、やはり虐待の事案というものは社会全体で見守り、救い出しますよっていうメッセージは込めたんですよね。
三原:これはすごく大きかったと思います。21年にも児童福祉法が改正されて。そして23年。これも大きかったですよね。
馳:これは親権を一部停止。そもそも、虐待をするような親に親権をそのまま与えておいていいのかどうかという議論の中で、子供の監護権などについても一時的に停止をして、その分児童相談所の所長に与えるべきではないかということで、その改正が進んだということです。
三原:はい。こういう流れで、できる限りの法整備という形でここまで来たんではないかなというふうに思っております。
まだまだ、当然十分だなんていうことはないとは思いますけれども、今まで馳先生がこういう形で法律を作ってきてくれて、今があるんだということをご理解いただけたと思います。
そしてこのような女性局も5年にわたって47都道府県で、全ての女性局の皆さま方にご協力をいただいて、今回もこの7月1日から新しく運用になりますということで、全国で街頭演説会を行っていただきました。
馳先生も石川県のほうで、
馳:ええ、させていただきました。
三原:街頭演説に参加をしていただいたということで。私も宇都宮や川崎、桜木町、いろんなところで参加をさせていただいて、皆さま方にこの189を知っていただこうと、広めていただきたいということのお願いをさせていただいたところでございます。
はい。時間が早いですね。今日は質問とかはいいんですかね。いろいろと来てはいますが、そろそろ時間もないと。
よく聞かれます。馳先生、コメントで「しつけと虐待の違い、どう思われますか?」。これ、本当に難しいところだと思いますけども。
馳:親権制度といって、親権の中には監護権とか居所指定権とか職業選定権とかと同時に、財産権もありますけども、もう1つ、懲戒権というのがあるんですね。
これを拡大解釈して「親は子供に対して懲戒、懲らしめる、しつけをする権利があるんだから、いちいち構うな」と。こういう言い逃れをする人がいるんですが。
しつけと、懲戒権っていうものは明確に違います。それは子供の立場に立って考えてくださいということなんですね。しつけという名の暴力はあるんですね。それもある程度の「何やってんの」というような。
程度はあるかもしれませんが、そもそも子供に対して暴力をふるってはならないという大原則をまず守っていただかなければいけないと思っています。
したがって、他人から見ても、また子供の立場に立ってみても、それはしつけの度を超えているであろうと。こういうことについて、多くの目が行き届くことが必要ではないかと、こういう観点で思っております。
三原:そうですね。いくら親御さんがしつけだと言い張っても、それが第三者的に「どう考えても、それは行き過ぎでしょ?」ということ。
それと同時に子供の立場に立ってという、今の馳先生のお話、すごく大事なところだと思います。子供の立場に立ってどう思うか、それをしつけと思うか虐待と思うかということを、そこが一番の大きな違いなのではないかということなんですね。
馳:どうしても子供の立場を、これはご覧いただいてる皆さんはわかると思うんですが。親に嫌われたくなくてたたかれたり、ネグレクトされたり、心理的に抑圧をされることは、自分に対する愛情だと勘違いするんです、子供は。
それは全く違うよということを、我々は1つの社会的なルールとして伝えていかないと、親がその気になって「たたきゃいいもんだ」と。自分の子供に「いちいちうるさいな、ほっといてくれ」と。そういうふうなエスカレートしないような、ある意味での歯止めをかけていかなきゃいけないと思います。
三原:そういう意味でも、189っていうのは大事ですね。虐待かもと思ったら189、っていうことなんですけれども。そういう通報を第三者の方がするということは、そのお母さん、お父さんに歯止めをかける、そういう力にもなるわけで。
通報する側の方にぜひ勘違いをしないでいていただきたいなと。もしかしたら虐待じゃないかもしれない。人さまのご家庭のところに何か踏み込んでしまうんじゃないかとか、あるいはもし間違えだったらどうしようとか、そういうことをつい通報する前に考えがちでありますけれども、この189、どなたが通報したかは秘密になってます。
馳:守秘義務がかかってますから。
三原:はい。内緒にできるようになっておりますので、逆恨みされるとかそういうことは一切心配をなさらないで、連絡、通報をしていただきたいということですよね、先生。
馳:通報するっていうことはよっぽどのことだろうと思われますし、また子供の姿を最近見かけないという場合には早めにやっぱり対応しなきゃいけませんし。
通報を受けた児相やあるいは市町村の職員も、少なくとも48時間以内に目視、目で子供の安全を確認しなければいけないことになっていますから、早めの通報をお願いしたいと思います。
三原:はい。ぜひ虐待かなと思ったら189。それでぜひ皆さまにこの番号を覚えていただいて、近所の方でも結構ですし、あるいは今自分が虐待をしちゃってるかもとか、もうしてしまいそうというお父さん、お母さんでも構わないということですよね。
馳:そうです。
三原:そして、あるいは誰にも言えないで、虐待されて苦しんでる、悩んでるお子さん、プッシュホン3つ押すだけで相談に乗りますので、ぜひ虐待をされてるお子さんにもこのことを、この番号を覚えてもらいたいなというふうに思います。
もう時間になってしまいましたけれども、こういう形で5回にわたって、これからこの児童虐待のことについてみんなで考えていきたいと思っております。
女性局が番組をお送りしますので、ぜひ悩んでいらっしゃって、「今子育て中です、悩んでます」っていう方、あるいは「もしかしたらご近所でこういう方がいらっしゃるんだけれども、どうなんだろう」とか、そういう子育ての虐待に関するご相談でしたら何でも結構です。ぜひこちらのほうにTwitterでどんどんご意見やご質問をお寄せいただきたいと思います。
次回は18日18時から、子育て真っただ中の女性局の役員の先生方。大沼みずほ先生は来てくださるということで決まっております。
他にも子育て中の先生たくさんいらっしゃいますので、先生方にどんどん来ていただいて、このご質問やご意見にお答えをしていくという時間を18日に作りたいと思いますので、ぜひお寄せいただきたいと思います。
馳先生、お忙しいところ、今日は本当にありがとうございました。
馳:これからも女性局の皆さんの活動に期待しております。よろしくお願いいたします。
三原:ありがとうございます。
やはりもう児童虐待といったら、馳先生をまず最初にお呼びしなければということで、今日はお願いをさせていただきました。本当にありがとうございました。
馳:ありがとうございました。
三原:それでは次回、8月18日になりますので、ぜひまたご覧をいただきたいと思います。「カフェスタ189@女性局」でした。ありがとうございました。
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