2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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木原誠二氏(以下、木原):はい、みなさん、こんにちは。Cafestaをご覧いただいてありがとうございます。今日の特番の司会を務めます、自民党の政務調査会副会長、そして、このメディア局筆頭次長をしております、木原誠二です。みなさんよろしくお願いいたします。
今日の特番タイトルは、「ゼロから知りたい『働き方改革』~ 働く人の視点に立った平成の大改革~」。この「働き方改革」を真面目にゼロから掘り起こして、みなさんにお伝えしたいと思います。といっても、私は解説はできませんので、今日は、元厚生労働大臣で今は私の上司にあたります、政務調査会の会長代理の田村憲久さんにお越しをいただいております。
今日は、田村さんに「働き方改革」、ゼロからしっかり解説してもらいたいと思いますけれども。難しい話になる前に、ご挨拶をいただきたいと思います。
田村憲久氏(以下、田村):こんにちは。衆議院議員の政務調査会長代理、もう8期生になっちゃいました。田村憲久でございます。今日は「働き方改革」、非常にややこしいなと思われる方、いっぱいおられると思うんですが、なるべくわかりやすく、お話ができればな、と思っております。みなさま方の生活が変わる、そんな法律でございますので、よろしくお願いいたします。
木原:この国会、もともとは「働き方改革国会」と言われていましたし、総理もこの「働き方改革」は「アベノミクスの最大のチャレンジ」だとおっしゃっておりました。いよいよ70年ぶりの大改革をする、ということですが、なかなか国民のみなさん、わかりづらいし、自分にどう関係があるのか、なかなかわかりづらいのかな、と思うので。ぜひ、どういう経緯で何をしようとしているのか、というところからお願いします。
田村:はい。いくつかにパートが分かれているんですね。もともと一番初めのスタートは裁量労働制。それから、高度プロフェッショナル型の働き方という、労働時間にしばられない、と言った方がいいかもしれません。そういうものが、私が大臣を始めにさせてもらった第2次・第1期安倍内閣のときにですね。
木原:それ、いつからいつまででしたっけ?
田村:2012年の12月から2014年の9月でしたっけ。要は働き方をどう変えていくんだ、という議論の中で、もともとは第1次安倍内閣でもちょっと出た話なんです。
木原:なるほど。
田村:裁量労働制という働き方がありまして、これは専門業務型と企画業務型というのがある。わかりづらいかもわかりませんが、専門業務型というのは、例えば、マスコミの記者さんだとか、というのがイメージとして湧きますかね。研究者とかもなんですが、専門的な知識を持ってやられるお仕事。
それから、もうひとつは、企画業務型といいまして。経営の中枢で、経営企画業務なんかをやっておられる方々なんていうのは、忙しい時とそうでないときで、けっこう幅があるものですから、こういうのは裁量労働制(にしよう)という。
例えば、1日9時間労働とみなしましょう、というので、日によっては7時間かもわからないし、日によっては10時間働くかもわからないけど。今もあるんですが、そういう働き方をちょっと広げたらどうだ、という議論と、今言った高度プロフェッショナルという、もうまったく労働時間というものを対象にしないと言いますか。先ほどの裁量労働制は、似てるようなんですが、みなし労働時間というものがありますから。
木原:なるほど。
田村:それから、あんまり乖離しすぎちゃうと、ちょっとこれおかしいんじゃないの? っていうふうに指導を受けるわけですよね。ところが、高度プロフェッショナルというのは、本当に専門的、もっと高度で、例えばアナリストだとか、ディーラーですよね。金融のディーラーだとか、高度な研究開発というものをやっておられる。その時の成果というものを出すものと、労働時間があまり関連性がないようなお仕事ですね。
例えば、研究開発などで新しい発想みたいなものが必要な時には、時間じゃなくて自分の周りの環境が変わったことによって、そういったものが生まれるかもしれない。そういう成果と、労働時間の結びつきが弱いもの。しかも、それだけだと働きすぎになる可能性があるので、ちゃんと交渉力のある方というので、年収が1,075万円。
木原:1,075万円。
田村:これはどういう基準かというと、平均の国民の給与の3倍を、ある程度超える金額というので。本当言うと、有期の労働契約というのが3年だとかありますよね。上位何パーセントとかですけど。これを一発で10年までいいという働き方があるんです。
それがやっぱり、この年収1,075万と職種というのがありまして、それに合わせて今回、その方々も、やっぱり10年でクビになっても、次すぐに働くところがある専門性と能力がある方々でありますから。それに一つ基準を合わせて、雇う側と交渉力のある労働者の方々を対象に、職種も絞ってやりましょうということだったんです。
田村:これによって、言うなれば、効率的に働ける、生産性が上がる。ただし、一方で働きすぎになるため、企業がちゃんと健康管理措置はしなければならない。高度プロフェッショナルも、年間104日以上休ませなきゃいけないんですよ。年間104日って……。
木原:104日っていうことは、最低週に……。
田村:2日以上。
木原:2日以上ですね。
田村:休ませなきゃいけないと。いうようなものが入っていますから、そういう意味からするとそれなりに、まあまあ、ちゃんと健康確保もしなくちゃいけない。ちゃんと健康診断もさせたりとか、いろんなことがあるんですけれども。そういうようなことと、一方で働く方々がもっと生き生きと働けるということは。ちょっと日本は長時間労働が多いじゃないですか。
木原:そうですね。
田村:それを是正しなければいけない。本当は、週40時間なんですよね。年間300……ごめんなさい、40時間だから……40×12時間。480時間。
木原:480ね。
田村:(480時間)しか働いちゃいけないんですが、そこに労働基準法36条というものがありまして。よく36協定って。
木原:あら。難しい話ですね。
田村:難しいやつね。労働組合と雇い主がそこで協定を結ぶと、月45時間、年間360時間は残業をさせてもいい、ということになっているんです。でも、日本人ってもっと働いているんですよね。なんでかなと思うと、36条協定を結んだ上に特別条項というのを結ぶと、なんと半年にわたって(残業の)上限がないような……。
木原:けっこう、それは青天井でできてるの?
田村:青天井のような協定を結べちゃうんですね。
木原:なるほど、なるほど。
田村:それは、ちょっとひどいんじゃないの? っていうんで、上限をしっかり作って。やっぱり家庭で奥様と一緒に家事もやらなきゃいけない、子育てもやらなきゃいけない。日本は、ただでさえ少子化国家ですから、それも是正しなきゃいけないし、何よりも、それで疲弊して生産性が落ちちゃう可能性もありますよね。パフォーマンスを上げてもらうためにも、やっぱり上限はちゃんと決めましょうよということも、この中に入れて。
木原:それが、長時間労働是正ですね。
田中:さらに同一労働、同一賃金。もっとわかりづらいでしょ(笑)。
木原:わかんないね! わかんないけどお願いします(笑)
田村:ヨーロッパって、本当の同一労働、同一賃金になっているんです。なぜかというと、職種によって、だいたい、どこの企業に行っても、これぐらいの賃金で、というのが決まってるんですよ。
木原:ということは、日本で言えば、トヨタに行っても日産に行っても、みんなだいたい同じような金額になるようになっていると。
田村:そうなんですよ。だから日産の下請けで日産と同じことをやっている人も、同じ賃金になると。こういうような仕組みができているんですね。労働組合も産業別にありますから、日本のように、それぞれの企業別の労働組合で賃金交渉をするんじゃない。
日本で言うと、春闘をもっと強くしたような感じでやりますから、この産業ならば、この職種ならば、これぐらいの給料っていうのが決められるんです。これが本当の同一労働、同一賃金なんですよね。ところが日本の場合は、それありませんよね。
労働組合も企業別ですし、そもそも言ったように元請けと言いますかね。発注する側の会社と下請けしている会社で、同じ作業をしている場合もあるわけですよ。給料はこんなに違いますよね。そういう状況があるものだから、なかなか同一労働、同一賃金って一足飛びにはできないですよね。
そこで、まず同じ企業ならば、しかも非正規と正規を同一労働、同一賃金に。同じ仕事ならば同じ賃金にしてくださいね、というふうに、今回の法律で決めるんですね。だから日本の場合は、非正規で働く方々が、ヨーロッパと比べて、やっぱり正規の方々よりも給料が低いって言われてますから。
木原:どれぐらい違うんですか?
田村:だいたい日本は正規の6割弱ぐらいと言われています。
木原:日本が。
田村:はい。
木原:日本では、非正規雇用者のみなさんは、正規のみなさんに比べて、だいたい6割ぐらいになっているということですね。
田村:はい。ヨーロッパは7割から8割と言われています。
木原:はー。それぐらい違うと。
田村:違っていますので、それをなんとか引き上げていかないと。今、やっぱり非正規で働く方々も増えています。これは、正規で働けないからというだけではなくて。例えば、高齢者の方々が引退した後、非正規で働いたり、女性の方々も本当は正規で働きたい方々は、今どんどん(正規に)なっているんですが。「私、パートがいいわ」という方もおられますから、そういう方々も今、増えていますよね。
そういう方々の処遇を改善。もちろん正規になりたくて、なれなかった方々の処遇も改善しなくちゃいけないというので、これをやろうと。ただし、そうなると「正規と非正規って、正規の方が責任が重いのに、それ、おかしいんじゃないの」って言われますので。実は、この同一労働、同一賃金はどういうものかというのを、因数分解しなくてはいけないんですよね。
木原:なるほどね。何が同一で、何が同一でないのかと。
田村:そうです。職務の内容、人材活用のしくみが同じなら同じにしましょう。人材活用の仕組みって何? っていうと、転勤がありますとか、それから転属。今まで経理やってたけど。
木原:突然変わるとか。
田村:そう、今度は総務に行ってくれだとかね。それからあとは、残業を今月は上限いっぱいまでやってくれとかね。そういう、言うなれば、無限定に働くような方々の使い方。それと、あなた、場所はここですよね、残業はないですよね、それから仕事はずっとこの組み立てですよねという人とは当然違いますから。
そこは、まず違いますよと。今のは人材活用の仕組みですから。じゃあ、職務の内容というのは、業務の内容と責任に分けられるんです。責任というのは、饅頭に例えると、「饅頭を1日に100個作ってください」という責任ですよね。
これがあるかないかによって違います。業務の内容というのは、作業の内容ですよね。饅頭を作っている。それから知識や経験。つまり能力なんですよ。つまり、能力が同じ饅頭を作る作業でも、1時間に10個作れる人と、5個しか作れない方は、当然給料は違ってていい。
その上で、10個作らないといけない、という責任があるかないかによっても給料が違う。そういう形で因数分解していくと、それなりにやっぱり正規社員と非正規では責任も違うし、人材活用の仕組みも違ってくるよね、能力も見ましょうという形の中で、そこが全く同じならば同じ賃金にしてくださいというのが、同一労働、同一賃金です。
木原:なるほど。そうすると今、田村さんにご説明いただいた今回のパッケージは、だいたい3つだと。1つは時間にとらわれず、むしろ成果で行く働き方。裁量労働だとか、高度プロフェッショナルだとかいう世界。それから、時間で働くんだけど、長時間労働をしっかり是正していかなくてはいけないねという2つ目。最後は、正規のみなさんと非正規のみなさん。同一労働、同一賃金でなるべく近づける。こういう理解でいいですかね。
田村:そうです。まあ、他にもありますけど、大きく今、議論して、いろんなところで議題になっているのはこの3つ、というふうに考えていただいて。
木原:なるほど。僕はちょっと勉強不足であれだけど。もうちょっというと、僕は1993年入社でね。そうすると、昔は「24時間働けますか?」っていう広告がいつも流れてて。
田村:ありました!なんか、栄養ドリンクの。
木原:流れてましたね。だから、私の時代は大学を出たら一括採用。そして、同じ会社で年功序列で勤めて、終身雇用っていうのが、ひとつの世界だったけど、そこからスピルオーバーして現実が変わってきた、それに対応していると。そういうことでいいですか?
田村:あの「24時間働けますか?」っていう宣伝もあれば、「5時から男」っていうのもありましたよね。
木原:ありました、ありました(笑)
田村:だから両極だったんですよね。今、日本とヨーロッパの違いを言いましたが、ヨーロッパっていうのは比較的、その職種に付いたら、ずっとその職種をやって、スキルアップしていって、給料が上がっていくという方々が多い国家、社会なんですよね。
日本の製造業はそういうところがあります。だから、製造業の生産性は、日本はそんなに低くない。世界と比べても平均以上のところがあるんですね。ところが、一番低いのは、もちろんサービス産業みたいなのは、飲食業だとか、それから小売業。これは生産性の低い理由はあるんですが、私なりに分析しているんですよ。24時間みたいな過剰サービスを金額化していませんよね。コンビニなんて本当は……
木原:おもてなしが。
田村:そう!
木原:お金になっていないと。
田村:そう。コンビニなんて本当はすごい効率のいい運営の仕方。
木原:世界一ですわね。
田村:でしょ。
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