
2025.02.06
ポンコツ期、孤独期、成果独り占め期を経て… サイボウズのプロマネが振り返る、マネージャーの成長の「4フェーズ」
テーマ「プロダクティブエイジング」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):では、塚越さん。テーマの発表をお願いします。
塚越友子氏(以下、塚越):はい、こちらです。
(テーマ「プロダクティブエイジング」について)
脊山麻理子氏(以下、脊山):「ひとり」で生きる女性の老後を応援するNPO法人「SSSネットワーク」が去年12月、棺おけに入ってみるイベントを開き、死後共同墓地に入ることを望んでいる女性およそ20人が集まりました。
堀:さて、NPO法人「SSS」には、首都圏の50〜70代の女性を中心におよそ900人の会員がいます。
その9割が未婚や配偶者との離婚・死別による単身の女性です。2000年には女性のための共同のお墓を作って、会員の半数のおよそ450人が死後そこに入る契約をしているということです。考えさせられる動きですね。こういうNPO法人があるんですね。
塚越:そうですね。超高齢社会に突入した日本にとって、「加齢とはどういうことなのか」ということを、心理学の視点から説明したいと思います。
いきなりクイズですが。「加齢に関するクイズ」に答えていただきたいんです。
1.高齢者は知能的に衰え、周囲の人・出来事・時間などの正しい判断ができなくなっている。
塚越:正しいか、間違っているか。考えてみてくださいね。
堀:できなくなっているんじゃないかなぁ......。
2.高齢になると五感のすべてが衰えがちになる。
堀:「すべて」とか入っていると、ちょっと警戒しちゃうんですけど(笑)。そういう小手先の読み解きでやってしまいそうなんですけど。
3.高齢者の大多数は変化に適応できていない。
4.高齢者は一般に新しいことを習うのに若い人より時間がかかる。
堀:かかりそうですけどね。「おばあちゃん、スマートフォンはね......」ってやってますからね。
塚越:これは、実はパルモア作成「加齢に関する知識と態度を測る質問紙」というものがありまして。本当は25項目あるんです。それを一部抜粋してきました。奇数は全部誤りで、偶数は正しいです。
堀:奇数が誤りということはこの1、3番は誤り。
塚越:誤った認識。
堀:「高齢者の大多数は変化に適応できない」というのは、そんなことありませんと。
塚越:そんなことありません。
堀:できますと。
塚越:知能的にも衰えません。
堀:知能的にも衰えない。
塚越:知能も2つあって、「結晶化知能」と「流動化知能」があって。流動化知能というのは、スピード的に判断の処理を速くするものとか、知識を入れていくというもので、そちらはちょっと衰えますけど、結晶化知能という知恵に繋がるほうの知能は衰えません。
堀:おばあちゃんの知恵袋ですね。
塚越:そちらはとても維持されていて、衰えることはないんです。
堀:なるほど。
塚越:けっこう皆さん間違って判断していて。
堀:確かに。
塚越:これをレイシズムやセクシズムに続く第三の差別と言って、「エイジズム」。
塚越:奇数を間違えた人というのは、高齢者に対する否定的な偏見を持っている人。偶数を間違えた人は、肯定的な偏見を持っている人。
堀:期待しすぎ。
堀:「エイジズム」!
塚越:というふうに言うんですね。エイジズムというのは、今言ったように、否定的なエイジズム、高齢者をとても無能で弱いもので依存的だとみなすことと、肯定的にとらえること。知恵があったり、とても親切であったり、頼りになったりと。
諸外国、欧米の場合には、否定的なエイジズムで、無関心だったり嫌悪感だったりというもので、それをどうにかしようという話になるんですけど、日本の場合、敬老思想というのがあるので、肯定的なエイジズムも混ざっているんですね。
堀:なるほど。敬ってね。
塚越:それによって、手厚い社会保障という。
堀:行き過ぎて過剰な部分もあると。
塚越:日本の高齢者への対策に対して、老人をとにかく他の施設に預けて世話をしなければいけない無力な者と一方的にみなす傾向と、正確な関心を持たずにサービスの展開を鼓舞するというところで、日本のエイジズムというのは特殊であると諸外国から言われている。
堀:レイシズムや差別ね......。こういうお年寄りの問題。無知からくるんですかね......。
塚越:そうですね。保障か自己責任かという話になってしまうんですけど。
堀:急にね。
塚越:ただ日本人は、どうもエイジズムはないと思っている傾向があるので、なかなか高齢化社会に対する取り組みが進まないとも言われているんです。
先ほどお話した「プロダクティブエイジング」というお話になるんですけど、エイジズムに対して出てきた考え方で、「高齢者は生産的である」という考え方ですね。お金ではない価値の創造をしているんですよと。
「社会保障の費用をたくさんかけて、税収を圧迫して」というような存在ではなくて、もっと活用していきましょうということで、諸外国では取り組みが進んでいるんです。
イギリスやオランダなどでは、非営利団体、ボランティア団体による高齢者同士の介護というものがきちんとしたサービスとして、第三の勢力として認められているんですね。国、地方自治体、そしてボランティア。
専門的なコーディネーターがいて、ちゃんとリクルーティングだったりトレーニングだったりコンサルティングだったりもしています。
堀:日本だと、いわゆるお年寄りがお年寄りを介護するのは「老老介護」と言われて、社会問題の1つとして言われていますけど。
海外では、お年寄りがお年寄りを介護していくようなことも、ある種きちんとルールづけて。
塚越:非営利セクターとして、きちんと社会の仕組みの中に取り組まれていて。高齢者自身も、地域に関わることや、ボランティアをするということは、「自分の主体的に生きる生き方を選び、そして自分のためになる」という認識を持って、皆さん積極的に関わっているんです。
ただ日本の場合、今のところ、ボランティアに関わると言っても、趣味やスポーツといった自分の何か生きがいのためにというレベルに止まっている。
堀:なるほど。
塚越:そこにはエイジズムが関係していて、なかなか高齢者本人も自分の能力を生かしきれない。
堀:本当の需要、本当のニーズは何なのかということを我々は知るべきですね。
塚越:そうですね。加齢に適用するためのストレス対処能力を高める考え方というのを今日はご紹介しておこうと思うんですけど。
「SOC理論(ストレス対処能力)」と言われていまして。
「選択」「補償」「最適化」というふうに考え方を整えていくと、いつでも現在の環境に最適な状態に自分の心を保つことができるという理論なんですね。
「選択」というのは当たり前なんですけど、特定の目標に集中して絞っていく。たくさんのことはできませんから。
そして「補償」というのは、機能低下を補う手段や方法を獲得して、いろいろと喪失していく機能を補っていく。
「最適化」は、その持っている資源を目指すところへ最大限に活用しているという考え方ですね。
堀:「選択」「補償」「最適化」今日はちょっとメモですね。ありがとうございました。
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