2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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島津清彦氏(以下、島津):それではまず、今日のゲストの岩山住職、岩山レオさんに、自己紹介と活動内容についてお話しいただきたいと思います。レオさん、どうぞよろしくお願いいたします。
岩山宗應氏(以下、岩山):よろしくお願いいたします。すいません、先ほど聞きそびれたんですけど、何分ぐらいで収めればいいんでしたっけ?
島津:何分でもいいです(笑)。2つ合わせて5分とか10分とかでぜんぜん大丈夫です。
岩山:こんばんは、岩山レオ知実(岩山宗應)と申します。昭和60年9月17日、明日が誕生日なんですけど(笑)。
島津:おめでとうございます。
岩山:ありがとうございます。明日38歳で、今日は37歳です。ドイツと日本のハーフで、父がドイツ人、母が日本人です。生まれが日本で、両親のお仕事の都合で、すぐドイツに引っ越しをしました。
高校卒業までドイツにいまして、母の実家が東京だったので大学は東京に来ました。大学卒業後は、新卒で会社に入らずすぐに修行道場に入門した次第であります。
生後6ヶ月(以降は)、ダブルスクールですね。日本人の学校にも通いながらドイツの現地校にも通っておりまして。実はドイツ人の父がずっと座禅をしていたので、その種がたぶん、私の遺伝子の中で芽生えたんじゃないかなと感じております。
我々はドイツにいた時は3回ほど引っ越したんですけど、その度に必ず父は庭の片隅に小さい禅堂を建ててたんですよ。そこで私と兄は夜な夜なよく座らされておりました。
小学校、中学校、高校はぜんぶドイツなので、選択肢としましては基本的にはプロテスタント、カトリック、もしくは無宗教。無宗教の場合、やはり哲学なんです。だから、必ずどれかは選ばなくちゃいけないんですけど、私はプロテスタントでしたので、宗教は高校卒業まで勉強させてもらっていました。洗礼も中学生の時に受けました。
岩山:家庭がそんなに信心深いわけではないんですが。1つ、道徳的な教育の位置付けとして、やはり日曜日は教会に行ったりしていました。そして高校の時に父の勧めで、福井県の小浜という日本の修行道場に行かせてもらいました。
島津:途中で話の腰を折ってしまいますが、高校の時にいきなり「道場に行きなさい」と。
岩山:そうですね。実は、兄はもう中学校で接心という座禅の集中修業に行かされまして。兄は無事に1週間参加してきたんですけど、仏縁が芽生えなかったのか「もう行きたくない」と。芽生えなかったとはいえ、兄は学生時代は品川のお寺で下宿しながら4年間大学に通ってたので、うちの家族はなにかしら仏縁は深かったかと思います。
私は高校の時に、父の勧めで「お前行ってこい」と、6週間ほど曹洞宗の修行道場に滞在させてもらいまして。その時に「お坊さんになりたい」と思いました。
島津:ええ! その6週間の座禅の修行に行ったら、「お坊さんになりたい」と思ったんですか?
岩山:はい。お坊さんになりたいっていうか、座禅はすばらしいなと。「これはもっと極めていきたい。そのためにはお坊さんにならなくちゃいけない」と。高校の時にはもう「日本からドイツに戻った時は絶対そうする」「なんならもう大学行かずに高校卒業してすぐに行こう」と思ってたぐらいです。
しかしながら、修行道場に行っていたのは高校1年生頃で、ドイツの高校は4年生まであるので3年間のブランクがやはり響いて。「ちょっと待てよ。これお坊さん大丈夫かな?」と。母からも「あなた勉強しなくて大丈夫なの?」って言われまして。
じゃあ、一応大学行かせてもらおうかと。こんな志で大学行くのも、ちょっと親には大変恐縮なんですけど、大事な学費を出してもらいまして、4年間大学に通います。(大学時代は)ビジネスコンクールや企業コンクールに出たり、モデルとして働いたりいろいろやったんですよ。飲料会社のインターンシップで営業もやらせてもらったり。
岩山:大学2年生の夏に、2回目の修行道場に4週間ぐらい行かせてもらって。その時は臨済宗の修行道場に行きまして、そこで決めました。「これはもう、座禅をやりたいな。やはりやるべきことだな」と。後回しじゃなくて、もう先にやったほうがいいと。体が元気なうちに、もう徹底的に打ち込もうと思って、晴れて大学を卒業した後に出家をさせてもらいまして。6年間、この臨済宗の修行道場に滞在してました。
島津:6年ですか。
岩山:6年間いさせてもらいました。私自身もやはり「修行道場ってどういうところですか?」と言われた時に、「だいたい相撲部屋と自衛隊の中間のような場所です」とみなさんにお答えしたりするんですけど(笑)。古き良きということで。
それで、6年間の修業期間を経ました。私はみなさまと一緒の一般家庭で育ったわけですから、お寺を探してました。意外とあんまり知られてはいないかもしれないんですが、日本では「空き寺」がとにかく多いんですよ。たぶん半分ぐらい空いてるんじゃないかな。
白金とか麻布十番とか、京都の本山の塔頭(禅宗で、大寺の高僧の死後、弟子がその徳を慕って墓の塔の頭ほとりにかまえた寮舎)とか。「岩山さん、6年も修行したら、ぜひ檀家さん700、800軒ぐらいの大寺、もう古刹(由緒ある歴史の古い寺)とかに入りませんか?」と。やはりそういう話が来るんですけど。
まあ言うまでもなく、条件が良いほど「条件付き」でありますので。例えば、うちの嫁をとってくれとか、これから30年間ここの住職の面倒をみてあげてくださいとか。まあとにかく自由がきかない。
6年間私の修行を待ってた今の妻と話し合いまして、「あなたは自由じゃないとダメになっちゃうから、もう誰も行きたくないところを探しなさい」と。それで幸いにも私の修行道場の同期がちょうど小田原のお寺さんだったんですけど。そこが檀家4軒の、ちょっとごめんなさい、ボロ寺。
島津:今そこのお寺にいらっしゃるんでしたね(笑)。
岩山:そうですね。こちらはお寺の一部分ですけれども、今建て替えホヤホヤなので。
島津:おめでとうございます。
岩山:いえいえ。もともとは、もう雨漏りはするわ、ハクビシンは走り回るわ、シロアリが出るわ、空調もなくて子どもがしもやけになるわ、大変な所だったんですけど。そういうお寺に入らせてもらいました。
今ちょうど住職を務めて6年目です。2年前に建て直しをすべて行いまして、つい1ヶ月前に完成した次第であります。ちょっと(自己紹介が)長かったかもしれないですが。
島津:大丈夫です。今ちょうど活動紹介の2枚目のスライドにばっちり。
岩山:ありがとうございます。それでは、活動紹介なんですけれども。2017年より願修寺の住職に任命されまして、ハクビシン、シロアリ、雨漏りと奮闘して住職の所持金ゼロ。まあ実は一応64円はありましたが(笑)。
島津:64円! それはお寺のお金としてですか?
岩山:私個人のお金が64円で、お寺にはどれぐらい入ってたのかな。浄財 (伝道や慈善・社会事業などのために寄付する金銭)の金額はさておき、それなりに少なかったんですけど入ってたんですよ。人間的な生活をするためのものはありました。そこから第一弾のお寺のリフォームに充てましたね。あとは、妻の預金を切り崩して。
島津:(奥さんに結婚を)6年待っててもらって、さらに預金を崩していったっていう。すいません、言い方がいやらしくて(笑)。
岩山:いやいや、おっしゃるとおりで(笑)。だから今、みなさん予想がつくと思いますけど、夫婦のパワーバランスが非常に傾いている次第です。
島津:(笑)。
岩山:妻の援助とお寺にあったわずかな貯金を崩して、トイレと風呂と台所を設置して、寺院復興をスタートさせたんですね。私が入った当初は、檀家さん4軒だったんですけど、今は220軒ぐらいまでに増えたと思います。
島津:すごい増え方ですね。
岩山:やはりこの1年ですごく増えてまして。たぶん月10軒から14軒ぐらい増えてるんじゃないかな。
島津:お寺は檀家さんがどんどん減っていく中ですごいですね。今日は実はビジネスのテーマでレオさんをゲストにお招きしたのは、やはりお寺の経営なんですよね。
聞き方はまったく変わるかもしれませんけど、やはり基本的にやっていくことは(いわゆるビジネス上の経営と)通じるところがあって。そういう点で、本当に檀家さんがどんどん増えてきてて、新しく(お寺を)建て替えられたりしたんで。そういうところも私はちょっと興味深くて。
岩山:ありがとうございます。確かに、ちょっと尋常じゃない数字ではあります。普通のお寺さんっていう定義もちょっと曖昧かもしれませんが、普通は増えるペースがだいたい年間3軒、4軒ぐらいです。
島津:そうですよ。尋常じゃないです。
岩山:うちは月10軒から16軒ぐらい、今日も2組新しく入ったりとか。だから、徹底して運営してます。
島津:すごいですね。
岩山:うちの墓地はもうぜんぶ公園にしまして。ぜんぶ緑にして、小さいパークみたいな。
島津:開園したのは2022年の夏ですね。
岩山:そうですね。今日本全国でも、売上で言いますと、もうトップ50に入ってますね。神奈川では14番目ぐらいで、神奈川県はめちゃくちゃお寺さんが多いんですよ。うちは檀家4軒でスタートしたんですが。
島津:スタートアップっていうか。
岩山:成長率で言いますと、たぶんスタートアップの条件は満たしてると思います。
島津:すいません、今日はあえてビジネス寄りなお話をちょっとお願いしたので。でも、本当にすごいですね。
岩山:その主軸としましては今、墓地販売ですね。これもまた珍しいんですけれども、すいません、この活動紹介はちょっと長くなっちゃいますけど。
島津:大丈夫です。
岩山:うちは、販売会社を入れてないんです。普通のお寺さんは、もう9割9分はお寺があって、販売会社さんがいて、そして墓地を売るんですよ。これは当たり前のことです。
島津:いわゆる墓石の販売会社が間に入らず、直ってことなんですか。
岩山:直でやってるんです。
島津:うわ、流通革命だ。
岩山:だから普通に正社員も抱えて、社会保険はみなさんに払ってあげてますし、稀に見る寺です(笑)。実はスタートは販売会社さんを入れてたんですけど、途中で契約解除しまして。今はもうぜんぶうちで回してまして、それからは業績もアップしてますね。
岩山:1つは、お寺の運営の主軸であるこのガーデン墓地ですね。なぜこんなことをしてるかと言うと、1つの収入源に依存したくなくて、いろんなチャンネルを持っといた方がいいと思い、やっています。もう1つは、3年前にFlying Monkという、企業向けの座禅会を始めてます。
実は今朝も神奈川県トラック協会の方がお寺に来て、座前会をしたりとか。これは主に島津さんと一緒で、僕はもっと簡単にやってますけど、座禅会をいろんな企業さんとさせてもらってます。もう私は種をバーってまいて「どこかで芽生えたらありがたい」というスタンスでやってます。でも、なんだかんだで、大きい企業さんからのお声かけが本当に多くて。もう最近は断ってるぐらい(笑)。
島津:前もおうかがいした時、Googleとかゴールドマン・サックスだったり。私もニュースで見ましたけど、小田原城を使ってマインドフルネスとか。
岩山:そうですね。
島津:ある意味、お寺の経営がもうどん底だったので、それを立て直して、本当に伝えたい禅というか、こういう活動をもともとおやりになっていたけども。そもそも来た時の財務状態が良くなかったから、とにかくそこの基盤を安定させようとずっと努力されてきたっていう。
岩山:そうですね。もう本当にどん底から、今はこうやって不備なく生活させてもらってますけど、最初は本当に大変でした。今後の目標は妻と家族とまず仲良くすることです。これは本当に私にとって大事ですし無下にできないなって。
人間は誰でも、やはり一番身近な人間関係が一番大変なんで、そこは絶対にごまかしちゃいけないと思っておりまして。ですから、もうそこが私のコアの部分でとにかく仲良くしていくっていうことですね。やはり抑えても感情的になる時なんかいっぱいあるんですけど、そういうことは1つ大事にしてます。
岩山:あとは、今実はスタートアップの支援としてゼロイチから手伝ってくれる「アントラー」っていうプログラムがあるんです。シンガポールのVCなんですけど、日本で今ちょうど2期生が募集されてまして。
私も一応応募したら、なんとか受かりまして。この10月から約10週間ほど、月曜日から金曜日、週5で虎の門まで毎日行って、缶詰状態で新事業を立ち上げている次第です。(この新規事業が)どういうものかを簡単に言いますと、死者のためのプラットフォームです。
島津:ええ!?
岩山:実際は(こういった事業は)多少あるんですけど、ぜんぜん良くなくて。私の予想としては、今後の傾向としてお骨の場所と弔いの場所がどんどん分離されると思うんですね。ちょっとそこに目をつけて、ちょうど自分の属性もぴったりなんじゃないかなと思いつつ、その立ち上げを今、精力的に進めてます。
島津:すごいですね。
岩山:あとは、座禅の底が抜けなければ。座禅に関しては、すいません、私はもうけっこう長く座禅とお付き合いさせてもらってるんですけど。
やはり最初の10年間ぐらいはいろんな人たちと集団で一緒に座禅を学んだり、組んだり。尖ってる石がごちゃ混ぜになって削れて丸くなるような感覚で、それはすごく必要だなって思うんですけども。もう10年経って、私も今は逆に「これからはちょっと自分だけで徹底的にやれるところまでやってみよう」と。それはそれで大事ですし。
島津:もう個人のレベルというか、深めて追求したいっていう。
岩山:そうです。もう本当に行けるところまで追求していきたいなと。ちょっと長くなりまして申し訳なかったです。自己紹介と活動紹介になりました。
島津:いや、ありがとうございます。
岩山:みなさん、島津さんもありがとうございます。
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