2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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井上祐巳梨氏(以下、井上):続々と来ていますので、次の質問です。
「いろいろと将来で悩んでいます。何かうまくいかない時などは、お二人はどのように対処されていますか。ぜひ聞きたいです」というコメントが来ています。いかがでしょうか。
南場智子氏(以下、南場):対処というわけではないんだけど、私は、うまくいかないことばっかりです。すんなりいくことってあんまりないので。だからうまくいかないことを毎日抱えているんだけど、とりわけうまくいかない時があるじゃないですか。
山田進太郎氏(以下、山田):(笑)。
南場:とりわけドツボにはまっている時とか。そういう時は基本的には、気持ちの持ち方としては、これをどう対処するかで私の価値は決まるというぐらい張り切るというか。
うまくいっている時に正しい判断をしたり、いい人であったり、建設的であったり。そういうのはわりと簡単ですけど、ドツボにはまっている時に、ちゃんと真摯に対処する、パニックにならずにやるべきことをしっかりやる。そこでちゃんと建設的になれるか、そういうところに人の真価は現れると思っているので。
ドツボにはまったら、これはもうステージに上がった、見せる時だと思おう、と。そう思っていないとやっていられないぐらい、大変なことはいっぱいあるので。それが1つ。あとは、私はすごく負けず嫌いだから、うまくいかない時に、単にその穴から這い上がるだけではちょっと不十分で、何か拾い物をしたいなぁと思う。
山田:(笑)。
南場:「あそこで転ばなかったらこれは拾わなかった」というものを、何か絶対に拾ってやる、と思う。あと私たち、基本的にビジネス、事業をやっているじゃないですか。どんなドツボにはまっても、命をとられることはないんだという、3番目がそれね。だから、まぁある程度大らかにやってやれ、という感じで進みます。
山田:いや、僕も本当に、3点とも同意ですね。
山田:僕はそういう意味でいうと、本当に最初は一番つらかった。さっきの話で「ネットだ!」と思って帰ってきたのが2004~2005年ぐらいです。ちょうどWeb2.0みたいな時代で、僕もそういうのをやろうと思って写真の共有サイトをやってみたりしていたんです。
でも、そこそこうまくいくんだけど、別に売上がわーっと伸びていく感じでもなくて、最初に3億円ぐらい調達したんだけど、どんどんお金が減っていく。この時代が一番つらかったです。
僕もその時は南場さんとまったく同じで、これどうしようかな、自分はぜんぜん才能がないんじゃないか、とか考えてしまっていた。しかもその時に買収のオファーがあって、売ってしまってもいいかなと思ったりもしたんだけど、その話がなくなって。
じゃあ、この会社どうするんだって思った時に、もう自分がなんとかしないとどうにもならないと思った。要は今までやっていたことを全部見直して、何が良くて何がだめで、どうすればうまくいくのか。周りでうまくいっているところは、どうやってやっているのかとか、徹底的に考えました。
しかもそれを、当時十数人の社員の前で、「とにかくこの会社をなんとかしようと思っていて」と言った。当時モバイルとかモバゲーとかがわーっと来ていた時期だったので、「モバイルでなんとかすると思っているから。ついてきたい人だけついてきてほしい」と打ち明けた。
結局みんなついてきてくれたんですけど、そういう時にある意味、逆に立ち向かっていくのは、すごく重要なのかなぁと思います。
南場:そういう時の姿勢で、人はついてくると思うんだよね。
山田:結局、現実は変わらないから、自分が変わるしかない。そこに自分がアダプトして、そこで世の中に価値あるものを作っていかないと。「いや環境が」とか、「何とかが」とか言って諦めたら、そこで終わりになってしまうから、そこはすごく重要かなと思います。
南場:わかる。
山田:だから本当に、南場さんが「いや、ちょっとそういう時は諦めて」とか言わなくてよかった。
南場:(笑)。
山田:まったく同じでよかったです。
南場:うち、球団を持っているじゃないですか。プロ野球の選手にもさ、うまくいかない時に真価が出るぞと言っている。野球の選手はみんなそれぞれ、スランプがあるんだよね。
山田:ありますね。
南場:その時にどういう姿勢を見せるかで、みんな「この選手を応援したい」という気持ちになる。こういう時の対応は、うまくいっている時よりも大事かもしれないよ。
井上:続いての質問です。お二方がどんな教育を受けられてきたのか、すごく興味がある方が多くて。もしも今、ご自身がまだ子どもだったら、どんな教育を受けてみたいと思いますか、という質問も来ています。お願いします。
山田:南場さん、いろいろありそうですよね。こんな教育が良かったっていう……(笑)。
南場:もうね、山田さんの両親が、 弁護士だったり両方とも先生じゃない?
山田:士業ですね。
南場:ごめんね、うちの父は経営者なんだけど、「世の中で先生と呼ばれている人にろくなやつはいない」、「その最たるものが学校の先生だ」と子どもの私に言っていたんだよね。
それで、「だから学校の先生は基本的にみんな視野が狭くて、お互い『先生』『先生』と呼びあって、世の中が見えなくなっている人だから、言うことを聞かなくていい」と言っていた。
だから、私は学校でめちゃくちゃ反抗的だった。父以外にぜんぜん怖い人がいなかったんですよ。だから授業がつまらなかったら……おおむねつまらないんだけど、立ち上がって帰ってきてしまったり。あと、先生が一生懸命しゃべっているのに、それより大きい声でしゃべったりしていたんだよね。
だけど自分が好きなことをもっと追究させてくれたら、とか、小・中・高校生を馬鹿にせずに、「プロを呼んで来い」という考え方があったらいいなと思う。事情により、文系に進学させられてしまったんですけれども、私もわりと理系が強かったんですよね。
物理とか科学とか数学が好きだったし、あと虫も好きだったんですよね。そういうものでとことん本当のすごさを語れるだけではなくて、すごい研究者とか、そういう人に出会いたかった。だから大人になってから数学者にリーマン予想を習ったりね。そういう本当にリスペクトできるプロに、深いところまで教えてほしかったかな。
山田:今はYouTubeとか、それこそスタンフォードの授業も聞けてしまったりするじゃないですか。
南場:そうなのよ! すばらしいよね。
山田:だから僕も中高生の時とかを考えると、学校の先生が唯一の先生みたいな感じだったから、その時代と今はぜんぜん違うという感覚はあって。
南場:マスタークラスね。
山田:授業やオンラインのプログラミングにしても、無料でできるものがすごくたくさんあるから、そういう意味では、やりたいと思ったらできる時代なのかなと。
南場:そうですよねぇ。
山田:ただ僕は子どもがいるので、逆に自分は、もっといろんな可能性があったのかなと思っているんですよね。インターネットはすごく好きだし、いいんだけど。その可能性は、もしかしたら数学かもしれないし、文学かもしれないし。
そういう一流の人と話せるというか、触れる機会みたいなものを子どもには提供してあげたいなと思いますよね。いろんなところへ連れていったり、いろんな人と話したり、いろんな経験をさせたい。ピアノにしても水泳にしても全部やらせて、「違うな」と思うものは別に。
南場:やらなくてもいいもんね。
山田:すぐやめたっていい。
南場:うん。やめる。
山田:そういう感じがいいかなと思っていますよね。
井上:先ほどの回答にも、かぶるところがあるんですが。「学校になかなか馴染めません。お二人は学校、好きでしたか。どんなことをして過ごされていましたか」という質問があったので。もしよかったら、ご回答をお願いします。
南場:さっき言ったとおりですね。先生にも嫌われるし、学校はぜんぜん馴染めなかった。でも、時には早く帰ってきたこともありますが、学校に行かないことはなかったです。中高の時は、高校の時は普通におとなしくしていましたかね。
どんなことをして過ごしていたかと言うと、私は理系好きなんだけど、意外と文学も好きだったんだよね。だから学科以外の自分1人の時間で、文章を書いたりしていた。
あとは、世界を見たかった。知らない世界、行ったことがないところを想像したりするのが好きだったので、自分でペンフレンドを探して、北欧の人と文通をしたり、そういう内弁慶なことをしていた(笑)。あとは、部活は一生懸命でした。
山田:あ、そうなんですね。僕は、中高という意味で言うと、学校の授業とかは別にそんなに好きではなかったかもしれないですね。ある意味画一的な、塾みたいな感じの中高一貫校だったので。受験向けみたいな授業が多かったので、それはもう淡々とやる。
放課後は、本を読んだり、CDを借りて聞いたり、映画を見たりしていた。インターネットも……。
南場:東京?
山田:僕、愛知県出身なんですよ。
南場:あー、そっかそっか。
山田:といっても……。
南場:何高校って言っていたっけ。
山田:東海高校という中高一貫のところですね。
南場:中高一貫なんだ。
山田:けっこうオタクな感じでしたね。だから人と何かするというよりは、1人でできることをひたすら、例えばハードロックを聞いたりする感じだった。そういう意味では、あんまり馴染めてないけど、別にいいじゃん、という感じで自分の好きなことだけやっていた。
南場:そうだね。私もそうかもしれないな。
山田:だから別に学校がどうとかはあんまり気にしなくていいんじゃないかなって。
南場:麻雀はしなかったの?
山田:麻雀は大学に入ってからです(笑)。早稲田に行ったので。
南場:高校時代は、私はけっこう、ナポレオン(トランプを使ったゲーム)とかをして遊んでいました。
山田:高校時代はそんなに(麻雀やカードゲームは)やってなかったですかねぇ。
井上:ありがとうございます。馴染めなくても大丈夫かなと。
山田:結局、馴染めている人のほうが珍しいんじゃないですか。
井上:次の質問に入らせていただきたいと思います。
「どんな学生が、それぞれの会社に入ってほしいと、思われますか?」という質問です。こちら、いかがでしょうか。
南場:私はいろいろあるんだけど、みんな同じ形だと組織がすごく弱くなるので、例えばダイアグラムで書いたら、全部の項目で等しくみんな平均点という形よりも、他は欠落していても、ビーッと突出したところがある人のほうがいい。複数人でなんとなく突出していたもののへりをつなげると、それが組織の力になるので。
だからこういうタイプと決めないで、それぞれの個性とか強みがある人に来てほしいなと思います。
山田:僕は、メルカリ自体はミッションとかバリューがすごくしっかりしているので、そういうものに共感してくれることは第一前提とは思っています。もちろん産業自体が伸びていれば、安定的に伸びていく会社もあると思うんですけれども、やっぱり会社は非連続的に成長していくというか。
人のやらないことをやって、それによって成功していく。我々もスタートアップで今9年目ぐらいですけど、最初は人のやらないことをやって大きくなってきたなという感覚があります。
それも「Go Bold」というバリューにしているんですけど。人と違う発想で、人に見えていないものなんだけど「これはいけるだろう」みたいなものに、ベットできる、賭けられる人。そういうことが見えるし、それを実行できる人は、会社にとってすごく重要かなと思いますね。
南場:DeNAも永久ベンチャーを一番大事にしているので。だから永久ベンチャーとは、つまり挑戦ですよね。
山田:挑戦ですね。そうですね。
南場:良質な非常識ともいうんだけど。いわゆる常識に支配されていない、常識を疑う力がある。新しいことに挑戦し続けるのが重要なので。ただ、それってDeNAという会社としてはそうなんだけど、中には……。
山田:いろんな人が。
南場:逆にね。いろんな人に来てもらいたい。
山田:そうですね。
南場:すごく、挑戦的な人が割合としては多くなる。中には「やろうとするとすぐに危ないことのほうが頭に浮かんで…」という人がいたとしても、それが突出して優れていたら、みんながガーッて100パーセント進んで誰も「ちょっと待ってよ」という人がいないよりも、その人はその人で価値が出せると思うので。
「組織としてこうありたい」と、「個人はみんなこうあってほしい」は、だいぶ違いますよね。
山田:そうですね。そういう人だけが欲しいわけではなくて、そういう人が、逆に言うと僕の考えでは希少かなというところですかね。
みんなで一緒に協働するとか、すごくプロフェッショナルで、例えば経理がすごくできるとか法務ができるとかそういう人たちは必要なんだけど。会社が次のステージに行くためには、そういう挑戦的な人が、一握りでいいんだけどいないとだめ、みたいなそういう意味ですか。
南場:わかるわかる。
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