1日のなかで日本製のソフトウェアってどのくらい使う?

手嶋浩己氏(以下、手嶋):ヤフーからすると、Syn.ってどうなんですか?

金山裕樹氏(以下、金山):目障りなんですか?

松本龍祐氏(以下、松本):「あぁ、来たねぇ」みたいな(笑)。

手嶋:「来たねぇ」と(笑)。

金山:でも一緒にやったらいいんじゃないんですか?

松本:ちょうど昨日けんすう(古川健介氏)ともその話をしてたんですけど「一緒にやればいいんじゃないかな?」なんてね。

金山:たぶん俺たちの敵っていうのは国内にいないんですよ。朝起きて寝るまでに日本製のソフトウェアをどのくらい触っているか? という話で。もう全然触ってないじゃないですか。やっぱり日本のソフトウェアを使って日本の企業が儲かって、税金を納めて日本の道路がキレイになると。そうすると俺たちが助かるじゃないですか。今ね、何か……。

手嶋:みんなFacebookを見てると。

金山:本当に! 何かできないですかね?

松本:そうなんですよね。本当に日本の会社のサービスを使って欲しくて。朝起きたらヤフー天気を使って、ヤフー乗換案内を使って、ヤフーニュース見てもらうとね。

金山:あれ?(笑)

手嶋:全部ヤフーじゃないですか(笑)。

松本:(笑)。でもヤフーのサービスも、強い分野もあれば強くない分野も当然あるんで、そういうところは一緒にやれたらいいなと思うんですよね。

金山:確かにね。

松本:でもなかなかね。うちが入ったらヤフー乗換案内とNAVITIMEの関係とか、けっこう難しいとこも(笑)。

金山:まあそうだよなぁ。難しいよなぁ。

ヤフーから優秀な人材が輩出されるワケ

手嶋:これは元ヤフーの金山さんが調整するしかないですね、お互いのことを理解できる。

松本:確かに。

金山:元ヤフーですか(笑)。Syn.の森岡さんも元ヤフーなんですよね? でもヤフーって人材輩出企業ですよね。

松本:思うのはね「自由」。だから長くいられるんじゃないかという気はしていて、すごく忠誠心があるというか「ヤフーだけ」みたいな人はいないんですよ。会社に対するネガティブな話も普通に出たりするし。

ただ、社是であるユーザーファースト「最終的にユーザーに良いことをしよう」というのと、ヤフーの規模だからできる「世の中を大きく変えたい」というところは一致していて。あとは、そこまでのルートはみんなバラバラだから、ユルくても良いんじゃないかとは思いますね。

弱い事業同士でシナジーは生まれない

金山:ユナイテッドさんは事業が3軸ともバラバラじゃないですか。それはどうやってコントロールしてるんですか?

手嶋:コントロールしてないですね。1番うまくいかないケースって、弱い事業同士なのにシナジーを追及し始めることで。「弱いもの同士だからシナジーなんか出ねえよ!」みたいな。サイバーエージェントもアメーバと広告事業があれだけ両方強くなったから、ようやくシナジーが出てきたんですよね。だから僕らはシナジーはいっさい考えずに、それぞれの事業を伸ばすと。

正直、うちのアプリでも自社のAdStirていうSSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)を入れてることもあれば、nendとかi-mobileと直接つないじゃうこともあるんで。

松本・金山:へぇー。

手嶋:そっちのほうが収益性が高ければ、そうすると。同じ収益性なら自社のものを選びますけど、そういう基準でやっているので。まずは、それぞれの事業が強くなることが重要で。ただ中長期でいくと、スマホ広告とスマホアプリ両方が強くなればシナジーが出ないことは絶対ないと思うので、まずはそういう考え方でやっていますね。

金山:しがらみを越えて良いものを使うのって、グロースハックっすね。

手嶋:テーマね(笑)。

金山:ちょっと忘れかけてたから(笑)。

UXを学ぶには、場数を踏んで見える化すること

松本:ちょっと話をガラッと変えていいですか? さっきUXの話がありましたけど、UXがわかる人を育てるのってすごく難しいなと思っていて。あまり理屈じゃないというか、これって各社どのように取り組んでます?

手嶋:まずはわかってそうな人に重要なミーティングに出てもらって、話題を投げかけてもらうことですね。とりあえず「そういう視点で話さないといけない」というところに慣れてもらっています。

あとProttとかを使い始めると絶対話さないといけないじゃないですか。デザイナー、エンジニア、プロデューサーを越えてUIとかUXについて話し合うっていうのが普通になってくるんで。そういうツールの力っていうのは大きいと思いますね。

金山:うちの場合だとたくさんアプリを触って、いろんなアプリが提供しているUXを体験するしかないと思うんですよ。で、それができる人間ってネットが好きなやつだけなんですよ。

松本:うん、そうですね。

金山:興味がない人にアプリをたくさん触ってUX学べって言っても絶対無理で。ネットが好きなやつにひたすらダウンロードして投稿させて、何が起こるか? までをやらせる。結局はネットとアプリに興味があるようなやつを探して機会を与える、しかないのかな? あとは場数だと思う。

松本:僕はひとつのアプリをつくろうと思ったら「まず50個触れ!」と言っていて。50個触るとロクでもないアプリもいっぱいあると。そうすると善し悪しが見えてくるかなと思っていて。

手嶋:相対化するんですね。

松本:そうですね。それともう1個やって良かったのが、社内のあるアプリのリニューアルのプロジェクトにコンサルっぽく入ったことがあって。アプリ経験があまりないメンバーだったんで、とりあえず「自社のアプリ」と「競合の有力なアプリ」をピックアップして、それぞれの良いところと悪いところをひたすらブワーっと書き出して分類していく。

そうやって「みんなが良いと思うポイントってこれだよね?」っていうのを、見える化するっていうのをチーム全体でやると、目線が変わっていきましたね。

金山:アプリをつくろうとしている人たちって、数つくったことないのに、いきなりつくり始めようとするでしょ? それって「ありえない!」と思っていて。

サッカーでいったら、いきなりメッシのようなドリブルしようとするわけでしょ? 「そんなステップ踏めるかよ」っていう。だから最初は数のインプットが超大事。それをちゃんと「見える化」するっていうのは、グロースハック!

松本:グロースハック(笑)。

手嶋:そういう意味だと、うちもたくさんアプリつくってるって言ったじゃないですか。それもそういう目的のためにやっているというか。やっぱ場数を踏まないといけないから。「儲からなくていいから、3日でつくろうぜ」とか「当たんなくてもいいから、つくっちゃおう」みたいなのを、あえて混ぜることで経験値を積ませてるっていうのはありますね。

松本:やっているうちにわかる、みたいな。「1日でつくって100万ダウンロードいきました」みたいのが出るかもしれないですもんね。

金山:出る出る出る! やんないとわかんない。

松本:そうなんですよね。

メルカリのスムーズな決済フローに衝撃を受けた

松本:今後皆さん「こんなサービスつくろうと思ってる」とか、言えるようなやつありますか?

金山:今iQONでは見ているものを買うための決済を持っていないんですよ。掲載されてる商品をタップしたらECサイトさんに飛んで、そこのサイト購入するんですけど。そこのユーザー体験ってあんま良くないんですよね、正直に言うと。最初は「そこは俺たちの領域じゃない」って思っていたんですけど、そこまでやるしかないかなって。

松本:おぉ!

金山:そう思ったのは、メルカリさんで物を買ったときで。衝撃的だったんですよね、スムーズさが! 「こんなにすぐ買えるんだ」みたいな。モバイルコマースってこんだけ追求できるんだって思うと、ちょっと自分たちが甘かったなと。在庫とロジスティクスを持つことはないですけど、何とかして決済まではやりたいなと、野望として。

手嶋:今は外部に飛ばしている?

金山:飛ばして「はい、おつかれさま」っていう。「もし売れたらいくら入るよ」っていうのじゃなくて、買うっていうところまで責任持ってユーザーをちゃんと届けたい。

松本:それってモールをやるんですかね? それとも自分たちで売っていくんですか?

金山:できれば在庫とロジスティクスは持ちたくないなと思っていて。なぜかというと、僕はそれのプロじゃなくて、今いるメンバーのプロフェッショナルな領域はBtoC向けのソフトウェア開発だから。でも、ソフトの力で清算と仕入れまでいけるのであれば、いくかもしれないし、そこはソフトでどこまでできるか見極めていこうと。自分たちの強みは忘れずにやっていきたいですね。