2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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【part1】GMO熊谷社長「20年間毎日が修羅場…90%以上は苦しかった」起業家としての人生を振り返る【part2】「孫正義は考えていることが宇宙人」 ヤフー川邊副社長、ソフトバンク幹部の凄さを語る【part3】GMOの社歌は小室哲哉が作曲した–熊谷社長「数年かけて歌詞を入れたい」
【スピーカー】株式会社オプト 代表取締役社長CEO 鉢嶺登 氏GMOインターネット株式会社 代表取締役会長兼社長・グループ代表 熊谷正寿 氏日本交通株式会社 代表取締役社長 川鍋一朗 氏ヤフー株式会社 取締役副社長兼最高執行責任者 川邊健太郎 氏
【モデレーター】株式会社プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子 氏
岡島悦子氏(以下、岡島):ではご質問を会場のほうからお受けしたいと思います。ご質問がある方、ぜひお願いいたします。企業の成長と経営者の成長というテーマです。お願いします。
質問者:FiNCの溝口です。本日は、大変学びのあるお話をありがとうございました。僕から皆さんに質問したいのは、経営者になって上に上がれば上がるほど実際に孤独が深まって、理解してくれる人が少なくなるって聞きますけど。
皆さんが下した今までの意思決定の中で、仲間や社員に最も理解してもらえなかったものは何かをお伺いしたいと思いました。
川邊健太郎氏(以下、川邊):経営ってそういうのあるよねって話なんですけど、今起きてまして。2016年にオフィスを引っ越すんですよ。引っ越し隊長なので、パーテーションをなくそうと思ってます。
オープンイノベーションというか、イノベーティブにするためにはもっとコミュニケーションを増やさなきゃいけなくて、今のパーテーションというのは、ちょっと前のシリコンバレーのトレンドじゃないですか。それを変えなきゃいけないんです。
岡島:やるまでがって感じですよね。
鉢嶺登氏(以下、鉢嶺):当社もフリーアドレスにしたときにかなり反対でしたけど、いまは全くOKです。
川鍋一朗氏(以下、川鍋):だから言うわけじゃないですけど、ウチも赤坂の自社ビルを全部売り払って、品川の借地というか、大井競馬場の脇にある営業所の中に本社機能を移したときに一番反対があって。特に財務部から明確に書面で反対が出てきた。
「我々は赤坂に残ります」って。「もし3時の振込の時間に振り込めなくて、資金がショートしたら社長は責任が取れるんですか?」って言われて。
川邊:すごい話ですね。
川鍋:まだ29歳だったので一瞬びびって「そんなことあるのかな」と思って。でも、某先輩経営者に相談したら「やれ」って言われて、やったらもちろん何のことはない、大丈夫なんですけど(笑)。
川邊:やっぱり生活に身近というか、仕事のワークスタイルに身近なものほど反対されちゃいますね。
川鍋:いえ、意外と本質だと思いますよ。袖机を取るのが一番反対を受けるみたいな、そういうことはありますよね。
岡島:ありがとうございます。もっとこの話を聞きたいんですけど、もう1問くらいいきましょうか。お願いします。
質問者:楽天の北川です。拡大戦略について、実はお聞きしたくて。もちろん皆さん株式会社・大企業の戦略としては成長していく、売り上げを伸ばしていくというのは基本的な方針だと思います。
例えば川邊さんはグローバルを考えたときに特殊な需要があるだとか、皆さんそれぞれ哲学的な観点から「拡大戦略なのか」と……。
「株主にお金を返すのが本当にすべての会社の目的なのか」みたいな感じで考え直されたことがあったか、また拡大戦略よりも大事にすることを考えられたことがあったか、そういうのがあれば教えていただきたいなと思います。
拡大戦略なら、インターネットであれば当然アメリカを取っていかなきゃいけないし、これから伸びていく中部を取っていかないといけないだとか、そういう観点で皆さんどう思われてるんだろうなと。ちょっとお聞きしたいです。
川鍋:一番差し障りがなさそうなタクシーから(笑)。でもタクシーも、ウチは東京なんですけど基本はどんどん全国展開しなきゃいけないという点では、そうであると思います。タクシーのサービスは絶対海外に輸出できるぞと思ってまして。
海外のタクシーは個人タクシーが多くて、あまり質は求められていません。でも本当にそうなのかって突き詰めていくと、やはりどうせなら良いサービス受けたほうが気持ちよく移動できるわけで。
日本のおもてなしサービスの輸出というのを今ものすごく意識していて、そうすると海外での売上案件もいっぱいあって。
ただ、いきなり海外に行ってウチがやってるみたいに「社是の唱和」とか朝から大声出してやるような日本のスタイルだと時間がかかるなと思っているので、日本のサービスをビデオとか音声認識とかでちゃんと数値化して、プロセスを再現できるかどうかというのを作り込んでから出て行くべきかなと考えています。
それはソフト・ハードとかいろいろ必要なのですが。そういうのをタクシーはやります。ビッグデータにも支えていただいて。よろしくお願いします。
川邊:営業利益っていうのは、便利に使ってくださったユーザーの評価の表れだと思ってるんですね。営業利益が拡大すればするほど、使ってくださっているユーザーの評価、課題解決が増えてるんだと思ってます。これはどんなビジネスでもそうかなと。
インターネットというのが関わると、インターネットのテクノロジーでより自由にしたり、利便性を高めたり、フラットにしたり、貧富の差をなくしたりしていってるわけで。
営業利益を拡大すればするほど、世界を便利にしたり刷新していっていることなんだと思って、だから拡大させようと。世界をデジタルとか情報という力でより変えていこうというのが、すなわち拡大だと思ってやっているつもりです。
熊谷正寿氏(以下、熊谷):北川さんのご質問は、拡大戦略を話せばいい?
質問者:むしろ、そうじゃないと思ったことはおありになるのかというのが、少し……。
熊谷:なるほど。北川さんね、僕は「拡大は結果でしかない」と思っていて。良いサービスを作ったり、良いプロダクトを投入してお客様にご支持いただいた結果として、売上もマーケットシェアも利益も拡大していくという考え方なんですね。
海外マーケットという話も起業家同士ではよく出てくるんですけど、日本で一番じゃないものを海外に持っていっても一番にはなれないので。
例えば、日本語圏と英語圏で14.6倍くらい人口が違うんですよ。だとすると自分と同じくらいの起業家が14.6人いると思ったほうがよくて、そんなところに一番じゃないサービスを持っていって勝てるわけがないんです。
だからやっぱり拡大は結果であって、それを目標にしてはいけないのではないかなというのが僕の……もちろん高い目標。夢を持つことは大事なんですけど、ここ(目標)ありきじゃなくて、ここは結果と思ったほうがいいと思うんだよね。
それが、自分の拡大に関する考え方とか心構えです。北川さん、よろしかったでしょうか。
質問者:ありがとうございます。
鉢嶺:いま答えが出てしまったのですが……僕は会社が大きければいいというものではないと思っています。それは結局、社長が「どういう会社を作りたいのか」に尽きると思うのです。
10人の少数精鋭で会社を作りたいというのであれば、それでもいいと思います。世の中によく「社員が幸せな会社の……」といった本が出てますが、ああいう会社は基本的に150人未満の会社が圧倒的に多いのではないかと思います。
それくらいの社員数で、とにかく「社員の満足度最優先の会社」を作りたいというのであればそうすればいいと思います。ここにいらっしゃる方々やネット系の企業の人たちは、たぶん「ネットは革命だから世の中を変えたい」「新産業を生み出したい」という思いがあるのではないでしょうか。
そうなると、結果として規模が大きくなければできないのではないでしょうか。僕はそういうくらいの思いで、結果としてやりたいという……最後は社長の意志だと思います。
岡島:ありがとうございます。もう1問だけ、もしあれば。そうでなければコメントを一言ずつ言っていただいて終わりにしたいと思うんですが。後ろのほう、手が挙がってますか。少し簡潔にお願いします。
質問者:チケットストリートの山本と申します。僕はいつも、熊谷さんに悩みを質問させていただいています。今ちょうど会社の規模が30人弱くらいになりまして、前回に「意志のブレに対してどうすればいいか」と聞いたら「ミッションを唱和しましょう」というお話をいただいたんですけども。
組織の成長に対して、僕の成長がちょっと今ついてきてないなと思っているところがあって。
先日優秀なマネージャーの評価をしていて、僕が「こういう方針で半期はやりましょう」という話をしたときに、マネージャーから「山本さんは僕にどんなメンタリングをしてくれるんですか」という話があって「まあそうなるよね」と。
レイヤーが増えていくにつれてどうやって引っ張っていったらいいかというところで、少し成長がついてきてないのかなと思っていて。
例えばスピーカーの方々の中で、組織の成長とか社会的なあり方に対して、自分の成長がついてってないなというのがもし経験としてあったらお聞かせいただきたいんですけども。
熊谷:じゃあ、ご指名いただいた僕から答えますね。どうぞお掛けください。まず「自分が成長しないと組織が成長しない」んですよ、確かに。
だけども、知識・行動量・発想、すべてが関わる仲間より上をいってないといけないかというと、スーパーマンじゃないからそんなことは絶対無理なんですよ。
今ウチは4100人くらい仲間がいるんだけど、4100人より僕がすべてを知ってるというのは無理なんです。つまり組織を作っていく以上、自分は組織がきちんと回る仕組みを作ることに全力を投じるべきだし。
自分がやると遠慮しちゃう人がいっぱい出てくるから、自分自身はむしろやらないで任せるというスタイルをとることがとても大事なんだと思うんですよ。
そうすると、自分の成長が追いつかないということよりも、仕組みを作るということに自分の頭を割けるようになってくるから。
熊谷:で、どういう仕組みを作ったらいいかというと「自走式の組織」を作るというのがポイントで、それには3つのキーワードがあるんですね。会社が自走式になる3つのキーワード。
1つ目は「ほめること」。心の底から本当に感謝の気持ちを持って、ほめるべき場面でほめること。お世辞を言うことじゃないのね。本当に感謝すべき場面でほめること。
2番目のキーワードは「叱ること」。叱るっていうのは怒鳴るんじゃなくて、怒るんじゃなくて、成長を願って心の底から叱ること。成長を願う叱り。
これが2番目。一番大事なのは何かっていうと、経営者がやるべき一番大事な仕事というのは「関わるスタッフに誇りを持たせること」なんですよ。自分自身が誇りを持っていると、その人は放置しといても自走式でずっとお仕事ができるようになるんですね。
例えばウチのドメインを販売しているチームがいるんですけど、そのチームに「ドメインを売っている」ということを言ったことは一度もないんですよ。
「あなたたちはインターネットの情報を増やすお手伝いをしている」という説明の仕方をしてるんです。「ドメインを売っている」と言われるのと「インターネットの情報を増やす手伝いをしている」と言われるのでは、同じアクションでも考え方、見方によって全然違うわけですよ。
一橋の米倉(誠一郎)先生に教わったことがあって、そこからヒントを得てるんですけど、米倉先生は僕にこんな話をしてくれたんですね。「夏のすごく暑いとき、教会の前に2人の男がいた。1人に『このクソ暑いのに何を作ってるんですか?』と質問した。すると『あんた、このクソ暑いのに石を削ってるんだよ。見りゃわかるだろ』と答えた。
もう1人に同じ質問をしたら『暑いですけど、聖マリアの像を作ってるんです。多くの方の笑顔を見るために』と答えた」ということです。同じ行動でも見方・言い方・考え方によってまったく違って、自分の仕事の本当の意味を教えてあげることによって、誇りを持ってもらう。ほめて、叱って、誇りを持ってもらって自走式にする。
そうすることによって、まさに組織は自分の能力をはるかに越えて動き出すんですよね。たぶんこれが経営者として一番やらなきゃいけないことで、山本さんにおすすめしたいと思います。
(質問に対して)回答はドンピシャじゃないと思うけど、今回のメッセージということでぜひお持ち帰りいただけたらと思います。よろしかったでしょうか?
質問者:ありがとうございます。頑張ります。
岡島:ありがとうございます。ラスト1~2分ございまして、最後にコメントを一言ずついただければと思うんですが。川邊さんからいかがでしょうか。
川邊:今の熊谷さんの話、非の打ちどころがない、そのとおりなんですけど、自分自身が思ってることを言うと、先ほど挙げられた3つに加えて「適切なタイミングで適切な質問、問いかけをしてあげる」これがもう1個重要かなと。
経営者が全部知ってるわけじゃないですから、答えを知らなくてもいいんですよ。答えは問われているほうにあるわけです。でも問うことはできるので、その人その人を見て適切なタイミングで適切な問いかけをしていく。
そういう経営者に自分もなりたいし……。この数年の最大の自分の成長は(それまで)「答えを得よう」ってずっとしてたんですけど、問いかけをして答えられそうなやつを見出して育てていくというのに軸足を移せたということだったんです。
岡島:ヤフーとしてもティーチングからコーチングメインみたいなことに。
川邊:そうそう、切り替えた。まあ最後は経営者のビジョンとかが重要なんですけど、そういうふうに切り替えたのがこの数年の経営者としての最大のシフトチェンジだったんで、何かの参考にしていただければなと思います。ありがとうございました。
岡島:鉢嶺さん、最後に一言コメントを。
鉢嶺:今日登壇されてる方もそうだと思うのですけど……。ギャップという話が出ましたけど、現時点での成長に誰も満足していないと思いますし、僕なんかも会社の業績的にはまったく成長できていません。
逆にここにいること自体が恥ずかしいですが……。ここにいるみんなも成長を目指されていると思います。みんなで頑張り、また次の時代の新しい産業を興すということで、一緒に頑張りたいなと思ってます。ありがとうございます。
岡島:ありがとうございます。川鍋さん。
川鍋:帰りは「全国タクシー配車」アプリを使って乗って帰ってください(笑)。意外とインターネット周りの方々って、その方々だけで集い、その方々だけで話し……というケースが多いと思うんですね。
熊谷社長が「これからだ」っておっしゃったのは、今後おそらくネットだけで完結しないリアルな、例えばタクシーとかがインターネットによって生まれ変わっていく。お客様の体験が変わっていくフェーズに入っていくと思うんですね。
そういうときにやっぱり外の世界を知ってほしい。外の世界はみんなそんなにポジティブじゃないし、そんなに速くないし、みんなもう少しウジウジしてるし。
いろんなしがらみがあるっていうのをひとつ飲み込んだ上でアクションをとっていただくと、世界が変わるスピードもより速くなるのではないかなと思うんですよね。
「世界を変える!」って言いながら「世界変える軍団」が「オーッ!」ってやって、ひとたび外に行っても、ネクタイ締めてる間にTシャツで入っていくみたいな(笑)。
それはそれでいいのですが……例えば、当社も4年前にアプリを始める前は、いきなりTシャツで来られるとそれだけで「おいおい、Tシャツの人が来たぞ」って。
川邊:受け入れられないですよね。
川鍋:86年やってる企業としては、まずそこで「うおっ」って。4年経った今はTシャツの人が来ても普通になって、ようやくこちらも変わりましたが。
そういうギャップがあるということを、少なくとも頭のどこかで理解して行動したほうが、世の中が変わるスピードが速くなると思うのですよ。
すごくもったいないのは、カルチャーにすごくギャップがあって、どちらもなかなかスタイルを崩さないで結局「よくわかんないよ」って両側が終わってしまうことですね。
そうじゃなくて、真ん中あたりにグワッと広がる大地があって、そこに誰が手を突っ込んでいけるかだと思うんですよね。
岡島:最後、熊谷さん、お願いします。
熊谷:IVSは毎回拡大して、皆さんここでたくさん情報交換させていただいて。IVSの運営チームの皆さんに……高いところからすいません、改めまして感謝したいと思います。本当にありがとうございます。呼んでいただいてありがとうございます。
(会場拍手)
岡島:ありがとうございます。ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが「企業の成長と経営者の成長」ということで非常に本質的かつリアルなお話を伺うことができました。
素晴らしい話を伺わせていただきましたので、大きな拍手を4人のパネリストの方々にお送りください。ありがとうございました。
(会場拍手)
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