DeNAは人事部がうまく機能している

夏野剛氏(以下、夏野):「創造的人材を伸ばすビジネス環境、未踏的人材の破壊力!」と題して、私がモデレーターを務めさせていただきますが、まずは参加していただくお二人をご紹介したいと思います。

一般社団法人未踏の理事を務めていただくDeNAの創業者であり取締役を務められている、女性初の球団オーナー南場智子さんです。もうひと方は、LINEというアプリは世界中で使われていますね。いよいよ日本初でやっと世界に通用する、私もやりたくてできなかった。社内に敵が多すぎた。まあ、それは置いといて。それをやってのけたLINE株式会社・代表取締役社長の森川さんです。

(会場拍手)

ということで、今からお時間をいただいて、「創造的人材を伸ばすビジネス環境」これをみなさんとお話ししていきたいと思うんですが。まず最初にお聞きしたいのは、みなさんの社内には未踏的人材っていうのがいらっしゃいますか? どれぐらいいらっしゃるんですかね?

南場智子氏(以下、南場):未踏のプロジェクト出身者、何人もいます。それからレッドコーダーもいるし、我が社は採用も頑張っていて。

夏野:じゃあ、人事がしっかりしているの?

南場:戦力外の人事じゃなくて(笑)。

夏野:戦力内なんだ。

南場:戦力内の。

夏野:さすが! 野球のオーナーは違いますね! 戦力外は使わないと。

優秀な人材が1番嫌うのは、バカな上司や経営陣

夏野:DeNAはたくさんいる。LINEはどうなんですかね?

森川亮氏(以下、森川):未踏的人材は結構多いですね。変わり者ばっかりというか。みんなとんがった人が多いかなと思いますね。

夏野:すごく難しいんですけれども、これはDeNAとかLINEという会社は、普通に未踏的人材が多いですねっていうじゃないですか。じゃあ、なんで大きな会社とかはだめなんですか? 何が違うんですかね? ちなみに南場さんは、前職では大企業のダメおやじを批判してきたほうですよね。

(会場笑)

南場:夏野さんに怒られて、それでちょっと気合を入れ直して起業したという経緯がありまして。

夏野:いっぱい知っていますよね!

南場:ちょっと帰りたくなってきたんですけど(笑)。

夏野:帰らなくて大丈夫ですよ。あと37分帰れませんからね。

南場:DeNAも今後大企業にならないように、気を付けないといけないんですけども。いわゆる人材だけが我が社のアセットなので。

夏野:それ多分、どこの会社でも一緒ですよ。

南場:そう言いますよね。ただ本当に優秀な人材って、何をしたいかっていうと、やっぱり上司とか訳のわかっていない経営者にプロジェクトを潰されたりしたくないんだと思うんですよ。

夏野:うん。したくない。

優秀な人材をつぶさない仕組み

南場:よくパーミッションですっていう言い方をするんですけど、本当に信じる、これやりたいというものがあるときに、あんまりこれまでの経験から、それうまくいかないよねって潰さないように、あるところまでやって審判を経営会議とか役員じゃなくて、市場に委ねるということが今できる時代なんですよ。

特に我々はインターネット系のサービスなんで、アプリとかだと、アップストアに出してみて、全然PRしないんだけれども、負けずにしないんだけれども、友達かき集めて使ってもらって、そしてその友達がリターンレートどれぐらいあるかとか、友達紹介どれぐらいしてくれるかとか。

それの数字が良ければ、例えば森川社長とか私とかが潰さないっていう。そういう一部の聖域みたいなものを作って、自由に売るようにするっていう部門もあるんですね。そいうところがいいのかとは思うんですけど。

夏野:それは特殊な部門としてそういうのを用意するほうがいいんですか? それとも会社全体にそういうことがちょっとずつ起こるような風土にしていたほうがいいんですかね?

南場:それ本当は前者なんですよね。ただ、大きいインフラで5000台とかのPCサーバーを動かしているわけで、ちょっとやってみて全部ダウンじゃ困るので、少し領域によって部門によって違うんですけど、とにかくフリーハンドでそれをオッケーっていう部門がある。

そしてあとは、こういう形でみんなでアイディアトークっていうんですけれども、経営者が発案したんじゃなくて、現場からの案を。

本当にみんなが自分の持ち場と関係なくアイディアをディスカッションするところから、いつでも事業化できるような余裕というんですかね? 提案はできるし、そこにはお金がつくしというような仕組みを入れて部門特化型と、できるだけ広くそれができるような仕組みというのは、私が作ったわけじゃなくてできあがっているというか。

サービスのポテンシャルは、友達200人への広がり方を見る

夏野:DeNAさんもそうだと思うんですけど、前より利益額が少なくなってくる局面になると、なんかすごくそういう一見無駄に思えること。一見コストがプラス側にいくようなことって、絞りたくなっちゃいますよね?

南場:そうなんですよね。

夏野:某第一通信企業は6000億利益を出していても、コピー枚数1枚ずつカウントして経費節減しているんですけど。

南場:さすがですね。

夏野:クリエイティブもへったくれもないんですけど。そこら辺の折り合いをつけるのはやっぱり経営者?

南場:そうですよ。だけどやっぱり利益が700億800億っていうレベルから、今300億切るところまで下がっているので、我が社の場合は正直経営的に楽ではないんですね。今また回復の途上にきているとはいえ、楽じゃないじゃないですか。株主さんもおられるし。ただ、小さい金額で本当できるんですよ。

夏野:なるほど、コストカットね。

南場:コストカットじゃなくて、新しい事業のトライアルって本当に数百万とか数千万の下のほうで、いくらでもできてしまうので、それでもちろん全国でのコマーシャルっていうと十数億とかかかるんですけれども。

今はそうじゃなくて、例えば200人の友達からどう広がるかなというのをじっと見ているだけで、ポテンシャルがわかる。そこまでは数百万円でいくので、やっぱり数百億の利益の話をしているトップマネージメントからすると遊び金として全然いいじゃないって。

夏野:そこ、経営者の管理力ですよね。

南場:でも小さいじゃないですか。

夏野:その積み重ねをやりたがらないおっさん、いっぱいいますからね。

「我慢が美徳」という価値観こそが大企業の1番の病

夏野:LINEはどうですか?

森川:多分インターネット系の若い経営者がやっている会社はそんなに大きな問題はないかなと思うんですけど。大企業の1番の問題は「我慢が美徳」っていう、そういうものを叩き込まれるところからくると思うんですよね。

夏野:我慢美徳ってよくおっしゃりますね。

森川:はい。やっぱ3年我慢すると、今度は5年我慢するみたいな。いつまで我慢するんですかってあると思う。

夏野:だいたい経験的には30年我慢するとなんかいいんですよね。課長島耕作が社長になっちゃたりしますよね。

(会場笑)

森川:でも新しいことやる人というのはサッカーでいうとフォワードみたいなもので、バックスではないんですよね。フォワードみたいな人が我慢を覚えてしまうと中途半端になっちゃうんだと思うんですよ。

もちろん全員がフォワードになるのは難しいとしても、企業の中でフォワードになるような人というのは最初からシュートを打たせるような環境に置くべきかなと思うんですよね。

夏野:シュートを打たせる、いい表現ですね。