辞める人と継続する人の違いとは?

山川雄志氏(以下、山川):他のを質問を見てみましょうか。「最初の10人で辞める人、継続する人の違いは何かありますか?」という質問が来ていますね。どうでしょう?

佐藤裕介氏(以下、佐藤):辞める人、継続する人。それでいうと今現在、在籍10分の7で、独立しているのが1人なんですけど、2人は普通に辞めてって、今でも一緒にやっている人と別の道を選んだ人の違いは正義感の違いで、何を正しいとかイケてると思うかとか、これは駄目でこれは良いと思うっていうのって実はいわゆる一般常識じゃない部分でも、すごくたくさん細かく出てくるんで、正義感の一致みたいなのがある、なしというのは割と大きいかなと。

山川:はい。

佐藤:なんかこう正義感って基本お互い正義だと思って意見を言っているんで、不毛なんですよね。フランスの出版社とISIS がどうこうみたいな話ですけれど、基本彼らは正義をぶつけ合っているから終わることなき戦いなんで、最終的に理解し合うことってのはそんなに無いんで、っていう違いはある気がします、良い悪いではなくって。

山川:その正義感の違いというのは、最初に入った段階から違うなという認識のもと一緒に働いているんですか?

佐藤:なんかずれが大きくなってきたというの、もちろん最初からすべてが一緒というふうに思ったわけではないですけど、そういう違いってどんどん時間経過とともにレバレッジが利くような類のものかなと思って。感じる差分がどんどん大きくなるんで、これはカップルと一緒だと思うんですけど。

山川:では高橋さん、最初の10人の中で辞めた人と残っている人の違いはいかがですか?

高橋飛翔氏(以下、高橋):うちの会社ってさっきも言ったように、起業して2年後くらいに人がばっさばっさ抜けて、会社の業績も本気でやべぇという時代があったんですよ。その時にたぶん真の意味で本気でやり切る覚悟を持ったやつかそうじゃないやつかというのが出たと思っていて。

役員であっても一緒に仲良くやっていた人であっても、もう社長が信じられない、みたいな感じで辞めてしまった人っているので、そういうでかい困難とか試練があるとある種選別されるっていうのがあるのかなと思います。覚悟が試されるというか。

Retty流インターン・マネジメント術

山川:なるほど、そうですね。Rettyさんに質問が来ていますね。「Rettyのインターンの組織のマネジメント方法を教えてください」とのことです。インターンをたくさん採用されていらっしゃるというところもあると思うんですが、どのようにマネジメントされてるんですか?

武田和也氏(以下、武田):マネジメント。まずインターン生で採用する人は、基本的に週4以上とか、コミットできる人しか取らないんですね。マネジメントでいくとRettyの場合は基本社員が1人ずつ付いて本当にコミットして教育します。フィードバックを毎月やるんですね。

毎月30分なんですけど、皆に確実にフィードバックする。お前はここができていないとか、ここができているとか。これを勉強したほうがいいとかっていうのを真剣にやるので、そこは1つ特徴があるかなと。そのフィードバックをする中で、インターン生ってグレードというのが人によって分かれていて、Cクラス、Bクラス、Aクラス、Sクラスっていうふうに、そのフィードバックの中でどんどん階段を昇っていくようなかたちになるんですね、それで給料も全然違うと。

そんな仕組みでやっていて、Sになったら内定だったりするんですけど、っていうのでちゃんとそれぞれのクラスのグレードの要件とかも明確になっているので、そこで何が足りないのかっていうのを個人が把握できるようにしています。この仕組みは、比較的うまくいっているっていうのはありますね、はい。

山川:結構今日は学生の方が多かったと思うんですけども、スタートアップであるとか、ベンチャー企業でインターンをした事がある人っていますか? 社会人の方で過去にした事ある方? 結構多いんですね、なるほど。そのインターンから採用とか結構繋がるんですか?

武田:去年はSクラスになった人が3名入社しました。

山川:高い確率で新卒採用になるんですね。

武田:そうですね、新卒採用ですね。

新卒を採用するにはインターンからが1番良い

山川:なるほど。新卒のところの採用などについては? インターンから採用される事は多いですか?

高橋:うちはインターン採用が多いですね。うちのやっているWebコンサルティングっていうビジネスはかなりWeb知識の習熟度を必要とする仕事だったりするので、本当にポテンシャルとか能力が高い人だけインターンで合格出して、その人にかなりコミットしてもらってそこから内定出して入社ってパターンはすごく多いです。

山川:ありがとうございます。佐藤さんも、インターンは採用されてますよね?

佐藤:そうですね、僕らの場合はジョブプログラムっていって3日間の、一緒にプロジェクトをやりましょうという短期間のインターンみたいなものを通じて採用するケースが100%です。頭いい悪いというか、自分のアタマで物事を考えてきたかどうかって、しゃべったらだいたいわかるんで。さっき言ったみたいに正義感の違いみたいなものは……。

(会場笑)

高橋:怖いですね。佐藤さんとしゃべったら頭いいのか悪いのか一発でばれるという。

佐藤:そういう表面的なことより、もうちょっと時間かけないとわかんないところをしっかり理解するというのと、候補者の皆さんにとっても僕らのことを理解してもらうことも大事です。

その3日間すごい負荷かけるので、特に社員がすごく大変なんです、寝れないんで。なので、そういうタイミングでヘロヘロになっている社員が、候補者の皆さんにどういうことをやってあげられているのかとか、成長に対してコミットできているのかというのを候補者の方々に見てもらって、合いそうだなというふうに彼らから僕らを評価してもらう機会っていう意味でもすごく重要だと思ってやっています。

高橋:ヴォラーレでも長期インターン以外にも短期インターンをやっていて、すごく良いなと思っていて。去年の秋にやったやつも、僕もメンターとして参加して3日間くらい学生と徹夜でビジネスプランを作ったりとかしたんです。

そういう極限状態になっていくと、もめ出したりとかするんですよ、学生同士が。その人の性格とか本質的な部分がすごく見えるから、企業にとっても学生にとっても相互理解ができていいかなって思ったりしますね。

山川:皆さん結構、経営者の方々が採用にかなりコミットされるということ多いと思うんですけども、今のようなものに経営者が参加するとか1泊2日で参加するとか、佐藤さんこのあと採用関係で大阪に行かれると伺いましたが。

佐藤:そうですね。

山川:FreakOutの人事の方から早く大阪に行くように言っといてくれと言われています(笑)。このようにかなり採用のところにも経営者の方が参加されるケースが多いと思うんですが、経営者の採用における役割というか、どういうスタンスで臨むのがいいかというのはありますか? これから起業する方々に向けに教えてください。

採用は相手本位で

佐藤:さっき嘘ついたって言ってあれなんですけど、基本的には相手本位だと思っていて、自分のタイミングっていうのは基本的に無視します。でも最初の10人は仕方ないんです。手段を選ぶと会社が潰れるから、そこはもう会社の事業を伸ばすことで、あの時はごめんねと、今ほんとに最近言っていますけど。ようやくそこについて、あの時嘘ついたと思ったことについて、その人たちと話せるようになったんですけど。

とはいえ、基本的には相手本位だと思っていて、僕の場合はすごく来てほしいなという人と飲みに行っても来てくれって全然言わないですし、その人の話を聞いてずっと眺めてその人なりのバイオリズムをつかむと。その時にたとえば、上司むかつくとか理不尽だとか、この事業どうなんだろうと思ったり、なんか会社に不信感を持つタイミングがあったりとか、いろいろあるんですよね、社会人。

すごく頑張ってる人でも、成果出している人でもそういう時があるんで、その時にずっと眺めてた僕がシュシュッと、そん時だけちょろっと、なんか一緒にやろうよみたいな。僕自身の、自分の会社のタイミングで、来てくれ来てくれつっても仕方ないし、どんだけ相手のタイミングとか相手本位で長々と我慢強くやれるかみたいなところのほうが重要なのかなという気がしてます。

山川:採用、今のお話は比較的求職者の方というか入れたい方々に合わせて採用をけしかけていくという視点だと思うんですけれども、武田さんはいかがですか?

武田:そうですね、僕の場合はとりあえず良いなと思ったらすぐに、今すぐ来て欲しい、みたいなことを言いますね。

山川:今すぐ来てよ、と言う。

武田:はい。そうすると、今のプロジェクトが6月に終わって、っていう話になるんですよ。なので、3月飲みに行こう、みたいなかたちでタイミングを合わせていくっていうことをやります。

山川:スケジュールをある程度決めて、このタイミングで入ってくれというような話とかも結構するんですか?

武田:そうですね、それはもちろんやります。状況はどんどん変わるんで、必ずしも最初に言っていたことがその時にできるかってそうではない場合もあるんですけど、基本的には最初からラブコールを送っていって、そこからクロージングしていくというか。

優秀な人材の引き抜き方

佐藤:最初の時点で頼むよ、来てよ、と言った時に、マジで無理だわ、となる人もいるじゃないですか? 転職意向が1ミリも無いみたいな、寸分たりとも隙が無いけど、どうしてもこいつを仲間に入れたいぞみたいな時とかはどうするんですか?

武田:そういう場合、難しいですね。

佐藤:あんまり無かったですか、ケースとしては?

武田:全然あるんですけど、その会社に一生いるわけじゃないんで、タイミングだけなのかなと思っていますね。

高橋:佐藤さんと結構似ていて、ヒアリングを徹底的にしまくるという、ソリューション営業的なスタイルを取っています。来る気ない人に来て来てって言っても僕はあんまり意味は無いのかなと思っているので、とにかく相手のキャリア感とか今後の人生どう考えているかとか深掘りしまくって、その先にうちの会社の方向性とリンクする部分が出てくるんだったらがつんと採りにいく、みたいなやり方をしていますね。

後はそういう優秀な人っていろんな企業が欲しがるので絶対バッティングするんですよ。競り負ける瞬間もあるので、その時はまだ負けてない戦略っていうのを全社一貫して取っていて、仮に他の会社に取られたとしてもこいつは超良かったという人についてはずっとコンタクトを取り続けて、もうそろそろいいんじゃないって言い続けてどっかのタイミングで来てもらうみたいなやり方は結構していますね。

武田:僕らの場合、どうしても無理な人がいてもとりあえず働いてもらう、っていうことをやりますね。まずオフィスに来てもらって、基本情報もオープンにしてアルバイトで働いてもらって、今のメインのエンジニアの方もそういうかたちなんですけど、半年くらい一緒に働いていたんですよ、週1くらいで。それで半年もいるとRettyの会社の中も全部わかるじゃないですか。僕らとしてもどれくらい本気なのかっていうのが伝わるので、そこで心が動いていくという人は今まで何人かいた気はしますね。

佐藤:さっきの「10人どうやって集めるの?」みたいな話もそうですけれど、平均的な採用方法でやっても絶対無理だから一般的にこう、みたいな話はあんまり関係無くて。さっき飛翔さん言ってたみたいに、うちも「あきらめない採用」という概念があるんで、新卒でも3月31日まではいける、みたいなことをいってずっとやり続けて。

4月1日を越えて他社に入社した後も、でもまだ第2新卒があるみたいな感じで、それで結局4月に他の会社に入社して7月にうちに来た奴とかいますし。競合のちょっと偉い人とか、1年半くらいずっと飲みに行ってて、1ヶ月に1回くらいはなんか飲んで、なんも言わずに、だから気持ち悪いやつなんですよね。その方は男性だったんですけれど、僕は定期的に誘って飲んで何も言わずに楽しかったねって帰って、なかなか大好きな女の子にもできないような。

(会場笑)

山川:「何だったのか?」って感じですよね。

佐藤:で、また誘われるみたいな。そうやって1年半かかりましたみたいなことも全然いっぱいあるし、うちは簗島 (やなしま) って超天才で変人の男の子がいて、元々ゲームプラットフォームの会社ですごく活躍した子だったんですけど、彼は多忙だったので会うのは午前2時からですみたいな、面接が午前2時からって。

(会場笑)

山川:深夜の?

佐藤:深夜の。なので、マックに2時に行ったり、近くのバーに行くみたいなことやったりとか。でもみんなが 2 時にマックで面接しないから、こういうシチュエーションに持ち込んだら僕ら有利だぞって。あえて候補者が住んでる西東京のジョナサンまで行ったりもしましたね。オフィスまでいきますよって言われてるのに、いやいやこちらから行きますよって。そういうの、わりと心に残りますからね。

山川:ここ、ここだ、という勘どころがある訳ですね? ここで行けばジョインしてくれるだろうという。

佐藤:それ最初は全然わかんないんで、いつか来てくれるというのを信じてずっとにょろにょろ話しているという感じですよね。

全員の給料を公開すべきか?

山川:Twitter見てみましょう。給料の見える化みたいな、これは次のタームの方がいいかもしれないんで、次また質問していただいたほうがいいかな。

(会場笑)

司会:ご自由に。

山川:ご自由に。じゃあここ聞いてみますか? 給与の見える化については皆さんどのような意見をお持ちですか?

佐藤:給与の見える化?

高橋:給与の見える化ってどういう意味ですか?

山川:誰がいくら貰っているかがみんなわかっているっていう状態だったり、役員がどのくらい貰っているかわかっている、たとえばそういうようなことですかね? そういった環境を推奨する会社もありますよね。

佐藤:うちは公開、全くしていなくて、中途採用が多いと基本的には前職を考慮した給与設計を少なくとも入社時には行って、それを入社後1年くらいかけてうちの評価システムの中に落とし込んでいくという作業が発生するので、最初は入社タイミングで、バラツキがすごくあるんです。

入社時の給料でその人の評価をしているわけでは全くなくて、あくまでもマーケットの中でこの人に来てもらうためにというところで判断しているから、たとえば給料が高いAさんと、うちの社内でそれよりも低いBさんの実力を単純にそのままAさんが上で B さんが下でと認識しているわけでもないんで。

そういう誤解を単純に生みたくないから、今のところは公開していないという感じですかね。公開するメリットもあるんでしょうけど、あんまり僕はそれがすごい大きなメリットをもたらすと思ってない派ですね。

高橋:全く同じですね。

佐藤:つまんない!(笑)

ベンチャーにきて、認められようと思うな

高橋:なんか見える化の話でいうと、もしかして意図がこうなんじゃないのかなと思ったのが、「どういう行動とか成果を出せば評価されるんですか?」という意図の質問じゃないですかね、これ。こういう質問してくる人、社員でもたまにいますけど、僕からすると、こういう疑問自体がベンチャーで働く人間として微妙だなと思っています。

ベンチャーでどうなったら成果が認めて貰えるんですか? とか言っているやつって、それを考えるのも含めてお前の仕事だよというふうに思うので、自分の周りで評価されているやつとか自分の上司に評価されている人を見て、俺はここに活路を見い出す、みたいなのを自分で考えてやって上司を納得させろよというふうに感じますね。もちろん何百人も人がいる会社ならまた話が別だろうけど、何十人規模なら自分で考えて動いてアピールすべきだと思います。

山川:武田さんいかがですか?

武田:ウチは公開してないですね。給与は本当に佐藤さんの話と同じで前職考慮してと、どうしてもなってしまいます。前職の税金とか色々あるじゃないですか、細かいところでいうと。だからそれをベースに基本的に給与設計しているというところで、制度をこれから作っていこうというかたちでちょうどやり始めている。今そんな感じです。

山川:「技術職と営業職の評価基準や独特の評価方法などありますか」といった、給料と結びつくところの質問もきていますが、独特な評価方法とかが、会社内でありますか? 事業によって、あるいは会社によってそれぞれ評価基準とか違うところはあると思うんですけれども、いかがでしょうか?

佐藤:オープンソースソフトウェアを活用して自社の製品開発をしたりしていて、それらに支えられているので、そういう開発コミュニティに対してどうやって貢献するのかと考えた時に、会社としてこういうプロジェクトにアサインしてこれをやってくださいということとは別に、そういうコミュニティに対して貢献している人については個別に評価したりするようにしていますけど、ビジネスのところはどうだろう? なんかありますか? 特別なんか変わったというかありますか?

高橋:そうですね、うちの場合は採用アシストが評価基準に入っていて、紹介会社さん使ったりしていくとどうしてもお金がかかっちゃうので、少しでも社員がいい人を紹介してくれて入ってくれたほうがやっぱり会社としてはすごく助かるんですよね。そういうところを評価に持たせたりとか、後はコンサルタントのメンバーについて言うと、うちはSEOとかWebマーケティングをやっている会社なので、社外でどれくらい認知獲得のための行動ができたか、みたいなところも考慮したりはしますね。

武田:うちは今年から1つのチャレンジではあるんですけど、リクルートさんみたいな形でミッショングレード制にしているんですよ。ミッションを全部明確にして、ミッションにレベル感はできるだけ付けて、そこでミッションの大きさによって給料を決める取り組みにチャレンジし始めたばかりです。まだ試行錯誤の段階ですが。

山川:給与制度として?

武田:そうですね、給与制度というか、ミッションを複数持つ人、1つが大きいとか色々あるんですけど、基本ミッションベースでやろうかなとは思っていますね。

山川:はい。ミッションとかそういうことを定量的に評価基準とする方法ってどういうふうにされるんですか?

武田:そのミッションで、例えば何月までにこれを作るという目標があったら、それができた、できてないとかっていうそういう感じですかね。

山川:なるほど。

制作協力:VoXT