石破茂自民党新総裁が会見
平口洋氏(以下、平口):ただいまより、石破茂自由民主党新総裁の記者会見を行います。私は、司会を務めます報道局長の衆議院議員平口洋でございます。冒頭、石破総裁よりご挨拶を申し上げた後、平川クラブ幹事社による代表質問を3問。その後、時間の範囲内で平川クラブ加盟社からの質問をお受けいたします。なお、会見時間は30分程度を予定しておりますので、ご協力をお願いいたします。
それでは、石破総裁、お願いいたします。
石破茂氏(以下、石破):第28代自由民主党総裁に就任をいたしました、衆議院議員の石破であります。
今回の総裁選挙にあたりまして、ご支持・ご支援をいただきました多くのみなさま方。そして共に戦いました仲間たち、8人の候補者が、私の他に立候補をなさいました。大勢の方がご支援をなさいまして、そういうみなさま方にも心から敬意を表する次第であります。
今回の総裁選挙は、岸田前総裁がこのいろんな自民党をめぐる問題に自ら身を引くというご決断をなさって、こういうかたちの総裁選になったものであります。私といたしまして、党の同志と共に、岸田前総裁のお気持ちに報いるように全身全霊尽くしてまいる所存であります。
私は、本日の演説でも申し上げましたが、我が党が野にあった3年3ヶ月を決して忘れてはならないと思っております。私どもは、いろんな事情で野に下り、民主党政権が3年3ヶ月続きました。谷垣(禎一)総裁、大島(理森)幹事長、田野瀬(良太郎)総務会長のもとで2年間、政務調査会長を拝命いたしました。
来る日も来る日も反省会の連続でありましたし、1,000回以上にわたって全国の車座対話を続けてまいりました。谷垣総裁のもとで新しい党の綱領も策定をいたしました。
「ルールをきちんと守る政党でなければならない」
石破:そこにおいて、我が自由民主党は、自由闊達に真実を語る政党であらねばならない。あらゆることに公平公正な政党でなければならない。そして謙虚な政党でなければならない。そういうことを綱領にうたって、安倍総裁のもと、私は幹事長でございましたが、政権をまたお預かりすることになりました。
もう1度あの原点に返って、我が党は真実を自由闊達に語る政党である。あらゆることに公平公正な政党である。そして常に謙虚な政党である。そのような党を、同志のみなさまと共に作ってまいりたいと思っております。
今回総裁選挙にあたりまして、ルールを守る自由民主党。日本を守る自由民主党。そして国民を守る自由民主党。地方を守る自由民主党というスローガンを掲げました。ルールをきちんと守る政党でなければなりません。
そして、守っているかどうかが、きちんと国民のみなさま方に検証されるような仕組みを作っていかなければなりません。
岸田政権が行ってきた「デフレからの脱却」を引き継ぐ
石破:安全保障の課題は山積です。この総裁選挙の間にも、ロシア機による領空侵犯、そして中国艦による接続海域入域、北朝鮮のミサイル発射など、いろんな問題がございました。私は安全保障の仕事を長く手がけてまいりましたが、日本国を守ることをきちんと確立してまいります。
能登半島で今なお苦難の中におられる方が大勢いらっしゃいます。困難な中、苦しい中にある方、どうして政治はわかってくれないんだと悲痛な思いの方々。国民を守る自由民主党でありたいと思い、その実現に力を尽くしてまいります。
この20年、GDPはほとんど横ばいでありました。配当は増え、内部留保は増え、非正規の労働者は4割増えました。しかし実質的な賃金や設備投資も横ばいであります。
私どもは岸田総裁が一生懸命努力をしてこられたデフレからの脱却を、確実なものにしていかなければなりません。物価上昇を上回る賃金上昇を実現するために、新しい資本主義にさらに加速度をつけてまいりたいと思っております。
人口減少はそう簡単に止まりません。少子化の本質は、母が少ないと書く少母化であります。我々は結婚したくてもできないという方々に光をあて、望む人が結婚できるような、そして人口減少に必ず歯止めをかける日本国を作ってまいります。
地方の人口減少は止まりません。これに歯止めをかけていかねばなりません。そのための手法につきましては、私自身、地方創生大臣を務めておりました時から10年にわたり、いろいろと勉強はしてきたつもりであります。
この人口減少に歯止めをかけると共に、東京一極集中打破というのは、東京対地方の構図ではございません。東京をさらに発展させるために、そして地方をさらに発展させるためにも、地方を守るというスローガンのもとに努力をいたしてまいります。
女性の方、若い方々が希望を持って暮らせるような社会。一生懸命働いた人が報われる社会。ハンディを持たれた方、いろんな事情の方々がきちんと活躍できる社会を作ってまいります。
悪口を言い合うのではなく、足を引っ張り合うのではなく、みんなが笑顔で安心して暮らせる日本国を作るために、自由民主党は国民のみなさまと共に新しい日本を作るために最善を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
裏金事件は「なるべく早く国民の審判を」
平口:はい。ありがとうございました。それでは代表質問に移りたいと思います。平川クラブ幹事社の方、お願いをいたします。
記者1:平川クラブ幹事社、朝日新聞のフジワラです。まずは、この15日間の選挙戦、大変おつかれさまでした。
この先、石破新総裁は10月1日召集の臨時国会で首班指名される見通しです。総理に就任された後、衆院解散はいつ行われるお考えでしょうか。また、その際に一連の裏金事件で処分された国会議員を公認されるお考えでしょうか。
石破:まだ内閣総理大臣として指名を賜っておりません。その時に判断をきちんとしていかねばならないと思っております。ただ、新政権が発足をいたしますので、いずれの時期かには国民のご審判を賜らねばならないということは、よく承知をいたしております。
今回の総裁選でいろんな議論がございましたが、やはり全国民の代表者であります国会議員で構成されます野党の方々とも論戦を交わした上で、ご判断をいただきたい。しかしながら、なるべく早くご審判を賜わねばならない。その2つを合わせて適切な時期を判断をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
記者1:一連の裏金事件で処分された議員の公認についてはいかがでしょうか。
石破:これは我が党が、私も幹事長でずいぶん関わったことでございますが、公認につきましては選挙対策本部で決定いたすものでございます。そこにおきましてそれぞれの選挙区の事情、公認をすることは、当選の可能性が大きな判断材料になってまいります。
そういうことを踏まえまして、選挙対策本部で適切に議論し判断することになりますが、公認権者は総裁たる私でございます。そこにおいて、この方を公認するにふさわしいという説明責任は、公認権者たる私もきちんと果たしていきたいと考えておる次第でございます。
人事構想は白紙だが「共に戦った方を最もふさわしい役職に」
記者2:幹事社、テレビ朝日のカサイと申します。人事構想についておうかがいします。現時点ですでに決められている、あるいは想定している人事はございますでしょうか。また総裁選で今回戦ってきた他の8候補を要職に起用するお考えがあるか。
特に今回上位で激しく争われた高市(早苗)候補と小泉(進次郎)候補の起用について、どのようにお考えでしょうか。
石破:人事につきまして、まだ白紙でございます。今この時点で申し上げられるものはございません。
ただ、今回、自由民主党が極めて厳しい状況にあるということはよく承知をいたしております。この厳しい状況をなんとか打開し、国民のみなさま方にご信頼をいただくために、党において、あるいは内閣において、あるいは国会において、それぞれの役割を適切に果たしていただけるように人事は執り行ってまいりたいと考えております。
それは老・荘・青って言い方が正しいかどうかは存じませんが、いろんな方の持っておられる能力を最大限に発揮するような人事を行ってまいります。
今回、総裁選を共に戦いました8名のみなさま方は立派な政治性をお持ちの方ばかりであります。その方だけに限るつもりはございませんが、共に戦いました方をそれぞれの最もふさわしい役職にお願いをするのは当然のことでございます。高市候補あるいは小泉候補につきましても、考え方は同様でございます。
今までとまったく異なる「派閥」がほぼない戦い
記者3:共同通信のホンダです。今回の総裁選を振り返ってみますと、派閥がほぼない中での戦いとなりました。最後まで大接戦となりまして、先ほど両院議員総会で一丸となるとの言及もございました。今後、党内をどうまとめていくかのお考えをお聞かせください。
石破:私もこの仕事38年やってますが、こんな総裁選は初めて体験をいたしました。今までは、政策集団、派閥とも言いますが、そこで決めた人に投票しましょうねと、派閥の合従連衡で総裁が決まることが多かった。
しかし今回はそれがないということで、議員それぞれの責任において、なぜこの人に投票したかを、それぞれの選挙区の有権者の方々に説明する義務を負うということにおいて、今までとまったく異なる総裁選であったと思っております。
いろんな激しい議論が戦わされて、今日の結果となっておるわけでありますが、党をまとめていく上において、そういう方々の持っておられる力を最大限に発揮することが、党をまとめていくことになるのではないでしょうか。そして、来たる国政選挙、あるいは来年(2025年)は東京都議会議員選挙もあるわけであります。
選挙は、本当にみんなが一丸にならなければ勝てません。「誰かがやるだろう」みたいなことでは、選挙は絶対に勝てません。「それはうちの選挙区は関係ないからね」とか、そういう話ではない。あるいは、「地方選挙の結果は国政には影響しない」などと言ってはいけない。
それは、みんなが一丸となって、それぞれ一つひとつの選挙に全力を尽くしていくということが、党をまとめることにつながると私は考えておる次第でございます。
平口:ありがとうございました。