2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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Well-Being LAB「FOLKE」主催のイベントに、ベストセラー『超ミニマル主義』の著者で、新刊『超ミニマル・ライフ』も好評を得ている四角大輔氏が登壇。ウェルビーイングスクールFOLKEを運営する喜多桜子氏を相手に、弱さを補うノウハウを本にまとめたワケを語りました。
喜多桜子氏(以下、喜多):(若さから仕事を次々に引き受け体調やメンタルが不調になる)それって、けっこう現代のあるあるな感じがして。次の「他人軸を手放す」にもつながるんですけど、自分の中でのペース配分の大事さが詰まっているなと思いました。
自分なりのペース配分とか、自分がどこに美意識を置くのかということが「他人軸を手放す」にもつながっている気がしました。
四角大輔氏(以下、四角):日本には他人軸で生きている人が多すぎる。僕は、同調圧力や村八分の文化がある日本でずっと変わり者扱いされてきたけど、それは圧倒的に自分軸で生きているから。忖度しない、空気を読まない、組織のルールに従えず集団行動が苦手とか。
他の国ではわざわざ「他人軸を手放してください」って言う必要がない。これは、日本限定のキーワード。他人軸で生きているうちは絶対幸せになれない。
喜多:山を登る時に、他の人のペースに乱されずに自分のペースで登ることが大事というお話を、この他人軸の話と絡めて聞きたいなと思っていました。
四角:他人軸というのは、自分じゃなくて他人のペースで考えて生きること……どんなに苦しくても、周りや組織、社会のペースに必死に合わせてしまうこと。「マイペースだね」って、わりとネガティブな意味で言われることが多いけど、「マイペース」は絶対に大事にすべき。
自分のペースを見つけるって、自分の身の丈を知ることとほぼ同じ意味で、自分の美意識をちゃんと手にすることでもある。自分のペースとは、実はそういう深い意味があるんです。
喜多:最初は怖くなかったですか? 今、日本だと速いほうが仕事ができるという考え方があると思うんですけど、自分のペースを守ることってちょっと勇気がいるのかなと思いました。
四角:先に結論を言うと、自分のペースこそが最大のパフォーマンスを引き出してくれるの。
喜多:ああ、なるほど。
四角:僕は昔から体力があって山はいくらでも歩けた。心臓破りの坂と言われるルートで、百戦錬磨の山岳カメラマンから「この坂を息も切らさず歩けるなんてすごい」と言われるくらい歩くのが強い。唯一しんどかったのが、登山雑誌の企画でグループで山を歩いた時。
喜多:みんなで登ろう、のような。
四角:そうそう。1人だけ「自分は速い」と、みんなと競争したい人がいて。
喜多:いそうですね。
四角:それで、大した山じゃなかったのに、ペースが乱されて、大好きな登山が楽しめなくて疲れ切ってしまった。働き方も生き方も、マイペースこそが最強だと登山であらためてわかった。
喜多:原理原則って、すべてに通じるんですね。
四角:通じる。その話はそのまま、『超ミニマル・ライフ』の「現代に強さはいらない」ということに通ずるんだけど。マイペースでも叩かれるし、他人のペースに合わせた瞬間ボロボロになって、仕事はまったくできない。どっちみちダメなら、自分のペースでやるしかないって消去法で決断したら、それが最高パフォーマンスにつながったという。
まさに、自分がもし強ければ気づけなかった原理原則で。
四角:他にも、弱かったからこそ気づいたことがいっぱいあって。自分が弱いとをわかっていたからこそ、弱さを補うためにたくさんの工夫をしたわけ。その1つが、今は幸運なだけだから、勘違いしないこと、むやみな成長を目指さないというもの。このミニマル思考につながったのは、自分が弱いと自覚していたから。
喜多:なるほど。すごくわかります。日本の教育では、自分の弱みを克服しなきゃいけないというのがけっこうあると思うんですけど、弱みを克服しろと言われるとすごくつらくなっちゃうのはありますね。
四角:弱いからしんどいことって山ほどあるんだけど、この2冊の本は、そんな弱かった自分の最高のデトックスになったんですよ。
喜多:へえ! 本を書いていて、ということですか?
四角:自分の弱さが本当に嫌で、「なんでこんなに弱いんだ」と小学生くらいからずっと悩んでいたんだけど、結局弱かったからこそ、本能的に苦しいことを避ける工夫をたくさんしていたわけ。書いているうちにどんどんそれに気づいた。
例えば、周りにいた優しい仲間たちが、資本主義の弱肉強食システムにどんどん搾取されていくのが悲しかった。みんないいヤツなのに。そんな中、自分は弱さを自覚できたことに加えて、工夫をしようという発想と能力というギフトをたまたま授かっていた。
喜多:幸せに生きるのにすごく大事な要素ですよね。
四角:大事よね。優しすぎて人に譲りすぎたり、マイペースを維持する方法を知らず、自分を守り抜く技術を身につける発想がなかった人たちは、どんどん搾取されて痛い目に遭うという世の中を見た時に、「こんな世の中は嫌だ」と思った。
そういう人たちに「技術を届けるのが自分のお役目なんじゃないか」と思いながら書いていて、長い年月がかかったけど、その全技術を書き出せたことが最大のデトックスになった。
四角:そして、僕の人生が楽だったかというとそんなことはまったくなくて、つらい時期が長かったけど、身の丈を忘れず、欲張らずに手放してきたことで、今、めっちゃ幸せで。この2冊の執筆を通して、自分は結局は「弱くて良かったんだ。ずっと悩んできた弱さはギフトだったんだ」と心底から思えたことも人生の大きなデトックスになった。
喜多:めちゃくちゃいい話を聞けたなと思います。これは四角さんにしか書けない本だなとずっと思っていたけど、弱さがあったからこそ書けたんだと思います。
きっと今日参加してくださっているみなさんも、それぞれ自分の中の弱さとか、つらい経験があると思うんですけど、それをこういうかたちで自分なりにデトックスすることで、誰かへの貢献になったり、使命になったりしたんだなという感じですね。
四角:自分の弱さを自覚しながら、身の丈サイズを把握して生きてこられたのは本当にギフトだったなと思ってる。強がりとかプライドはいらないって、ずっと言い続けているけど、そんな余計なものを手にせずよかったと。
自分はもっとできるはずだと思い込んだり、得られた成果はすべて自分一人のおかげだと勘違いしちゃうのが余計なプライドにつながる。僕には、そういうのがなかった。結果、弱くてよかった。弱かったからこそ今の自分があるし、幸せになれているし、いろんな成果につながったなと思えるようになった。
だから強くなくていいんです。だけど、強くない人は絶対的に技術と装備を身につけないといけない。そのためのノウハウを必死に書いていたら、1,000ページを超えてトータルで4〜5年掛かったという(笑)。
喜多:自分の中で「どうすればもうちょっと生きやすくなるんだろう」という悩みの連続だったのかなと思うんですけど。自分の中で細かく実験し続けて、自分なりの工夫や心地良さを知っていくことはすごく大事だと思います。四角さんの場合は、それを見つけた時にメモしていく感じですか?
四角:僕はメモ魔で、去年の『超ミニマル主義』にそのメモ術を公開したけど、例えば「あ、こういうテーマの本を書きたい」と思ったら、メモアプリに仮タイトルをつけて、思いつきを漏らさずメモし続けていく。 『超ミニマル・ライフ』と『超ミニマル主義』のメモは、永遠に印刷が終わらないレシートのようになったけど。
喜多:ええ!
四角:すべてはそこから始まったと言える。
喜多:そういう言語化をしていくことが、自分をより細かく知ることにつながったのかなというお話は、すごく参考になりました。
四角:とにかく、「忙しさを手放す」ことを徹底してください。その理由は、ここまでの話でみなさんに伝わったと思う。結局、忙しいことが諸悪の根源ということを忘れないでほしくて。良い人も忙しくなると悪い人になっちゃう。
喜多:本当そうですよね。余白がないと。
四角:でしょ? 余裕がある時ってけっこうみんな優しくなれるし。ニュージーランドって笑顔の人がめっちゃ多いけど、日本には驚くほど少ない。でも、ニュージーランド人が性格良くて、日本人が性格悪いんじゃなくて、ニュージーランド人は忙しくなくて、日本人は忙し過ぎるだけ。それに尽きるなと。
喜多:例えば育児されているママとか。四角さんから育児ママたちへ、忙しさを手放す方法やアドバイスを聞きたいなと思っていました。
四角:僕が、仕事も家事も育児も全力でやってきたからこそ、それが簡単じゃないと知っています。だから計800ページの2冊にまとめました。
喜多:そういうことですね。
四角:「そりゃ忙しさは手放したいですよ。忙しいのは嫌ですよ」ってみんな言うわけ。だから「忙しさを手放す方法」という本を書こうと思ったの。ニュージーランドや北欧だったら、たぶん800ページなんかいらなくて、50ページくらいで済む。
喜多:(笑)。
四角:日本はモノや情報が過剰で、寝る時間がこんなに短くて、労働時間がこんなに長くて、休みを取らなくて、こういう働き方が当たり前だと思っている人たちの思い込みをまず外したあとに、「こうしたら忙しさがなくせるよ」「時短できるよ」「時短だけじゃなく、余った時間をこう使うとより豊かになるよ」と伝えようと思ったら、膨大な時間と膨大な文字が必要だった。
最初から最後まで、ちゃんと読んでくれたら絶対に忙しくなくなります。断言できる。
喜多:みなさんぜひ読んでいただいて、実践してほしいなって本当に思いますね。余白がやはり大事だなと思います。
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