BtoBマーケのプロ、WACUL代表・垣内勇威氏が登壇

岡田奈々氏(以下、岡田):みなさん、こんにちは。セミナーにご参加いただきありがとうございます。本日のセミナー、「BtoBマーケ集合! 2000人に聞いた! BtoBマーケの悩みをわかち合おう!」を開催していきます。

それでは、登壇者のご紹介をいたします。まず私、Innovation&co.セールスマーケティングの岡田奈々と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

岡田:ありがとうございます。では、本日のゲストの方です。株式会社WACUL代表取締役の垣内勇威さまです。

(会場拍手)

岡田:では、一言お願いいたします。

垣内勇威氏(以下、垣内):株式会社WACUL代表の垣内と申します。今日はBtoBというテーマですが、BtoBマーケティングに関しては、日々、勝ちパターンを研究しておりますので、今日もその知見を何かしらご提供できればと思っています。よろしくお願いいたします。

岡田:お願いいたします。では、弊社側です。Innovation&co.セールスユニットユニット長の吴笑冬さんです。

(会場拍手)

吴笑冬氏(以下、吴):こんにちは。よろしくお願いします。

(会場拍手)

岡田:では、一言お願いいたします。

:2月末の暖かい日(※)ですが、花粉症でございます(笑)。今日はたまたま3人とも花粉症なので、途中、ゴホゴホするかもしれないんですが、内容的には非常にいいものをお送りできるんじゃないかと思っています。なので、今日は悩みをわかち合って、少しでも解決のヒントをお届けできればと思います。 (※2023年2月に開催されたイベントです)

岡田:ありがとうございます。では、さっそく始めていきたいと思います。

あらためまして、ゲスト紹介からです。株式会社WACUL代表取締役の垣内勇威さんです。

東京大学を卒業され、株式会社ビービットから2013年に株式会社WACULへ入社されております。現在は代表取締役として、新規事業や新機能の企画・開発および大企業とのPoCなど、長期目線での事業開発の責任者を務められております。よろしくお願いいたします。

では、弊社側です。株式会社Innovation&co.セールスユニットユニット長の吴笑冬さんです。ITトレンド、ITトレンドEXPOを含む全プロダクトの営業責任者、かつセールスマーケティングの責任者も兼任されて、自社、クライアントのコンテンツも作成しています。

そして、私がセールスユニット、セールスマーケティングの岡田と申します。

セールスマーケとしてリード獲得に従事し、コンテンツ作成、市場調査なども担当しています。本日は3人でお届けできればと思います。

年度目標の達成見込みアンケート

岡田:せっかくなので、始める前にアンケートを2つほど取っていきたいと思います。では、1問目です。

「BtoBマーケうまくいっていますか?」。2022年度の目標は、「1.達成見込み、もしくは達成している!」「2.もうひと踏ん張りが必要…!」「3.怪しい…」。みなさん、該当するものを選んでいただければと思います。

私たちはどうですか? もうひと踏ん張りが必要かな(笑)。

:もうひと踏ん張りが必要ですか(笑)。

岡田:(笑)。いろいろ目標があると思います。達成しているものもあれば、もうひと踏ん張りかなというのもあると思うんですけど、上司としてどうですか(笑)?

:そうですよね。今年はリード獲得をがんばってやっていますが、獲得の量はクリアできそうです。質は思ったとおりにいっていない感じですかね。

岡田:がんばらないといけないです。

:どうがんばればいいんだろうね。おそらく今日の悩みにも出るので、教えもらいたいですけどね(笑)。

岡田:聞きたいな、というところですけれども(笑)。続々と投票いただいておりますね。

:もう年度が変わっている方もいるかもしれないですけど、達成できているといいですね。

岡田:では、みなさんそろそろ投票は終わりましたでしょうか? ということで、1番目ですね。「達成見込み or 達成している」が18パーセントです。

:20パーセントくらいですね。

岡田:2つ目の「もうひと踏ん張りが必要」が39パーセントです。そして最後、「怪しい」という方々が43パーセントです。一番多い結果になりました。

:何が怪しいか、ぜひ書いていただきたいですね。

岡田:そうですね。コメントもお気軽に投稿いただければと思います。

:我々で言うと、量はクリアできそうですが、質がちょっと怪しいということだったんですけど、みなさんの場合は何が怪しいかとか、どういう悩みがあるかを、ぜひリアルタイムでチャットしていただけるとうれしいですね。

参加者全員がBtoBマーケに何らかの悩みを抱えている

岡田:そうですね。では、コメントをいただきつつ、2問目のアンケートにいきたいと思います。

「BtoBマーケの悩みはありますか?」ということで、1つ目、「悩みはあるが、解決策がわかっている」。2つ目、「悩みもあるし、解決策もわかってない」。3つ目、「悩みはない」ですね。

:3番はいるんだろうか?

岡田:そうですね(笑)。このセミナーのタイトルからして、3番の方はいらっしゃるのでしょうか?

:垣内さんはふだんコンサルもやられているので、お相手にしている方々は悩みがあってスタートだと思うんですが、悩みが解消されてなくなる人はいますか?

垣内:なくなるって、聞いたことがないですね(笑)。

:ないですよね(笑)。

垣内:というか、「課題も論点もない」というのはヤバいし、逆に目標がないんじゃないかという感じになってしまいますよね。

:そうなりますよね。今回はBtoBマーケなんですけど、ちなみに今、垣内さんは「長」として、御社の悩みはどうですか?

垣内:うちのBtoBマーケティングということでしたら、悩みしかないです。

:なんと。本当ですか? 

垣内:いつも偉そうに言っていますが、自分ができていないことを棚に上げているだけです。

岡田:(笑)。

:(笑)。実際の状況はいろいろ難しいですからね。

垣内:「わかる」と「やる」は大違いですからね。

岡田:そうなんですね。

:なるほど。みなさんはどうですか?

岡田:1つ目を選択した方が26パーセントです。

:「(悩みはあるが、解決策が)わかっている」が26パーセントですね。

岡田:はい。2つ目の「悩みもあるし、解決策もわかっていない」が74パーセントですね。

:ということは?

岡田:「悩みはない」は、0パーセントです。

:0パーセント。ある程度悩みを認識して言語化できていますが、どうしたらいいのかわからないという方々が今日来てくださっているということですね。

岡田:そうですね。みなさま、アンケートをありがとうございました。

「市場を知りたい」という問いの立て方のズレ

岡田:本日のセミナーの目的ですが、BtoBマーケターの悩みの共有と解決策をご紹介し、BtoBマーケに関わっているみなさんのお力になれればと思っていますので、よろしくお願いします。

本日、データがいくつか出てきますが、弊社でオンライン調査を行いました。調査目的は、「BtoBマーケに関わっている方の悩みを明らかにする」。調査対象者は約2,000名です。BtoBマーケに関わっている方か、BtoBの営業・マーケの両方に関わっている方になります。

では、さっそく「悩みランキングのTop10」を発表します。

:いきなり出るのですか?

岡田:一つひとついきます。第10位は「市場調査」です。

:市場調査が18.2パーセントですね。

岡田:実際にコメントも来ていますが、「市場動向がつかみにくい」「いろいろなツールがあるが使いこなして分析できる人材がいない」という感じですね。

:なるほど。

岡田:「そもそもツールもたくさんあるし、ツールを使っていても分析できる人がいない」。今回のアンケート調査で言えば、弊社では吴先生がデータ分析のプロです(笑)。

:僕はもともと調査会社というか、調査業界にいたのでね。

岡田:プロなのですごくいいんですけど、他の会社の方々は、調査をしてもデータ分析する人がいないという感じですね。

:なるほど。言い換えると、今は手段の話で、調査をしてデータを出せても分析ができないということだと思います。

もっと大上段で言うと、「市場理解」という言い方もできると思います。今、市場がどうなっていて、競合がどうなっていてというあたりが、あまりわからないと言えそうですが、どうですか?

垣内:市場調査、何をやっているかよくわからないなと思っています。私は市場調査にツールを使ったことがないんです。

:さすが(笑)。

岡田:(笑)。

垣内:そもそも「市場を知りたい」という問いの立て方がズレているなと思います。何か言いたいことがあって、それを検証するために調査を使うことが圧倒的に多いじゃないですか。

:はい。

垣内:なので、証明したいことがない中で市場調査をすれば、わけがわからなくなると思います。私は分析も集計も見たいものを見るので、迷ったことは一度もないという感じです。

「探索型」の市場調査の難しさ

:これは調査会社側からすると、めっちゃ玄人の意見です。調査には「探索型」と「検証型」の2種類があって、だいたいは検証型の調査になるんですよ。

なので、今言っていただいたとおりですけど、仮説があって、それを調査項目に落として、その出方を見て、「合っている、合っていない」をやっていくのが基本です。

基本的に探索型調査は時間も労力もお金もすごくかかるので、もっと大変ですよ。本当はみんな検証型調査をやっているのに、そこから何かを得ようとしている。「無」から何かが生まれてくると思っていると、できない。

垣内:探索型でうまくいっているのを見たことがないですけどね。

:めっちゃ難しいですよ。

垣内:よくサマリとかで「30代男性が買っています」「で?」みたいな。「この紙捨ててやろうか」というアンケートがあるじゃないですか。

(一同笑)

垣内:それを普通の人がやっちゃダメなんですよ。だから、市場調査に困っている時点で、知りたいことはないんだと思うんですよね。

:なるほど。

垣内:かなりクリアにしたほうがいいと思うんです。例えば「ハガキを毎年送る」みたいなビジネスです。

保険業界はあると思うんですけど、「紙がもったいないからデジタル化したい」と明確に思っている人が、「この紙、いらないよね」と証明するためにアンケートをやるとかだったらわかるんですよ。明確じゃないですか。そういう目的でやらないと、市場調査をやってもたぶん何もわからないという感じですね。

:おっしゃるとおりだと思います。今、探索型と言いましたが、探索型をするためにもぼんやりとした仮説は必要なので、確かに何もないといい調査にはならない。

垣内:探索でも、カスタマージャーニーみたいなものは、選択肢をある程度用意して回答させないと何もわからないじゃないですか。

:おっしゃるとおりです。

効果的な「市場調査」の活用法

垣内:意味がわからないのは、「何がきっかけでしたか?」「フリーワード」みたいに、何がしたいのかまったくわからないヤバいアンケートです。

岡田:「フリーワードはダメ」っていつも言われますね。

:そうなんですよ。分析能力がめちゃくちゃ高かったらいいと思うんです。たぶん垣内さんは、バラバラのデータを見てもそこから法則性とか傾向を見出せると思うんですけど、普通の人はバラバラのデータを見たら「バラバラだな」と思って終わりなので、何も出ないんですよ。

岡田:(笑)。

垣内:僕もぜんぜんわからないですよ。例えば、購買データ分析をECでやるじゃないですか。それこそSFA(Sales Force Automation:営業支援ツール・営業支援システム)のデータ分析とか、当然何もわからないですからね。

:なるほど(笑)。

垣内:だいたい言いたいことを言いにいくんですよ。

:確かにそうですね。

垣内:「これを言おう」と思ってネタを見たら、「あ、言えた。なのでこれです」って報告書に書くだけです。ああいうのは説明のために使うだけのデータじゃないですか。だから、市場調査に夢を見すぎなんですよね。

:なるほど。夢を見ずに、まずは仮説を出してから検証して、そこからスタートしようということですね。

垣内:言いたいことが言えなかったら、それは新しい発見だし、言いたいことが言えれば、それを使って社内調整すればいいので、そういう使い途なんでしょうね。