2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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岡田:(BtoBマーケに関わっている方の悩みランキングのTop10の)第4位です。「リードの質」ということで26.1%でした。「商談につながらない確率が高い」というコメントもいただいております。先ほど「リードの量」という話が出たと思うんですけどね。
吴:もう、先ほどの話ですよね。「長くやらないとダメよ」ということで、「目の前でそんなに温度感が高い人をポンポン取れるわけないよね」という話ですよね。
垣内:そうですね。あとは広く狙うにしても、入口段階でターゲットを絞ったほうがいいと思いますね。
吴:入口段階でターゲットを絞る?
垣内:例えば......これはBtoBの事例じゃないですけど、「車が欲しい」人のリストが欲しいんだったら、「プレゼントでその車をあげます」と言ったら、相当濃い人が集まるじゃないですか。
吴:そうですね。
垣内:都内で言えば、普通の人は駐車場もないのに車なんていらないし、しかも「その家族にめちゃくちゃフィットしたサイズの車以外はいらない」という前提に立つと、「車をあげます。プレゼント」って、一番欲しい人を集めるための入口なんですよね。
吴:はいはい。
垣内:何でもそうです。例えば、「マーケティングオートメーションをあげますよ」というキャンペーンがあったとして、普通の人はいらないじゃないですか。
吴:普通の人はいらないですね(笑)。
垣内:趣味で使わないですよね(笑)。ちょっと適当に言いましたけど、まずはそういう入口で絞る。ウェビナーもそうですよね。単純におもしろいというよりも、入ってくる人を絞るようなコンテンツを作ることで、より含有率を高めることはできると思うんです。
エンタープライズしか狙っていないんだったら、参加者10社でもいいウェビナーで、エンタープライズ向けにやるとかでもいいと思います。そういう質を捉えた上で、入口を絞るというのはやってもいいと思います。
吴:なるほど。餌というか、看板というか、要は「あなた向けですよ」とわかりやすくしてあげるという感じですね。
垣内:そうです。「コンテンツで絞る」ということですね。
吴:なるほど。
垣内:海に網を放って、とりあえず集めて、「マグロがいなかった」じゃなくて、「マグロがいるところに行けよ」というのはありますよね。
岡田:(笑)。
吴:なるほど。まずは漁場をちゃんと選んだ上で、そのマグロに合ったおいしい餌をちゃんと投入してやるという感じですね。
吴:温度感はどうですか? 我々も年間1,000社くらいとお話しするんですが、温度感についてめちゃくちゃ高く望む方がけっこう多いんです。
垣内:それはもう、無視ですね。
吴:無視ですか。いいんですか(笑)。
垣内:温度感はコントロールできないですからね。
吴:ですよね。
垣内:運ですからね。タイミングゲーなので、いつBtoBニーズが顕在化するかなんて読めないので、できることは頻繁に接触するだけなんですよね。だから、メールでもサイトでもいいんですけど、頻繁に来てくれるような状況を作って、「ニーズが熱い時にちゃんと攻める」ように作れるかどうかだけなので。
「ホットなお客さんが少ないです」と言われても、「そういう施策だから」「嫌ならリスティングに死ぬほど突っ込んでください」という感じになっちゃいますよね(笑)。
吴:なるほど。私も本当にそう思っています。我々もそういう思想でやっていますからね。
岡田:そうですね。今、1日2回メルマガを配信するので(笑)。
吴:そうですね(笑)。「接触頻度をとにかく上げる」ということをやっています。
岡田:とりあえず送っています(笑)。
垣内:「接触頻度を上げるためにコンテンツを作る」ということもやりますよね。
吴:そうなんです。
垣内:結局、メルマガを送り続けるというのはもちろんそうですけど、お客さんに反応してもらえるようないいものを作れば、反応率も上がると思うので、そこは両輪だと思います。まずは接触を増やさないと、どうしようもないですよね。
岡田:ありがとうございます。
岡田:続いて、同率2位になりますね。「他部署との連携」と「人材育成」の悩みが26.3%であがっております。「他部署との連携」は、「主に営業との連携が難しい」や「新規事業のため社内の理解が得られない」が入っています。まずは「他部署との連携」からですね。
吴:「営業との溝問題」が、おそらく一番ポピュラーだと思います。ちなみに我々は僕が両方の責任者を務めていて、どっちにも「えいっ」ってやれるからまだ溝は小さいんですけど、営業とマーケの溝ってよくある話なんですか?
垣内:よくあります。
吴:よくありますか。
垣内:こればかりと言っても過言ではないくらいですよね。
吴:我々もちょこちょこあるんですけど、例えば「マーケが取ってきたリードが案件化しない」「アポが取れない」とかで揉めたりするものなんですか?
垣内:お互い見ている世界がまったく違うというだけで、マーケは「リードをいっぱい増やせばいいよ」と言って当然増やすんですけど、「今すぐ客は取れない」という話があります。
営業側もその日暮らしなので、「今月の売上どこだ」と思っている世界の中で、「あいつら、何を意味わからないことをしているの?」というケンカになる。
吴:(笑)。
垣内:さらに悪いと、インサイドセールスがいて、「『今すぐ客』じゃない薄いアポを取りまくる」ということをして、「こんなのに俺の時間を使いたくない」と怒られる感じが一番よくある揉めごとですよね。
吴:なるほど。分業の難しさですね。やっぱりマーケはリードの最大化に注力すべきですし、インサイドセールスはアポの数を増やす。営業は受注という、分業するからこそ起きる問題ですね。
垣内:分業するからこそ、それぞれのKPIが上がるんですよ。リード数は増えるし、アポ数も増えるし、クロージング数も増えるんですけど、当然ながら分業していることに全員の納得感がないとうまくいかない。
組織がわりと成熟して、「人数も多いし、流していく『分業』というスタイルが正しい」と、営業が全員納得しているならセーフですけど、まだ立ち上げ途中であれば、分業すればするほどケンカが発生するんです。
吴:なるほど。
垣内:人数が少なくて成熟していない組織であればあるほど、あまり分業しないほうがいいですよね。
吴:成熟の目安みたいなものって、何かあるんですか?
垣内:成熟の目安は、営業の担当者が、薄くリードを取ってきて、ちゃんとシグナルを検知して営業するのが正しいマーケティングの姿だと納得していることが前提ですよね。
吴:なるほど。営業側に、マーケに対しての理解がある状態ですね。
垣内:それがまず前提だし、インサイドセールスの役割も「薄いアポをいっぱい取る」じゃなくて、「ちゃんとシグナルを検知して、熱い商談を営業に渡す」というコミュニケーションが取れていると、成熟している状態だと言えますよね。
吴:なるほどね。でも難しいですよね。
岡田:(笑)。
垣内:海外だとそれが当たり前です。アメリカとかの組織だと、わりとすんなりなったりするんですよね。日本だと営業起点なので、営業がすごく強くて、「自分1人でやっていた」という人が昔からいるわけですよ。
「自分がマーケもやったし、インサイドもフィールドも全部やって、お客さんとつながり続けていた」という人から言わせれば、「なんだそれ?」という感じになってしまうので、そのへんの意識改革ですね。
このご時世、同じお客さんにずっと張ってもなかなか厳しいし、新規をどんどん取ってこないと会社も衰退していくから、「こういうフレームワークに変えるんだよ」というのをいかに納得してもらえるか、という営みですよね。
吴:難しい。やっぱり、外部の力をうまく借りる必要があるんだろうなと思います。
その営業のトップに立っている人たちが意固地になっていると、たぶん物事が進まないと思うので、要はその人たちの知らないこと、認知の外にあるものをちゃんと外部から説得力ある状態で持ってきて、「俺が知らない世界があったんだな」と思ってもらわないと難しいかもしれないですね。
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