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成長組織のNo2に共通する能力とは(全4記事)

なぜ全力の働きが、上司の目には「無駄働き」に映るのか 認識のズレをなくし、正当な評価を得るためのアプローチ法

株式会社識学が主催した経営層向けのオンラインイベントに、創業当初から営業部門を率いてきた同社副社長の梶山啓介氏が登壇。「成長組織のNo2に共通する能力とは」と題して、トップがナンバー2を「横に置く」ことのデメリットや、「経過」と「結果」のどちらを評価すべきかについて解説しました。

なぜ全力の働きが、上司の目には「無駄働き」に映るのか

梶山啓介氏(以下、梶山):2つ目も「位置」の概念の話ですが、今度は「トップが自分の評価者であると理解している」です。ここは識学の「決定権者」というフレームワークをご紹介いたします。

例えば、子どもの時にゲームや自転車などの欲しいものがあって、決定権者のお父さんやお母さんが、テストで何点以上とか、学年順位で何番以内とか、お手伝いしたら買ってあげると決めた。

何か欲しいものがある時に決定権者がいて、権者が求める成果の基準を達成すると欲しいものが手に入る構図ですね。

これを社内に置き換えると、社員として欲しい給与や評価の決定権者は上司になります。この時、上司が何を求めているかが明確でないと、知らない間に「自分」が決定権者になってしまうんですね。

「たぶん上司は、こういうことを求めているんだろうな」と部下が決定権者になり、求める成果も自己解釈になってしまう。自分で解釈することで、会社から求められていることとズレが生じる。結果、得たい評価も得られない。識学ではこの状態を「全力で無駄働きする」とお伝えしています。

トップがナンバー2を「横に置く」ことのデメリット

梶山:No2の話に戻ります。No2は社長との距離感が近い方も多く、私のように一緒に創業しているケースも多い。社長側も、いつでも相談できたり、辛いことを「辛いよな」と言える仲間を置きたいので、どうしても部下というより横に置いてしまうんですよね。

でも、横に置くと「何を求めている」という設定が弱くなるので、No2が自己解釈して決定権者になってしまう。社長からすると、気づいたら「なぜそれをやってしまったんだ」となり、経営の方向性の違いで別れてしまうんですね。

トップとNo2は、評価者・被評価者ですので、仲間であると共にしっかり上下の関係を作ることが、永続的に会社、ならびに個人の成長ができるポイントになります。トップのみなさんには、ここを明確に作っていただきたいと思います。

あと、No2には週1回、求めている結果に対する報告をさせていただきたい。どれだけ仲良くしても良いですが、1週間に1回、30分でも結構ですので、結果報告をさせる場を作っておけばズレはなくなります。こういったところから取り組んでいただきたいと思います。

営業などでは「お客さまが決定権者になるのでは?」と考えるかもしれませんが、お客さまが「めちゃくちゃ値引きして売ってよ」と思っても、優先されるのは会社のルールであり、その中でお客さまの満足度をどう達成するか、ですね。

会社が業績拡大や目標達成をしたい時は決定権者は市場であり、会社は市場が求める商品・サービスを作ることになります。ここは決定権者が自分、つまり社長ではなく、市場だということが最後のポイントになります。

認識のズレをなくし、正当な評価を得るためのアプローチ法

梶山:ここでちょっとケーススタディです。みなさんがNo2だった時に、「トップに対して責任範囲や役割を確認しにいきますが、明確な答えをもらえません。あなたならどのように対応しますか?」という、No2向けのケーススタディです。曖昧だからといって放置してはダメですね。(次のスライドが)これの答えですね。

No2の立場からすると曖昧な状態のまま置いておくと、いずれ自分の責任になる可能性が高い。私がNo2のトレーニングする時は、時間と共にどんどん困難になるので、「曖昧なものは先に取りに行きましょう」とお伝えします。

諦めると認識がズレる可能性が高まるので、「トップが何を決めないか」を決めてもらうことも有効です。「この領域はもう決めない」とトップに決めてもらうと、それ以外はNo2が自分で決められるようになります。

「経過」と「結果」のどちらを評価すべきか?

梶山:3つ目は「結果で評価されている」。評価の中身の話です。

まず、「結果」と「成果」の違いについて、言葉の定義を合わせたいと思います。識学では「結果」は「期限時の状態(事実)」と定義しています。例えば、10月31日月末の結果は、期限時に出た数字です。良いも悪いもなく、結果は結果であり、事実です。

そこに対して良し悪しがつくものを「成果」と呼びます。図にするとこんな感じで、ゴールという期限があり、期限時に出るものが「結果」。それが求める水準より高ければ良い成果。低ければ悪い成果となります。

「リンゴの木にリンゴが生りました」は結果。これが500円で売れた時、500円が求めていた水準を上回っていたら良い成果となります。

もう1つの概念として、結果に至るまでのやり方・プロセスに「経過」があります。では、「経過」と「結果」のどちらを評価すべきでしょうか。これは(スライドのように)結果です。会社は市場から結果で評価されます。

「この会社はめちゃくちゃがんばっているからお金を払おう」ということはないです。みなさんも、例えば、「ここのラーメン屋さんは寝ずにがんばっているから、まずいけど食べに行こう」とはならないですよね。

最終的に結果で評価をされるので、会社は小さい結果の集合体になっていないとダメということですね。

一方で、個人としては「経過」と「結果」のどっちで評価してほしいかと言うと、「経過」ですよね。「やれることはすべてやりました」「残業しました」「良い反応を得ました」。でも、経過では評価できないんですね。先ほど申し上げたように、会社は「結果」の集合体なので、「経過」で評価をすると最後にズレてしまうんですね。

では、なぜ「経過」を評価してもらいたい人が多いのか。「経過」を評価してもらうほうが自分で担保できるからですよね。「結果」が良い成果につながるかは担保できないけど、「経過」に関しては自分がコントロールできる。自分がコントロールできるもので評価してもらえたほうが、やはり良いですよね。

でも、「経過」では市場の評価とズレてしまいますし、個人的な見解・主観なので評価もズレてしまいます。

さらに、「経過」を評価する上司だと、部下は良い結果を出すことよりも、良い経過を見せることに焦点を当ててしまい、結果を出す意識がなくなって成長しません。

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