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成長組織のNo2に共通する能力とは(全4記事)

「筋が良さそう」という理由の抜擢人事は危険 ナンバー2が定着しない会社に見られる2つの課題

株式会社識学が主催した経営層向けのオンラインイベントに、創業当初から営業部門を率いてきた同社副社長の梶山啓介氏が登壇。「成長組織のNo2に共通する能力とは」と題して、識学的な組織運営を自社に浸透させるポイントや、降格した元ナンバー2への配慮などを解説しました。

識学において「責任」とセットになるもの

司会者:ここからは質疑応答に移ります。さっそく、最初の質問です。「責任範囲とは何ですか? 識学における責任の考え方を教えてください」というご質問です。

梶山啓介氏(以下、梶山):会社が売上・利益を上げていくために、どういう布陣で戦うべきかが組織図ですね。No2は役職ではなく、組織図上では営業本部長や管理本部長といった役職で、営業本部長だったら数字をあげることが役割ですね。

役割と責任はイコールなので、営業本部長という役割であれば、営業数字を上げる責任を持つことが「責任範囲」です。

さらに「責任範囲」を明確にする時にセットで必要になるのが、権限です。営業本部長として何億円の売上をやらないといけない責任があった時に、どういう権限を持つかがセットになるわけですね。

採用や販促費をどこまで使うとか、どこまで評価制度を決めていいとか、ありとあらゆる権限がセットになってくる。順番としては、組織図があって役割が決まり、役割と責任がイコールで、責任を果たすために権限が付与されるというのが我々の考え方になります。

司会者:次の質問です。「幹部側から社長に役割・責任の明確化を求める時、ここまでならできそうという数字を幹部側が提案することになりそうです(社長はそこまで数字にシビアじゃない)。識学的な考え方の幹部1名のみが、自分の目標を明確化させる動きをすることに個人的なメリットはありますか?」

梶山:前提として、上から決めていくことが前提になります。つまり、社長が市場に対して、「これだけ売上を上げていきたい」がまず決まり、それを下に落としていくのが基本の流れになりますね。

例えば、社長の「来期は何億円やらないといけない」というの​​​​​​​​が事業を全部見ている僕に落ちてくる。それを1回組み立てて、実現するための権限を次のミーティングで挙げたり、どうしてもできないのであれば、難しそうだと伝えるやりとりが発生します。

さっきの話につながりますが、社長が落とさずに下に任せる状態になっていると、取りにいった人だけが損をするみたいになりますので、まず上から落としていく状態にして、決めたことに対しての「できない理由は何か」というやりとりですかね。

識学的な組織運営を自社に浸透させるポイント

司会者:次のご質問にいかせていただきます。「社長、幹部はこのような考えを持つようにするべきだと思うのですが、一般のスタッフたちへの浸透も必要な気がします。こういう考えを全スタッフに浸透させる時間は作るものなのですか?」

梶山:作る作らないで言うと作られたほうがいいと思います。これも順番がありまして、浸透する時間を作る前に、今日お話したような考え方が反映された環境をどう作るかを先にしていただくと、より浸透が早くなります。

具体的に申し上げると、例えば会社の中での役割やルールが不明確な状態で、この考え方で「いくぞ」となっても、片手落ちしてしまうんですね。重要なのは特に幹部は、最初に環境を作るメンバーですので、識学の理論をみんなで共有していただく。役割が明確で、結果が設定されて、例えば週1で会議をするとか。

スタッフレベルに関しては、この環境を先に経験して、なんでこういう環境に変えたのかを、経験と同時かちょっと遅らせて、知識としての理論を追いかけていただくのが、一番スムーズな進め方ですね。

司会者:次のご質問です。「No2が『ルール』を守らず、トップがそれを指摘しない場合、一般のスタッフはどう対処するのが適切・効果的ですか?」

梶山:どの立場でも、自分の責任を果たす上で被害が発生している場合は言わないといけません。

例えば、自分が課長で会議をマネジメントする上で、No2がルールを守っていないことが悪影響を及ぼしている場合。

No2か社長に対して、「自分のメンバーにルールを徹底させる中で、No2がルールを守っていないことでメンバーのルールを守る意識が弱くなってしまうので、ご相談させていただきたい」というかたちで、自分の責任を果たすために相談をしたいとするとスムーズかなと思います。

とはいえ、例えば守っていないルールが社会のルールとかに該当する場合は、街中を歩いていて犯罪者がいたら警察に通報するのと同じで、機械的に「こういうことが起きています」と、しかるべき人に挙げていくことになりますね。

ナンバー2が定着しない会社の2つのパターン

司会者:ここまで4点ほど質問に回答させていただきました。追加のご質問があればお受けしてご回答させていただこうと思います。

梶山:ご質問を待つ間に、つい1週間前にリアルの場で同じテーマで勉強会をさせていただいたんですが、その時に「No2が定着しないパターンは何ですか」というご質問があって、その時に「確かにな」と思ったんです。

いろんな企業を見させていただいて、残念ながらNo2が定着しないパターンは2つあります。1つは、今日お伝えした、ルールが違う状態で一生懸命進めて、ある段階で同じルールでやることを求めた時に、「違うよね」となって別れてしまうパターン。

もう1つが、部長などで結果を出して上に上がるのがきれいなNo2の置き方ですが、社長が早く現場を抜けたいために、「この人は筋が良さそうだ」と、まだ結果を出していない中で上に上げる。今日のお話の経過の良さで判断するということですね。

これはけっこうな博打で、No2として求める役割が不完全ということで社長が不満になってダメになるパターンです。と言っている間に1つ質問が来ましたね。

司会者:「極端な話で、プロセス評価を重視しない場合、コンプライアンス違反が増えるようなケースはありませんか?」

梶山:「結果で評価する」は、最終結果だけではなく、例えば売上評価は50パーセントで、その手前のどれだけアポを取って訪問できたかに20パーセント入れるとか。アポの件数や提案した件数など、上司部下で認識がズレない基準も我々は結果と呼んでいるんですね。こういった結果も踏まえていただくことで、極端に最終結果だけにならないというのが1つ目です。

2つ目は、コンプライアンスに違反しないのは前提条件ですが、結果主義にしてコンプライアンス違反が出た場合、会社として厳重に処罰することがものすごく重要になります。コンプライアンス違反をして結果を出すほうがリスクが高くなりますので、一定収まると思います。

降格した元ナンバー2への配慮

司会者:続いて、「トップが高齢女性で、すでにNo2に譲りたいとの意識があるため、トップからの指示がほとんどない状況で、トップの代行的に業務を行っていますが、あくまでNo2の立場を貫きつつ行動すべきでしょうか?」

梶山:イエスとノーという感じですね。そのトップの高齢女性の方が、ご質問いただいた方の評価者なのか評価者ではないのかが、すべてかと思います。

指示をしないけれど評価者なのか、指示をしないし評価者でもないパターンなのか。株式の関係もあるので、評価者であることは間違いない気がしますが。

評価者である場合は、大枠のところだけ把握しに行ったほうがいいと思います。ゲームに例えると、「このゲームは手は使ってはいけなくて、この日までに終わらせないといけない。あとは好きにしていい」みたいな前提条件を、高齢女性の方に確認しておく。確認がとれれば、もう自由にやっていいことになりますので。

評価者であるかどうかと、何を求められているかの大枠の条件だけ捉えていただければいいかと思います。

司会者:追加のご質問をいただきました。「No2とNo3が入れ替わることがあった場合に、扱いにくさへの対応や、No2へのメンタルケアなどはされますか?」

梶山:順番が入れ替わった時にやりにくさはどうしても出てきます。配慮をするかというと、全体の競争が崩れるような配慮はしません。

ただ全体の競争環境が崩れない中での配慮は、私もしていますね。だいたいNo2がNo3に落ちるのは、違う事業を見させるという理由が多かったりするので、そうしていくのもいいかなと思います。

あとは、下に落としたNo2へのメンタルケアが必要か。全社員に対してメンタルケアはしますが、落としている基準が明確であれば、必要以上のケアは要らないと思います。

例えば私が社長だとしたら、社長の個人的見解で落としているのでなければ、大きなゲームルールの中で結果を出さなかったので落ちたと。今回はNo3が上がったけど、また入れ替わる可能性もあるので、淡々と回していくことになります。

ただ、社長が落とすことに負い目があるとしたら、落とす基準が不明確な可能性が高いので、そちらの見直しをしていくことですね。今日お話したように結果で評価することがポイントかなと思います。

司会者:ありがとうございます。すべてのご質問に回答させていただきましたので、本日はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。

梶山:ありがとうございました。

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