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成長組織のNo2に共通する能力とは(全4記事)

社長が指示をしたらすぐに動く優秀なナンバー2の“弱点” 即行動の右腕を持つ社長が気にすべきこと

株式会社識学が主催した経営層向けのオンラインイベントに、創業当初から営業部門を率いてきた同社副社長の梶山啓介氏が登壇。「成長組織のNo2に共通する能力とは」と題して、ナンバー2が社長の意思決定を理不尽と感じる原因や、No2が責任を果たすための2つの仕事などを解説しました。

社長の意思決定を理不尽と感じる原因

梶山啓介氏(以下、梶山):では、今日のテーマに入ります。「組織におけるNo2の役割とは何か」。今回は、わかりやすく4つのテーマを挙げさせていただきます。

成長組織のNo2の共通点の1つ目は、「トップからの指示を理不尽と感じていない」です。「社長っていつも無茶を言うよな」とか、冗談で「あれはキツいな」と言うことはあっても、心の底から「これは無理だよ」「理不尽だ」という意識構造になっているとダメということですね。

理不尽とまではいかなくても、「そんなの無理だよ」「それできないよ」という思考になっているNo2が仮にいるとしたら、それはどういう状態か。我々の理論では、お互いが認識しているルールにズレがあると理不尽につながります。

例えば、私はサッカーをやっています。向こうの人は野球をやっています。私はサッカーをやっているので、手は使えないと思っています。野球をやっている人から「ボールを(手で)拾ってよ」と言われた時に、「いやいや、それはおかしいでしょ」と答える。これはルールがズレているからです。

なので、No2とか幹部の人が、社長が意思決定したことに対して、「理不尽」「無理」「できない」と考えるということは、ルールがズレていることの現れです。なので、まずここを直すことがポイントになります。

例えば社長のみなさんの立場で言うと、指示をしやすい人と、指示をする際にすごく言い方に配慮をしなければいけない人がたぶんいると思います。

どちらかというと前者の、パッと伝えられて、建設的な意見が上がってきて、すぐに動いてくれる人。あまりそこにストレスを感じない人は、同じルール下にいる人です。

いつもやたら何か違うことを言ってきたり、目的を一つひとつ丁寧に話さないといけなかったり、議論がぶつかるという人は、ルールが違うということですね。

議論をしないとか、ただの「イエッサー」の軍隊組織を作るということではありません。組織が成長するための最終責任は社長であり、その責任はいつまでたっても部下には取れないので、降りてきた指示に対して、どうやったらできるのかという思考を持たないといけないんですね。

上司と部下の位置ズレの直し方

梶山:では、どうすれば位置がズレてしまった人を直せるのか。例えばみなさんがいつものお友だちと飲み会をしている時に、ある人が新しい人を連れて来た。その人がちょっと嫌な人で、ぜんぜん人の話も聞かず、けなしてくる。そういった時、「この人には来てほしくないな」なんて思いますよね。

人は同じコミュニティにいる時は、同じ価値観やルールを共有するものですが、この人は意識上同じルール下にいないんですね。

ルールの外に出ている人に対して、ルールを明確化して、同一コミュニティ下にいる状態を作る必要があります。なので、(スライドのルールの)円を設定して、メンバーに認識させるのがリーダーの仕事になります。

上司がルールを明確に設定していないのであれば、100パーセントメンバーが悪いとは言えないですよね。しっかりルールを整備して、「ここだよね」と線を引きなおす。「認識はズレていないよね」となったら、それを守る守らないはメンバーにボールが行きます。ここが曖昧なままにならないよう、まずは明確に設定することが必要です。

話を戻すと、指示をした際に明らかに反抗的な顔する幹部がいる状態は、この円のルール下に置けていないのではないかと想定していただきたいと思います。

『リーダーの仮面』にもありますが、我々は組織内で守らないといけないルールを「姿勢のルール」と呼んでいて、そういったものを作って守らせるようになります。

No2が責任を果たすための2つの仕事

梶山:社長の指示を「やらない」という選択肢はNo2にはないんですね。ただ、無責任に「できます」というのも違う。仕事の責任は指示された自分の責任になるので、責任を果たすための「情報伝達」と「権限の主張」は行っていく。スライドの例にあるように「売上を上げるのであれば、広告宣伝費をもう少しもらっていいですか」とか、権限の主張をしていく。

あらためてご説明すると、伸びている会社のNo2は、社長からの指示に対して否定的なこと(感情)は入らない。しっかり社長とコミュニケーションを取って、実現するために必要な権限を洗い出してから動き出す。これが理想の状態になります。

もう少しイメージを持っていただくために、ケーススタディを用意しました。これ(スライド)は、実際に創業時にあった話です。

「あなたはNo2の営業責任者です。今期は年間売上目標10億円で始まりましたが、事業買収・子会社設立に伴う費用増加のため、社長から、今期開始2ヶ月目に『売上目標を1億円追加しよう』と言われました。あなたならどのように対処しますか?」です。

この時、No2が「理不尽」と思った時点で行動が遅れるわけですよね。前提条件にケチをつけている状態です。天気が悪い日に、雨が降っていることにムカついている状態なぐらい、無駄な時間になります。

「雨が降っているな。傘を差そう」が正しい思考なので、「11億円か。どうやってやるかな」という状態になっているのが一番望ましい。どうやったら達成できるのかという視点に早く行きたいわけですよね。そして、権限を洗い出してどうしても難しければ、理由と共に上司に相談する。

私も今、来期の予算作りで動いていますが、「予算に対して、どう分解していくとできるか」「厳しいところがあったら、どういう権限が欲しいか」を洗い出している最中です。No2の方にはこれを意識していただきたい。

指示を受けたらすぐに動く優秀なNo2の“弱点”

梶山:社長の立場では、幹部との間の位置関係ができていない場合は、ルールを明確化する。そして、No2の役割を明確化してしっかり発言させる。求めている結果に対して、報告させるようにしていただきたいんです。

逆に「そこは何の心配もない。こっちが11億円と言ったらすぐ11億円で動くよ。位置関係はまったく問題ないんだ」という方は、「事実情報をちゃんと伝達しているか」に、視点を置いていただきたいです。

「売り上げ目標11億円でやってね」で「イエッサー」となっている状態であれば、「11億円をやる上で、何か引っかかっていることはないか」「本当に達成できるのか」を、3回ぐらい聞いていただきたいんですね。

言葉は悪いですが、盲目的にやる位置関係ができている時は、必要な権限を相談する機能が弱い可能性が高いので、これを上司側がしっかり話させたほうが良いですよね。

識学では「走る前の免責排除」と言いますが、本当に11億円できるかを具体的にイメージさせて、厳しいところがあればスタート前に相談させるようにしてもらいたいんです。

ここまでが、4つのテーマの1つ目「トップからの指示を理不尽と感じていない」でした。識学で言う「位置」の概念です。

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