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「1日4件」の会議と「フルリモート」は高ストレスの温床 -それでもリモートワークのメリットを活かした企業の秘策-(全4記事)

1日の会議が「4件」を超えると、高ストレス者の割合が急増 ストレス評価アプリの“中の人”が語る、テレワークの落とし穴

自律神経を測定することで、無自覚のストレスも可視化するアプリ「ANBAI」を用いた調査では、「1日4件」以上の会議を境に、高ストレス者が急増することが明らかになっています。また、東京医科大学の調査では、フルリモートワークでは生産性が下がることもわかりました。リモートワークの「やり過ぎ注意」の調査を発表した産業医の解説を交えながら、それでもリモートワークを続ける企業の秘策に迫ります。本記事では、リモートワークの頻度と生産性の関係性を調査した結果や、1日当たりの会議数による高ストレス者の割合などを解説します。

1日4件以上の会議×リモートワークは「ストレスの温床」

日比谷尚武氏(以下、日比谷):今日はタイトルが「『1日4件』の会議と『フルリモート』は高ストレスの温床 それでもリモートワークを続ける企業の秘策」というなかなか興味深いテーマなんですが、命名したのは誰なんでしょうか?

加勇田雄介氏(以下、加勇田):私です。

日比谷:加勇田さん、なんでこんなタイトルにしたんですか?

加勇田雄介氏(以下、加勇田):私がこの2つにバチバチにはまっているからなんです。

(一同笑)

日比谷:1日4件以上の会議をして、フルリモートをして、高ストレスなんですね。

沢木恵太氏(以下、沢木):今、ストレスを感じながらここに来ているんですね。

加勇田:(笑)。

日比谷:(イベントに)参加している方が、今日は何個の会議をやってきたか、もし答えられるならチャットに書いてもらっていいですか?

加勇田:いいですね。

日比谷:今日はここまでに何件会議をやってきたのか。

沢木:僕は9件目です。

(一同笑)

日比谷:ということで、1日4件以上の会議とフルリモートはストレスの温床になる。だがしかし、そういう会議の進め方をしていても、ちゃんとやっていけるやり方もあるということをお話していければいいなと思っています。

事例を交えながら、リモートワークで働くヒントを紹介

日比谷:この後、もうちょっとだけ趣旨を説明させていただいて、どんな登壇者の方々が話すのかをお聞きしつつ、今回の趣旨の根拠になる調査データがありますので、それをご紹介した上で意見交換します。

さらに、9個の会議をやっても元気な沢木さんには、「会議を詰め込んでも元気にやっていける秘訣」も伺おうと思います。念の為確認しますけど、9件の会議を終えてもまだ元気なんですよね?

(一同笑)

沢木:元気ですよ。

日比谷:よかった。そして、会議の仕方などはもちろん、いろんな会社で働き方のコンサルティングをやられている大塚さんから事例などを教えていただいて、みなさんにヒントを持って帰ってもらいたいと思います。

注意点とお願いなんですが、ご質問やご意見や感想があれば、茶々を入れるでもけっこうなので、ぜひチャットに投稿いただけるとありがたいです。さっき「今日は会議を何件やりましたか? チャットしてください」と言っても、なかなかみなさんチャットはしにくいかなという。

(一同笑)

日比谷:会議しながら聞いているとか。

大塚万紀子氏(以下、大塚):移動しながらとか。

日比谷:移動しながらとかありそう。だとしたらストレスフルじゃないか心配ですねぇ。ともあれ、途中でまた投げかけるので、ぜひコメントいただけるとうれしいです。

1日の会議が「4件」になると、高ストレス者が急増

日比谷:さて、イベントの趣旨なんですが、今日はちょっとした調査データがありますので、まず初めに加勇田さんから左側のグラフの解説をお願いできればと思います。

加勇田:テレワークになって、移動時間がなくなったと思うんですね。移動時間がなくなったことで「会議が増えたな」と私も感じるんですが、会社のカレンダーを見ていてもみんな増えているみたいです。

会議が増えると、なんとなく疲れるなということがあったので、「会議とストレスにはどういう相関関係があるのかな?」というところから、今日登壇いただいているワーク・ライフバランスさんと弊社で一緒に調査をさせていただきました。

そうしたら、ものの見事に「1日4件を境に高ストレス者が急増する」という調査が出ていまして。1日3件だった場合は高ストレス者は14パーセントだったのに対して、4件になると37パーセント。パーセンテージが急に増えるというデータが出ました。

日比谷:3件と4件でこんなにギャップがあるわけですね。

大塚:倍以上。

加勇田:弊社のGoogleカレンダーを見ているとわかってきたのが、3件の場合は会議と会議(の間隔)が空いているんですが、4件になるとほぼ必須で会議が連続することがわかっていて、それも原因なのかな? というところはありますね。なのでそのあたりはまた、調査結果の詳細のところで解説できるといいかなと思っています。

日比谷:会議の件数が増えると、隙間がだんだんなくなってきてしまう。詳しいところはまた後半でお聞きしたいと思います。ありがとうございます。

リモートワークで生産性は低下するのか?

日比谷:(スライド)右側の調査は志村先生が取られたものですね。

志村哲祥氏(以下、志村):そうですね。

日比谷:これはどういうものでしょうか?

志村:こちらは、我々の大学とこどもみらいという企業で運営している、100社ぐらいの方がジョインしているストレスチェックと生活習慣等の分析をやっている結果がありまして。リモートワークの頻度と生産性低下が起こるかどうかに関しての調査です。

生産性がリモートワークで低下したかどうか結果を見てみますと、週1~2回、3~4回のリモートワークは、特に生産性は変わらない。ただ、フルだとなぜか低下する。その後も追加分析は行ったんですが、ひとまず「どうもフルリモートはまずいかもしれないぞ」という結果が出ています。

日比谷:棒グラフが高いほうが、生産性が低い。

志村:低くなる確率が高まる。

日比谷:なるほど、低くなる確率が上がる。フルリモートがダメと言うよりは、フルリモートの時に(生産性が)低くなる可能性が1.5倍ぐらいある。そうしたら、「フルリモートをやめさせたらいいじゃん?」という話になりますよね。

加勇田:(笑)。

志村:ただ、テレワークそのものというよりも、やり方に問題があるんです。

日比谷:なるほど。気になります。

眠れないだけで、人は簡単に学校や職場を辞める

日比谷:では、調査データや他社の事例をお話しいただくんですが、今日はどんな方がお話しいただくのかを知っていただいたほうが聞きやすいと思うので、ご紹介をしていきたいと思います。今、お話しいただきました志村先生、あらためて自己紹介をお願いしてもいいですか。

志村:産業医学や精神医学を専攻にしております。研究や臨床を、大学や病院などで行っています。職域のメンタルヘルスに関しては複数研究をしておりまして、特にリモートワークの状況につきましては、たぶん日本からはうちくらいしか大きな研究は出てないんじゃないかなと思っております。

睡眠の改善によって社員の方の健康を作っていくとか、あとは「ANBAI」という人の健康を増進するためのアプリの監修もしています。

日比谷:ありがとうございます。DUMSCOさんの出しているアプリ「ANBAI」を一緒にやられているという。

加勇田:監修していただいている、という感じです。

志村:「離職率74.5パーセント減」という恐ろしい数字がありまして、人間は寝られてないだけで、簡単に学校や職場を辞めていくんですよ。

日比谷:寝られていないだけで辞めるんだ。

大塚:それはどのくらい寝られていないと辞めるんですか?

志村:睡眠時間もあれば、睡眠障害で何度も起きちゃうとか、寝ても疲れが起きていない、朝起きた時にも「なんかだるいよな」とかも原因になります。

日比谷:「朝起きてだるいとそのまま遅刻したくなる」っていうのは、本当によくわかるわけですね。

志村:そうなんです。眠りが悪化している人・してない人で、リスクが倍違うんですよ。

大塚:倍も。

志村:普通の睡眠を取れている人が70パーセントなんですが、睡眠が悪化していると35パーセントなんですよ。

日比谷:これだけでワンセミナーできるので、次回(笑)。

あまり眠らず、上手に働けない日本人

日比谷:続いて大塚さんですね。

大塚:ワーク・ライフバランスの大塚と申します。今日はみなさんよろしくお願いいたします。

日比谷:お願いします。

大塚:私は2006年に株式会社ワーク・ライフバランスを創業しまして、16年目になります。今回、DUMSCOさんと一緒に調査をさせていただいたり、リリースを出させていただいています。「働き方を変えていく」というところで、今回の会議もそうですし、先生のおっしゃった睡眠にも私どもはすごく注目しています。

日本人は寝なさすぎるし、働きすぎ……ということではないですが、上手に働いてないなという感じがしておりまして、ここにメスを入れていけたらなと思っております。よろしくお願いします。

一同:お願いします。

日比谷:ありがとうございます。ちなみに、大塚さんは今日は何回会議がありましたか?

大塚:今日は会議、なかったですよ。健全ですね(笑)。でも、基本的には午前中1件、午後に1~2件ぐらいです。

沢木:すごいですね。

大塚:いつも(会議を)入れる時にも、「30分でいい?」というふうに聞いたり、休憩を挟んだりしています。

昨日まで普通だった従業員が突然休職

日比谷:続いては加勇田さんです。そういう意味では、加勇田さんご自身がどうなのかという話も含めて聞いてみたいですね。自己紹介、そしてご自身の会議事情を教えてください。

加勇田:まずは今日の会議の件数からですかね。今日は1、2、3……ぎりぎり3件ですね。移動時間で出たものとか。

日比谷:今日の会場に来るまでの、移動中に出た会議。

加勇田:そうですね。なのでぎりぎりセーフですね。私の自己紹介をさせていただくと、上場企業とスタートアップで人事をさせていただいた時期があります。

その時に経験したんですが、前日まで普通に「大丈夫」と言って会議にも参加していた社員さんが、突然休職することが多かったんですね。特に、右腕とかキーパーソンとか言われているような人たちが突然休職することが多くて。

「これって解決できないのかな?」といろいろ調べていたら弊社にたどり着き、なぜかDUMSCOに入社をしたということで、ちょっとカオスな職歴の人間ですね。

今回調査に使った「ANBAI」というアプリがあるんですが、そこの事業開発やマーケティングをしています。あとは、「まずはお前らが(リモートワークの課題を)解決しろよ」という話なので、人事も兼任していろいろな施策を考えています。

決して「リモートワーク反対派」ではない

加勇田:最近の悩みとしては、この調査を発表以降メディアの方に取材いただくことも増えたんですが、「御社ってテレワーク反対派ですよね?」と聞かれることが多かったんです。それもあって、「いや違いますよ」と言いたくて、今回企画をしたという趣旨もあります。

日比谷:ご自身が人事として休職する社員やその問題にも向き合っていたし、それを解決するためにいろいろ探してみて、このストレス対策があったと。だけど「じゃあテレワーク反対派ですか?」と聞かれるとそうでもないよということで、(リモートワークでの健康対策を)正しく広めていきたい、ということですかね。

加勇田:そうですね。きれいにまとめるとそんな感じです。

日比谷:そんなにきれいじゃないけど。

加勇田:(笑)。

日比谷:手元のタイムスケジュールが若干押してきました。時間ぎりぎりや遅れて入る方がいらしたので、追いついていただくために多めに時間を取っていたら巻きが必要になってきました。沢木さんの紹介に入っていただいてよろしいですか。僕が巻きますので。

沢木:すごく巻けって話になっているけど、大丈夫ですか?

(一同笑)

沢木:株式会社OKANの沢木と申します。よろしくお願いします。日本の人口が減っていて労働力が重要な中で、望まない理由で辞めちゃう人たちをどうやったら減らせるかな? ということを考える活動をしている会社です。

そう考えた時に「やりがい」もすごく重要なんですが、統計を見ていると、仕事の内容とかではなくて、自分の体調やご家庭との両立を理由に辞めている方がすごく多いことに気づいて。「どうやったらそれを良くできるだろう?」というのを、いろんなサービスで実現している会社です。

1つは食事のアプローチで、「健康になるために」とか「家庭との両立をするために」ということをご支援をしています。はたまた「どういう理由で人が辞めているのか」をインターネット上で調査をして、組織の状態を測るようなサービスを提供している会社です。

日比谷:残念ながら、今日は9個の会議に……。

(一同笑)

沢木:たぶん明日も8個ぐらいありますし、「ここにいていいんだろうかな?」とちょっと思っているんですが。

日比谷:会場をOKANさんにお借りしていることもあって、移動がなくてぎりぎりまで会議が入ってしまって。

沢木:はい。直前までやっていました。ただ、けっこうリモートでやっているので、出社は1~2割ぐらいですね。

日比谷:そうなんですね。お願いします。

数年前にはエビデンスがなかった「ストレス対策」

日比谷:私は進行の日比谷でございます。もともとITベンチャーのマーケティングや広報をやっていましたが、5年ほど前に辞めまして、今はフリーでやっています。

今日のテーマに近いところだと、at Will Workでは「新しい働き方の啓発・促進をしよう」ということを経産省などと一緒に発信活動をしていました。

その活動を通じて、離職率やストレス対策とか、コロナが広がってからはリモートワーク環境下でどうやってモチベーションを上げるか、健康対策をするかということが、人事の方々のホットトピックなのかなと思っています。

ストレス対策については、数年前までは、まだ具体的な対策やエビデンスがなくて手探りだったんですが、ここ最近になってやっとデータが出てきたり、科学的な対策が出てきたなという印象があります。ちなみに僕も1日に7、8会議です。

(一同笑)

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