2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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大坪拓摩氏(以下、大坪):みなさんこんばんは。今日は出版記念講演会にお越しいただきありがとうございます。自分自身初めて来る場所なので、予想以上におしゃれで(笑)、すごくありがたいなと思います。
だいたい90分ぐらいお話しさせていただきます。時間が最後のほうに少し余ればなんか質問を受け付けるとかもしてもいいかなと思っていますので、ぜひ気軽に聞いていただければと思います。
スライドを作ってきているので、それをベースに進めていきたいと思います。今日は「結果を出している人が使っているデザイン&見せ方の法則」ということで、6月に本(『見るだけでデザインセンスが身につく本』)を出させていただきまして、それにまつわるお話をさせていただければと思っています。
『見るだけでデザインセンスが身につく本』(SBクリエイティブ)
どういうふうなデザインをしたらいいかという話は本に書いています。重複する話をしても何かなと思いますので、なぜデザインに価値があるのか。みなさんにとってデザインを学ぶことで、仕事だったり人生だったりにいろいろといいことがあるよ、という話を、「デザインの価値をお伝えする」というかたちでできればと思っています。
「少しの差が生む『大きな差』」。これはイベントの告知ページで書いていた文章なんですけれども、よくセミナーのスライドとかこんな感じの方っていらっしゃいますよね。
次のスライドを見ていただくと、違いわかります? 書いてある内容はまったく一緒です。でもぜんぜん印象は違いますよね。これ、ちなみに自分の場合、どっちかと言うと先にこっちを作っちゃって……。
プレーンでやったらビフォー・アフターが見えて、みなさんにとってわかりやすいかなと思って作ってみたんですけど。
例えばクライアントさんにこの文字だけを渡されて、自分がこのレイアウトに変えるとしたとしても、だいたい3分ぐらいあれば、これぐらいのレイアウトにすぐ変えられるんですよ。でも読みやすさと読む気と、伝わる内容はぜんぜん変わっちゃうじゃないですか。わかりやすいところで言うと、上の見出しとかもそうですよね。
「今日のテーマ」というところなんかは、文字のサイズが一緒ですけれど、2列の時はなかなか読む気が起きない。列を3つに増やしただけですよね。文字サイズが変わってなかったり、あとは一部太字にしたり、下線を引いたりして強調したりすると(伝わりやすくなります)。
文章って基本的に、みなさんも書かれることがあると思うんですけど、「すべての文章を読んでほしい」わけじゃないじゃないですか。特に読んでほしい、伝えたいところを強調すると、基本的にそこは欠かさず読んでくれるし、そこが記憶に残りやすいという効果があるんですよね。
例えばたった3分でこの差が出るとしたら、人生の中で起きている時間の半分ぐらい仕事なわけじゃないですか。やっている人とやってない人の「仕事で得られる結果の違い」はすごく大きいのが、なんとなく想像できますか? たったこれだけの差なのにですよ。
両方作れる人からすると、初めから作るとどっちも作る時間は同じぐらいなんですよ。だからデザインって一回覚えちゃうと、これぐらい差がつけられるというメリットがあるものかなと思います。
今回は日本デザイン初の書籍ということで、Amazonや楽天のレビューを見ると、いろいろと読者のプラス評価を、ありがたいかたちでいただいています。
要約すると「人生を変えるセンスはロジックとセオリーで身につけられる」とか、「プロを育てた人から学んで自分でできるなら節約できるからいいね」とか、「『ダサい』『センスがない』と言われていた理由がわかった」と。
「サクッと読めてデザインのことが理解できる」。デザインってね、そもそもなんか「とっつきにくい」とか「先天的」とかね、「センスがないとできないんでしょ?」ってよく言われちゃう部分だったりするんですけど、そうじゃないよってことが伝わりました。
あとは「デザイン自体が人間心理を踏まえた根拠に納得」というところが、特に自分が大事にしていることなんですけども、再現性があるんですよね。時流に乗ったテクニックとかだと、いつか使えなくなったり、時代が変わったら使えなくなっちゃったりするんですけど、人間心理ってそんなに変わらないじゃないですか。なので、いつの時代でも使えるテクニックなんです。
プラス評価だけお伝えしても何なので、レビューで星1つとかいただいているのもちゃんと拾っておきました。マイナス評価を要約すると「デザインの具体例がもっと欲しい」「10年間デザインしているんだけど、プロ的には目新しいことがありませんでした」とか、「自分で調べたほうが勉強になるんじゃないか?」って、勉強熱心な人のレビューをもらったりしたんです。
自分はデザイナーとしてそれなりに実績は積み重ねてきたほうだったので、デザイン歴で言ったら18年以上は経っていますし。
今日は出版社の方も来ていただいているんですけれど、もともと一番初めは、左が何かよくわかんないと思うんですけど、あれは「マインドマップ」なんですよね。300項目ぐらい積んであって、その一部を拡大すると右側の文字ぐらいになるんですよ。300項目で12万文字ぐらい書いたんですけれど、それをですね、出版社の方と打ち合わせして全部一回リセットしました。
なので、デザインのほぼすべてを理解させていただいた中でも、今回この本に入れたかったのはみなさんに「デザインのプロになってほしい」という話ではないんですよ。いろんなデザインを自分自身が覚えて、実際結果につなげてきた中で、本当にちょっとでも簡単に覚えたら一生涯得するよということを、この本に詰めています。
なのでこの本自体は、プロのデザイナーさんが見ると物足りないって思って当たり前なんですよ。なぜならデザイン書ではなく、ビジネス書として書かせていただいているので。ビジネスマンが自分の仕事やプライベートに活かせるデザインを、ふんだんに詰め込んでいます。
「本書の価値は何か?」というところですけど、デザイナーに本気でなりたかったら......本程度で学べると思われたら、デザインを生業にしている側からすると「おいおい、何言ってんだよ」って話になるので。やっぱりデザインは本程度では学べないと思うんですね。
自分はデザイナーのために本を作らなかった。知らないだけで損してて、知っているだけで得できる、デザイナーじゃない方たちがこれだけ覚えておいたら一生涯得するんだということを、本にさせていただきました。
より多くの人のためになるのはどっちかって考えたら、デザインを究めたい人なんてごくわずかじゃないですか。でも、デザインを私生活に活かせる人っていったら、世界中の人全員だと自分は思っているので。この本は読んでいただくとわかりますけど、すべてのことに使えるんじゃないかなと思っています。
この本のテーマは「現代的で簡単なあなたの価値の上げ方」。自分はデザインを使いこなしているほうだと思うので、どちらかと言うとそれを使いこなせてない人たちを見た時に「もったいないな」ってよく思うんですよね。
ちょっと変えるだけでもっといい結果が得られるのに、それができていないのはもったいない。それを今回ちょっと勉強するだけで変えられるようになってもらいたいなと思って、本を作っています。
ただ初めは、デザイン学習のバイブルを目指していたので(笑)、初めからそんなに高尚なことを考えられていたかって言ったらそうではないんですけれど。それを自分で今回いろんな方に役立つ本にできたなと思っています。
いろんな書店さんでたくさん広めていただきました。自分はちょっと本が出たタイミングが若干仕事が忙しかったので、LINEとかFacebookで「ちょっと本屋へ行く暇がないので。すみません、どなたか写真をお願いします」って言ったらですね、本当にたくさんの方から、50人ぐらいの方から写真をいただけました。本当にありがたいなと思っています。
あとは本田健さん。ビジネス書の著者さんで有名な方で、海外でも出版されている方のYouTubeにも選んでいただいたり。あと受講生の方から教えていただいたんですけど、ホリエモンさんのYouTubeチャンネルの背景に選んでいただいたりとか、ありがたいことがいくつかありました。
あとは『ダイヤモンド・オンライン』というWebのメディアにも、デザインを学ぶ時にいい本の連載の3冊目に選んでいただきました。「ノンデザイナーの方でもデザインを学ぶのにすごく適してますよ」ってすごくうれしいことが書いてあったので。この本の価値を自分が伝えるよりもすごくよく伝えていただいています(笑)。これをあらかじめ読んでからこの本を読むと、なおすんなり入りやすいかなと思ったりします。
自分は「日本デザイン」という会社の社名をつけさせていただいている通り、日本をより良くできたらいいなと思って仕事をしているんですけれども、本が出たタイミングで、図書館に寄贈しようかなとか思っていたんです。
ただありがたいことに、そんなことする必要もなかったみたいです。ちょっと文字が小さくて見えないと思うんですけど、日本中の図書館さんが所蔵してくださいました。予約もちゃんと入ってたりとかで、うれしいなというのでちょっとシェアさせていただいています。
自分は大坪拓摩と言います。今回は日本デザインからという形式で出させていただいて、自分は監修者として本に携わっています。
もともと飲食のスタッフだったりセールスだったり。あとは建物関係で、六本木の東京ミッドタウンで現場監督をやらせていただいたりとか、ぜんぜんデザインとは違うことをいろいろやってきました。そこからある転機をきっかけにデザイナーとして起業させていただきました。
次に紹介しますけど、自分自身美大には行ったんですけど、美大でデザインは特に学んでないんですよね。そこでは建物とか商業施設の設計とかをすごく勉強していたんです。
会社員、現場監督をやっていたところから、12〜13年前に何かで起業しようと思いました。その時にお金もなかったので、「パソコン1台で起業できるのってデザイナーぐらいなんじゃないか?」と思いまして、それで未経験のままデザイナーとして起業しました。
誰かからデザインを習ったとか大学とか専門学校で習ったというよりは、本当に現場で磨き上げたデザインです。なので「結果が出ること」しか学んでこなかったかたちです。
その中で「すごい」「センスがいい」とか、あと「大坪さんにお願いしたいんです」とか。逆に「前のデザイナーさんはこういうところがダメだったんだよね」とか、そういうのをたくさんいただきました。それを積み重ねていくうちに「やっぱりデザインってルールがあるな」と気づきまして、そういったことを今は教えたりさせていただいています。
これが今の仕事につながる一部でもあるんですけど、武蔵野美術大学の学祭に行ったことのある人は......さすがにいないですかね? 『ヒルナンデス!』とかも取材に来るぐらい、大学の学祭の中では突き抜けてクオリティが高いんですよ。
その突き抜けてクオリティの高い理由が何かと言うと、これは自分の1個上の先輩と、自分が1年の時に2年の先輩たちと作った実績なんですけど。
ちょっと写真がわかりにくいかもですけど、後ろにあるのは校舎なんですよね。校舎の手前に幕と観覧車のモチーフがあって、学生時代にこれを作ったんですよ。校舎ぐらいのサイズのモチーフを作るぐらいの学祭をやっているんで、4日間で3万人ぐらい来場するんですよね。うちらの代から「校舎ごとデコレーションしちゃえ」みたいな。
ちなみに観覧車については、ある種の事故なんですけれど、本当は人力で立ち上げようとしたんですけど、大きくしすぎて教務課の人が「これは人が死ぬ」という判断を下して(笑)、急遽学校のお金でクレーン車を呼んでいただいて、クレーンで立てていただいた、わりと本当にむちゃめな案件だったんですよね。
そんなようなことをうちらがやり始めてから、それが名物になって何年後かに『ヒルナンデス!』で特集されていたんで、うらやましいなと思ってたんですけど(笑)、そのきっかけになれたのはありがたいなと思っています。
そういうのを一生懸命作っている時にすごく思ってたんですよね。自分は美大に行きましたけど、さっき言った通りもともと建築で、住空間設計とか環境設計をやりたいなと思っていたので、デザイナーになるつもりはなかったんです。でも学祭のメンバーで仲がいい人たちは、デザイナーになりたい方たちが多かったんですよ。
自分の父親も本のレイアウト関係のデザイナーをやっていまして、仕事は楽しそうなんですけれども、そんなに社会的に評価されにくい仕事だったりするんですよね。あとは大学の先輩とかもデザイナーになった人たちがいるんですけれども、そういった方たちも「業者」って見られたり、ある種替えが利く人たちに見られてたんです。
こんなに価値ある魅力的な人たちが、社会に出てから「業者」という見られ方とか、下請けに使われるのはすごく嫌だなって思っていたんです。
当時「この人たちをちゃんと評価される立場にしてあげたいな」ってなぜか思っていたんですね。デザイナーになろうとは思わなかったけど、「彼らがデザイナーとして活躍しやすい環境を作りたいな」って思ってたんですよ。
それがあって、今デザイン会社を立ち上げてデザイナーを育てたり、こういう本を作って、もっともっといろんな人に「デザインは簡単に学べるし、おもしろいんだよ」ということを伝えられる側になれたらいいなと思って。
大学生の頃、18年前に思っていたことが今こうやって多少なりとも実を結んでいるのは、本当にありがたいなと思っています。
そんな紹介をさせていただいたところで、デザインの価値をみなさんにぜひ伝えたいなと思ってお話しさせていただきます。
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