2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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澤田智洋氏(以下、澤田):会場の方もオンラインの方も、ご質問があればぜひお願いします。
澤円氏(以下、澤):お、Q&A来た。
司会者:お待たせしました。ではご質問を読み上げますね。
「ちょっぴり育てにくい子どもがいます。親としては子どもが自立できるように、できることを増やすためのチューニングをしている自覚があります。お二人のお話を聞いて反省したのですが、厳しい母からどんな言葉をかけられたらうれしいのでしょうか? アドバイスいただけると、とてもありがたいです」ということです。
澤田:お母さんからのご質問ですね。ジェンダー論になりかねないんですけれど、女性と男性ではやっぱり子どもとの向き合い方の違いが生物学的にあると思っていて。女性は、自分がお腹の中で育てて産んでいるので「子どもはもろい存在である」と体感していると言われているんですね。
父親は産んでいないから、そのもろさを母親ほどわかっていないんです。もろさを把握している母親は、より安全に育ってほしくて。だからこそ、集団の中で育ってほしいと思うんですね。そのほうが安心ですから。
澤:なるほどね。
澤田:だから「みんなこうやっている」というのは、お母さんとしては当たり前なんですよ。お父さんの「いや、他の子と違っていてもいいじゃん」というのは、実はもろさを把握していない無責任な発言で。これ、別にどちらが良くてどちらが悪いというということではなくて、そういう傾向があるらしいんです。
「チューニングしようとしている」のは、非常に正しいやり方だと思います。それと同時に、澤さんがさっきおっしゃったように「タグを3つ掛け合わせて、世界に1人だけの自分性を発見する」ことも大切だと思います。そうじゃないと、社会で活躍できないから。
ある統計によると、今、社内失業者と言われる方が400万人いるそうです。
澤:すご! すごいな。
澤田:ちょっとどういうデータベースかは忘れちゃったんですけど、「企業に勤めていながら週の労働時間が何時間以下」みたいに極端に少ない人たちがたくさんいるらしくて。
なんでそんなに労働時間が少ないかというと、1つは仕事が機械化・自動化・省人化されているから。もう1つは、能力がかぶっちゃっているから。
Aさん・Bさん・Cさんが同じような能力だったとしたら、1人だけ選ばれるには甲子園みたいになっちゃうんです。勝者が1人で、敗者のほうが多くなるみたいな。
だからみんなと同じことをやるのもすごく大事なことだし、時代性としては、その子の独自性を伸ばしていくことも大事だと思います。これらを同時に、両輪としてやっていく。
澤田:どうですかね? 澤さん。
澤:うん。あと、「どういう言葉」というところだけにフォーカスすると、やっぱり「ありがとう」と言ってあげることだと思います。そうすると、自分が必要とされていることが非常にわかりやすくなるので。
何でもいいから、子どもから何かをしてもらった時に「ありがとう」と言う機会を作るのがすごく大事。
それから、「自立できるように」とおっしゃっていますが、「自立」を「1人で何でもできること」と解釈しているのなら、ちょっと危ないですよ。危ないというより、「そんな必要はないですよ」っていう感じかな。
僕が、いろんなラッキーが重なってすごくハッピーになったのはなぜかというと、「できないことを無理してやらない」、これに尽きると思っているんですね。できないことを「できない」と言い切ってしまって、その分「『ありがとう』と言える余白がすげーでかい」と解釈しているんですね。
僕、できることなんて本当にちょっとしかなくて。ほとんどのことは、他の人たちから介護されているような状態なわけですよ。だからその分、みんなに「ありがとう」「おかげさまで」と、ひたすら本気で言う人生を歩んでいるので。たぶん、「それでいいんじゃね?」って感じがする。
ただし、「あなたはこれをやったら『ありがとう』と言われるんだよ」という自信を、いくつかお子さんに植え付けてあげること。そうすれば、そこをきっかけにして何かできると思います。
澤田:やっぱり、いろんな小さい成功体験と、それに伴う「ありがとう」が財産になっていくんですよね。
澤:そう思いますね。子どものうちにそれが得られると、めちゃくちゃいいような気がします。僕、子どもの頃に「ありがとう」と言われた覚えがほとんどないので、それがけっこう堪えましたね。
澤田:なるほど。僕も非常に勉強になった。僕の場合は子どもに障がいがあるので、普通の子のように育てようと思ってもできないんですよね。限界があるから、いい意味で諦めているんです。その代わり、どういう時にホメ出しするかというと、本にも書いたのですが「本人の目に星が入っている時」というのを基準にしていて。
息子は、何かをしながら、生き生きして目がキラキラになっている時があるんですよね。その行為が、例えば生産性という意味ではゼロだとしても、目がキラキラしていたら僕は褒めるようにしていて。
僕の息子は全盲なので、利点としては目が回らないんですね。だから家で、トリプルアクセルどころか、ずっと高速でくるくるくるーっと回っているんですよ。その瞬間、目がキラキラキラってしているんです。
それは資本主義の価値基準からすると褒めるポイントじゃないんだけど、僕はめちゃくちゃ褒めるんですよ。「すごー! かっけー!」みたいな。そうすると、本人はますますうれしそうにしている。
その瞬間、本人は世界と調和が取れているというか、居心地が良くて、世界がアウェイではなくホームに感じられている瞬間なんです。そして実は、それを親が褒めることによって、「あ、やっぱり今、自分は世界とうまくいけているんだな」という本人にとっての成功体験になるんですね。
子どもだと、褒めてあげないと「成功なんだ」ということがわからないんです。だから「褒める=成功体験」ということでもあるのかなと思います。
澤:「人類は、83パーセント視覚から情報を得ている」という統計もありますが、それをある意味シャットダウンされている状態でも、耳から成功体験を得ることができるわけです。
澤田:そのとおりです。
澤:その耳からの情報が100パーセントに近いのなら、そこを基準にしてどんどん褒めてあげる。そうすれば、本人は人生をすごく楽しく生きている状態になりますよね。
「目が見えない」という1つの特性はあるかもしれないけど、それは適応することで生きていける。人間は、そうした術(すべ)はだいぶ確立していますからね。盲人の人向けにいろんなものがあるし。
あとは本人が、「楽しい」「おもしろい」「人生おもしれーじゃん!」と思える体験がどれだけあるか。まず、お子さんのうちは周囲がそれを提供してあげて、ある程度の年齢になったら自分でそれを生み出すことができるようになっていけるとすごくいいんじゃないかな。
澤田:そのとおりだ。ご質問ありがとうございます。
司会者:他に何かお聞きしたいことがあれば、どんなことでもけっこうですので……。
澤:遠慮なく書いてくださいね。
澤田:すごく具体的な質問でしたね。
澤:いきなり、自己開示も含めたいい質問でしたね。
澤田:澤さんの言葉って、すべて澤さんの体重が乗っているじゃないですか。
澤:はい、はい。
澤田:ご自身が傷ついたことも含めた、経験からもたらされる言葉だから、もうダイレクトに響きますね。
澤:主語を最小単位にすることを、僕はそうとう意識してやっていますね。基本的に、とにかく「私」と「あなた」で構成するという。そうじゃないものを主語にして、それが正しいかのように振る舞うのが僕は嫌いなんですよね。「日本人は〇〇だよね」とか。
昔は僕もやっていたんですよ。結局、満たされない感じがすごくあったんだと思います。「正しいのはこうだから」って、いろいろ決めつけていたんですけど、そうするとコンフリクトを受けるし、起きるし。
さっき「Twitterで炎上しづらい」と言ったのは、結局「主語を『私』と『あなた』にすれば」ということなんですよ。「僕はこう思う」っていうふうにすると、反論があったとしても「僕とあなたは違うから、それはしょうがないよね」となる。
その人が「いやいや、世の中これが正しいんだ」と言っても、「僕はそう思わない」で終わりなんですよね。「あなたがそれを信じていたいとか、それを正しいと思うことに対して僕は別に意見はない。まあ好きにればいいんじゃない? 僕はそうしないよ」って。
ただし、「悪いけど僕に矢印を向けないでくれます?」だけはお願い事にしている。
澤田:なるほど。
澤田:ビジネスでもBtoBなんて言っちゃうけれども、本来的にはすべてMe to Youですもんね。
澤:そうそう。僕はBtoBのビジネスをやる時に、「あなたはどうやったら会社で褒められますか?」という質問を必ずするんですね。
澤田:おもしろいですねぇ。
澤:いろんな言い方がありますが、「あなたの評価基準は何ですか?」とか「社内においてあなたが最も称賛される軸は何ですか?」とか聞くんです。
なんでかっていうと、その人が褒められるということは、それがリレーされていくと会社の社会貢献にまでつながっていくはずだから。褒められるということは「うまくやった」ということなので、それが機能していれば最終的には会社が目指すべき方向につながっていく。目指すべき方向が定義されているのであれば、それが満たされるわけだから。
なので「あなたの評価軸は何ですか?」と聞くんだけど、びっくりするのが、それをまったくデザインしていない会社がすごく多いんですよ。ジョブ型雇用がまだ定着していない証拠ですよね。
「実はあまりよくわからないんですよ」というのであれば、「それをデザインするところから始めましょう」と言っています。勝手にジョブ型雇用的なデザインをしちゃうんです。そして、「こういうふうにやるから、ここまでいったら褒めてくれ」というのを、上司の方に握ってもらうんですね。
澤田:なるほど。
澤:「これをやったら会社にとって、組織にとって必ずプラスに働くから、ここまでできたらこう褒めてください」「『これを評価してくれ』と言ってください」とお願いするんです。
澤田:今、僕の中でイメージが湧きました。雪が坂道を転がっていくと、雪玉が大きくなっていきますよね。たぶん、それは主語がでかくなったり、社会通念が固まっていくことによって大きくなっていくと思うんですよ。だから、その雪玉をもう1回上に押し上げて、押し上げて、逆にちっちゃくちっちゃく、雪の結晶ぐらいに戻していく。
あなたの手触り感のある「ありがとう」の一言で、あなたが褒められることによって、結果的にはその先にある雪だるまが褒められることになるという。
澤:うん。漠然とした雪だるまではなく、それを逆算していくと「あなたがもともと手に持っていた結晶なんだよ」ということですよね。それを言語化して、伝えて、全体をデザインしていくんです。
最終的には雪だるまを作るんですが、いきなり雪だるまではなく、まずは「あなた」という雪の結晶がスタートラインなんです。それを「『僕』は1対1でサポートするから」とコメントするんです。
澤田:それって出会い直しのデザインですよね。「仕事・会社・自分とは、こういうものだ」と決まりきっているものから、もう1回「『働くとは何か』ということ」「社会人としてのあなた」に出会いましょうという。「2回目のはじめまして」を作る行為なのかなと思いました。
澤:これをビジネスの現場でやると、みなさん最初は本当に面食らうんですよ。「うちの会社は~」とか、「うちの中期計画では~」とかなんとか、必ず言ってくるんですけど、「それはとりあえず置いといて、『あなた』はどうなんですか?」っていう。
澤田:いいですね。
澤:「あなたは、どういうふうにすると褒められるんですか?」という感じで。その人の上司もいる場では、「〇〇さん、この方をどうやって評価しているんですか?」「どういうところで褒めるんですか?」と聞きます。
そして、「それをデザインしませんか?」というふうにするんです。「それが最終的には会社全体の貢献につながるんですから」「みんなで褒められるようにしましょうよ」と言って。これ、絶対に「No」と言われないんですよ。
ITコンサルをやる時には「最終的には、雑誌に載るようにしましょう」とか「新聞記事になるようにしましょう」とか、よく言っていましたね。そうすれば世間から褒められるから。
澤田:なるほど。
澤:事例としてよそに対して「どや!」って言えるようなものを作りましょうという。そうしてデザインした会社は、最終的にカットオーバーしたら、つまりそれがうまくいってシステムが稼働し始めたら、事例としてお客さんを呼んでくれるようになるんですよ。
自分たちのプロセスを、「我々はこういうふうにやってうまくいきました。みなさんもぜひ真似してください」と開示して、勝手にエヴァンジェライズ(伝道)してくれるという。
澤田:だから、「ちっちゃくてもすごく適切な入り口に入っていければ、実はそのトンネルは広がっていく」という話ですよね。
澤:そう、そう。
澤田:もう今の話を聞いているだけで、いろんな答え方が出るぐらい、自分の中で発散しちゃってます。
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