2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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山口揚平氏(以下、山口):よろしくお願いします。山口揚平と申します。今日は2つテーマがありまして、大きく1つは単純に「世界はどういうふうに変わっていくのか」ということ。それに合わせて「我々は何をしなきゃいけないのか」ということ。この2つを話したいと思っています。それをジーニアス・ファインダーという1つのフレームを通して実際にやる方法をご紹介できればなと思います。よろしくお願いします。
私の紹介です。本を書いたり事業をしております。最後に、ジーニアス・ファインダーの紹介もしたいと思っています。
過去15年ぐらい会社をやってきた中で、作った会社が15社ぐらい。宇宙開発とかブロックチェーンとか、ロボティクスとかリトリートホテルとか、あとはアニメの制作プロダクションだとか。そういった会社の創業支援というかたちで、自走できるまで、会社として成り立っていく過程を共に歩んできました。
みなさんご存じのとおり、今は混乱期です。ウクライナの情勢だったり、もちろんコロナの問題があったり。その裏側にあるのは、産業構造、社会のシステムの「終わりの始まり」だと思います。
実際には1990年、日経平均が最高値を記録したところから旧産業の衰退は始まっていると思うんですが、今やテレビ局も終焉を迎え、メディアのサイクルも変わってきています。
もともと我が国の産業というのは自動車産業が中心で、それが我が国の500~600兆円のGDPのうちの10パーセントを占めていたわけです。雇用も、日本全体で6,000万人ぐらい働いていて、そのうちの10パーセント、約600万人ぐらいが自動車および関連産業に就いています。
それがEV、つまり電気系統にシフトしたことによって、ガソリンに出資してやってきた日本の自動車産業は大きな転換を強いられている。
今までの産業のやり方はもう通用しない。建設とか資材とかメディアとか、全部が変わってきているということです。しかし、そういうものに蓋をしてきてやってきました。
例えばテレビは「もうテレビは見ないよね」とわかっていたにもかかわらず、地上波デジタルのほうに舵を切ったり、4Kに投資をしてきたわけです。業界の臭いものに蓋をしてなんとか延命してきたのが、ここ10年か20年です。
コロナ・オリンピックを境にして、2020年から2023年にかけて産業構造が大きく変わっていく。そして社会のシステムもこの2、3年で変わっていき、2025年ぐらいから新旧システムが交代していくと思っています。
今日は社会システムの話ではなく、みなさんがどう稼いでいくか、仕事をどうしていくかという産業の話を中心にしたいと思っています。
ロボティクスとか宇宙開発とか地球環境保全とか、先端医療とか、新しい教育システムとか。そういったものが2025年から2040年ぐらいにかけて「新しい産業」として出てくるのではないかと思っています。
そもそも社会変革は、80年ぐらいの単位で行われています。ちょうど2025年の80年前の1945年、つまり更地になった戦後日本から始まって、ようやく一時代が終わったんです。今2020年から2025年に向かって、最後の5年をやっているところです。
ちなみに1945年の80年前は明治維新で、やはり社会が大きく変わりました。そこから80年経って戦後の新しい時代を迎えたように、時代は変わっていくんだと思います。
こういった大きな転換期の中で、僕らが考えなければいけないことは「稼ぐこと」。それから「仕事をすること」「生活をすること」という、大きく3つだと思うんです。
ここで「いやちょっと待て、お金を稼ぐことが仕事だろう」という考え方があると思うんですが。今の時期にすごく悩ましい問題なのは、「仕事」ってそもそも何なのかということです。仕事=お金を稼ぐというのが、戦後からずっとあった考え方なんです。
ですが、そもそもの仕事、つまりビジネス(Business)という言葉の語源は、Awarenessという「人のことを思いやる、ケアすること」なんです。もっと難しく言うと「自分の才能を貢献に変換する作業」。それが本来の「仕事」という意味なんです。
お金を稼ぐことを、ここではProfitable Activitiesと書きました。お金を稼ぐことと仕事をすることに相関がなくなっているというのが、みんながこの時代で混乱してることだと思うんです。この話は少し後でします。
そして、「生活をする」というのがあります。この3つを分けて考え、整えていこうというところが今回のテーマになります。
次のページはグラフです。縦軸は社会的な価値、つまり1円稼ぐことに出している社会的価値は何円なのかということです。
横軸は年収です。これを見ると、いろんな職業の点が打ってあるんですけれども、相関してないですね。「社会に貢献していること」と「収入」には、相関がないということです。
現在のテクノロジーの発展の中で、これがわかるようになってきています。例えば、左上のほうにいるのが保育士とか研究者とか、病院の清掃員とか。彼らは年収でいうと200万円ぐらいですが、それに対して実際の社会に出している価値は5倍、10倍に近いものだとわかっているわけです。そういうのがトラッキング(追跡)される世界になってきています。
彼らはいわゆるエッセンシャルワーカーと言われています。でも年収は低い。教師もそうです。ちょうど真ん中に弁護士がいて、右下のほうにいくと広告代理店、広告会社、役員とか銀行家とかが入ってきます。
そういう職業は、1円稼ぐごとに社会からお金をもらっているという研究結果です。そういうことがみんな(直感的に)わかっている。だから自分の今の仕事の中で「どうも報われないな」とか「やる気がしないな」とか、そう感じることが起こっていると思うんです。実際にお金を稼ぐことと人の役に立つことはぜんぜん違うんだなぁと。
だから副業だったりボランティアだったり、自分がやりたいことをやるのが今の時代の流れなんです。昔は社会的価値と年収が一致してたんです。今はそれが乖離して、もう確実に分かれてしまった。
じゃあ「お金」っていったい何なんだよという話になるわけです。価値を生み出すこととお金を稼ぐことはまったく違う時代だと思います。
これまで僕らは職業選択をしてきました。決まった職業があって、例えば自分は将来保育士になりたいんだとか、パイロットになりたいんだとか、車を作りたいんだとか、テレビマンになりたいんだとか、そういう職業としての決まりがあって、そこに対して(自分を)合わせていくのが「職業選択の時代」だったと思います。これが1960年のサラリーマン時代から平成の終わりまで続いていました。
その中で出てきたものが、「ストレングス・ファインダー」です。客観的・相対的に「自分の強み」という概念が出てきて、それに対してどうやって自分の強みを活かせる職業に就くかということを考えてきたんだと思います。
しかし今起こっている時代の変化の中では、全部がガラガラポンになるわけです。この5年間はさっき言ったように、80年間続く社会システムの最後の5年間です。何か今ある既存のものからカードを選ぶのではなくて、新しいものを作り出すことに転換していく方が良いと思います。
「仕事創造」というんですけど、仕事を創造することがメインになってくるんですね。主体的に自分が何をしたいのか、そしてそれはお金になるのかということを含めて考えていく必要がある。
これを「ジーニアス・ファインダー」という文脈で考えます。ジーニアス(Genius)は「霊性」です。スピリチュアリティ、つまり目に見えないところから物事を進めたいと思っています。あるいはちょっと近い言葉でいうと「遺伝子(Gene)」です。ちょっと生物的なんですけれども、遺伝子的に自分と合ってるものはなんなのか、というのがジーニアス・ファインダーによってわかるんです。
霊性というとスピリチュアルな感じがするんですけれども、GeniusとGeneは同じ語源なんです。つまり「根幹」です。自分の本質から作り上げていかなきゃいけない。
だから他と相対的に強いとか弱いとかではなく、主体的あるいは主観的に作り上げていく。「KPI」は「キーパフォーマンスインディケーター」というんですけれども、自分だけの基準を持っていることが大事になっていくわけです。
僕も、生きていく中での規律と基準をいくつか持っています。絶対に人には言わないです。1つ言うと「どんな玄関でも靴を並べる」とか。こんな単純なものから、人には絶対に言わないようなものまで、自分の規律を持っています。これは自分で決めたものです。それによって人生がグッと締まるものになります。
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